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【読書】出合ったものが1番やりたかったもの~勝手に応援!「ビッグイシュー日本版」(VOL.485 2024.8.15)~

「ビッグイシュー日本版」を勝手に応援する記事、第88弾です。そもそも「ビッグイシュー日本版とは何か」をご説明した第1弾は、以下をご覧ください。


今号の特集は、「あした美術館へ」です。


東京都美術館のエントランスの”エスプラナード”という広場、恥ずかしながら通り道感覚で、広場として認識していませんでした。”エスプラナード”という名前が付いていることも知らなければ、置かれている野外彫刻をきちんと見たこともありませんでした。今度行く時は、きちんと見てみようと思います。


特集以外では、スペシャルインタビューの永瀬正敏さんの言葉が印象的でした。

「原作が書かれたのは約50年前ですが、安部さんは現代のこのネット社会で起こりうることをすでに見通していたことに驚きます。今、僕たちの多くは、スマホを日々触って、ある意味、ネットの中の世界で匿名性をもって生きている。匿名で存在できる世界がはらむ危険性というものが、物語の中だけではなくて、現代ではもう僕たちのすぐ身近に存在しているですよね」

p.6

「原作」とは『箱男』のことです。未読なのですが、読んでみたくなりました。


「僕の仕事は声をかけていただかないと作品に出合えないので、つねに次に声をかけていただいて出合ったものが1番やりたかったものだと思って取り組んでいます」

p.6

非常勤講師の私は、基本的には学校から依頼された科目をそのまま引き受けるのみなのですが、永瀬さんのような思いで取り組みたいなと思いました。依頼された科目が、一番やりたかった授業だと(でもちょっと厳しい)。


「池内了の市民科学メガネ」は今回は蚊の話でしたが、あの小さな体に赤外線センサー、炭酸ガスセンサー、乳酸センサー、超音波センサー、血漿を感知するセンサーと、5種類ものセンサーを備えているとは、確かに驚き。

チョコレートの原料であるカカオは花が非常に小さく複雑な構造をしており、3mm以下の虫しか蜜の位置にたどりつけません。このカカオの受粉を行っているのが蚊の一種であるヌカカだそうです。ヌカカがいるおかげで、私たちはチョコレートやココアを楽しむことができるので、この蚊に感謝しなければなりません。

p.19

まさに「ヴィランの言い分」ですね。


『新版 森と魚と激戦地』の著者の清水靖子さんへのインタビュー記事も、衝撃でした。

清水さんと太平洋諸島との出合いは1980年。(中略)ちょうどその頃、日本政府は日本の原発から出る放射性廃棄物の太平洋への海洋投棄計画を発表。「現地では教え子の高校生も含め、『太平洋は核のごみ捨て場ではない』と住民みんなが声をあげていました」(中略)太平洋の人々の反対の声もあり、93年に放射性廃棄物海洋投棄を禁止する国際条約ができた。

pp.20-21

阻止できて良かったですが、とんでもない計画です。


「地球の果てから奪うのではなく、地元の農業、漁業、林業を活かして、地産地消に戻っていくこと。何を大切にして生きるのか、何を失ってはならないのか、何を奪ってはいけないのか――。暮らしの中で、そういった問いを持ち続けることが必要ではないでしょうか」

p.21

この清水さんの言葉を、心に留めたいです。


今号も、とても良かったです。


「ビッグイシュー日本版」のバックナンバーは、街角の販売者さんが号によってはお持ちですし、サイトからは3冊以上であれば送付販売していただけます。


コロナ禍のあおりで、路上での「ビッグイシュー」の販売量が減少しているそうです。3ヵ月間の通信販売で、販売員さんたちを支援することもできます。


もちろん年間での定期購読も可能です。我が家はこの方法で応援させていただいています。


見出し画像は、今号が入っていた封筒のシールです。「小商い」で発送作業をしてくださった宮城さん、いつもありがとうございます!



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