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和室のこと

生まれ育った家は昭和初期に建てられたもので最初は和室しかなかったと思われる。生活スタイルの変化に伴ってリビングや応接間というものが途中造られはしたが私にとっては畳や障子やふすまはごく身近なものだった。今国語の講師をしていて都会の生徒たちには畳や障子やふすまを知ってますか、と確認してしまうほどマンション生活ではあまり見かけないものになった。

たまたま13年ほど前に購入した中古マンションには一部屋和室があり、関西から母たちが遊びに来るときのために良いかと思って決め手の一つにもなった。押し入れも大きく、床の間があるのは格調高くマンションにいることをしばし忘れるような空間だ。子どもが高校生のころは部活の友達が雑魚寝をしたこともあればお座布団を敷き詰めて大勢で宴会のような時間を過ごしたこともある。

ホームステイでオーストラリアの高校生やアメリカからの訪問客を受け入れたのもこの部屋。ベッドしか知らない人たちには違和感があったと思うが面白がっていたと信じたいところ。ここが我が家の一等地なのだ。

そういうたまのイベント以外に重宝しているのが夏の夜。家中で一番風が通りエアコンをつけなくても寝られるのはその和室だけ。今年は昨日まで個室で寝ていた家族ももう限界。今夜から和室にお布団を敷いて寝ることにした。各部屋のエアコンを稼働させるより経済的で、夏の数か月を家族でゴロゴロ寝て過ごすのが我が家のスタイルになっている。

二年ほど前に障子とふすまを張り替えてお化粧直し完了。紙の文化を楽しんでいる。お座布団やお布団さえあれば何人でも座れて何人でも寝られるところが和室の利点だ。それだけの椅子やベッドを揃えておくわけにはなかなかいかない。

このお部屋を初めて見たとき

「お嬢さんと結婚させてください」

と申し込みに来られるドラマのような一シーンを思い浮かべたものだが実際にそういわれたのはファミリーレストランのようなところだったので人生は想定通りにいかないものだと苦笑いしたのはごきげんママ♡です。

コロナ禍で母も長くこちらに出てくることが無くなったのが悔しい気持ちでいっぱい。また安心して招けるようになってこの和室に迎えて近くのデパートにでもいっしょに行ける日が待ち遠しい。

梅雨明けとともにうだる暑さの週末が到来したようです。どうぞ皆様体調にお気をつけてお過ごしください。

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