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【読書】この戦争の責任は~勝手に応援!「ビッグイシュー日本版」(VOL.483 2024.7.15)~

「ビッグイシュー日本版」を勝手に応援する記事、第86弾です。そもそも「ビッグイシュー日本版とは何か」をご説明した第1弾は、以下をご覧ください。


今号の特集は、「海洋生物国の小さな水族館」です。


じつは、水族館で魚を見て味を知りたがるのも、魚の図鑑においしいかどうか書かれているのも、海に囲まれた日本ならでは。海外では驚かれます。

p.11

深海生物の展示数世界一という、愛知県蒲郡市の竹島水族館副館長の戸舘正人さんの言葉です。そうか、驚かれるのか……。


深海生物に与えるストレスを減らすために、疲れたら交代させ、バックヤードで休ませるようにしました。

p.9

深海からここへ来たくて来たわけじゃないのに、素通りされるような水槽をつくったら、入っている生物たちに失礼だと僕は思っています。

p.11

上が戸舘さん、下が館長の小林龍二さんの言葉ですが、共に深海生物への愛に満ちています。


アジやボラは名前は知っていても、じつはどんな魚なのかよく知らないからこそ、よく見るとおもしろい。ここはそういう展示をする水族館でいいと思っています

p.12

「毎朝漁港から譲り受ける地域の海の生き物だけを展示する」(p.12)むろと廃校水族館館長の若月元樹さんの言葉です。「ウミガメは調査や測定が終われば海に放し、ほかの魚も元気なうちに放流してい」(p.12)るそうで、行くたびに違う魚に出会えるということですね。小学校の教室やプールで泳ぐ魚たちに、機会があれば会ってみたいです。


特集以外では、まず「スペシャルインタビュー」のベネディクト・カンバーバッチの言葉が印象的でした。

私たちの手の中の、携帯電話という名のベビーシッターは、つながりを約束すると言いながら断絶を生み出しています。

p.6


「世界短信」のコンゴ民主共和国についての記事も、興味深かったです。キブ湖に浮かぶ廃棄物は厚さ14m(!)に達することもあるそうですが、「湖で集めた廃棄ペットボトルで1200平方mを超える巨大な浮島を建設しよう」(p.18)という計画があるとのこと。プラスチックごみをバスケットや植木鉢などのオブジェに変える他のプロジェクトと合わせれば、「キブ湖の汚染を90%削減」することも可能という、この計画の行く末が楽しみです。


大矢英代さんの、世界各地の大学生のガザ支援デモについての記事も良かったです。

武器を開発しているのは誰か。ロッキード・マーティンやボーイングといった巨大軍事産業だけではない。しばしば問題が指摘されてきた米国の「軍産複合体」は実際のところ、大学や研究所などの「学」を含めた「軍産『学』複合体」である。いうまでもなく、財源は米国市民の血税であり、学費である。「この戦争の責任は自分たちにもある」。米国の学生たちはそう自覚しているからこそ、立ち上がったのだ。

p.19

もちろん米国の学生だけではなく、パレスチナ問題を傍観し続けた世界中の人に責任があります。当然、私にも。

ジェノサイドは許されないし、大学がそれを支援することは許されないという学生たちの訴えは、極めて真っ当だといえる。学生ができることは身体を張って座り込むことくらいしかない。これは、人道的観点に基づいた平和を求める市民的不服従(civil obedience 註:これはcivil disobedienceの誤りかと思います)であり、「人類の危機」に対する抵抗といえるだろう。

p.19


今号も、本当に盛り沢山でした。


「ビッグイシュー日本版」のバックナンバーは、街角の販売者さんが号によってはお持ちですし、サイトからは3冊以上であれば送付販売していただけます。ただし今号は、2024年8月1日に次の号が発売されるまでは、街角の販売者さんからのみ購入できます。


コロナ禍のあおりで、路上での「ビッグイシュー」の販売量が減少しているそうです。3ヵ月間の通信販売で、販売員さんたちを支援することもできます。


もちろん年間での定期購読も可能です。我が家はこの方法で応援させていただいています。


見出し画像は、今号が入っていた封筒のシールです。「小商い」で発送作業をしてくださった方、いつもありがとうございます!



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