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SECIモデルの理解と活用方法


この記事は何か

  • 「SECIモデル(セキモデル)とは何か」を知る。

  • どのように活用できるフレームワークなのかを理解する。

誰が書いているのか

都内IT企業に勤める中堅会社員。
デザイン×テクノロジー×ビジネスを体現できる人間を目指している。

想定読者

  • SECIモデルというフレームワークは何なのか知りたい人

  • SECIモデルをどうやって活用するのか分からない人

  • 開発系のPMスキルを積み上げ中の見習い

要約

SECIモデルとは、ノウハウやナレッジをマネジメントするためのフレームワークのこと。暗黙知形式知のサイクルを4つのプロセスで回していく考え方。

調べるに至った課題背景

「営業職の営業スキルは、OJTと実践経験を積んで身に付く」
そう言われると、そうですよねえ…そうなんですけど…と返す言葉も返せなくなってしまう。
OJTは確かに効果があるのは理解するが、人の数は限られている。仕事の進め方も属人的になってしまう危険がある。一方で、マニュアルを用意すれば良いのかというと、言語化が難しい部分もあるのは否めない。いや、言語化できる部分もある気がする。考えれば考えるほど、下書きをしないままペン入れをするお絵描きのような道標のない不安感だけ生まれる。

この整理するためには、考え方のフレームワークが必要だと思った。
なぜなら、細かい粒度のHowはパッと思いつく。
(例:マニュアルへ落とし込んで関係者へ配布、OJTでカバーするなど)
しかし、次のような要素を自分に問いかけた時、
体系的に説明が出来ない気持ち悪さがあった:

  • なぜマニュアルに落とし込むべきものがあると思ったのか。
    それはどのような内容だとマニュアルが良いのか。

  • どのような要素だとOJT形式が良いと思うのか。
    どのようなプロセスを経て、スキルは習得されていくものと考えるのか。

  • どういったステップ・サイクルに基づいて進めるべきなのか。

上記の問いに答えられるような整理をしたかった。
同じような悩みを先人たちが悩んでいるはずなので、
フレームワークの1つくらいはありそうだと考えた。
他にもあった期待感としては、BtoE案件のアウトプット品質向上にも繋がると良いと思った。

SECIモデルとは


筆者作成

SECI(セキ)モデルとは、野中郁次郎氏と竹内弘高氏によって考案されたナレッジマネジメントのフレームワークである。SECIモデルでは、暗黙知と形式知の知識変換モードを「共同化(Socialization)」「表出化(Externalization)」「連結化(Combination)」「内面化(Internalization)」の4つのプロセスに分けて考える。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング

暗黙知とは、主観的で目に見えないナレッジのこと。営業が上手な人、コミュニケーションが得意な人などは暗黙知が多い。
形式知とは、目に見える形で残っているナレッジのこと。トークスクリプト、マニュアル、コミュニケーションの極意の本など。

形式知となっている本を読んだからといって、その人と同じ水準まで営業が出来たり、コミュニケーション上手になるかというと、そうならないことが多い。なぜなら、まだ言語化されていないベールに包まれたナレッジがあるからだ。それが暗黙知であり、だからこそギャップが生まれる。ノウハウ記事の通りに営業トークを構築したつもりでも話が盛り上がらないことや、雑談力の上がる本を読んで手応えを感じないことがあるとすれば、そこには尊い暗黙知が眠っているからだ。

どのような場面で活用できるのか

プロジェクトマネジメントにおける業務移行と相性が良さそうなフレームワークだと思った。皆大好きスキルトランスファー。
SECIモデルは「情報共有を醸成させる」プロセスであり、業務移行は業務開始させるために、「業務内容という情報の共有を醸成させる」ことだと考えられるからだ。
業務移行時のアウトプットは、規定改定、e-learning作成、トレーニング、マニュアル、説明会などが挙げられる。

想像ケーススタディ①新入社員の営業OJT

共同化:”やってみせ言って聞かせてさせてみせほめてやらねば人は動かじ”精神。先輩社員と一緒に新人が営業へ出掛ける。
この時の新入社員の状態としては、
「先輩、お客さんと話している時は目を見ながら相槌を適度に打って話をきいているな…」
「最初はいきなりアポイントメントの話をするのではなくて、相手が何か困っていることが無いかを聞くとよさそうだ」
などといった経験から学びを会得している段階。

表出化:営業から帰った新入社員は、仕事用メモに書き落としていく。暗黙知だったものをメモに書き出すという形にしていく。
「営業の時に話す順番としてはこの順番が良さそうだ」
「営業を回っていく時にはこういうことに気を付けよう」
このように思考しながら、営業ノウハウについて書き落とす作業を行う。

連結化:新入社員は仕事用メモ帳を眺めながら、知識を整理する。
「この間、別の先輩と一緒に営業を回った時にもトークの順番はこれと同じだったな」
「コミュニケーションとかコアスキルだけではなく、商品や業界知識もつけないと話すのは難しいんだな」
Connecting the dotsの作業を行っていく。

内面化:新入社員は、整理された知識のマップを前にしながら次回の営業機会に向けてマインドを持ち始める。
「自分も同じトークの順番で話すぞ」
「この間の営業では、初めての相手だったから頭が真っ白だったけど、次回は明るく挨拶して会いに行こう」

想像ケーススタディ③BtoE事業の業務移行

共同化:ワークショップやOJTの実施、あるいは試行的に業務を開始して実施してみるなど。業務所管部が共体験しながら手を動かして業務を進める。
表出化:マニュアルや手順書、FAQ、規定・規約に落とし込む。
連結化:作成物の関連性を整理する。各作成物はどの領域をカバーしているのか、重複していないか確認する。関連性はきちんと言語化すること。言語化できない場合は、連結できていない証拠。曖昧にさせずに明確にする。
内面化:研修を提供する。座って聞いているだけだと、内容の学習浸透率が低いので、ケーススタディを用意すると尚良し。

最後に

「どうやったら学習は深く身に付くのだろうか」といった学習定着率を起点にする場合は、ラーニングピラミッドで、「会社内のナレッジをどうやったら横展開していけるのか」といったナレッジの広げ方や管理方法を起点にする場合はSECIモデルを使っていきたい。
記事作成経緯で「BtoE案件のアウトプット品質向上」の期待を持って整理したと記載したが、書き終えた今はあまり手応えがない。SECIモデルにおける表出化と連結化を試みたが、内面化と共同化をプロセスで通せていないのが理由な気がする。誰かに対面で説明するといった、暗黙知レベルまでの定着アプローチは別途必要に思えた。

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