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未来のお金はスキの数*ショートストーリー

紙が貴重品の時代、23XX年
紙幣がこの世界からすべてなくなった。
コインは昔の金や宝石のようなモノになった。

電子マネーはICチップを個人それぞれの装備で、それをかざすだけで支払いができる。ある人は腕時計。ある人は指輪。ある人はスマホ。ある人はキーホルダー…盗難を避けるため毎日変えることも可能だ。

そしてこの世界のお金のシステムは、”スキ”ボタンを押すと収入になるシステムに変わった。全世界が国のシステムを通じて”スキ”を集める資本社会主義になったのだ。

”スキ”を集めるシステムの概要
◆1日に何回も押せるし一度にどれだけ押してもいい。上限はない。

◆誰が押したかわからない。自分だけが数のみを把握できる。どんなに有名になっても他人にはスキの数がわからない。当然、大統領や首相もスキの数がわかるのは自分だけ。

◆5〜18歳まではお金の勉強のため、”スキ”できるが、貯金というカタチで貯めておける。ただし親へ”スキ”の強制を防ぐため、子ども用の端末が支給される。

◆投稿は音声、写真、動画、文章、音楽、絵などなんでもいい。香りだけとか感触だけというのもある。メガネ(コンタクト)、マスクや手袋、専用のペンやPC、スマホなど気軽に投稿できる。また障害のある方でも簡単に投稿ができる。

◆強制された”スキ”は犯罪になる。だれが”スキ”したのかわからないため犯罪が起これば、個人のダッシュボードに自分だけが見れるスキ数の出入履歴が残る。だが強制されたことをすぐ録音、投稿可能なので犯罪が起こらない。

◆BADボタンもある。主に犯罪を取り仕切るために使われる。犯罪者は嘘をつくが被害者の投稿により犯罪者の投稿にBADを押せる。(警察が調査して裁判により判決される。)

このシステムにより労働報酬はなくなった。
好きな仕事をして、どれだけ仕事に愛情を込めたかを投稿すれば”スキ”が入る。

例えば料理人はいかに素材にこだわり、おいしい味をだせたかを語ればいい。もしくは食べた人がおいしいと感じたら自然と”スキ”が集まる。

おいしい料理を食べた人は、いかにその料理がおいしかったかを表現すれば”スキ”が集まる。

医者はどれだけ人を救ったかを言えばいい。
患者はどれほど楽になったかを言えばいい。

そしてこのシステムは何より”スキ”の数を人と比べないから、じぶんの好きをもっと追求できるようになった。

僕は今日、ある人の作品を見て、初めて100000スキをした。
感動して涙が自然と流れる作品だった。

100000スキをするのは勇気がいった。
手持ちのスキは減らない。無限にある。
だって好きに上限はないんだから。
”スキ”は奪い合いじゃなく、与え合うものだ。
”スキ”があふれるから、”スキ”ができる。

でもだれかに好きだと伝えることはすごくエネルギーを使う。
それが僕からのスキだとわからなくても、”スキ”は昔のチップとは違うからこころを砕くんだ。

そして僕は全力を込めて好きな気もちを「notes」に書いた。
どれだけ感動したか。僕のこころに響いたか。
するとゆっくりだけど僕のダッシュボードも”スキ”であふれていった。

うれしかった。

そしてもっとその作品が好きになった。

だれもが好きなものは違う。
だからこそじぶんが好きなものを、好きだと言えるじぶんが大好きだ。

いつも”スキ”をありがとうございます。
僕もあなたが大好きです。

そしてつらいときは我慢しないで言ってくれれば聞くことはできるよ。
あなたが笑ってくれるから僕も笑ってる。
笑顔も受信できるから、感謝できるんだ。
ありがとう。
またね。


※”スキ”が「10スキとかできればいいのに」と思って書いてみました(笑)



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