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◆その後の日常◆デイ・アフター・デイ◆あるいは未来の日常◆


     炎の矢#1 炎の矢#2 炎の矢#3 炎の矢#4  

幕間・前日 #1             血の矢+幕間→→→→→

     毒の矢#1 毒の矢#2 毒の矢#3 毒の矢#4    

イン・フレイム#1イン・フレイム#2◆最終決戦◆イン・フレイム#3

→その後の日常→

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

◆直後のお話◆

【弔花】

色々とあったけれど、何とかやり過ごして生きている。

嵐のような一日が終わると、実感のない日常が戻ってきた。

敵対者は表面上いなくなり、未来へとぼんやり蔭のようなものを落としながらも――それでも平和になった。

ほんの少し空いた時間でストーンカは裏庭に花壇を作る。

オーガニックカサブランカ、クリサンセマム(菊)、リリィ、カーネーション、リンドウ
弔花めいた色とりどりの花が、死者の心を癒やすことを祈る。

生者の心も。

そして花壇の隅にひっそりと――マルベリー。

花言葉は『心中』。

どこか後ろ髪を引かれながらも、友人とも恋人とも一緒に死ねなかった、
あるいは死にたかったのかもしれない私は――ここに置いておく。

「サヨナラ……」

死者は何も言わない。それで良い。
期待はしていなかったし、もしも何か聞こえれば――やはり、少しだけ未来ではなく過去へと進みたくなる。

重金属性の雲の切れ間から僅かに、日光が射し込む。
ネオサイタマは――久しぶりに晴れそうだ。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【デイ・アフター・デイ】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【献花】

カスミソウの花。アナタたちは…きっとガンバッタよ。オツカレサマ。

マーガレットの花。……謝ることしかできない。オツカレサマ。

カサブランカの花。ワタシはアナタを裏切った。

けど裏切る姿は偽りたくなかった。オツカレサマ。

…ライラック…クレマチス…キンギョソウ…ジャスミン…ツキミソウ…

たくさん植えてあげよう。

きっとあの子はダイスキだから。

オハカも作ってあげよう。
きっとあの子はテンゴクでも家族と一緒だろう。

ワタシは…天国と地獄ドッチだろう。

…死ぬまではワカラナイか。
お墓も…建ててあげよう。

オブシダン…?で飾ってあげよう。どうか…せめてあの世では…家族と...


「ウウッ...ゴメンね…ゴメンね…」

人知れず、泣いた。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【デイ・アフター・デイ】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ハートレス・ハート・イン…】

――なぜ、こんなことになってしまったんだろう

「ザッケンナコラー!」「スッゾコラー!」

――私の病室はジゴクめいた状態になっていた

うるさいヤクザ、壊れた病室、そして――

――…両親の死体、今目の前で殺されたばかりの――

「アッコラー!ちゃーんと借金返さねえからこうなるんだコラー!」

――嘘つき、明らかに法外な値段だった

――両親の言葉を思い出す

「オマエは心配しなくていい」
「すぐに良くなる」
「私たちが頑張るから」

――全部、なくなった

――私を…見捨てれば助かったのに…

「アッコラー!おめえはとりあえずオイラン行きだコラー!」
「へへへ、こんなガリガリに客なんてつくんっすかね?」

――うるさい

―――うるさい

―――――うるさい!

「へへへ、今俺が楽しんでも」

「イヤーッ!」「アバッ?」

――目の前にあった首をへし折って殺してやった

「「アイエエエエエ!?」」
「イヤーッ!」
「アバーッ!?」

――いつの間にか持っていたハリで延髄を破壊して殺してやった

「アイエエエエエ!?アイエーエエエエ!」
「うるさい」
「アイエエエエエ!」
「黙れ」

「イヤーッ!」「アバーッ!?」
――――心臓を貫いて殺してやった

後に残ったのは死体だけだ

「……………」

――今殺したヤクザの懐からとったメイシからカイシャの場所を特定する

「………」

――そこに行く、前に…

「……………私を、見捨てればよかったのに…」

――両親だったものを私のいたベッドに寝かせる

「…せめて、安らかに…」
「…………」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「イヤーッ!」GASAAAAAN!

