見出し画像

【展覧会】「永遠の都ローマ展」(東京都美術館)に行ってきた(その②)

1本の記事にするはずが、意外に長くなってしまったため、その②です。


・デケバルスの自殺(トラヤヌス帝記念柱からの石膏複製)

その①の最後でご紹介した「モエシアの艦隊(トラヤヌス帝記念柱からの石膏複製)同様、これも撮影可能でした。

デケパルスの自殺(トラヤヌス帝記念柱からの石膏複製)

そもそも、これが一部でしかないトラヤヌス帝記念柱、スケールも芸術作品としての完成度も、すごすぎです。何と高さは約38メートル! しかも完成当初は、鮮やかに着色されていたとか。

コンスタンティヌス帝の巨像にしても、こんなものを作るお金や能力を貧しい人たちの救済に当てれば、救われた人はたくさんいたのでしょう。でも現に作ったからこそ、それらの作品が残っているわけで、それで今の私たちは古代ローマ文化の偉大さを知ることができるのだから、そのあたりは微妙です。

ちなみにトラヤヌス帝記念柱、建設後約1900年経過しています。これは石でできているようですが、古代ローマの建築物がたくさん残っている秘密は、ローマンコンクリートです。現在のコンクリートの寿命が50~100年とされますが、ローマンコンクリートは自己修復機能を持つので、長持ちするわけです。

その驚異のローマンコンクリートの作り方が失われたのは、NHKの「四大化計画~世界は3つで語れない」の「ロストテクノロジー」の回でやっていましたが、ローマ帝国の衰えにより、巨大建築物が作られなくなったことにあるようです。


・古代アッピア街道とアルデアティーナ街道の交差点(『ローマの古代遺跡』第2巻より)(ジョヴァンニ・バッティスタ・ビラネージ)

実在の道沿いに、本来その位置には存在しないローマの名所が並んでいる絵です。しかも空想のものまであります。さしずめ青空博物館というか、博物館以上に、いろいろなものがひしめいています。

この絵を見て思い出したのが、今読んでいる岡倉天心の『茶の本』の一節。

人はいろいろな音楽を同時に聞くことはできぬ、美しいものの真の理解はただある中心点に注意を集中することによってのみできるのであるから。かく のごとくわが茶室の装飾法は、現今西洋に行なわれている装飾法、すなわち 屋内がしばしば博物館に変わっているような装飾法とは趣を異にしていることがわかるだろう。装飾の単純、装飾法のしばしば変化するのになれている 日本人の目には、絵画、彫刻、骨董品のおびただしい陳列で永久的に満たさ れている西洋の屋内は、単に俗な富を誇示しているに過ぎない感を与える。 一個の傑作品でも絶えずながめて楽しむには多大の鑑賞力を要する。してみれば欧米の家庭にしばしば見るような色彩形状の混沌たる間に毎日毎日生き ている人たちの風雅な心はさぞかし際限もなく深いものであろう。

岡倉 天心. 茶の本 (pp.40-41). 青空文庫. Kindle 版.

空想の風景とはいえ、道路沿いにあれだけ建物や美術品を並べるという発想自体が、西洋のものなのかもしれません。


・フォロ・ロマーノ(イッポリート・カッフィ)

写真かと思うほど、精巧に描かれています。油彩であのタッチが出せるのが、信じられません。「紙からカンヴァスへ移行」となっていましたが、紙に油絵で描いたということ???

ちなみに私がかつて撮ったフォロ・ロマーノは、こんな感じ。

フォロ・ロマーノ


・アモルとプシュケ

18世紀に造られたマイセン製の素焼き陶器なのですが、美術作品を手元に置きたいという欲求に応えた作品です。可愛い。


・パイエーケス人の踊り(アントニオ・カノーヴァ)

その①でも書きましたが、この展覧会、時々説明不足なんですよね。観客に基礎知識が求められる場面が、時々あります。音声ガイドを借りろということかしら。
この「パイエーケス人」も謎でした。どうやら『オデュッセイア』に登場する民族で、「パイエーケス人の船」はウィキペディアさんによると、「ハヤブサのように早く、操舵手を必要とせず思った通りに操舵でき、霧や霧でも難破せずに航行可能な船」だそうです。


・マイナスを表わす浮彫の断片

マイナスって、一般教養なんでしょうか。私はたまたま、マイナスは酒の神
ディオニソスを信奉する女性のことで、英語のマニア(熱狂的に信じる者)の語源だと知っていましたけど。そして左手に何か持っているなーと思ったら、友人が調べてくれて分かったのですが、ヤギの首でした……。


