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デジタルトランスフォーメーション成功の秘訣とは?

昨今デジタルトランスフォーメーションという言葉が様々な産業で本格的に用いられ始めていて、データ活用に関しての議論が活発に行われています。

ブロックチェーン業界でも、組織改革からデジタル化移行に成功した企業は技術の導入だけでなく、実利用を見据えた戦略を既に展開始めています。

今回はその中でもオランダの総合金融機関INGグループの事例をご紹介したいと思います。

INGグループとは

皆さんはINGという会社を聞いた事があるでしょうか?

INGグループはオランダのアムステルダムに本社を構える総合金融機関で、2つの保険会社と政府系銀行をルーツに持つ老舗の企業です。

起源は1762年のナポレオンの時代にまで辿る事になります!

保険業は1845年の火災保険、銀行業は1881年にオランダ政府が郵便貯金サービスを展開し、労働者に貯蓄を促す取り組みを発端としてサービスがスタートしています。

1991年に大手保険会社ナショナーレ・ネーデルランデン(Nationale-Nederlanden)と、オランダの郵便貯金を前身とする銀行NMBポストバンクとの合併によりINGグループとしてビジネスがスタートします。

INGグループのデジタル化の取り組みとその歴史

INGグループになる前身のポストバンクは1980年に合併を経て誕生します。

当時、数多くの支店網を抱えていなかったことから「支店に訪れずにサービスを提供する」仕組みの展開を早くからスタートしています。

初期は封書やメール、そして電話対応から最終的にはオンラインサービスの提供に至ります。

「支店に訪れずにサービスを提供する」というコンセプトはINGの独自サービスを開発する上での大きな指針となり、1997年には国を超えた取引を行う「ING Direct」をスタートします。

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(出典:ING Investor Day 2019: Transformation update Download PDF)

支店で取引を行うことなく顧客のアカウントに紐づけて最適化されたサービスを提供することが会社のDNAとなり、その考え方をベースとした新たなサービスが幅広く誕生する事になります。

従来から社会の変化に伴う顧客を起点としたビジネス、サービス展開を行なっていましたが、2008年の金融危機以降モバイルの普及に伴ってさらなるデジタル化を加速させていく事になります。

INGグループのデジタルトランスフォーメーション

INGではデジタル化を推進していく上で各分野に対しての顧客への最適化のアプローチを導入しています。

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(出典:ING Investor Day 2019: Transformation update Download PDF)

各レイヤーごとにデジタル化によって達成するバリュープロポジションを定義して、最適化したソリューション開発を行います。

技術単独で開発を行うのでなはく、顧客戦略に合わせた形で最適化されたサービスをソリューション開発によって実現することを目的にトランスフォーメーションを進めています。

一方で戦略コンセプトと顧客ターゲットだけでなく、組織改革も積極的に進めています。

そのうちの一つが2014年以来スタートしている「Accelerating Think Forward」という取り組みです。

2020年をターゲットとして大きく顧客中心型の組織システムの構築を進めています。

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(出典:Accelerating Think Forward)

顧客価値を向上させる事によって、自社の収益が向上する仕組みをベースにした設計を行なっています。

自社のサービスを前提に考えるのではなく、顧客体験と関係性を向上させる事によって最終的に持続可能になるモデルというものを目指していく方針です。

組織改革のモデルとしてはアジャイル組織開発の手法を2015年6月から取り入れており、外部環境の変化にいち早く対応するための仕組みとして一早く導入を行なっています。

ポイントとしては、ITを導入するだけでなく複数のチームや組織が連携してサービスの提供を行うことを目指していくモデルです。

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(出典:イノベーション組織研究21:ING)

GoogleやNetflix、Spotifyのモデルを参考にして、350人のうち1チーム9人の "Squads" という役割と13人の "Tribe" という役割に分けられます。

"Squads"はマーケティングや営業を始めとした様々な専門分野を持った人たちから構成される小規模のチームです。

チーム内では顧客ニーズに関連したサービスの開発などを積極的に行い、チーム内のプロダクトオーナー中心に取り組みを進めていきます。

プロジェクト終了とともにチームは解散し、ステータスごとに最適なチーム編成を行います。

"Tribe"は主にリーダー中心に予算配分や設計、他の"Squads"チームとの連携などマネジメントに関連する役割を担います。

"Chapter"と呼ばれる専門性を持った個人は"Squads"チームのサポートやスキル開発などを行います。

顧客中心の価値づくりを行う上で、ゴールとコンセプト設計だけでなく組織開発も並行して行なっていく事がデジタル化を推し進めていく上では非常に重要なポイントになります。

INGグループのブロックチェーン戦略

「Accelerating Think Forward」プロジェクトがスタートした当初の2014年からINGはグループとしてブロックチェーン技術に注目しており、2016年には実証実験を複数行なっています。

2017年には実装のフェーズへと徐々に移行してきており、それまでに44の実証実験を行い、うち8プロジェクトが実際の利用可能性を見出している状況です。

現在は以下のプロジェクトが進行しています。

・ブロックチェーンスタートアップVaktKomgoと連携したコモディティ商品取引のコスト削減

・鉱山でのマイニング作業を効率化させるMinehubプロジェクト

・顧客のプライバシーを担保した技術(bulletproofs)を大学の専門家などと共同開発

ブロックチェーン技術を活用する事によって、コストを削減し顧客に対して付加価値を提供する事が大きな狙いになっています。

44の実証実験を行う事ができる点と、その中から可能性のあるプロジェクトを選定するまでのスピードは他社と比較しても非常に早いのが特徴です。

デジタルトランスフォーメーションのまとめ

INGグループの取り組みからデジタルトランスフォーメーションの重要性は、単なるデータの利活用やIT化だけではない事がわかります。

・組織として顧客中心設計への移行

・デジタル技術を通じた顧客体験の向上

・外部環境の変化を前提とした組織設計と評価システム

以上のポイントがデジタル化を推し進めていく際に重要なポイントになると考えられるので、事業を行う上で参考になれば幸いです。

最後まで読んで頂きありがとうございます!次回をお楽しみに!

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