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繋がりに癒される日- Lean on me #19

今朝の夢は割とはっきりと覚えている。大きなゴミを捨てる夢だった。夢占いサイトによると(私は夢をよく見るし、寝言も相当言うのでブックマーク)、ゴミを捨てるとは「心機一転。再スタートしようとしている。問題解消。運気好転」ということらしい。

朝一でダイレクターとのスーパービジョンだった。私の今後の計画の話と、最近の仕事について、私が今思っていることを色々正直に話す。先週金曜日、サプライズで私のバースデーソングをミーティングで歌ってもらった時、帰国内命がなくてすごいがっかりしていたことを話したのだが、彼女はそれを覚えており、その落ち込みは過ぎ去ったか心配して聞いてくれた。あまりそれは想定してなかったタイミングでの質問だったから、ものすごく正直に、「この国に来てから、憂鬱っていうのはどこかにずっとあって、でも別にそれはものすごい落ち込むようなものではなくて、基本的に私は大丈夫なんだけど」と吐露してしまった。彼女が、それは日本に帰ることで解消されるものかと聞くから、「でも、日本に帰ったら、違う方向で落ち込むと思う。日本文化の同調圧力とかで」と笑って話す。この二年間、彼女のもとで働いてきて、プライベートのことも色々話してきたし、こういう正直なことが言える関係であることは本当に有難い、心の支えだと思った。そして、彼女は私が社会人になって初めて職場で出会ったロールモデルだと思う。これからのキャリアのために私が知りたいことを(NPOのマネジメント手法について等)、帰国前までにインタビューする約束を再度しつつ、彼女はいくつか見ておくべき団体やウェブサイトについてtipsをくれて、スーパービジョンは終了した。

16時までは、メンバーに電話かけたり、ケースワークの調べ物をしたりして過ごす。16時からは1時間、オンラインでのソーシャルギャザリングである。最近は、何かプログラムを決めたりせずに、自然発生的に身を任せる運営にしているが、今日はなぜか話が音楽になった。スーダン難民のWは太鼓を叩きながら歌ってくれて、コンゴ難民のRは小学校でよく歌っていた歌を披露してくれたが、フランス語圏のCは、歌詞のフランス語がわかるから、ゲラゲラ笑っている。すると、赤ちゃんを抱えたSが、落ち込んだ時によく歌う歌といって、「Lean on me」を披露してくれた。

Sometimes in our lives we all have pain
We all have sorrow
But if we are wise
We know that there's always tomorrow
Lean on me, when you're not strong
And I'll be your friend
I'll help you carry on
For it won't be long
'Til I'm gonna need
Somebody to lean on

月曜日の反人種差別ミーティングで彼女の辛い出来事を聞いたばかりだったから、彼女の美しい歌声は余計に染みた。

ああ、R(難民支援NPO)の人たちはお互いにお互いが、辛い時によりかかれる(lean on)存在なんだなと思った。だから、皆何をするでもなくガーデンに集い、お茶を飲んだりご飯を食べたりして、今もこうやってzoomで集まってたわいもない話をしている。お互いにトラウマをセラピーセッションでシェアし合ってたとしても、母語も違って、暗黙の了解みたいなものもお互いに違うから、真にその人の背景等を理解することは非常に難しい。でも、こうやってただ一緒にいて、よりかからせてくれる存在。そして、私にとっても、Rと皆はそういう寄り掛かれる存在なのだと思った。

日本語にものすごく頼って生きてきて、日本語の使い方にも自分なりの小さな矜恃がある私は、この国でどこまでもいっても結局”外国人”であることとか、英語を日本語ほど洗練したやり方で扱えないことに、ずっと憂鬱を感じていた。誰かや何かを理解するにしても、日本語ほど鼻がきかないから、どこまでいってもベールがかかったように感じる。

でもそれは、Rの誰にとっても同じなのだろう。それでも、よりかかれる存在が「ここ」にあるということが、希望と拠り所になる。私が扱う日本語ほどには、自分を表現できていないし、皆私を日本人の友人ほどには理解していないかもしれない。それでも、最大限私を理解しようと寄り添ってくれて、私がいつでもよりかかれる場所を用意してくれている。

数ヶ月後にイギリスを去っても、またいつでも戻ってこれる場所が、この国にできたように思うし、それは日本に戻ってからの私の心の拠り所になるだろう。

写真は、いつかのガーデンでのご飯。焚き火が見えるから冬にとったんだと思う。

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