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「京都・南山城の仏像」展(東京国立博物館)に行ってきた

東博の「京都・南山城の仏像」展に行ってきました。


先週のローマ展に続き、まさか2週続けて上野の展覧会に行くことになるとは思いもしませんでした。


ローマ展同様、この展覧会も、開幕前から行く気満々だったので、前売り券を買っておきました。これで当日1,500円のところ、1,300円。さらに無料で登録できる日経ID会員として購入すると、音声ガイドの50円引きか、グッズの100円引きに使える割引券付き。

最近の展覧会には珍しく、すべての作品が撮影不可でしたが、少し前までは、これが当たり前でしたよね。

以下、印象的だった作品の感想です。


・十一面観音菩薩立像(海住山寺)

十一のお顔がパネルに拡大してあったのですが、憤怒相が意外に怒っていなさそうでした。静かに怒っておいでなのでしょうか。大笑面は、不思議なお顔でした。


・文殊菩薩騎獅像(禅定寺)

いわゆる獅子乗り文殊ですが、獅子の顔が斬新。


・普賢菩薩騎象像(岩船寺)

いわゆる象乗り普賢。こちらも象の表情が何とも言えませんが、当時の仏師たちは獅子や象を見たことがないのだから、仕方がありませんよね。


・薬師如来坐像(浄瑠璃寺)

このお薬師さん、柔和なお顔で気に入りました。


・十一面観音菩薩坐像(現光寺)

坐像の十一面観音って、観たのは初めてなような気がします。


・多聞天立像・広目天立像(浄瑠璃寺)

11~12世紀のものなのに、彩色がかなり残っていることに、びっくり。踏みつけられている餓鬼の顔が独特でした。多聞天の方の餓鬼はタヌキのようで、広目天の方の餓鬼はブタのようでした。


・阿弥陀如来坐像(九体阿弥陀のうち)(浄瑠璃寺)

今回の展覧会は「浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念 特別展」なので、ある意味これがメインです。実は私、誤解していまして、メインである以上、九体阿弥陀のすべてとは言わないまでも、数体はおいでになっていると思っていたんですね。そうしたら一体のみで、ちょっとがっかりしました。

でもやはり、とっても良かったです。不思議なのは、どこかで見たお顔であること。有名人か、私の知り合いかは分かりませんが、「誰か」に似ているのです。


・阿弥陀如来立像(行快作)(極楽寺)

今回出品されている仏像の中で、唯一作者が分かっているものです。像内の納入品の文書から、行快の師匠である快慶の亡くなった時期の下限が分かるのが貴重。その文書も見ることが出来ました。


・千手観音菩薩立像(寿宝寺)

今回、仏像大使のみうらじゅん・いとうせいこうのお喋り目当てで音声ガイドを借りましたが、「南方感」、「孔雀感」という二人の表現がぴったりでした。


・降三世明王立像(寿宝寺)

二体の異教の神が踏まれているのですが、どちらも特に苦痛を感じていなさそうなんですよね。特に仰向けで寝転がっている方の人(?)は、もはや幸せそうですらあります。仏像大使たちの「フラット」、「ラブ・アンド・ピース」という表現には、音声ガイドを聞きながら、ニヤニヤしてしまいました。気になりすぎて、ポストカードを買ってしまいました。

なお音声ガイドですが、600円、割引でも550円の価値があるかは、ちょっと微妙でした。音声を聞きながらだと、作品に集中しきれないので。借りるかは、散々迷ったのですが、借りなかったら借りなかったで、「借りれば良かった」という後悔が残ったと思うし、「やらなかった後悔より、やってしまった後悔」というところでしょうか。でも仏像大使たちのボーナス・トラックは面白かったです。もう1本くらい欲しかったな。


・金剛夜叉明王立像(寿宝寺)

なぜか蔵王権現を思わせました。


・牛頭天王坐像(松尾神社)

牛頭天王なのに、頭の上に載っているのが、私には馬に見えてしまいました。


・不動明王立像(神童寺)

子どものような不動明王で、可愛らしかったです。


予想より会場が狭く、つまりは出展されているものも少なかったので、正直当日で1,500円、前売りで1,300円の価値があるかは判断の分かれるところでしょう。でも自分で訪れようと思ったら、どこもちょっと不便な場所にある寺社の仏像たちなので、それを思えば、この値段で拝見できるのは、ありがたいですね。


会場を出た後、すぐそばだったこともあり、仏像が展示されている総合文化展の彫刻の部屋だけ行きました。


毘沙門天立像(中川寺)

これも南山城の仏像です。餓鬼の顔が、これまた独特すぎ。


毘沙門天立像(道成寺)

和歌山の道成寺のもの。この日は妙な顔の餓鬼にばかり出くわす日でした。カエル感のある餓鬼でした。『見仏記』を読んで以来、餓鬼が気になります。


文殊菩薩騎獅像および侍者立像(興福寺伝来)

いわゆる渡海文殊ですね。

実はこれ、昨年12月、どうしても観たくて観にいったものです。昨年は大倉集古館で象乗り普賢を観ています。

だからそれとセットで(?)、年内に獅子乗り文殊、出来れば渡海文殊を観たいと思っていたのです。そうしたら、東博の総合文化展で観られると知り、結構疲れている時期だったのに、がんばって観にいきました。

その時の見仏記は、いまだまとめていませんし、多分もうまとめる機会もないでしょうけれど、印象的な良いものを、いろいろ観ることができました。

とはいえ、これを観るため、結構無理やり行ったのに、1年も経たずに再会することになるとは、ちょっと複雑な思いでした。


なお、いつもだとお目当ての展覧会を観てからお昼にするのですが、今回は「ゆりの木」で早お昼を食べてから、南山城の仏像展に行きました。


チャーハン(1,150円)

「ゆりの木」でチャーハンを食べたのは、ひょっとしたら初めてかも。さすがホテルオークラ、美味しかったです。チャーハンそのものの美味しさもさることながら、エビはプリプリ、そしてある意味一番印象的だったのは、ザーサイの美味しさでした。

11時の開店と同時に入ったので、当然待ち時間なしだし、お腹が満たされているので、落ち着いて展示を観られるのも良かったです。展示を観て、1時頃とかに行くと、ものすごい混雑だし、これからは先にお昼のパターンにしようかな。

ちなみに私たちの前に会計をした方が、会計が1割引きな上、店員さんとの会話からすると、毎週いらしているようなので、どういうことかと思ったのですが、恐らく友の会の会員の方ですね。

年会費7,000円ですが、この1年間に東博に行った回数を考えると、多分元は取れるなと思いました。ちょっと入ることを検討しても良いかもしれない。

ちなみに上記の方は、賛助会の会員という可能性もありますね。

でもかえって友の会の方が、使い勝手が良い気がします。


なおこの後、黒田記念館と東博のお庭も見学したのですが、例のごとく長くなってしまったので、後日改めてということにします。



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