「アッコラー!?」「ナンノサワギダコラ―!?」

――目につくすべてを殺した

「イヤーッ!」「アバーッ!?」
――殴ったヤクザは壁まで吹っ飛んで死んだ
「イヤーッ!」「アバーッ!」
――遠くにいたヤクザはハリでのどを突きさして殺した
「イヤーッ!」「オボボーッ!?」
――目の前にあった股間を蹴って殺した
「イヤーッ!」
KABOOOOOM!
「「「アバーッ!?」」」
――纏まってたヤクザは目の前に落ちてたグレネードを投げて爆殺した
「イヤーッ!」「アバーッ!?」
――眼球
「イヤーッ!」「アバーッ!?」
「…次」
――足
「アバーッ!?」「次」
――腕
「アバーッ!?」「次!」
――殺した
「アバーッ!?」「次!!」
――殺した
「アバーッ!?」「次!!!」
――殺した
「アバーッ!?」「次!!!!」

―――――殺して、殺して、殺して―――――

「アバーッ!?」
「つ、」

――残っていたのは死体だけ

「…次は…ないのね…」

――私の、ささやかな復讐は終わっていた

「……」
「……アハ」

―――終わって気づいた

――これが終わったら――

――もう私にやることなどないのだと

「アハ、アハハハハ…」
「アハハハハハハァ…」

――泣いた

――泣いた

――泣き続けた

――どれくらい泣いたのか、よくわからない

「…オーオー、こりゃまたすごいな」「オメェニンジャだろ?」

「…誰?」

「ドーモ、レオパルドです。名乗りな」

「…私、私は…」

――前の名前を名乗る気にはならなかった
――両親を殺したような名前だから

「…私は…」

――そうだ、なりたい名前を名乗ればいい

――幸いにしてもはや体には先んじてないものを、自ら捨て去ろうとした

――――だから、私の名前は――――

「…ドーモ、ハートレスです」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

――――――夢を見ていた、昔の夢だ

「…ア”ー…何であんな夢を…」
「…」

――――いや、本当は気づいていた

―――なぜ今、このタイミングで夢を見たのか

―――今、この、ソウカイヤのなくなったタイミングで――

――見たのか、その理由を

「………そうか、終わったのね…」

――そう、終わったのだ
あの時から始まった、私の戦いが―――

「………」

――――幸いにして今日は用事もない

「………」

――――墓参りに行こう、私の弱さゆえに死んだ両親の――――

「……私は、生きてるわよ…」

珍しいことに、ネオサイタマは本日青空だった

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【デイ・アフター・デイ】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

『私達の完全勝利でした』

決断的ショドー!

『ソウカイヤを私利私欲で乗っ取ろうとしたアルマゲストを退治した我々は実際裏切り者ではなく正義の味方』

踊る圧倒的ミンチョタイ!

『アルマゲストが悪い 我々は無関係』

情緒に訴える繊細的なタイプ文字。

「はー、自我を持ったソウカイ・ニンジャが面倒くさいなー!はー!」

ストーンカは欺瞞的ビラの作成を行っている。
勝利は次の戦いを呼ぶ、平和を勝ち取るために再び――

「あー!プリズナーほしいなー!はーーーーー!!」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【デイ・アフター・デイ】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

トライヘッズの場合

オレは、オレの人生を生きたかったのに。オレのために、皆と生きたかったのに。
「全部…全部アイツのためじゃねぇか!!!ナンデだ!!!ナンデ…いつから…クソォ…ザッケンナ…」
何故…オレは生き残ってしまったのだろう。