・ロムルスとレムスの発見(ピーテル・パウル・ルーベンスに基づく)(ドメニコ・コルヴィ)

あぁ良かった、見つかった見つかった、という雰囲気の画なのですが、そもそもロムルスとレムスがなぜ川に流されたかの説明が、相変わらずありません。ていうか、そもそも双子について、牝狼に育てられたということしか知らないなと思い、ウィキペディアさんに訊いてみたら、随分と壮大な物語があったのですね。


・阿蘭陀フランスカノ伽藍之図(伝歌川豊春)

ローマの風景が浮世絵で描かれているという、ちょっとシュールな作品。題名にオランダとありますが、ローマの風景だったわけです。歌川豊春さんというか、当時の日本人にとって、異国と言えばオランダだったんでしょうね。
ちなみに「フランスカノ」は国のフランスのことではなく、「フランシスコ会の」のこと。フランシスコ会の修道院が描かれてているのです。


・ディオニュソスの頭部

ずっとディオニュソスの妻のアリアドネの頭部だと考えられていたものが、ディオニュソスのだと判明したという説明でしたが、どう見ても女性的なんですよね。一周回って、やはりアリアドネのものではないかと思ってしまいました。


驚いたのは、観客の皆さんの熱量の高さ。すごく熱心に見ておいでで、皆さん、ローマファンなんでしょうね。……ということは、マイナスや、ロムルスとレムスの伝説も、あの方々には常識だったということでしょうか。
まぁかくいう私たちも、気づけば会場に約2時間おりましたが。


最後のグッズ販売では、物欲が爆発してしまいました。

カピトリーノの牝狼のポストカード(150円)

左の袋には、自分で東京都美術館のスタンプを押しました。


Wクリアファイル(880円)

ちょっと高いし、あまり実用性はない気もしましたが、いろいろな作品の写真が載っているんだもん。図録を買うよりは安いし(言い訳) 。


『ローマ帝国 ココがすごい!永遠の都ローマ』(1,650円)

2つの展覧会の図録代わりということで。ちなみに、ならWクリアファイルはいらないのではというツッコミはなしですよー。Wクリアファイルにしか載っていない作品もあったので(結果的に、後から分かったことですが)。


そして、都美術館自体のミュージアムショップでも、こんなものを購入。

北斎の浮世絵とスヌーピーがコラボしたポストカード(2点で330円)


ガチャガチャまでしてしまいました。ピカソ作品のピンバッジ。なぜか私も友人も、同じものが出てきました。

ピカソ作品のピンバッジ(200円)


なお、東京都美術館の椅子がおしゃれでした。

東京都美術館の椅子


パンダのキッチンカ―

上野恩賜公園150周年総合文化祭というのをやっていたのですが、帰りにはキッチンカ―も店じまいしていました。行きには上野警察署のキャラクター、パンダの「うえのまもるん」を見かけました。


うえのまもるん


夕飯は騒豆花エキュート上野店にて。

ジーロー飯セットを頂きました。ジーロー飯は初めてでしたが、八角の香りの効いた鶏肉、美味しかったです。豆花は、もう少しだけシロップに甘みがあっても良かったような。

ジーロー飯セット


上野駅の駅ナカでは、まずキィニョンのスコーンとカレーパンをゲット。

アニマルセット(730円)と焼きカレーパン(230円)

アニマルセット(スコーン)だけを買うつもりが、店員さんの「他には?」という視線に負け、カレーパンも買いました。美味しかったから良いけど。


Suicaのペンギングッズの店、Penstaにも突入。

Pensta①


Pensta②


Pensta③


Pensta④


鏡(1,320円)とモンチッチボールペン(3本で660円)

モンチッチボールペンは、ローマ展の前に寄ったヤマシロヤで購入。


ローマ展の入場料は、前売りとはいえ2000円だし、この日1日で、結構な散財でした。まぁたまのことだから良いとしましょう。

ちなみにヤマシロヤと東京都美術館の間に、上野公園で「時忘れじの塔」、「摺鉢山古墳」、「正岡子規記念球場」に寄りました。撮った写真は、以下の記事に追記しました。


この日の歩数計は、7,006歩でした。

記事の内容が、お役に立てれば幸いです。頂いたサポートは、記事を書くための書籍の購入代や映画のチケット代などの軍資金として、ありがたく使わせていただきます。