フィルムカメラを使うとどんないいことはあるの?
今の時代にフィルムカメラを使って撮る意義とは何なのだろうか。
それについて考えたことを書いてみる。
これはフィルムカメラ以外でも古きを知る、という意味では汎用的な考え方かもしれない。
フィルムカメラのいいところ
フィルムの特性を反映した状態で現像結果が上がってくる。現像先のスキャンによっては色味が多少変わることはあるが。
現像結果
自家現像する場合は別として、フィルムは良くも悪くも完成したものが上がってくる。
現像が終わった段階で作品としては完成
どんな仕上がりでも一旦腑に落ちる。
デジタルは自分で気の済むまでレタッチができる。
完成をの線引きを決めるのが難しく、気になり出したら終わりがない。
どう仕上げてもなぜか気になってしまう。
プリセットとフィルムの色味
フィルムは完成されたものとして受け止めることができるからフィルム独自の色味を崩さずに楽しむことができる。
デジタルはプリセットなどあるが、それで納得できないことも多く結局自分でレタッチしてしまう。
ゴールが明確な人にとってはデジタルはとても便利であると思われる。
だが、ゴールや理想の状態を頭に思い描けない場合、何がいいのかを模索するところから始まるので時間がかかってしまう。
レタッチのゴールとは。
では、この何がいいのかというゴールはどこから着想を得るのか。
これまでどれだけの作品に触れてきたかというところだと考えている。
簡単に言えば真似をしたい作品があるかどうかといったところだろう。
誰かに写真を教えてもらうというのは、このゴールの部分を学ぶ工程ではないのだろうか。
最高のものを作るよりとりあえず終わらせろとはうまくいったものだ。
ゴール知る手掛かりとして。
独学でカメラを行う場合、私はフィルムカメラで撮影することに意義があると考えている。
どういう部分でそう感じたかというと、完成された写真を提供してくれるところである。
フィルムにはそれぞれ特徴があり、色やコントラスト、明るさに対する許容値も異なる。
撮影を通して何のフィルムが好きかということを知ることは写真編集を行う上で必要なゴールを知る1つの手掛かりになるだろう。
このゴールを知るというのはカメラ以外でも、良いものを知る指標として他の事柄でも使える考え方かもしれないと感じている。
型を知る。
我流で写真をやってきた身としてはこの部分がなかったなと感じている。
写真の型、何が正解、よしとされるのか、そのパターンを考えずにやってきた。
我流でやり続けて、ある程度の自分の型、のようなものはできたかもしれない。
我流の方というのは、その時の流行りや時流に則ったものなら評価されるがそうでなければ厳しいものだ。
写真は自己表現の一つであり自分が納得すればそれでよいという考え方もあるが、私は自分の表現が多くの人に伝わる方が嬉しいと感じるので我流が行きすぎるのは良くないのだろうなと思っている。
改めて、レタッチ
レタッチのむずかしさ
現像ソフトはしばしばフィルムの色味を頼りにプリセットを作成している。今までこれらに対していいイメージを持っていなかった。オリジナルを知らないから興味がわかなかったというのが近いかもしれない。プリセットを当ててもどこか物足りない感じになり結局ゴリゴリいじり始める。そして化け物みたいなレタッチ結果になるということを今まで何度もしてきた。
ある程度レタッチに慣れてきたら、やりすぎの範囲がわかってきて自然な感じに仕上げるように意識するようになるがやっぱりなにが正解かはわからなかった。ただやりすぎは良くないということは理解できた。
フィルムを始めてからのレタッチ
フィルムを始めて以後、この傾向は変わってきた。なんとなくゴールのようなものが見えてきたのだ。こうすると
あのカラープラスっぽいなみたいな感じで。そして気づいたこととして、私はPROVIA100Fが好きということだ。
高めのコントラストと自然な色味、シャドウの部分は暗い潰れているわけではなくディティールはしっかり残っている。
まさに私の求める画である。これに気づいてからレタッチがだいぶん楽になってきた。
やりすぎることもなく、かといって不足を感じることもそこまでない。
撮影する時もPROVIAでの撮影を意識するようになっているのかもしれない。
できるだけ光と影のバランスが良くて主題が目立つ場所はないか、そんな風に撮影自体も変わっていった。
X-Pro3を使っていたときは発色がやたらよいフィルムシミュレーションのPROVIAはあまり好きではなかった。
PROVIAは綺麗すぎたからデジタルよりに感じてあまりフィルムらしさを感じなかった。効果のわかりやすいクラシックネガばかり使っていた。
だが、本物のPROVIAを使って現像結果を初めて見たときは本当に感動した。アナログでここまで綺麗な仕上がりになるのかと。デジタルではあれほど使わなかったPROVIAにここまで惚れ込むとは自分でも思わなかったのだ。
そして今フィルムシミュレーションのPROVIAはすごかったのかと感じている。もうX-Pro3は手放してしまったので手元にはないのだが。
自分はPROVIAのような高コントラストではっきりとした写りが好きなのはよくわかった。
これからのレタッチの基本はPROVIAをベースとして構築するものであると思われる。
フィルムのいいところ
フィルムにはそれぞれ特徴があり、それに沿った色味やコントラストで現像される。
これらの特徴は各フィルムメーカーが培ってきた正解の1つであり、型と言えるものだと思われる。
だから改めてこの型にはめられることで自分はどの型が好きなのかを再確認することができた。
我流だけではなくて、それぞれのフィルムに自分の作品を当てはめてどれが良いのかを改めて考える機会を得ることができた。それが自分の中ではかなり大きいところである。
ここで確認できた型を頼りに今後はデジタルの写真をレタッチすることになると思われる。
デジタルカメラでの写真撮影、特にレタッチに行き詰まっている人は一度肩の力を抜いてフィルムカメラを使うのはどうだろうか。
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