【ヌル】(種別:ニンジャ・重サイバネ)
【カラテ】8
【ニューロン】8
【ワザマエ】7
【ジツ】3+3
【体力】11
【精神力】6
★カラテマイン
★★カラテミサイル(溜め打ち)
★カラテミサイル・マスタリー1
★カラテミサイル・マスタリー2
▶▶▶▶▶プリズナー用量産型バイオ/サイバネ複合フレーム(全身セット)
・体力+1
・近接攻撃威力+1
・近接攻撃ダイス+1
・射撃ダイス+1
・脚力+1
【本来はサンシタ用のフレームを装備しているので、全体的に補正が弱体化している】
【彼はこのフレームを装着しているが、プリズナーではない】
ジツ拡張サイバネ+++
狂気・狂戦士化(最初から発動)
狂気・虚無衝動

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「宿題…やっと終わったよ…」

ソウカイヤを滅ぼしたトライヘッズは、宿題だらけであった。
兄にも手伝ってもらって、何とか終わらせた。もう夜遅くだけど、…今から行っちゃおう!

そうしてトライヘッズは一人でネオサイタマの夜を駆け抜けていたが…彼女を呼ぶ、ニューロンの奥の声。

(ネー…ネーネー…)(…ナニかな…ってアイエ)

彼女はトライヘッズの憑依ソウルであり、
ニューロンの奥底に眠る太古のアクマ、トリニティ・ニンジャ。

(あの日は…よく頑張ったわね!オニンギョさん!)(エッ!?………アリガト―)

素直に褒められてトライヘッズはビックリ!

(ウフフ…今回はユイチャン、スゴクガンバッタ!)
(褒美に…「鍵を開けてあげたわ」。…じゃあね。)(マッ...)

そう言うと刹那の会話は終わった。

(…)

何が出来るようになったかは、すぐに分かった。

「本来のヘンゲ」が、解禁されたのだ。彼女の手により。

これまでのトライヘッズのヘンゲは厳密にはトリニティ・ニンジャ本人のものではなかった。
アクマ奔流に身を任せ、外殻で体を覆うことによって、疑似的にヘンゲしていたのである。
よって、体の一部が露出するグレーター・アクマヘンゲは、この恐るべきアーチニンジャのヘンゲに既に近づいていた。
己を恐れていた今までのトライヘッズには、できないヘンゲであった。故に、こちらのヘンゲにも躊躇いも…

その時!「イヤーッ!」
「カラテミサイル・マスタリー2」使用。

 3d6  = (6+2+5) = 13

トライヘッズ:「イヤーッ!」飛来するカラテミサイルを弾き飛ばす!

「………分かってたよ。」ソウル感知が達者なようだ。簡単にはいかないか。

ヌル:「………ドーモ、ヌルです。」彼の見た目は、全てにおいてプリズナーであった。

だが、彼はプリズナーではなかった。目を見ればわかる。「死んでいない」のだ。

トライヘッズ:「………ドーモ、ヌル=サン。トライヘッズです。なんでワタシを狙うの。」

ヌル:「殺したいからだ。」それ以外…なんだと言うのだ。
ヌル:「オレの愛したソウカイヤは…死んだんだ。お前たちが滅ぼす前に。」
ヌル:「あのクソブッダを殺してくれたのには感謝してる。だが…あの日、ヘルカイト=サンもラオモト=サンも…アイツも死んだ。」
ヌル:「オマエタチが殺したんだろ。ナァ…『ベイン・オブ・ソウカイヤ』共。」

トライヘッズ:「ウン…殺したよ。ワタシ達が。」

トライヘッズはカラテを構える。手馴れだ。だが彼らの能力はソウカイネットで調べられるだけ調べた。殺せる…殺してやる…

ヌル:「一応言っとくが…分かってるぜ。こんなことには何の意味もねぇってことは………だが…だがよォ...!」
ヌル:「ナンニモ・ネェんだよ!俺には何にもねぇ!どこに言ってもそうだった!どこでも俺は何にもなれなかった!あそこだけがオレの居場所だったんだよ!なくなっちまったんだよ!」
ヌル:「一人ずつだ!一人ずつ!最後には皆殺し!そして俺も死ぬ!」

トライヘッズ:「……」ユイは少し心が揺らぎかけるが…構えはやめない。【不屈の精神】

ヌル:「最後に…オレがお前から狙うのは…『やりやすい』からだ。オレが…そう思ったからだ。」嘘だ。本当は…殺すしか、ない。
ヌル:「じゃあ…やるぞ…オレは『無慈悲』だ」

◆Requiem dance◆

ヌル「イヤーッ!」プリズナーとしての見た目からは想像できぬほど洗練されたカラテがトライヘッズを襲う!
トライヘッズ「来いッ!」ここで身じろぎしては、彼の意思を否定することにもなるだろう!だから容赦はせぬ!

