【展覧会】「永遠の都ローマ展」(東京都美術館)に行ってきた(その①)
東京都美術館で現在開催中の、「永遠の都ローマ展」に行ってきました。
ローマのカピトリーノ美術館の収蔵品が中心の展覧会ですが、美術館があるカピトリーノの丘にはパンフレットによると「古代には最高神をまつる神殿がおかれ、現在はローマ市庁舎」があるそうです。
……という説明を読み、思い出しました。カピトリーノ美術館には行っていないものの、ローマ市庁舎の前までは行ったことを。30年近く前のことですが(^-^;
以下、備忘録代わりに、印象的だった作品の感想を書いておきます。
・カピトリーノの牝狼(複製)
ローマの建国の父であるロムルスと、その兄弟レムスが牝狼から授乳されている、有名な像です。思っていたより大きく、びっくり。どの方向から見ても、ちゃんと作ってあることに、またびっくり。
ちなみに台座の部分にある「S.P.Q.R」の意味は、Senatus Poppulusque Romanus、つまり「ローマの元老院と市民」のことでした。
・ドラクマ銀貨、デナリウス銀貨、アウレウス金貨、ヌンムス銅貨
ドラクマ銀貨とアウレウス金貨、ヌンムス銅貨の裏には双子に乳を与える牝狼、デナリウス銀貨の裏には牝狼のみが描かれているのですが、金貨や銀貨って、思うより小さいのですよ。あのサイズによく図柄を刻印できるものです。
・アウグストゥスの肖像
アウグストゥスって、神経質そうなイメージがありますが、案の定眉間に皺が寄っており、神経質そうでした。
・カピトリーノのヴィーナス
「奇跡の初来日」というキャプション付きの、今回の展覧会の目玉の1つですからね、じっくり2周回って拝見しました。蝶が乗ったような髪型が不思議。これまた、どの方向から見ても隙なく出来ています。
・老女像
古代ローマにおいて、皇帝などの有名人でも神話上の人物でもない、普通の人の像が作られていたことに驚きました。
・コンスタンティヌス帝の巨像の頭部(複製)
頭部だけで1.8メートルって、全身でどれぐらいのサイズだった計算なんでしょう。
<追記>
座像で高さ12メートルだったと、『ローマ帝国 ココがすごい!永遠の都ローマ』に書かれていました。金閣寺の高さが12.5メートル、鎌倉の大仏が台座を含め13.5メートルだそうです。
しかもコンスタンティヌス帝の巨像って、ブロンズ製と大理石製と、少なくとも2つはあったわけです。
・コンスタンティヌス帝の巨像の左手(複製)
上の頭部と同じで、原作はブロンズ製です。持っている球は、権力の象徴か何かですかね。ルーブル美術館にあった人差し指が、これのものだと分かり、返されたそうです。なぜ人差し指だけあったかというと、ナポレオンがイタリアに遠征した時に、いろいろ持っていってしまい、その後返還された時、恐らく返し忘れたのだと思われます。
・コンスタンティヌス帝の巨像の左足(複製)
これは原作は大理石。こんな馬鹿でかい足を、あんなにじっくり見たのは初めてです。指が地面をしっかりとらえている感じでした。ちょびっと外反母趾っぽかったけど、古代ローマ人の履いているのは多分、いわゆるグラディエーターサンダルだろうに、なぜ外反母趾になるのか謎。大きすぎて、かかとがお尻のようでした。1周回って見たかったのに、内側面は立ち入り禁止になっていたのが残念。死角が出来て、触る人が出ないようにという配慮だとは思いますが。
・ローマ教会の擬人像
説明がなければ、一見モザイク画の婦人像です。ローマ教会を擬人化することは、偶像崇拝にあたらないのかと、ちょっと気になりましたが、まぁこれ自体を拝んでいるわけではないので、構わないのかな。
・河神
果物満載の角笛を抱えていました。河の神だから、周囲に魚がいるなら分かるけど、農作物に囲まれているのが、ちょっと不思議。川の水を農業用水にして、農作物が生み出されるから???
・改悛の聖フランチェスコ(アンニバレ・カラッチの工房)
ものすごーく反省していそうでした。
画以上に印象的だったのは、「アンニバレ」という名前。これ、第2回ポエニ戦争でローマを苦しめたカルタゴの英雄、ハンニバルのことなのです。イタリアでは言うことを聞かない子に、「ハンニバルが来るよ!」という脅しに使う反面、畏敬の対象でもあるので、子どもにアンニバル(アンニバレ)と命名することもあるとは聞いていましたが、本当にアンニバレがいるとは。
・メロンをもつ若者(嗅覚の寓意)(カラヴァッジョ派の画家)
黒っぽいので、メロンには見えないんですよね。影になっているからと言われれば、それまでですが、あえて言えばカボチャっぽい。カボチャにしては、真ん丸すぎますし、カボチャの匂いは嗅がないでしょうから、やはりメロンなんでしょうね。
・ルクレツィア
今回の展覧会、時々説明不足なんですよね。いきなりルクレツィアと言われても、この悲しそうな女性は誰、となってしまいます。そうしたら、とても悲しいいわれを持った女性でした。
・教皇ウルバヌス8世の肖像(ピエトロ・ダ・コルトーナ)
レースがすごいです。そのレースを身にまとっているウルバヌス8世も、そのレースを見事なタッチで描いた画家も。
・聖家族(カルロ・マラッティ)
光り輝くような聖母子の背後で、影になり、かつ顔を背けているヨセフが気になりました。「どうせ、わしは脇役だし」とでも言っていそう。
・モエシアの艦隊(トラヤヌス帝記念柱からの石膏複製)
これと次に置かれていた「デケバルスの自殺(トラヤヌス帝記念柱からの石膏複製)」は、撮影可でした。
左側の荷物を積み込む場面も、右側のトラヤヌス帝とその兵士たちが漕ぎ出す場面も見事なのに、なぜか上部のコロッセオ(ですよね?)が拙い感じなのが、気になります。
まだすべてご紹介し終わっていませんが、だいぶ長くなってしまったので、「デケバルスの自殺(トラヤヌス帝記念柱からの石膏複製)」から、次の記事にしたいと思います。