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Markover 50 の読んだ本

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Markover 50の読んできた本の読書感想文を収めています。
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#毎日note

『はじめての構造主義』を読む

本日は、橋爪大三郎『はじめての構造主義』(講談社新書1988)の読書感想文です。 お気に入りの論客の一人本書は、著名な社会学者(理論社会学、宗教社会学、現代社会論)である橋爪大三郎氏が、東京工業大学助教授に就任される直前、39歳の気鋭の研究者だった頃に書かれたもので、以来何度も重版化されている定評のある一冊です。 現代人のモノの考え方、社会の捉え方に深く根付いている「構造主義」を、初心者にも理解できるよう丁寧に解説してくれている良心的な書だと感じます。この本が、長年読まれ

『凱風館日乗』を読む

本日は、内田樹『凱風館日乗』(河出書房出版2024)の読書感想文です。週末プチ旅の移動の合間に挑みました。読了して、今の自分が漠然と考えているようなことを、クリアに表現されているフレーズに次々と出会うことができ、腹落ちするとともに、とても幸せな気持ちに包まれることができた一冊でした。 丁寧に語りかける論客最近、内田樹氏の著作を読む機会が急激に増えてきました。読む本の選択を、著者の好き/嫌いで判断するのはできるだけ避けたいと思いますが、自分の関心時についてどう考えているのか、

『女のいない男たち』を読む

家族旅行二日目は、雨が降る生憎の天気でしたが、筋金入りの『晴れ女』である妻の強運のおかげで、天気のトラブルに見舞われることなく過ごせました。前半で簡単に旅の総括をした後は、村上春樹『女のいない男たち』(文藝春秋2014)の読書感想文です。 家族三人が一緒にいるだけで幸せ昨夜は早めに風呂と夕食を済ませていたので、夜は早目に休みました。普段は夜更かし気味の息子も早起きして疲れたのか、ベッドに入るとすぐに眠りに入りました。 今朝は8時過ぎまで寝て、昨日訪れた赤倉観光ホテルのカフ

『世界は経営でできている』を読む

本日は、岩尾俊兵『世界は経営でできている』(講談社現代では新書2024)の読書感想文です。 売れている一冊本書は、売れているらしい、面白いらしい、という口コミを耳にして、ミーハー気分で購入しました。確かに、ネット上で抜粋記事を目にしていたし、書店に行くと何冊も平積みされていて、人気があるらしいことが伺えました。売れる本には、必ず理由がある筈なので、興味を持って手にしました。ただ、購入したのが確定申告作業をやらなければならなかったり、読書全般への気力が減退していた時期だったの

『チューリップ』を読む

本日は、早逝した米国の詩人・小説家、シルヴィア・プラス(Silvia Plath 1932/10/27-1963/2/11)の『チューリップ Tulips』という詩についての所感です。死後の1965年に出版された『アリエル Ariel』の中に収められています。 偶然辿り着いた作品私は、昨日までこの『チューリップ』という詩の存在も、シルヴィア・プラスという米国生まれの女性詩人の存在も知りませんでした。出会いは偶然で、知的好奇心を発揮して縁を紡いていった先で遭遇しました。 彼

『サル化する世界』を読む

昨日はお酒の酔いのまわりが酷くて、頭が全然働かず、身体の自由も効かず、部屋に戻って早々にベッドに倒れ込んだ為、またしても『毎日note』の連続投稿記録がストップしてしまいました。また、振り出しに戻るですが、気分一新で進めていこうと思います。本日の内田樹『サル化する世界』(文芸春秋2020)の読書感想文から、再開です。読了しておらず、特定の部分を抜き出しての感想です。 定期的に意見を拝聴する論客著者の内田樹氏(1950/9/30-)の著作はよく読んでおり、自分に許している本の

『仕事の辞め方』を読む

本日は、大阪へ向かう高速バスや息子との電車旅の隙間時間で読み終えた、鈴木おさむ『仕事の辞め方』(幻冬舎2024)の読書感想文です。 潮時で仕事を辞めるのは最高の贅沢放送作家・脚本家として長年一線で活躍してきた鈴木おさむ氏が、2023年10月12日に、2024年3月31日で放送作家業・脚本業を辞めることを発表しました。以来その言動や行動は注目され、最後に手掛けたテレビドラマの仕事は注目されました。本書も売れているようです。 1972年4月5日生まれの鈴木氏は現在51歳で、自