5d6>=4+4d6>=4 = (3,1,2,2,3 :成功数:0) + (4,4,1,2 :成功数:2) = 2

ヌル:「クソッ…こんな時に動作不良かよ…」付け焼刃のサイバネ手術が仇となったか!だがそのカラテは危険だ!
◆アトモスフィアHARD◆

8d6 = (2+5+3+6+1+5+4+6) = 32

カウンター!

  1d6  = (5) = 5

「イヤーッ!」「イヤーッ!」容易く捕まれ返されるが…バック転回避!

だが…おお…ゴウランガ!

14d6=6 = (4,4,3,1,1,2,2,5,4,1,2,1,6,5 :成功数:1) 

「アクマ!」

トライヘッズのカラダが…「変わる」

まず彼女のカラダがサナギめいて外殻に包まれ…肥大化していく…

そして…全ての外殻が砕け、
雄大なるアクマの翼が開き、
外殻の四本腕の強大なアクマが中から姿を現す!

その身体は比較的生身に近いが、それでもそれまでのどのヘンゲをも凌ぎ…美しさすら纏うアトモスフィアを放つ!

これが「トリニティ・ニンジャ」憑依者としての真のヘンゲ!
おお、何たる圧倒的威圧感か!

トライヘッズ:「これが…ワタシ…」トライヘッズは変貌に驚くが…すぐに決意の眼差しとなる!この姿は長くは持たぬ!短時間で決めるべし!

…データにない姿。これで、オレが誰も殺せないことがはっきりした。
ヌル:「来いッ!オレは…まだ「ソウカイヤ」だァ!」

ダブルヘッド・カミツキ宣言。回避難易度UH

15d6>=5 = (5,5,6,6,3,3,5,6,1,4,2,3,6,4,6 :成功数:8) = 8

「イヤーッ!」恐るべき速度で伸びるは二つのアクマ・イビルヘッド!

2d6=6+3d6=6 = (1,4 :成功数:0) + (1,1,1 :成功数:0) = 0
2+1d3 = (2) + (1) = 3
2+1d3 = (2) + (2) = 4

2+1d3 = (2) + (1) = ヌル:「グワーッ!!!」喰らい付かれる。対応すら出来ぬ。まだカラテすらされていないというのに、この威力。

トライヘッズ:「ヤメ!」二つのアクマヘッドはトライヘッズの元に戻る。

ヌル:「ハハハ…ヤルな…ヤルなぁ…」

プリズナー・フレームは壊れ、彼の素顔が見える。カッコつけたときもあったっけな。

ヌル:「だが…」カラテミサイルマスタリー…発動。

回避、必要なし。

この程度のミサイルでは傷付けることが出来ぬほど、見た目に反し今のトライヘッズは強固であった。

ヌル:「こいつは…ドウだぁ!!!ヒサツ…ワザ!」カラテミサイル溜め打ち!

11d6>=5 = (3,5,5,3,5,1,4,4,3,2,6 :成功数:4) = 4
使用法2):移動後使用不可。
戦闘中1回限りの使用。
これを使用すると、戦闘終了まであらゆるジツを使用できなくなる
(既に使用したエンハンスは持続する)。
タテ、ヨコ、ナナメ45度のいずれか1方向に対し、カラテミサイル弾を大量に発射する。
射程は無限で、キャラを貫通する(壁、障害物、大型のキャラ、またはマップの端に到達次第止まる)。
この直線上にいた者全員(敵味方問わず)に対し、自動的に1ダメージを12回与える
(『回避難易度:NORMAL』)。
これは12回の『時間差』とみなされ、まとめて回避ができない。
この使用法は強力だが位置どりが難しいため、敵の隙を突くか、
仲間と適切な連携を行わなければ命中させることは難しいだろう。

恐るべきカラテ光球をいくつも彼の背後に現出させ…

ヌル:「イヤーッ!」カラテと共に発射する...!!!

