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AIは松明~勝手に応援!「ビッグイシュー日本版」(VOL.425 2022.2.15)~

「ビッグイシュー日本版」を勝手に応援する記事第28弾です。そもそも「ビッグイシュー日本版とは何か」をご説明した第1弾は、以下をご覧ください。


今号の特集は、「『でこぼこ』風景 日本列島の不思議」です。


今回の特集で一番印象に残ったのは、以下の部分。

東京都心は「土壌・関東ローム層・砂・レキ」などに覆われていて、「代々木公園で硬い岩石に到達しようと思ったら、地下3000mまで掘らないといけない」

うーん、土壌と関東ローム層のパワー、恐るべし。

あと、「平野と盆地に明確な区分はな」いというのも、驚きでした。東京都立大学教授の鈴木毅彦さんによれば、

海に面しているところを平野と呼び、内陸にあるものを盆地と呼んでいます。東側や南側にあまり大きな山がない関東平野も、専門用語では関東構造盆地と呼んだりします

だそうです。うーん、関東平野が「盆地」だったとは……。


「スペシャル・インタビュー」での、台湾のデジタル担当大臣オードリー・タン(唐鳳)の言葉の数々も、興味深かったです。

「私たちは継続的に、日常的に、政治へ参加する習慣を持たなければなりません」

その習慣が持てるよう、オードリー・タンはデジタルの力を使い、民主主義をアップデートしようとしているわけです。

民主主義は、「ビッグイシュー日本版」の継続的なテーマの1つと思われます。


オードリー・タンが使いやすいものに変えた、台湾のオンラインの公共政策参加プラットフォーム「ジョイン」についての記事内の説明も、強烈でした。

会議がウェブで中継されるとともに、議事録がきちんと記録・公開される。密室で行われたり、資料が黒塗りになったり、ましてや改ざんされる危険性もない。

ものすごく当たり前のことなのに、今の日本では当たり前ではなくなっています。改めて異常だと思いました。


自己成就的予言(思い込んでいるとその通りのことが起こるという意味の心理学用語)

最近はやりの「引き寄せ」って、もしかしてこれのこと?


「『私たち抜きで、私たちのことを決めないで』という言葉がありますが、特定の文化や集団に属する人々に関することは、当事者の人たちに最初から参加してもらう必要があります」

これも当然のことのはずなのに、日本ではいろいろなことが、勝手に決められているなと思いました。


「(タイヤル族の社会では)どれだけ貯め込んでいるか、どれだけ所有しているかではなく、どれだけ社会に貢献し、他者と分かち合ってきたかでその人の価値が判断されるのです」

そういう社会の方が、豊かですよね。なおタイヤル族は台湾の「原住民」です。原住民という言葉は、日本語では差別的に響くので、「先住民」という表現が使われますが、「台湾の中国語で『先住民』は『存在しなくなった』という意味があるため、代わりに『原住民』という表記が政府公認で使用されている」そうです。


AIについてのオードリー・タンの認識には、目から鱗でした。

「(AIと暮らすことは)メガネや火とともに暮らすのと何ら変わりません。(中略)どちらも”支援技術”だからです。(中略)松明やメガネが人間にとって代わるわけではありません。(中略)もちろん、火はメガネよりもずっと危険です。大火事になれば街全体が焼失しかねない。(中略)でも、火を扱うことを許された一握りのエリートだけが火を使う権限を持っているわけではなく、誰もが火を使うことができます。(中略)要は、権力を集中して一握りの人だけに扱わせるのではなくて、権力を分散して、みんなができるようにすればいいのです。(中略)これこそ、私たち人間が機械学習のような支援知能(Assistive Intelligence)とつき合っていく方法ではないでしょうか」

「いざという時の消火能力があること」は当然として、「子どもたちにできるだけ小さい頃から料理の仕方を教え」ることで、子どもたちは「責任を持って火を使う方法を学」ぶというのが、オードリー・タン流のAIとの付き合い方です。AIはAIでもArtificial Intelligenceではなく、Assistive Intelligenceと捉えてつき合えば、怖くないかもしれません。

AIについては、以下の記事もどうぞ。


「ビッグイシュー日本版」のバックナンバーは、街角の販売者さんが号によってはお持ちですし、サイトからは3冊以上であれば送付販売していただけます。

ただし今号については、2020年3月1日に次の号が発売されるまでは、街角の販売者さんからのみ購入することが出来ます。


コロナ禍のあおりで、路上での「ビッグイシュー」の販売量が減少しているそうです。3ヵ月間の通信販売で、販売員さんたちを支援することもできます。


もちろん年間での定期購読も可能です。我が家はこの方法で応援させていただいています。


見出し画像は、今号が入っていた封筒に貼られていたシールです。「小商い」で発送作業をしてくださった販売者さんのお名前の部分は、念のためにモザイクをかけさせていただきました。





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