バイト先のラーメン屋
昨年の4月、進学をきっかけに京都に来たがコロナ禍のために学校は始まらず時間を持て余していた。あまりに暇だったので、人生初のバイトなるものをしてみようと思い立った。早速バイトルでテキトーな条件を入れて五十音順で「あ」から片っ端から面接を申し込んだら「し」から始まるラーメン屋に採用された。結局諸々の理由があり辞めてしまったのだが、退職してから半年以上経ったのでバイト中の出来事を書いてみたい。きっと時効が成立しているはずである。
ある日インドだかイランだか、まぁそなへんの国のお客さんが来た。その人は、日本語があまり上手ではなく「ポーク…」とこちらに訴えてかけている。僕は(自分で言うのもアレだけど)察しがいいので、瞬時にお客さんがイスラム教徒であることを理解した。幸いにのそのラーメン屋には「チャーシューなしラーメン」なるメニューがあるので、拙い英語でこのラーメンには豚肉が入っていないことを説明する。すると、彼は満面の笑みで「ヨカッタ!」と言ってくれた。バイト冥利に尽きるとはこのことである。
その日は他にお客さんがいなかったので、彼がラーメンをすすっているのをボーッと眺めていたのだが、僕は重大な事実に気づいてしまった。そう、スープには豚骨が使われているのだ。イスラム教の教典に何が書かれているのか知らないが、まさか「豚肉*を食するのを禁じる。*ただし豚骨は豚肉に含めない。」と書いてあるわけではないだろう。今まさに現在進行形で、僕の不注意が原因で戒律違反を犯すイスラム教徒を目の前にしてどうすべきか分からなかった。結局、何も言わないのがお互いのためだろうということで静かに見守ることにした。
最終的に彼はスープを全部飲み切り、「オイシカッタ!」と言って出ていった。あぁイスラム教の偉い方、どうか罰を与えるなら彼ではなく僕にしてください。そんなことを思いながら、バイトの残り時間を過ごした。彼の今後の人生に幸あれ。そして大抵のラーメンには豚骨が使われていることをなるべく早めに知って欲しい。
宗教というなかなかセンシティブな内容の話なので不快に思われた方がいましたら申し訳ありません。ムハンマドか誰かにちくっといてください。
よろしければサポートお願いします!!バイクとマンドリンを買います。