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原作の再現度が高く、北海道の大自然の中でいただくチタタプまでしっかり描かれているのがヒンナだった『ゴールデンカムイ』

【個人的な満足度】

2024年日本公開映画で面白かった順位:5/8
  ストーリー:★★★★☆
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★★★
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★★

【作品情報】

   原題:-
  製作年:2024年
  製作国:日本
   配給:東宝
 上映時間:128分
 ジャンル:アクション
元ネタなど:漫画『ゴールデンカムイ』(2014-2022)

【あらすじ】

※公式サイトより引用。
舞台は気高き北の大地・北海道、時代は、激動の明治末期―。日露戦争においてもっとも過酷な戦場となった二〇三高地をはじめ、その鬼神のごとき戦いぶりに「不死身の杉元」と異名を付けられた元軍人・杉元佐一(山﨑賢人)は、ある目的のために大金を手に入れるべく、北海道で砂金採りに明け暮れていた。

そこで杉元は、アイヌ民族から強奪された莫大な金塊の存在を知る。
金塊を奪った男「のっぺら坊」は、捕まる直前に金塊をとある場所に隠し、そのありかを記した刺青を24人の囚人の身体に彫り、彼らを脱獄させた。
囚人の刺青は全員で一つの暗号になるという。

そんな折、野生のヒグマの襲撃を受けた杉元を、ひとりのアイヌの少女が救う。「アシㇼパ」という名の少女(山田杏奈)は、金塊を奪った男に父親を殺されていた。金塊を追う杉元と、父の仇を討ちたいアシㇼパは、行動を共にすることに。

同じく金塊を狙うのは、大日本帝国陸軍「第七師団」の鶴見篤四郎中尉(玉木宏)。日露戦争で命を懸けて戦いながらも報われなかった師団員のため、北海道征服を目論んでおり、金塊をその軍資金代わりに必要としていた。

そして、もう一人、戊辰戦争で戦死したとされていた新撰組の「鬼の副長」こと土方歳三(舘ひろし)が脱獄囚の中におり、かつての盟友・永倉新八(木場勝己)と合流し、自らの野望実現のため、金塊を追い求めていた。

【感想】

※以下、敬称略。
原作漫画は5巻まで読みました。今回の映画は3巻の序盤までの話をメインにしつつ、一部4巻の要素を入れ込んだ内容でしたね。とにかく、想像以上に再現度が高くて面白かったです。制作会社はクレデウス。映画の『キングダム』シリーズ(2019-)を手がけているところと同じです(主演も同じ山﨑賢人ですが)。直近では『沈黙の艦隊』(2023)もあり、きっと漫画原作の実写化に今後も力を入れていくのだろうなと感じました。これまで培ってきたノウハウと『キングダム』シリーズの成功を武器に、ますますの発展を期待したいですね。

<世界観の再現度が素晴らしい>

さて、再現度の高さといってもいろいろありますが、この映画に関しては世界観の作り込みがよかったと思いました。北海道の大自然を舞台にした大規模なロケ。とにかく過酷だったということが容易に想像できますよね。だって、広大な大雪原での撮影ですよ?寒さはもちろんのこと、晴れた日には日焼けのリスクもあったでしょう。でも、だからこそあの漫画の世界をうまく再現できたんじゃないかと思います。僕の中では『八甲田山』(1977)と並んで、「観ているこちらまで寒さで震えそうになる」映画でした(笑)

また、この漫画の醍醐味といえば、道中の動物を捕らえてはおいしそうにいただく食事のシーンも挙げたいです。さすがに漫画ほど何でもかんでも食べているわけではなかったものの、チタタプや桜鍋など代表的なものをハフハフしながら食べるシーンは、寒い今の季節だと余計にしずる感がありましたね~。そういう細かい部分まで再現していてヒンナヒンナです。

<舘ひろしの2.5次元感>

キャラクターに関しては、杉本を演じた山﨑賢人もアシリパを演じた山田杏奈も原作のイメージを崩さない形で演じ切ったのがよかったですね。正直、杉本はもう少し屈強さを、アシリパはもう少し幼さを、と感じなかったわけではないですが、2人ともきっちり仕上げてきてるところに感動すら覚えます。

中でも、個人的に一番推したいのは土方歳三を演じた舘ひろしですよ!これはもう原作漫画の生き写しかと思うほど!髪色と髪型的にお年を召したセフィロスもいけるんじゃないかというぐらいかっこよかったですわ~。そもそも、舘ひろしは『鋼の錬金術師 完結編』(2022)でキング・ブラッドレイの再現度の高さに惚れ惚れしたんですけど、本当にその手の役がメチャクチャ似合いますね。今後もいろんなラスボス級のキャラクターを演じる彼を観てみたいです。

あと、アシリパの大叔父役として、実際にアイヌの方である秋辺デボを起用したのもなんかうれしかったです。洋画だといろんなバックグランドを持つキャラクターが出てくるので、きちんとそれに沿った役者を起用することがありますが、邦画ではあまりそういう設定の作品がないじゃないですか。なので、この作品が基準となって、同じバックグランドを持つキャラクターと役者を考えられるといいなと思いました。

<実写化ならではの弊害?>

気になった点といえば、これが続編ありきな作りゆえか、クライマックスらしいクライマックスがなかったことです。もちろん、続編ありきなのはいいんですけど、どうせならこの作品の中でのクライマックスを作ってほしかったかなあとも感じます。まあ、原作漫画自体、3巻までの中でそこまでクライマックスがないから仕方ないんですけど、杉元が第七師団兵舎から逃げるシーンを半ば強引にクライマックスにしていたようにも見えました(笑)

あと、実写化したことでいろいろリアルになってしまったために、“ある人物”の正体がすでにわかってしまうという事案も。いや、これはもうバレてもいいってことなんですかね(笑)

<そんなわけで>

原作漫画読んでる人にこそ観てもらいたい映画でした。各レビューサイトの点数も高い(やや高すぎな気もw)ですし、とにかく再現度の高さは『キングダム』シリーズ並み!ミッドクレジットシーンを観る限り、続編もありそうなので、今後の展開に期待したいですね。いや、あれだけ風呂敷広げといて、これで続編なかったら怒りますよ(笑)


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