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ジンバブエ商法【ジンバブエ】

ジンバブエって、2000年代にハイパーインフレが起こって、インフレ率2億3,000万%、失業率が最大90%になったとか、わりとすごい事態になった国なんですけど


ただ、長いこと政権を握っていたムガベ前大統領は元々教師だったとかで、国民の教育水準はわりと高くて、英語も話せて、隣の南アフリカに安価な労働力として流入…みたいなことが起こったようです。


そういう難しい背景は、この本に書いてありました。

『アフリカー資本主義最後のフロンティアー』
「NHKスペシャル取材班」著(新潮社、2011年)
https://www.shinchosha.co.jp/book/610409/

アフリカに行く飛行機の中で、友達に借りて読んで、ちょっとしたアフリカ通みたくなりました。アフリカ通っぽくなりたい人には、おすすめです。


で、まあそういう背景を知りつつ、ジンバブエの街を歩くと…


暇そうな人、めっちゃ多い。平日なのに、何もしないでブラブラする人に、めっちゃエンカウントします。


ジンバブエ人、道行く観光客に、話しかけてきます。みんな、普通に英語。本当だ、英語だ、と本を思い出すわけで。


で、私も話しかけられました。何かと思ったら…

ジンバブエドル、売ってました。
ハイパーインフレで流通停止になった、高額のジンバブエドル紙幣。
100万ドルとか20億ドルとか、もう、ゼロすごい。人生ゲームもびっくりなくらい、ゼロついてる。


お金としては使えないから、まあ文字通り紙屑なわけです。でも、確かにこれは…ほしい。


で、どうやったら手に入るかというと、もちろんエンカウントしたジンバブエ人との価格交渉です。日本人、わりと苦手なやつ。


途上国って大体どこも、ものすごい勢いでふっかけてきて、まあこっちも負けないくらい安値で返して、その間のどこかの金額で妥結するわけですが

交渉風景。カツアゲにしか見えない(Chicken Innはジンバブエ発祥のKFC的なお店です)。

…わかんないなー適正価格。
相手は、何枚かの紙幣を持って、30ドル(米ドル)とか言ってます。いや、それは高い。だってそれ、ただのゴミでしょ、と。


結果…何枚かの紙幣、5ドルで妥結。


米ドル渡して、ジンバブエドルもらって、でもジンバブエ人、まだ帰らない。


あれ?と思ってると、聞いてくる。


「もっと高いやつ、欲しくないか?」



「見せて」って言って出て来たのは、



100,000,000,000,000ドル。

One Hundred Trillionって書いてある。

はんどれっどとりりおん…100兆ドル。日本の国家予算が1枚の紙幣に収まったイメージ。


ほしい…でももう既に買ってしまった…くそっ、こいつらなんて商売上手なんだ…


「いくら出す?」とジンバブエ人が聞いてくる。


…ここは、私が出せる最大の金額で1発勝負…


「3ドル!ファイナルプライス!」


…まあ結論から言うと、ジンバブエ人たち、呆れて去って行きました。話にならなかったらしい。

ちなみにそんな100兆ドル紙幣、一緒にいた友達が別のジンバブエ人から、12ドルで買いました。確かに桁が違う。

友達が買った札束

私が払う12ドルで、2人くらいのジンバブエ人がちょっと幸せになるのなら、払ってもよかったかな…と、ちょっとだけ思ったものの


いや、やっぱり高い。


なお、持って帰った5ドル分のジンバブエドルたちは、今も実家のどこかに潜んでいます。

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