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カミュのペストが流行っているみたい

先週アマゾンをブラウズしていたら、私へのオススメ本でアルベール・カミュのペストが現れた。カミュは好きな作家の一人だけれども、このペストは読んだことがない。何だか新型コロナでタイムリーだしと思って早速購入した。

アルベール・カミュ(1913年11月7日 - 1960年1月4日)は、フランスの小説家、劇作家、哲学者。フランス領アルジェリア出身。第二次世界大戦中に刊行された小説『異邦人』、エッセイ『シーシュポスの神話』などで「不条理」の哲学を打ち出して注目され、戦後はレジスタンスにおける戦闘的なジャーナリストとして活躍した。また『カリギュラ』『誤解』などを上演し、劇作家としても活動した。戦後に発表した小説『ペスト』はベストセラーとなり、エッセイ『反抗的人間(フランス語版、英語版)』において左翼全体主義を批判し、反響を呼んだ。小説『転落』発表の翌年、1957年、史上2番目の若さでノーベル文学賞を受賞した。

『異邦人』には度肝を抜かれた記憶がある。衝撃的にクールだと思った。それ以来カミュの出身地のアルジェリアがすごく近く感じた。隣のモロッコには行ったことがあるけれど、そこもフランス語を喋っていたからアルジェリアもあんな感じなのかしらとか、見た感じはフランス人ぽいからフランス人対アルジェリア人の感覚で言うと、イギリス人対南アフリカ人くらいなあんばいなのかしらとか、取り留めのない想像は膨らんでいく。

さて私はロンドン在住なのですが、最近イギリスではカミュのペスト(英語ではThe Plague)が売れているとのこと。「え?私も買ったんですけど」なんて家人と話していると、日本でも同じようなことが起こっているという記事を目にした。日本の場合は盛り上がりが顕著で、数字で見てみると30年分の部数をこの2ヶ月で増版したらしい。電子書籍を含むとまだ数は増えるではないか!すご。アルゴリズムでポッと私の前に出現した「ペスト」は、今のトレンドでもあったらしく何だかまんまとやられたと思ってしまった。

「ペスト」のあらすじ - ネズミの大量死から明らかになったペストの発生によって市民はパニックに。蔓延を防ぐためロックダウンされたアルジェリアのオラン市を舞台に、リウー医師を始め同士らが団結してペストと戦う話だが、そこでぶつかる人々の価値観の違いを鋭く描いている所にこの小説の醍醐味があるのだと思う。ってまだ半分も読み終わってないけど…。そうね、新型コロナに翻弄される今の世界の姿がそのままぴったり当てはまります。

つくづく、カミュは鋭いなぁと思う。このように深く人々の性格や反応を想像し、リアルな未来社会を予想してしまった。しかし結局カミュは今も昔も人々は何ら変わらないことを証明しただけのことかもしれない。そう思うとこれからも人間はずっと変わることがないんだろうと軽く失望した。

同じ数だけの医師や有識者がいて、同じ数だけの原始的な人間がいて、同じ数だけの被害者と加害者がいる。このバランスはこれから変わることがないんだろうか?このアンバランスがまさにバランスなのか?人のために死んでいく人と人を殺す人。この人格の格差こそ霊長類のトップに君臨するヒトの弱点ではないかしら。→ヒト対ケモノ

格差…

今回の新型コロナで生まれた各国のコロナ格差はカミュのペストには描かれていなかった(と思う)。医療体制の格差、お偉いさんのインテリ格差、国民性格差、リーダシップ格差、なんでも格差を付けてみる、まさに「格差ハラ」!!

願わくば近い将来この新型コロナ収束の末、国ごとの打撃の格差はいずれ明らかになる。ぜひイギリスも日本も他国が羨むような誠実で効果的な政策で、コロナ格差を縮めて欲しい。


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