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手紙が書きたくなります~『キラキラ共和国』(小川糸)~

『ツバキ文具店』の続編です。続編があるとは思っていなかったので、また『ツバキ文具店』の世界を体験でき、嬉しかったです。



ミツローさんと結婚し、QPちゃんの母となった鳩子は、QPちゃんとの暮らしを通じ、子ども時代をある意味で取り戻します。同時に、祖母である先代の当時の思いを理解し、もう一度先代に会いたいと、素直に言えるまでになるのです。


もちろん日々は穏やかなだけではなく、母であるレディ・ババの存在が鳩子の心に影を落としている上、ミツローさんとの心のすれ違いも経験します。ややこしい代書依頼に、頭も悩ませます。それでも鎌倉の四季やお店を背景にした、鳩子たち家族の物語は素晴らしいです。鳩子が書いたり受け取ったりした手紙が魅力的なので、自分でも手紙が書きたくなりました。


今度こそ物語の続きは、読者一人一人の想像に任されるのでしょう。楽しいこと、嬉しいことだけではなく、間違いなく悲しいこと、辛いことも起きることは容易に想像できます。それでも鳩子一家と周囲の人々たちは、すべての思いや経験を越えて、キラキラ共和国を作り上げていくのだと信じることができます。


見出し画像は、作中鳩子一家が紅葉狩りに行くシーンがあるので、紅葉にしました。残念ながら、鎌倉のではありませんが。




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