だが…回避、必要なし。

「ダメージ軽減1」適応。

トライヘッズは翼で全身を覆う。

全方位から彼の全てを捻りだしながら発射させるカラテミサイルは、彼女の巨大な翼に傷すら付けることは出来なかった。

ヌル:「ハハ…ハハハ…さあ…来いよ…来いよォ!」

最早声すら捻りだすことができぬほど全てを出し尽くし、彼は両手を呪うように広げる。

トライヘッズ:「じゃあ…行くよ。」

『アクマの暴威』使用。このターンに限り回避難易度+1

5d6>=4[=6]+6d6>=4[=6]+6d6>=4[=6] = (3,3,2,4,4 :成功数:2 , サツバツ![=6]:0)
 + (5,6,5,5,6,6 :成功数:6 , サツバツ![=6]:3)
 + (4,5,1,4,6,4 :成功数:5 , サツバツ![=6]:1) = 17

2d6=6+2d6=6+2d6=6 = (1,6 :成功数:1) + (6,4 :成功数:1) + (2,1 :成功数:0) = 2

 1d6  = (3) = 3

トライヘッズ:「イヤーッ!!!」

恐るべし…全てを蹂躙するかの如き破滅的カラテが、彼の肉体を襲った。
巨体でありながら、素早い。そして単純に手数が多い。何より…地面が抉れていく。

これがトライヘッズの...カラテであった。

ヌル:「アババババーッ!!!」これで…終われる。

ヌル:「ハァ…ハァ…これだけやって…こんなもんか…」

ヌルは倒れ伏し、勝者…ソウカイヤを滅ぼした者の顔を見上げる。

ヌル:「ア…ハハハ…一人くらいは…殺したかったなぁ…」

トライヘッズ:「…そんなふうには、見えないよ。」

死にゆくヌルの顔は、むしろ穏やかであった。

ヌル:「…バレちまうか…オレは…楽しかったぜ…」

オレタチがいたソウカイヤは…タノシカッタソウカイヤは…あの男が権力を握った時、既に死んでいたのだ。ファック・オフ。ザマアミロ。

トライヘッズ:「ワタシも…タノシイ時はあった。だけど…悪いけど、全く後悔はしてない。」

そう言う彼女は…真っ直ぐな目をしていた。

何気ない日常…一瞬すれ違ったあの時とはまるで、別人で見えた。

ヌル:「ハハハ…そうか…オレは…」続く言葉は…ここで語るべきではないだろう。

ヌル:「……お前はいい子だ。だから…俺みたいになるんじゃねえぞ。まあ…ならねぇよな。」「サヨナラ」

彼女は急ぐ。………宿題をこっそり提出するために。

トライヘッズ:(………オツカレサマ、マーシレス=サン)

彼女は…何気ない日常を覚えていた。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【デイ・アフター・デイ】

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ストーンカの場合#1

【不動産会社】

「へぇ……会社を」
「まぁ、会社用の物件をね……社長に見繕って来いと言われたものでして」
「でしたら、この」
「20階建てぐらいのビルが良いです」
「え」

「なんかこう……背後には稲妻が鳴り、企業スパイやスラッシャーが見ただけで逃げ出すような威圧的な外観をしていて、ガトリングが沢山あって、あと湾岸警備隊が使うような砲台とか、戦闘兵器とか、そういうのがあると良いですね」

「お客様……申し訳ございませんが……」

「私はこの条件を譲るつもりはない」

画像1

「その物件は既に解体されました」

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【デイ・アフター・デイ】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ハートレス&トライヘッズの場合

「…よし」

今、ハートレスの前には二つのすり鉢があった
一体何をするのだろうか…?

