「ツバキ文具店」シリーズの第3作です。
読み始めてすぐ、「あぁ、こういう世界だったなぁ」と懐かしくなりました。鳩子はすっかりお母さんになっています。
本当に、その通りですよね。
懐かしくなったと言いつつ、どうも最初は波に乗れませんでした。結婚したら案外ミツローさんがふわふわした性格だったことが分かったこととか、QPちゃんが反抗期に突入、お隣さんは騒音に敏感、といった、鳩子を取り巻く様々な問題に、中途半端な現実味を感じたからです。そのくせ、下の子どもたちの「年子だけど同学年」というリアリティのない設定も、違和感を感じました。もちろん、そういうケースが現実にあるであろうことは分かりますが、そういう設定にする物語上の必然性は、最後まで感じられませんでした。
文句を言いつつ、波に乗り始めたのは、3分の1を過ぎたあたりでしょうか。
これ、知りませんでした。
これまた知りませんでした。
若年性アルツハイマーにかかってしまった小森さんの言葉です。こういう心持でいたいものです。
鳩子さん、あるいは作者の小川さん、そういう一般化はやめましょう。少なくとも私は、誰にも看取られたくないです。一人で静かに、自分のタイミングであの世に行きたいです。「臨終が近いと思って枕元に駆け付けたのに、なかなか死なないなぁ」とか、思われたくないので。最期の時に居合わせる人がいたら、それこそ最後の力を振り絞って起き上がり、追い出したいくらい。もちろん、死後数日たって発見されるとかは嫌なので、死んだらほどほどで気づいてほしいですが。……わがまま?
この習慣は、初耳でした。
また変な一般化をしています。小川さんが「最近そう読むことを知ったひとり」なだけでは?
長い引用になりましたが、あまりに椿がいいとこ尽くしなので、書いておきます。
伊豆大島が、今ではジェット船で1時間45分で行けるというのも、知りませんでした。若い頃、夜に出て朝に着くフェリーで行ったきりなので。そんなに気軽に行けるなら、そのうち行こうかな。
これが分かっている鳩子は、間違いなく良いお母さんです。教員だって、すべての面において生徒より優れているなどということはありません。
この例え、すごくうまいと思いました。野良兎(?)を拾ったことがあるのですが、あの突然走り出すパワーは、忘れられません。
これ、読んだ時は「なるほど」と思ったのですが、そうする力がない人だっているよな、と、後から思いました。
バーバラ婦人、素晴らしいです。
読了して思ったのは、私にはやはりどうも小川糸さんの作品は合わないな、ということです。ネタバレになるので書きませんが、今作はあまりにご都合主義な展開があった上、どうしても私の肌に合わない行動をとった登場人物がいたのです。
吉本ばなな同様、残念ながら私にとって小川糸作品は、「多分これが最後」です。でも今作は間違いなく、読んで良かったです。