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『女のいない男たち』を読む

家族旅行二日目は、雨が降る生憎の天気でしたが、筋金入りの『晴れ女』である妻の強運のおかげで、天気のトラブルに見舞われることなく過ごせました。前半で簡単に旅の総括をした後は、村上春樹『女のいない男たち』(文藝春秋2014)の読書感想文です。

家族三人が一緒にいるだけで幸せ

昨夜は早めに風呂と夕食を済ませていたので、夜は早目に休みました。普段は夜更かし気味の息子も早起きして疲れたのか、ベッドに入るとすぐに眠りに入りました。

今朝は8時過ぎまで寝て、昨日訪れた赤倉観光ホテルのカフェで妻が買っておいたパン、スーパーで買ったヨーグルト、部屋に備え付けのインスタントコーヒーで朝食を済ませ、雨が止んでいた30分ほど、三人で近所を散歩しました。森のマイナスイオンを浴びて、リフレッシュできました。施設内は、ゴルフをプレーする人たちで昨日よりも混雑しています。

駐車場が宿泊棟からはちょっと離れているので、先にクルマに荷物を積みに行きました。荷物を積み込み終わってトランクを閉め、運転席に座ったのとほぼ同時に激しい雨が降り出しました。ちょっとズレていたらずぶ濡れになるところでしたが、救われました。遅れて下りてきた妻と息子は、ホテルの車寄せで乗せ、昨日とは違うルートで国道18号線に戻りました。

雨は激しくなってきたので、妙高高原の観光は諦めて、高速道で松本へ戻ることにしました。松本に近付くと雨は止み、曇りでした。妻が行きたいという「やまねフランス」まで送り、待っている間は、息子と二人で近所をドライブしました。遅い昼食を済ませ、出ようとしたら豪雨でした。幸い通り雨で、少し待っていると一気に雨足を弱まり、事無きを得ました。二人は満足の表情を浮かべ、松本駅からあずさに乗って、横浜へと帰っていきました。

軽い気持ちで短編集を

今夜からまた単身赴任生活が再開です。部屋に帰って部屋着に着替え、ベッドに寝転がって、先日のBOOK-OFF爆買いで手に入れていた『女のいない男たち』を読み始めました。「まえがき」(珍しく村上春樹氏本人が書いている)とタイトルの「女のいない男たち」を途中まで読み進めている間に強烈な睡魔が襲ってきて、しばらくうたた寝をしました。雨の長距離運転で神経を使って、疲れていたのかもしれません。

目覚めてから、「女のいない男たち」の残り部分と二番目に収められている「イエスタデイ」を読みました。

全6作が収められているこの短編集は、2014年に発売された時に購入し、横浜の自宅か、加古川の実家かのどちらかの書棚にある筈です。また、収められている幾つかの作品は、文藝春秋に掲載されているのを読んだ記憶もあります。今回読むのは10年振りになります。

本作の一番目に収められている「ドライブ・マイ・カー」は、濱口竜介監督、西島秀俊主演で2021年に映画化されています。映画は高い評価を受けており、第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門の脚本賞、国際映画批評家連盟賞、エキュメニカル審査員賞、AFCAE賞を受賞。第87回ニューヨーク映画批評家協会賞で作品賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞と全米映画批評家協会賞でも作品賞を受賞。第79回ゴールデングローブ賞では非英語映画賞を受賞。第94回アカデミー賞では、作品賞を含む4部門にノミネートされ、国際長編映画賞を受賞しています。

私にとっての特別な作家

村上春樹氏は、私が読書修行を始めた当時から慣れ親しんでいる特別な作家の一人です。全ての作品を熟読している訳ではないし、日常的に作品を読んでいる訳でもないのですが、ある時期に無性にかつ集中的に読みたくなり、連日徹夜に近い状態で読み漁ったことがこれまでに何度かありました。

振り返ると、それは比較的日常生活が順調に進んでいる時期に訪れることが多く、その後変化を欲するようになります。無意識のうちに、呼び寄せているのかもしれません。

再読するのは10年振りだったので、前回の記憶は綺麗さっぱり忘れていて、新鮮な気分で楽しく読めました。短編と長編では、違う作成手法を用いているのか、文体は、村上春樹節に違いないのですが、違う作家の作品のような印象があります。自身も認めているように、村上氏の本領は長編小説作家なのだと感じますが、「自分の主戦場ではない」という思いがあるせいなのか、短編作品には、長編小説では抑制されている大胆な起伏や俗っぽさが感じられて、これはこれで好きかもしれません。

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