「…」

おお、見よ!
あの連木二刀流を!
まさかこれで…ピル作成を…するというのか!

「…イヤーッ!イヤーッ!」

ナムアミダブツ!全く同時にすり鉢の中身がペースト状になっていくではないか!
これぞハートレスが思いついた「片腕で作業を終わらせればもう片腕使えて実際倍」作戦だ!
何たるあほな考えであろうか!
だが、おお…これがニンジャのワザマエなのであろうか…!
二つ同時に…しかも別々の種類を作っているにもかかわらず…ゴウランガ!

「…イイヤアアアアーッ!」

おお…ゴウランガ…ゴウランガ!
この作戦は功を奏し…
完全に倍の作業を可能としたではないか!

「…フーッ…行けるわねこれ…」

…意外とハートレスは天然だった…

トライヘッズ:「おおー!!すごーい!」トライヘッズはあほ技術を素直に賞賛!

ハートレス:「…あら?いたの?」結構集中していた、当たり前である

トライヘッズ:「来ちゃった」

ハートレス:「そう、周りにあるものを壊さないようにね?」

トライヘッズ:「ハーイ」

ハートレス:「転んだりして壊しそうだから心配なのよ…」

トライヘッズ:「あうっ…気をつけます」

ハートレス:「よろしい」

トライヘッズ:「ところでこれは何味なのかな」

ハートレス:「モウドク味」「そっちはズンビー味よ」

トライヘッズ:「まず…独創的な味がしそう」

ハートレス:「うん、食べないようにね?」

トライヘッズ:「アッハイ」

ハートレス:「じゃあ疲れたから私お風呂入ってくるわ…」風呂に行くの図

トライヘッズ:「わたしもはーいろ」ユイもついてった

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【デイ・アフター・デイ】

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ストーンカの場合#2

ソウカイヤは滅び、ハラジュクの自治も守られた。
アルマゲストの手を逃れた手練のニンジャ、ラオモトの子どもたち、そしてザイバツ――
諸手を挙げて未来を祝福出来るわけではないが、出来うる限り最善の結果を得ることが出来た。
面倒な戦後処理は残っているが、一先ずは身を癒やすぐらいの時は有るだろう。

オーガニック・チャ――【万札:3】で購入した最高級のギョクロである。
蓋を開くだけで発せられるは日本人の本能を優しく撫ぜるような暖かな香り、
入れる前からまるで午睡のような緩やかな感覚に包まれる。
そして出来たチャをユノミに注げば、夏めいた爽やかさが応接室一帯に広がる。

これにドラゴンボーンからくすねた最高級のブランデーを1滴、注ぐ。
作るのはカクテルでもチャンポンでもない――1滴で十分である。

「美味しい」
齧るようにチャを口に含む。
粉末のチャには出せぬ風味、人間的温かみがある。
隠し味のブランデーも堪らぬ。
ストーンカは口の中で転がしたチャを飲み干すと、ブランデーをコップに波波と注いで一息に飲み干した。

チャガシのヨーカンは、安物である。
だが、オーガニック・チャを引き立てるならいっそ不味いぐらいでちょうどいい。
オーガニック・チャを飲み、ヨーカンを食べ、ブランデーを飲む。ブランデー、ブランデー、ブランデー。

オブツダンに供えられたユノミからセンコの煙めいて湯気が立ち上る。

「とうとう、私もなってしまったか……カチグミに……」

ユノミを片手にしみじみと呟く。
そういうことになった。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【デイ・アフター・デイ】

