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みんな麻之助に頼りすぎ~『いわいごと まんまことシリーズ8』(畠中恵)~

畠中恵の「まんまこと」シリーズ第8弾です。題名が『いわいごと』で、表紙が綿帽子をかぶったお嫁さんであることから分かる通り、主人公の麻之助をはじめ、様々な登場人物の縁談がこの巻の主テーマです。

↑kindle版


今巻は、近年の畠中作品に稀にみる読みやすさでした。たまたま事故渋滞に巻き込まれたバスの車内で、まとまって読む時間が取れたというのもありますが、3日ほどで完読することができました。


ただ、読んでいるうちに、次第に疲れてきました。みんな、麻之助に頼りすぎなのです。町名主の跡取りとして、支配町の人々の悩みを解消するのは当然ですが、今巻はことごとく支配町の人じゃない人が、麻之助を頼っています。


もちろん、支配町の人ではなくとも麻之助の知り合いの頼みだったり、大きい意味で考えれば麻之助のためになったりする依頼ではあるのですが、だんだん麻之助が気の毒になってきました。「お気楽」だの「頼りない」だの言われても、実は何だかんだで有能だからこそ、頼られるのだとはいえ……。


そしてせつないのは、6つのエピソードのうち2つが、他人をうらやましく思った者によって引き起こされたものだったことです。このテーマには、畠中さんはこだわりがあるようですね。『若様組まいる』も、同じテーマを持っていました。


今巻でいくつかの縁談がまとまりましたが、まだ身を固めていない主要登場人物たちもいます。彼らがどのような道を歩むのか、次巻以降が楽しみです。


見出し画像には、「みんなのフォトギャラリー」で見つけた丹頂鶴のイラストを使わせていただきました。


↑文庫版



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