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サッカー観戦が「業務」になっている人に~旅と出張はどう違うのか~ 2019アウェイ新潟

柏レイソルのJ2第3節は、アルビレックス新潟との対戦でした。この日はアウェイでの試合だったのですが、僕は日帰りで新潟に行ってきました。
今日(4月17日)の時点では、リーグ戦はもう第9節まで消化していて、けっこう昔の話ですね。新潟戦がいつだったか日程を調べてみたら、3月9日でした。ふと日の長さを感じます。

この日帰り遠征ですが、全く「旅」っぽくなかった、まるで「出張」みたいだったな、というものでした。さて、みなさんに質問があります。

旅と出張の違いとは何でしょう?

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著者 円子 文佳 (まるこ ふみよし)
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・「出張」は「旅」ではない

OWL magazineを始めるときに、会議みたいなものがありました。そこで誰だったか忘れたのですが、こんなことを言っていた人がいました。

「日常の中にも旅はある。でも、出張は旅ではない」

旅行と出張は、「どこかに出かける」という点では似たようにも思えます。しかし実際に出張に行く立場としては、確かに出張は旅行とは異なるものであると感じます。

旅費法(国家公務員等の旅費に関する法律)というものがあります。それによると「出張」は「公務のための旅行」と定められています。つまり、旅行という広い概念の中に、出張というカテゴリーが存在することになります。

・「旅行」と「旅」にも違いがある?


ところで、「旅」「旅行」などと簡単に言ってしまっていますが、その両者にも違いがありそうです。『広辞苑』によると旅・旅行はそれぞれ、以下のように説明されています。

旅行:徒歩または交通機関によって、おもに観光・慰安などの目的で、他の地方に行くこと。たびをすること。たび。
:住む土地を離れて、一時他の土地に行くこと。旅行。古くは必ずしも遠い土地に行くことに限らず、住居を離れることをすべて「たび」と言った。

似たような説明ですが微妙に違います。「旅行」は「おもに観光・慰安などの目的で」とされています。
今回、「旅」と「旅行」の違いを考えるため、ググって色々調べてみました。すると、面白いことを書いている記事がありました。

自分探しの「旅」はあるが、自分探しの「旅行」はありません。同様に、慰安「旅行」はあっても、慰安「旅」はありません。なぜなら、この2つはまったくの別物だからです。
意外と知らない「旅行」と「旅」の決定的違い


「まったくの別物」というのは言い過ぎな気もするのですが、概念として「旅」の方があてのないもの、「旅行」は目的があり計画的なもの、というイメージはわかる気がします。
そして、法律上「出張」は「旅行」の1カテゴリーとなっています。そこで、このような概念図を作ってみました。

広義の「旅・旅行」という概念があり、そのうち「旅」と「旅行」とは微妙に異なるものである(とはいえ重なりはある)。「旅行」は観光・慰安など何か(単体の)目的をもって他の地方に行くことであり、その中でも業務のための旅行が「出張」である、という感じです。

さて、突然ですが新潟戦の話に戻ります。今回はすごく出張っぽかったなと思ったのですが、そう感じたポイントがいくつかありました。

・新潟遠征が出張と言える、4つの理由

急にウェブコンテンツっぽい見出しをつけてみました。何事も経験です。
今回の新潟遠征について、出張っぽかったポイントを4つ挙げてみました。

(1)日帰りだったこと
(2)試合観戦以外の目的がなかったこと
(3)何度も行ったことのある場所・経路だったこと
(4)単独行動だったこと

(1)日帰りだったこと
一日は24時間です。世の中には宿泊を伴う出張もありますが、24時間ずっと業務をし続けることは稀だと思います。人間は24時間も過ごしていると、オフの時間は必ずあるものです。少なくともご飯を食べたりはするでしょう。そうなると出張だとしても「出張要素」は薄まります。逆に、日帰り旅というものもあるにはありますが、宿泊を伴う方がより「旅要素」は濃くなると思います。

(2)試合観戦以外の目的がなかったこと
出張とは「業務のための旅行(旅費法)」でした。今回僕は、日帰りでサッカーの試合を見に行くためだけに新潟に行きました。僕にとってサッカー観戦は業務ではないですが、一つの目的、しかもサッカー観戦という日常的に行っていることのみを目的として新潟まで行くことが、出張的であったなと思います。

(3)何度も行ったことのある場所・経路だったこと
実は僕は、アルバイトでほぼ毎週新潟県に行く生活を10年以上続けていました。といってもそのバイト先は新潟市ではないのですが、上越新幹線には何年も毎週乗っていたのです。そのため、せっかく新幹線に乗っても旅情が全く湧いて来ない、むしろバイト前の心情を思い出してしまう、という個人的な事情がありました。

(4)単独行動だったこと
今回は一人での移動・観戦でした。出張も仲良しの人と行けば修学旅行的になって楽しいかもしれませんが、一人の場合は業務に対してより集中せざるを得ない状況になりそうです。僕は今回の行程で、試合前のラーメン屋と試合後の寿司屋でしか喋りませんでした。人間、黙っていると楽しくないというか、真面目モードに入ってしまう気がします。実際に業務としての出張の場合は必要かもしれませんが。

・逆に「旅らしい取材」だった例

このように書いていたところ、昨日ちょうど宇都宮徹壱さんが、逆に「久しぶりに旅らしい取材をした」という内容でOWL magazineに寄稿していただきました。

岡崎で楽しんだものを挙げていけば、自ずと答えが見つかりそうな気がする。初めての土地。魅力的な取材対象者。公共交通機関と徒歩で目的地にたどり着く達成感。桜の美しさ。
三河の中心にて桜とフットボールを愉しむ~徹壱の小さな旅(岡崎篇)~

今回、僕は全て逆のことを行っています。何度も行った土地。店員以外、誰とも会話せず。飽きるほど乗った上越新幹線で事務作業をしながらの移動。試合以外の観光を全くしない行程。

出張が旅に劣っているという話ではありません。ミッションが存在する旅行(出張は旅行の1カテゴリーです)では、旅の楽しみよりミッションに対しての機能性が優先されることもあります。しかし、旅を期待していたのに実際は出張だったとなると、それは残念な話です。

というわけで皆様、せっかくのアウェイ観戦、楽しいものにするためのコツです。多少余裕を持った予定にして、食事だけでなくサッカーと関係のない観光の予定を入れると、「旅感」の強い遠征になるかもしれません。

新潟に旅先としての魅力がないというわけではありません。新潟まで行けば佐渡島は目と鼻の先で、島に渡ると一気に旅感が出ます。それ以外でも、糸魚川で2泊3日過ごすとか無謀な企画(ずっと断層を見てました)をやったこともありました。面白かったりつまらなかったりもあったけど、外すのも旅です!

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・奪われたのは何だ 奪い取ったのは何だ

今回の遠征が「出張っぽかった」という話をずっと書いてきました。

僕は「サポーター」となって、どれくらいになるのでしょうか。段々とチームに対する応援や観戦が、日常となり義務となっているように感じてきます。
サッカーの応援なんて、仕事と比べてしまうと、それほどいいものではありません。

時には見返りの喜びもありますが、苦労にふさわしいだけの給料かというと、少しもそうは思えません。
日常となり義務となったと感じているのは、別に僕の思い違いです。わかっています。

しかしある時、気づいてもそれは手遅れとなっているのです。今回の新潟行きは、「出張」でしかなくなっていました。

それが悲しいわけではなくて、疲れただけなんですかね。
「休みがほしいな」と思います。変ですね、誰も行けなんて言ってないのに。

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