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【ネタバレあり】44年の歴史に幕!ラストなのに新要素追加というチャレンジングな映画だった『ハロウィン THE END』

【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:33/59
  ストーリー:★★★☆☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★★☆
     音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★★☆

【作品情報】

   原題:Halloween Ends
  製作年:2022年
  製作国:アメリカ
   配給:パルコ
 上映時間:111分
 ジャンル:ホラー、スプラッター
元ネタなど:映画『ハロウィン』シリーズ(1978-)

【あらすじ】

殺人鬼ブギーマンことマイケル・マイヤーズ(ジェームズ・ジュード・コートニー)が再びハドンフィールドを恐怖に陥れた事件から4年が経ち、街は少しずつ平穏な日常を取り戻しつつあった。マイケルの凶刃から生き延びたローリー・ストロード(ジェイミー・リー・カーティス)は、孫娘のアリソン(アンディ・マティチャック)と暮らしながら回顧録を執筆し、40年以上にわたりマイケルに囚われ続けた人生を解放しようとしていた。

しかし、暗い過去をもつ青年コーリー(ローハン・キャンベル)が、4年間、忽然と姿を消していたマイケルと遭遇したことをきっかけに、新たな恐怖が連鎖し始める。

ついにローリーは、長年の因縁に決着をつけるべく、マイケルと最後の対峙を決意する―!!

【感想】

1978年に始まった『ハロウィン』シリーズの第13作目にして完結編です。ハロウィンという限定された日に、ひたすら殺人鬼のマイケル・マイヤーズから逃げるというだけで、よく44年も続いたなと思います(笑)シリーズを全部観てきた身からしたら、とにかく感慨深い作品でしたね。

<シリーズの時系列がわかりづらい>

このシリーズ、いろいろ枝分かれしていてすごく複雑なんですが、今回の映画は『ハロウィン』(1978)→『ハロウィン』(2018)→『ハロウィン KILLS』(2021)→『ハロウィン THE END』(2022)という流れです。つまり、『ハロウィンII』(1981)以降はなかったことになってるんですよね(笑)シリーズ1作目で映画デビューを飾った公開当時19歳のジェイミー・リー・カーティスも今やすっかりいい歳なんですが、見た目がほとんど変わっていないのが逆にすごいです。

<ブレないスタンスがシリーズを続ける秘訣>

各レビューサイトの評価は低いものの、個人的には今回の映画は面白かったです。結局、マイケル・マイヤーズがローリーに付きまとう理由は、44年経ってもはっきりしたことはわからないままですけど、もはやここまで来たら「これこそが『ハロウィン』シリーズだ」と思えるようになりました。ひとつの姿勢を貫くことで、もはや文化にすらなるんだと体現したような映画シリーズじゃないですかね。

あと、それによってキャラクターがアイコン化してきたってのも人々に受け入れられる要因かもしれません。洋画のホラー映画のキャラクターって、けっこう有名なの多いですよね。『エルム街の悪夢』シリーズのフレディや、『チャイルド・プレイ』シリーズのチャッキー、『13日の金曜日』シリーズのジェイソンなど。それらに影響を与えたのが本作のブギーマンらしいので、この映画シリーズのホラー映画への貢献度は計り知れません。

<シリーズラストにして初めての試み>

今回はとてつもなく特徴的なポイントがあるんですが、ネタバレしないと書きづらいので、もしまだ知りたくないよって方はここでページをそっ閉じしてください。。。




















今回の映画で一番特筆すべきなのがコーリーの存在です。彼、今作で初登場のキャラクターなんですが、驚くべき設定があるんです。それが、"闇堕ち"です。これだけ書くと「???」だと思いますが、二重人格とでも言うべきか、真面目な性格と猟奇的な性格の2つがあるんですよ。猟奇的な部分は生まれつきなのか、後天的なのかは明確には語られていないんですが、、、まあ家庭環境が影響を与えた気がしますけど、、、それがマイケルに触れられたことで覚醒しちゃいます。しかも、唯一マイケルが初見で殺さなかった人物でもあるんです。こんなこと今までなかったですよね。

そんなコーリーが、中盤までマイケルのお面を被って、ちょっかい出してきたやつらをぶっ殺しまくるのがこの映画の見どころのひとつです。その殺し方もけっこうえげつなくてですね。。。おそらく、シリーズで一番スプラッターシーンが残酷だったんじゃないですかね。特に、ガスバーナーを口から入れられた不良が一番悲惨でした。ただ、殺された人たちってコーリーにかなりひどいことをしてきた連中なので、内心スカッとはするんですよ(笑)動機がはっきりしている分、同情はできるというか。マイケルの場合は動機が一切なく、道端の邪魔な小石を蹴る感覚で人を殺すから、そこに感情移入はできず、動機不明なところにもはや何も感じることはできませんでしたから。

ただ、コーリーってストロード家と何の関係もないし、完結編でいきなりそんな設定をぶっこんで来るので、「今それやるの?!」とは思いました(笑)おかげで、前作までとの繋がりがほとんどなくなっていますからね。

<終盤はもはやアクション映画>

物語の終盤では、ようやくシリーズの締めくくりとも言うべき、マイケルとローリーの対決が観れるんですが、これはもう壮絶な兄妹喧嘩でしたね。マイケルって何であんなに撃たれても刺されても死なないのか今でも謎なんですが、とにかく大流血を伴うド派手な戦いで、ホラー映画というよりアクション映画のようでした(笑)

あと、ホラー映画あるあるなのが、主人公だけ敵に与えるダメージは大きく、敵から受けるダメージは小さいんですよね。今まで殺されたキャラクターだって、ローリーと同じように抵抗した人はいるのに、彼らの攻撃はほぼ効かず、マイケルからの攻撃は一発で致命傷ですから(笑)

<結局、マイケル・マイヤーズとは何だったのか>

わかりません(笑)映画でも「純粋な悪」みたいな言い方しかされていませんからね。ただの悪なので、人間が呼吸するように、マイケルは人を殺すんだと。だから、特に動機も背景も何もないのかもしれません。僕が思うに、マイケルには2つの可能性を考えています。ひとつは超常現象の類。もうひとつは、精神が肉体を凌駕しちゃってるタイプです。憎しみや怒りが凄まじすぎて、痛みをまったく感じていないっていう。そうじゃなかったら、あれだけ撃たれても刺されても死なないってありえないですから。

仮に後者だとした場合、なぜそれだけの恨みを持っているのかって話になりますよね。『1』でマイケルは姉のジュディスを刺し殺していて、それがこのシリーズすべての始まりになっているんですが、マイケルは姉に特別な感情を抱いていたんじゃないですかね。女性として見ているという以上の、もっと別の何か。それが恋人とベッドを共にする姿を目の当たりにしてプッツンしちゃったと。その特別な感情が妹であるローリーに対しても持っているのかもしれません。だから、執拗に追いかけまわしたのかなーって。

<そんなわけで>

44年も続いた老舗ホラー映画のラストとして、シリーズを追ってきた人はぜひその歴史の締めくくりを見届けていただきたいです。個人的には、コーリーってある意味「恐怖は形を変えてやって来る」っていうひとつの例だと思っているので、ラストも含みを持たせた終わり方にしてもよかったのになーとは思いました。


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