まる

大学生

まる

大学生

最近の記事

近所の美容室

小学生のころから髪を切りに行くのが嫌いだった。もっと幼いころは親が1000円カットに連れて行ってくれて親が髪型を決めた。毎回「スポーツ刈り」をオーダーするから、世の中にはスポーツ刈りか坊主しか髪型がないと思っていた。 親が連れて行ってくれた頃はよかったのだが、いつからか一人で行かされるようになって急に床屋が嫌いになった。髪に関する語彙が「スポーツ刈り」しかないから、当然店員と話が合わない。話が合わないというか店員が何を言っているか理解できないのでちぐはぐな受け答えになってし

    • 雑感

      最近はもう本当に楽しいことしか話したくない。誰かの愚痴なんて聞きたくないし、将来の話もしたくない。誰がどこに就職するとかもっての他なのだ。三苫のドリブルが上手すぎる話だとか、銭湯で会った愉快なおじさんの話とか来年はトルコに行ってみたい話だけしていたい。人をたくさん褒めたいし人にたくさん褒められたい。お世辞と分かりきっていることでも、褒められたら本気で喜びたい。 † 僕たちは声の記憶を最初に忘れるらしい。これは逆説的に考えれば、声を忘れさえしなければその人の全てを忘れられな

      • 最近考えていること

        えらく含みを持たせたタイトルになってしいましたが、本当なのだからしょうがないのです。今回は「僕が最近考えていること」を書きたいと思います。 人間は老いも若いも女も男も何かを考えて生きているわけですが、その思考の中には「誰かを大切に思うこと」だとかもっと言えば「愛」だとか哲学的なこと、すなわち自分がどのように生きるべきかの指針になるようなことから明日の夕飯についてなど日常的なことに至るまで様々な種類があるわけです。今回僕が書こうと思っているのは前者のようなことについてです。自

        • 丸善京都本店(京都BAL)

          それにしても、京都BALに入店した人の目的が丸善なのか、それ以外の所謂ハイブランド店なのか見分けることはとても容易である。それが男性であれば百発百中で当てられる自信さえある。ということで、私は「丸善に行く側」の人間なわけだ。1年半ほど前、暇な日に家に引きこもっているのは体に良くないから、予定が無い日は丸善に行こうと決めたら4、5日連続で丸善に来てしまい絶望に似た、でも絶望とは言えないくらいの感情になったことを思い出す。でも、何も用事のない私を受け入れてくれるような安心感が丸善

        近所の美容室

          鴨川にいたカップル

          川沿いの木々の葉が落ち冬の気配が強まる11月末の夕暮れ時、私が鴨川を散歩していると大学生くらいのカップルがいた。カップルといっても、手を繋いでいるわけでも身を寄せ合っているわけでもなかったから本当に付き合ってるかは見た目じゃ分からなかったけど。 女の子の方が沈黙に耐えきれなくなったのか、「音楽を聴きながら歩きたいな。」と言う。男の子は「いいね。」と素っ気ない返事。本当は女の子の方から何かを提案してくれて、ホッとしているくせに。男の子はワイヤレスイヤホンを片方女の子に渡す。有

          鴨川にいたカップル

          百万遍にある友達の家

          大学に入って2回目の春、私はようやくサークルというものに入った。普通の大学生は一年生の春にサークルに入るのだから、まさに“満を持して”である。 私が入ったサークルは音楽系のものであったが、そこに所属している人間はこれまで私が接してきたどんな人とも別種のものであった。一言で言えば、みんな大人。さりげなく気をつかい、その場にいる人間の心の機微を敏感に感じ取ることができる人たちの集まりだった。常に二手先、三手先を読まれている感覚がして、僕はどうしようもなく子供だった。 ある日、

          百万遍にある友達の家

          バイト先のラーメン屋

           昨年の4月、進学をきっかけに京都に来たがコロナ禍のために学校は始まらず時間を持て余していた。あまりに暇だったので、人生初のバイトなるものをしてみようと思い立った。早速バイトルでテキトーな条件を入れて五十音順で「あ」から片っ端から面接を申し込んだら「し」から始まるラーメン屋に採用された。結局諸々の理由があり辞めてしまったのだが、退職してから半年以上経ったのでバイト中の出来事を書いてみたい。きっと時効が成立しているはずである。  ある日インドだかイランだか、まぁそなへんの国の

          バイト先のラーメン屋

          高野で囲む鍋

           今年の冬は、とにかく鍋をよく食べた。たいていは、5、6人で集まり高野のイズミヤで材料を買い、そのまま誰かの家になだれこむ。僕たちの下宿先は、皆高野周辺にあったので便利だった。  皆、バイトにサークルにとそれぞれに予定があったから、集合するのは23時くらいである。僕たちにとっては、その時間は心地よかったし、有無を言わさず参加を強要する時間でもあった。眠たいから、などという言い訳は許されない。  何度も同じ鍋を囲んだが、いつだってやることは同じだった。要するに、鍋を食べ終わ

          高野で囲む鍋

          京阪出町柳駅から吉田キャンパスへ続く道

            中学時代の通学路、高校時代の部室。その場所、その道を通るだけで、当時の風景や感情が確かな解像度で思い出されるような、思い出を真空パックのように保存してくれているような場所を誰しもが持っているように思う。  私にとって、京阪出町柳駅から吉田キャンパスへ続く道はそういう場所の一つになっている。  2019年の2月25日、私は京都大学を志望する合格可能性20%の受験生だった。その日の朝、私は受験生の群れの一員となり、京阪出町柳駅から試験会場となる京大吉田キャンパスへ歩いてい

          京阪出町柳駅から吉田キャンパスへ続く道

          平安蚤の市(8月10日)

           夏真っ盛りのその日、私は高校時代からの友人と平安蚤の市へと足を運んだ。  そもそも、蚤の市が何か知らない人のために説明しておくと、「蚤の市は、ヨーロッパの大都市の各地で春から夏にかけて、教会や市庁舎前の広場などで開かれる古物市。パリの蚤の市が有名。」(wikiより引用)という感じの代物である。  すごく面白そうな催し物である。ヨーロッパ発の骨董品市場が、京都は平安神宮で行われるのだ。きっと、「和」と「洋」が織りなすハーモニーが素敵な空間が広がっているに違いない。  昼

          平安蚤の市(8月10日)

          Bar MoonWalk 三条六角通り店

           Bar MoonWalk をご存知であろうか。それは、どんなお酒も200円で楽しめるお値打ちなバーとして有名である。そして、なによりも京大出身の小説家、森見登美彦さんの名作「夜は短し歩けよ乙女」の作中に登場することで、その名を馳せている。バーとかいうお洒落な店とお前の何が関係あるんだという声が聞こえそうだ。お前みたいな、田舎臭くて芋臭い童貞大学生にバーは似つかわしくないと。私は、甘んじてこの批判を受け入れる。私は、バーとかクラブとかインスタとかアヒージョとか、なんか洒落てる

          Bar MoonWalk 三条六角通り店