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コーヒーはキッチン焙煎する時代へ

コーヒー好きな人ならば、毎回どこのコーヒー豆を買おうか、どのカフェで今日の1杯を飲もうか、楽しんで選んでいることだろう。
我が家もコーヒー大好き家族なため、日本でも海外でもあちらこちらのコーヒーを堪能している。やはり名のあるバリスタが作ったコーヒーは格段に美味しいし、素晴らしい技術を持つ焙煎士が焙煎したコーヒー豆も別格だ。

しかし毎回外食、つまりカフェでコーヒーを飲んだり、誰かが焙煎した豆を買っていたのでは、少々出費が嵩みもったいないようにも思える。
かといってグレードを下げて、いまいちなコーヒーを選ぶくらいなら飲まない方がいい。

結果的に我が家では自家焙煎をすることになった。
これが案外簡単で、何より低コストなのだ。

最初に買って3年近く使っているのは銀杏や胡麻を煎るグッズに似た見た目の「煎り上手」という焙煎器だ。


仕組みはシンプルで、中に50gから60g程のコーヒーの生豆を入れ、コンロの火の上でひたすら振るだけ。火加減と加熱時間によって焙煎度合いが決まる。
コツがわかってくると、比較的安定して同じような焙煎度のコーヒーを複数回作れるようになっていく。
難点はずっと振り続けなければいけないことと、一度に焙煎できる量が少量であることくらいだろうか。焙煎日から1週間以内に飲み切れるくらいの量というのが、コーヒーの鮮度を保った上で美味しく楽しめる一つの目安なので、自家消費用ならば少量焙煎でも問題はないし、焙煎器を振り続けるのも慣れればそれ程苦痛ではない。
私としてはもうこの焙煎器をずっと使い続けるので良いのではないかと思っていたのだが、最近夫が次なる段階の焙煎器を購入してくれた。
アウベルクラフトの遠赤コーヒー焙煎キットである。

https://www.auvelcraft.co.jp/

https://www.auvelcraft.co.jp/coffee/index.html


以前の焙煎器は手の動かし方としては左右に振り続けるものだったが、こちらは回転式だ。
コンロの火の上で焙煎するのはどちらも同じ。

一番の大きな違いは一度に焙煎できる量。新しい焙煎器は一度に200gから250gの焙煎が可能だ。


もちろん火の通り具合も焙煎器によって全く違ってくる。
焙煎している私個人の感覚としては、左右に振りながら焙煎する方はグッと熱が詰まったようなパワーの感じられる焙煎。回転式の方はゆったりと穏やかでありながら優しい暖かい風のような包み込むような焙煎。
前者が陽で後者が陰。陰陽ふたつの焙煎器は個性が対極であるように感じている。


コーヒーの自宅での焙煎システムは、年々進化を遂げているようで、完全に電気だけで焙煎できるものもある。友人の小さな個人店のカフェで使っているのは電気と温風で焙煎する器具で、小さめの炊飯器のような大きさだ。タイマーをセットすると自動的に焙煎してくれる。


電気を使う焙煎は失敗も少なく、常に一定のクオリティの豆が仕上がるようなのだが、コーヒーの焙煎を日常的にするようになって、火と風と豆の間の関係性のようなものが身体的にしっくりと馴染んでき過ぎてしまい、私はどうしても電気式のものを使うには至らなかった。
その日の温度や湿度、その日その時の体調や諸々の条件まで吸い込んで反映してしまうかのような直火での手焙煎は、扱いが繊細な部分もありながらも面白く、焙煎をしながら自分の心と対話する時間にもなっている。


やってみれば実はとても簡単なキッチンでの自家焙煎。
生豆もインターネットで少量から買うことができるお店も増えているし、200gで1000円近くかかっていたコーヒー豆への出費が(買う生豆の種類にもよるが)おおよそ3分の1に抑えられる。

生豆もどこかで搾取された労働が絡んでいないであろうものを選ぶことも可能だ。倫理的な消費を大き過ぎない負担で支援し続けることができる。

節約のためや楽しみのために日常の食事を家で作るように、もしも多くの人がコーヒーの焙煎も自炊し始めたら、そしてより倫理的な消費を選択したいという人が増えていったら、今まだ存在する大量生産大量消費で焙煎日から数ヶ月も経った美味しくないコーヒー豆を高い値段で買うような負の連鎖が終わる日が来るかもしれない。

案ずるより産むがやすし。コーヒーの自宅での焙煎に興味がある方はぜひ挑戦して欲しい。
何年も毎日料理をしているのに毎週どこかしら流血してバンドエイドがキッチンに常備されている不器用な私ですら、コーヒー焙煎を楽しく続けられている。
始めるまでは私には絶対に無理だと思っていたけれど、もうかれこれ焙煎を続けて4年目だ。

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