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まるいの家族エッセイ

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まるいるいの、父親をはじめとした家族の話です。
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#家族

私の家族の悪いところ【家族エッセイ】

私の家族の悪いところ【家族エッセイ】

今から綴ることは、私の短所の言い訳である。

私はお世辞を言うことや他人を褒めることが頗る苦手だ。
そして、褒められることも苦手だ。
その原因は育った環境にあると考えている。

私の家族は所謂‘‘イジる’’ことで仲を深めてきてしまった。
「家族」と一括りにしてしまったが、主に父と兄と私だ。

「ブサイクだなー!」
「デブだなー!」
「ハゲだなー!」
これらは常套句である。
(ハゲに関しては父に対し

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思春期でも父のことが大好きだった理由【家族エッセイ】

思春期でも父のことが大好きだった理由【家族エッセイ】

最近、中学生の娘を持つ男性がこんなことをぼやいていた。
「うちの子、最近口を利いてくれなくなっちゃった。やっと口開いたと思ったら「キモい!臭い!ウザい!」だよ。るいちゃんはお父さんが嫌いな時期あった?」

自分に置き換えて想像してみた。戦慄した。そんな言葉を私が父に投げかけたらどうなることか。

私が父を嫌っていた時期はない。
喧嘩している時以外、父のことは好きだ。

私の父は、恐かった。
怖いと

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父との切ない思い出【家族エッセイ】

父との切ない思い出【家族エッセイ】

私は6歳の頃、七五三に向けて髪を伸ばしていた。
幼稚園の日は、母が髪を結ってくれた。母は髪を結ぶのが得意ではなかったと言うが、写真に映る私はいつも可愛らしい髪型をさせてもらっていたと思う。

その日は休日。父と二人で出掛けることになった。
「今日はお父さんが髪を結ぶよ。」
私の記憶の中では父に髪を結ってもらったのはその日が初めてだった気がする。
どのくらい時間が掛かっただろう。母がやってくれるより

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うちの両親は普通じゃない【家族エッセイ】

うちの両親は普通じゃない【家族エッセイ】

私は父親が好きだ。
それには、母親が大きく影響している。

母は父のことが大好きだ。
そして父も母のことが大好きだ。

毎晩二人で晩酌をするし、同じ部屋に布団を並べて寝ているし、気が付くとどちらか一方がどちらか一方に纏わり付いている。記念日には二人で旅行にも出掛けている。
私は夫婦というものを彼らしか知らないから、それが普通だと思っていた。

大人になってから両親の話を他所ですると、
「凄いね。う

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初めての彼と父ちゃん【家族エッセイ】

初めての彼と父ちゃん【家族エッセイ】

「そんな話お父さんにしたら可哀想だよ。」
と、娘を持つ男性に言われたことがある。

「そんな話」というのは所謂‘‘恋バナ’’だ。
私はよく父に恋愛話をする。
自分より人生経験が豊富で、尚且つ私のことを良く知る異性、こんなに都合の良い相手が他にいるだろうか。

私が初めて異性と交際の約束を交わしたのは高校2年生、16歳の頃だ。
彼とは1年生の頃同じクラスだった。バスケ部の彼にマネージャーにならないか

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血の繋がった親友【家族エッセイ】

血の繋がった親友【家族エッセイ】

私の人格形成に大いなる影響を与えた男がいる。
それは兄だ。
兄は2歳年上で、今のところ人生で一番長い時間を共にした人だ。

母は私を産んだ時、
「もう一回産んだかと思った。」
と言うくらい、兄と顔がそっくりだったらしい。
今でも兄とは顔が似ているとよく言われる。

それは、表情だったり顔の筋肉の使い方が同じだからより似ていってしまったのではないかと思う。

私は何でも兄の真似をした。
母曰く、口調

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誰よりも幸せであってほしい人【家族エッセイ】

誰よりも幸せであってほしい人【家族エッセイ】

私には4歳年上の姉がいる。
私達は顔面も骨格も似ていなければ性格も思考もまるで違う。
本当に同じ血を分けているのか疑わしい程に何もかもが正反対だ。
「るいが同じクラスにいても絶対に仲良くなってなかった」
と姉は言う。私も同感だ。

昔、私は姉に嫌われていた。
姉が就職して家を出るまで、姉が私に笑顔を向ける事はなかったように思う。
それも無理はない。

私は姉のお菓子を盗み食う悪童だった。
当時「カ

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父が居なくなった日【家族エッセイ】

父が居なくなった日【家族エッセイ】

2022年6月。
目の不調が気になり眼科に行くと、網膜剥離と診断され手術を受ける事になった。
目薬で治せるくらいの軽いものだと思っていたので医師から「このままじゃ失明するから1週間後には手術を受けて」と告げられた時の衝撃は大きかった。

実は異変はその年の1月頃から感じ始めていた。
しかしその時は横になってスマホを眺めている時のみに異変が起こる状態だった為、あまり問題視していなかった。
それが数ヶ

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