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あまりに覚えられなくて『忘却の整理学』(外山滋比古著)を読んでみた。

ごきげんママ♡は公言している通りハングル講座を聴き、ピアノの暗譜に励む毎日を過ごしています。大方の予想通り、それらはいずれも難航中。ハングル講座は頭の上を滑り脱落しかけています。ショパンのワルツは二週間計画で覚えようとしていたのを二か月計画に見直しました。下方修正です。

それだけではなくて、さっき測った今朝の体重と体脂肪をスマホに記録しようとしても覚えていない。別の部屋に物を取りに行って何をしに来たのか思い出せない、などという日常的な忘却は枚挙にいとまがありません。

そんな時に大先生がお書きになった『忘却の整理学』という本を見つけたら手に取らずにはおられません。救いを求めて読み始めました。

呼吸するときに息を吐かなくては吸うことができないように、人間は忘れなければ記憶することができない!忘却は悪いことではない、と書かれています。しかも知識が増えると思考が減る、とまで書いてあります。なるほど、このところ覚えることは苦手になってきたけれどいろいろな経験を積んで理解力は向上しているような気がしなくもない←自分に甘い?

ましてや忘却しないことを便秘にまでたとえられています。要らない情報など夜寝ている間にどんどん忘れて頭を整理したうえで朝一番に思考するのが最も効率が良いそうです。歴史で習った「朝廷」も朝の仕事が効率が良く正確で迅速に行われるから日が昇るとともに仕事を開始したことに由来して名付けられているというのはトリビアでした。

また、空腹時やお昼寝後は頭が冴えているというのは日々実感するところです。ほかに頭が働きやすいところとして挙げられているのが通勤途上とトイレの中、というのは興味深いです。

今年の夏は各地のお祭りが中止を余儀なくされて寂しい思いをした人も多いと思いますがお祭りの効用を考えたことはありますか。お祭りに熱狂することで精神を浄化させて活力が増進されるのだそうです。一時現実を忘れることがリフレッシュにつながるということを古代から人々は体感していたのですね。そうして気持ちを切り替えて社会を盛り上げたり安定を高めたりしてきた人間の知恵だと書かれています。それはスポーツやその疑似体験であるスポーツ観戦にも同じ効果があるそうです。

常に常に入れ続けることは無理であり、不自然なことなのですね!読書も途中で休憩し自分で続きを考えると思考力がつくというのはユニークな発想です。詰め込み教育の弊害が言われていましたが何もかも記憶すればよいというわけではないというのは一面の真理なようです。

ごきげんママ♡は週一回のゴルフレッスンの際に必ずワンポイントはメモをスマホに入力するようにしていますが、実は外山先生はこれを勧めておられません。メモすると安心して忘れるからというのです。自分の頭に残っている分だけを蓄積するのが自然だとか。これは困りました。メモがないと先週教わったことが何だったのかきれいさっぱり忘れているからです。メモを取ることでスマホを頼りにしていてかすかに残っている自分の記憶能力を使わないようにしていたとは目から鱗が落ちました。次からは機械頼みをやめて脳を鍛えることにします。

言うまでもなくネット全盛の情報過多の時代に生きる私たちの頭の中はつねに大量の知識であふれかえりがちになります。うまく忘れて整理することでしか思考はできないのかもしれません。結婚生活を振り返ってまあまあ悪くないもんだとお互い思えるのもすべては忘却のなせる業。あんな嫌なことがあったこんなつらい目にあったと記憶し続ける限りは幸せは逃げていくでしょう。忘却も憎む必要がないことがわかり、仲良くお付き合いすることにしました。



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