【読書】多分これが最後~『すべての始まり どくだみちゃんとふしばな1』(吉本ばなな)
私は初期の頃の吉本ばななの作品が好きで、結構読んでいました。購入したものも、軽く10冊は超えると思います。
とはいえデビュー当時からのファンという訳ではなく、読み始めたのは、デビュー当時のもてはやされている感じが、ちょっと落ち着いてからのことです。
小説だけではなく、エッセイも結構読みました。特に新潮文庫の「yoshimotobanana.com」のシリーズは、出るのが楽しみでした。
けれど筆名が「よしもとばなな」になった前後から、小説からもエッセイからも遠ざかるようになりました。きっかけはそれこそ「yoshimotobanana.com」で、書かれているエピソードの中に、違和感を感じるものが出てきたからです。読んでいてモヤモヤ、下手するとイライラするくらいなら読まない方が良いと思ったので、お互いの幸せのために読まないことにしました。要するに、価値観の違いです。
そのまま軽く10年以上経ったある日、偶然友人から、再改名後の吉本ばななの本を勧められました。
読んで思ったのは、「よしもとばなな」時代とは、またちょっと違うなということ。私が買ってまで読んでいた頃の雰囲気が、少し戻ってきたと感じました。
とはいえ、また読み始めるということもなく、月日は流れました。
そうしたら、偶然noteで吉本ばなながマガジン「どくだみちゃんとふしばな」をやっていることを知り、無料公開の部分を1日分だけ読みました。少なくともその日の分には、新潮文庫の「yoshimotobanana.com」のシリーズを楽しく読んでいた頃の雰囲気があったので、この『すべての始まり どくだみちゃんとふしばな1』を読んでみようと思ったわけです。
↑kindle版
図書館で借りて読んだのですが、読み始めてすぐ、ちょっと後悔しました。内容以前に、文庫なのに2段組みなため、何だかぎゅうぎゅう感があったのです。読みたくて借りたのに、これを全部読まねばならないのかと思うと、道のりの遠さに何だか暗くなりました。
そして読み進めるうちに分かったのは、私が以前吉本ばなな作品から遠ざかった時の相容れない感じは健在だし、むしろ強くなっているということ。
でも、良い言葉にもたくさん出会えました。
これは「天空の森」という宿泊施設の社長さんの言葉。
一見悪く思える物事の裏にある、良いことに目を向けるのを忘れないようにしなければと思いました。
他にも心に残った箇所はあったのですが、引用すると逆に良さがなくなるので、割愛します。
この本自体は読んで良かったです。でも残念ながら、これが多分私が読む、最後の吉本ばなな作品になると思います。
ちなみに23ページの息子さんが描いた吉本ばななのイラストは、すごくおかしかったです。本人も「なにかがものすごく似ている」とキャプションで書いているのですが、本当にそうだなと思いました。
見出し画像には、美味しそうなバナナのイラストをお借りしました。
↑文庫版
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