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大好きな農村のおはなし。



今回は、唐突にローカル系の話を。

私は大学時代、「地域づくり」をテーマに学んできました。そして、地方、特に農村に魅せられ、色んな場所を訪れてきました。

その頃、ずっと考えてきたことを、今日は綴ってみたいと思います。


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農村との出会い


まず、その話をする前に、私が農村に出会った頃の話を少し。

私は生まれてからずっと、仙台の郊外にある住宅地に住んでいます。祖父母も仙台なのでお盆にどこかへ帰ることもなく、大学に入るまで仙台から出ることはほとんどありませんでした。

だから、高校生の頃に「地域づくり」に興味を持った時も、イメージするのは仙台のことだったし、ほかにどんな場所があるのか知ろうと思うこともなかったと思います。

それが変わったのは、大学2年生の時にいったインターンシップでした。私が行ったのは、同じ大学内にある地域振興に携わる研究機関。「地域づくり」を学びたいという漠然とした思いで選んだ場所でした。

そこでたまたま調査していたのが、ある県内の農村地域。初めて聞く地名で、しかも結構な山奥らしいとのこと。現地調査に同行するときは、どんな場所なんだろうと期待と不安が入り混じっていたと思います。

でも、いざ続く曲がりくねった道を進むと、そこは驚きと発見に満ちた素敵な場所でした。


美しい自然の風景

まず目に飛び込んできたのは、美しい自然の風景の数々。壮大な山々、一面緑と白に染まったそば畑、ひろい空。

私の住む家のそばにも山はあるし、自然豊かな場所だと思っていましたが、段違いのスケール、まるで別世界。なんだここは!というのが第一印象だったと思います。

それ以外にも、菜の花畑や田園風景など、季節ごとに変わる自然の美しさに毎回、目を奪われていました。


あったかい地元の人々

次に感動したのは、地元の方々のあったかさ。初めて会った時から、「あがらいんー(家にあがっていってください)」っていって、家に通してくれて、山菜やら漬物やらがたくさん出てくる。

いつも一緒に過ごしているかのような日常の暮らしにお邪魔して、かわいらしい方言を聞きながら、お茶を飲んでゆっくりお話をする。

それは地元の人同士も同じで、開いている玄関から知り合いのおじさんが入ってきて、こたつで温まったり、足の悪いおばあちゃんを近所の人が車で送って行ったり。

仙台ではご近所でも、あいさつをする程度だったので、人同士の距離の近さが新鮮で、すごく温かい関係だなぁと感じました。

山奥だからこその、助け合いやお互いさまの精神なのかもしれないけれど、人間関係が希薄な今の時代、実はすごく求められているものなんじゃないかなと考えたりしました。


守り継がれる伝統文化

そして、地域に引き継がれる伝統文化の奥深さにも驚きました。先祖代々守られてきた地域の神社や、そこで披露される神楽の舞。それらには、平安とか戦国時代からの長い長い歴史があります。

なんとしてでも、この伝統を守っていかなくては。そういった思いが地元の方々にはあり、神社のお祭りは地域をあげて開催され、神楽は小学校で子どもたちに伝えられます。

私の住むまちは、山を切り開いて造成された住宅地なので、せいぜい40年ぐらいの歴史しかありません。地域の神社もないし、踊りもない。なので、この脈々と受け継がれる地域の伝統というものに、私はいたく感動してしまいました。

地域に守るものがある。それってすごくかっこいいと思います。


自然とともに生きる

厳しい自然とともに生きる地元の人々の姿にも、心を打たれました。

その地域は、荒れ地を切り開いた場所なので、昔から土地がやせていて、しかも冬の寒さが厳しくお米が育ちにくい環境でした。ここの米はまずい。そう言われながらも改良を重ね、地域に適した冷めてもおいしいお米を作り上げたそうです。

雨が続けば悪くなるし、日が照り続けてもよく育たない。そういう難しさと向き合いながら、地元の方々がこの土地で農業を続け、美しい地域の風景を守り続けていることを知りました。

また災害が起こればまちへ続く道も途絶え、洪水で家が流されたこともあるそうです。そういう自然の気まぐれと上手に付き合いながら、けれども自然を倒すのではなく、ともに生きる。

春に食べる山菜や、洗濯に使う川の水など、自然の恩恵を受け取りながら、感謝と尊敬の念をもって、寄り添って生きていく。

そんな地元の方々の生き方は、コンクリートに囲まれた住宅地で暮らしていた私のとって衝撃的で、でもこういう暮らしこそ、自然と人の本来の付き合い方なのではないかと感じることもありました。


おわりに

以上のことが、月並みかもしれませんが、私が農村と出会って、感じたことです。あの時インターンシップに行っていなければ、あの地域と出会っていなければ、こういう農村の凄さに気づくことがなかったのかと思うと、少し怖くもなります。出会って、気づけて良かった。

私はこの出会いをきっかけに、農村に魅せられて、このインターンやゼミの活動などで、ほかにも様々な農村地域に足を運びました。

そのうちに、農村の魅力だけでなく、課題だったり、さらなる強さだったりをたくさん知ることになります。

そして、なんとなく自分の中で、農村と自分のかかわり方のようなものを見つけることができました。(それが今できているかというと、そうとも言えないのですが…)

ということで次は、私が何度も色んな農村を訪れる中で感じた、農村の可能性を綴っていきたいと思います。全然、一回では終わりませんでしたね笑。

もし、ご興味あれば次回もご一読ください。ありがとうございました。





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