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うれしかったこと、今年の初夏

いつの間にか、夏から秋。今年の夏を振り返って・・・↓

今年5月終わりの週末、NHKの定時ニュースの画面に目が留まった。日本人ピアニストがベルギーの世界的コンテストで入賞したとのこと。なんと日本人が2人も。すごいなぁと思いつつ、画面に映ったそのお一人の顔を私はまだ覚えていた。

さかのぼること2年前。まだコロナなんかなかった真夏のある日、名古屋駅の商業施設の地下階エントランスから、ピアノの音色が迎えてくれた。夏のスペシャルイベント的なコンサートをしていた。きっと有名な方なのだろう。大勢の立ち見客が取り囲んで、闊達なピアノを弾く姿が見えない。私は、せめてピアノの音は聴けるからと、その施設の地階のテナントでぶらつき始めた。

ほどなくして、そのピアニストの演奏は終わった。聞こえてくるMCによると、ピアニストが入れ替わるようだ。私は内心がっかりした、せっかくもう少しそのピアノを聴きながらブラブラしたかったのに。

それでもまだブラブラしようという私のぬくぬくした気持ちを、次のピアニストは断ち切ってしまった。そのピアノの音がどうにも心地良くて、ブラブラするどころか、どうしても演奏しているところを観たくなってしまったのだ。

観たい衝動のまま、テナントを出た。数歩行けばすぐピアニストの演奏が拝めた。まだ彼の演奏が始まったばかりだったため、通りすがり立ち見客用スペースの一番前が空いていた。陣取って観て聴くことができた。

立てかけてあるプログラムには、ピアニスト 務川慧悟 とあった。初めてそのお名前を知った。

私の目の前には、フライヤーが控えめな数だけ置かれていた。すべての演奏が終わってからそのフライヤーを取ればいい、と思い、集中してピアノを聴きたい、という気持ちで心地よい音に漂っていた。

予定曲をすべて演奏し務川さんはハケた。でも、鳴りやまない拍手。もう一度出てくると、照れくさそうにピアノの椅子に向かってまっすぐ歩く。座るやいなやアンコールの曲を弾き始めた。もったいぶらず、バッと。こういう弾き始め方、好きだなあ、と思った。

演奏が終わって、また大きな拍手。お客さんたちは、彼を拍手でつなぎとめようと、離さない。務川さんは笑顔でお辞儀をした。

ホールなどのコンサートと違って、こういったオープンスペースでのコンサートは生々しい。お客さんとの距離も近い分、演奏者にとっても新鮮なのではないだろうか。

通りすがりの人たちは、薄情だし正直だ。興味がなければ素通り。立ち止まっても、離脱するきっかけなんていくらでもある。

冷房が効いているはずなのに、ふと、蒸し暑く感じた。周りを見回すと、どこから集まったのかものすごくたくさんの通りすがりの人が、離脱せず、ずっと聴いていた。

大盛況のうちに演奏が終わり、さてフライヤーを取ろうと見たら、もう無かった。残念・・・

フライヤーはないが、ネット検索はできる。プロフィールをチェックした。愛知の方なんだ、、、と、同郷のよしみでうれしくなった。

それが2年前。

そして、今年。おめでたいニュースとともに務川さんに偶然また出遭えて、うれしくなった。


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