『アイヒマンと日本人』を読む

本日は、山崎雅弘『アイヒマンと日本人』(祥伝社新書2023)の読書感想文です。 日本人が気になる人物本書で取り上げられているオットー・アドルフ・アイヒマン(Otto Adolf Eichmann 1906/3/19-1962/6/1)は、ナチスドイツの親衛隊中佐であり、第二次世界大戦中にナチスによって遂行されたホロコーストの実務遂行において重要な役割を担ったとされる人物です。アイヒマンは、戦争犯罪者としての罪を逃れる為に偽名で潜伏していたアルゼンチンのブエノスアイレスで、1

『日本人の精神と資本主義の倫理』を読む

昨夜の時点では、アクティブな一日にすると意気込んでいましたが、ここ数週間の疲れや睡眠不足もあったのか、起きたら昼前になっていました。その現実に気持ちが萎えてしまい、そのまま家でダラダラ過ごすことに決めました。 ベットに寝転んだままamazon Prime videoで『トップガン・マーヴェリック』を観た後に手にしたのが、先週東京に出た際、神保町の古書街で購入したまま積ん読状態になっていた 波頭亮・茂木健一郎『日本人の精神と資本主義の倫理』(幻冬舎新書2007)です。読み始め

『「肩書きがなくなった自分」をどう生きるか』を読む

本日は、蝶野正洋『「肩書きがなくなった自分」をどう生きるか』(春陽堂書店2023)の読書感想文です。 期待以上に堪能させてもらった一冊本書は、つい最近amazonのkindle版で購入したものです。本書は、著者の蝶野正洋氏がレスラーを引退し、注目を浴びる表舞台から下りてからの生き方や意識していることを綴った書で、大変失礼ながら、期待以上に堪能させてもらった一冊でした。 蝶野氏は、主にアントニオ猪木(1943/2/20-2022/10/1)氏が創設した新日本プロレスで活躍し

『持たない幸福論』を読む

昨夜降り続いた雪が積もり、朝起きると雪景色になっていました。昼過ぎまで部屋でダラダラした後、雪が収まっているのを確認して、近所のカフェに出掛けて読書に勤しみました。本日の記事は、昨日に引き続き連続の読書感想文で、pha(ファ)『持たない幸福論 働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない』(幻冬舎2015)です。 培った常識を打破する為に著者のpha(ファ)氏は、シェアハウス「ギークハウスプロジェクト」発起人という肩書はあるものの、世間一般的にはニートに属する生き方を貫い

『あの日、選ばれなかった君へ』を読む

今日は、大雪予報を真に受け、一日中部屋に籠もって、のんびりと過ごしました。アクティブに活動しない時の私は、怠惰な世捨て人です。興味を惹かれた動画コンテンツやネット記事を拾っては、ひたすら観続けて一日が終わりました。好意的に言えば、知的エネルギー補給のために、インプット中心の時間を過ごしました。最近、生きる目的を体現する為に出せるアウトプットの源が瘦せ細っている気がしていたので、他人の鋭い意見に触れることで、自分の中の幹を太くする努力をしたよい時間になりました。 本日は、年末

『評価と贈与の経済学』を再読する

本日は、松本へ帰って来る電車の中で再読してまた学ぶことの多かった、内田樹・岡田斗司夫『評価と贈与の経済学』(徳間文庫カレッジ2015)の読書感想文です。 軽い気持ちで読める本タイトルはかなり仰々しいものの、実際には軽い気持ちで読み進めて、全く問題のない本です。内田樹氏も、岡田斗司夫氏も好きな人物だし、語っている内容には共鳴する部分が多く、再読なのに改めて引き込まれました。 この本のもとになっている対談自体は、2011年9月に行われています。 本日の読書感想文は、【第六章

『人生後半の戦略書』が今年のベスト本

”今年のベスト本” 企画に応募することにします。今年はあまり本を読んでいないものの、ベスト本を一冊選ぶならば躊躇なく、アーサー・C・ブルックス『人生後半の戦略書』(SB Creative2023)を選びます。 人生後半を愉しむために私は2018年10月にnoteを開始する際、『人生後半戦を愉しむ』というテーマを掲げました。50代になったら、(外山滋比古先生に感化された)人生二毛作でいきたい…… 人生前半戦は、会社員という片道切符の電車に飛び乗り、ビジネスマンとして世界を舞台