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【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説

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フリムンという言葉は沖縄の方言で、バカ・愚か者という意味で使われる。この物語は、日本最南端の石垣島に生まれ、後に全日本空手道選手権大会を制する田福雄市氏の空手人生、そしてフリムン…
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2024年1月の記事一覧

【自伝小説】第4話 高校編(4)|最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島

【自伝小説】第4話 高校編(4)|最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島

虹とスニーカーの頃強さに憧れるが余り、これまでファッションには殆ど興味の無かったフリムンだったが、イキりだした頃から少しずつヤンチャなファッションに傾倒していった。

開襟シャツやツータックのボンタン。それと先の尖った革靴が欲しくて堪らなかったフリムン。

バイトの新聞配達も辞め、遊び呆けてばかりで金欠だった彼は、程なく知り合いから「お下がり」を「おねだり」するようになっていった。

そうして何と

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【自伝小説】第4話 高校編(5)|最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島

【自伝小説】第4話 高校編(5)|最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島

ブロークン·ハートそんなフリムンが酒とタバコを覚え始めた高2の春の事である。

高1の時には一度も会ったことの無かった、ある女生徒が目の前の席に座った。

あのトンボ先生の授業、生物の時間である。

背中越しにチラ見えするその横顔に、ドキッとしたのを今でも覚えているという。

その日から彼は、彼女と会える唯一の時間、生物の授業が待ち遠しくて仕方がなくなった。

もちろん、生物なんて1ミクロンも興味

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【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島|第4話 高校編(6)

【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島|第4話 高校編(6)

嗚呼·花の応援団そんな高校生活も中盤戦を終え、いよいよ最上級生となったフリムン。待ちに待った3年生の始まりである。

ちなみにその時代の市内三高校には、陸上競技や各種スポーツ競技でスポットライトを浴びる憧れの団体が存在した。

そう、泣く子も黙る「応援団」である。

当時の応援団は、最上級生を応援リーダー(1軍)に置き、残りの2~3年生をサブリーダー(2軍)として控えさせる二段構成となっていた。

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【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島|第5話 上京編(1)

【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島|第5話 上京編(1)

花の都数あるスポーツの中から格闘技を選び、数ある格闘技の中から空手を選び、数ある空手の中から極真を選んだフリムン。

彼の細胞が、キョクシンの世界観にドンピシャに反応した結果であった。

そんな極真の黒帯を取得し、石垣島に極真空手を広める。その夢の実現のために上京を決意して早1年。

フリムンは19の春を迎えていた。

漸く辿り着いた夢にまで見た大東京。フリムンがそこで見た光景は、余りにも発展した

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