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フリントアーム+ナツナの場合

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

『イア・イア・クイシンボー』
読もう。

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【デイ・アフター・デイ】

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スカラムーシュの場合

その日もネオサイタマには憂鬱な重金属酸性雨が降り注ぎ、
極彩色のネオンが水溜りに反射して極楽、あるいはヤク中の幻覚めいた幻想享楽的な光景を作り出していた。

「おう、随分ご無沙汰だったな」

安っぽい耐重金属酸性雨PVCのジャケットを着た男は、
「ソデン」と書かれた屋台に入ると知り合いの姿を見つけその隣に座る。

「おやっさん、ダイコンとマンボウ、あとタマゴを4つくれ」
「2つで十分ですよ!」
「いいや、4つだ」
「勘弁してくださいよ!」

男は注文を済ませると、隣の野球帽をかぶった男の前にあるトックリを勝手にとり、自らのオチョコに注ぐ。

「おい、それはオレのサケだぞ」
「まあまあ、そう固いこと言うなよ、久しぶりの再会とオマエの生還に乾杯だ」

ジャケットの男はにこやかに笑う……が、その顔は安っぽいメンポに覆い隠されている。ニンジャである。
「なあ、スカラムーシュ=サン」

「人がソウカイヤに捕まって死にそうな時に逃げてたやつが何言ってやがる」
スカラムーシュと呼ばれた野球帽の男は顔をしかめると、トックリを取り返し自分のオチョコに注いだ。

「ヘーヘーヘー、そうは言っても俺みたいなサンシタがソウカイヤをどうこうできるわけねえだろう?
捕まったら最後、全身サイバネだらけにされて脳みそもいじくられちまうって話だったしよ」

「それで、オマエは俺がそうなると聞いていて、見捨てたってわけだ。冷たいなあ、エェッ?」

「オマチ!」
「お、キタキタ。……ま、それは言いっこなしだぜ」
男は4つのタマゴのうち2つを小皿に取り分け、スカラムーシュの方へと押しやる。スカラムーシュはため息をついて受け取った。

「しかしオマエも運が良いなあ?捕まってる時にザイバツが攻めてきたんだろ?」
「ザイバツ?」
「フリーランスの間じゃ噂になってるぜ、ザイバツの奇襲攻撃で一晩でソウカイヤが滅んだってよ」

男はそう言うとオチョコのサケを飲み干し、ビールを追加注文する。

「ま、キョートが拠点のザイバツ様だ、俺らネオサイタマ組のフリーランスとしてはこれまでよりずっとやりやすくなってありがたい限りだ。」
「だいぶ戻ってきてるフリーランスもいるみたいだぜ? 有名所で言えばソードダンサー=サンなんかもそうみたいだな」

スカラムーシュはソードダンサーの姿を思い浮かべる。
何度かビズで一緒になった腕利きのニンジャ。とてもじゃないがスカラムーシュは彼と同じイアイ使いだと言う気にはなれない。……だが、

「ソウカイヤを潰したのはザイバツじゃないぜ」
スカラムーシュはタマゴにたっぷりとグリーン・カラシをつけてから頬張った。

「へ?」
男は意外そうな顔をする。

「ソウカイヤを滅ぼしたのはな、実のところたった9人のニンジャなんだよ」
「アイエッ? そんな馬鹿な話があるかよ!」
「それが本当なんだよな。しかもその中にはあのネオサイタマの死神がいたらしくてな……」
「アイエエ! あの狂人と協力するヤツらがいたってのか!?」
「ヘヘヘ、俺は実際トコロザワピラーにいたからな、歴史の証人ってわけよ……」
スカラムーシュは笑うと、もう一つのタマゴに今度はショーユをかけて頬張った。

「どうだ、実際サケのツマミには最高の話だと思うんだが、実際俺はもうそろそろ帰ろうと思っていてな……」
「チィーッ、相変わらずこすっからいヤツだ! オヤジ、こいつにサケを一つ!」
「アイヨッ!」
「ドーモドーモ、じゃあ何から話してやろうか。そうそう、その9人のうち死神以外の8人は元々ソウカイヤに属していてな……しかもあのアルマゲストの部下で……」
「アイエエッ!?」

ネオンに照らされながら、ネオサイタマの夜は今日もふけていく…………。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【デイ・アフター・デイ】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ザ・エピローグ・オブ・ブーケトス】

「……へー、夜逃げですか」
「まあ、人聞きが悪い話ですけどね」

ネオサイタマ郊外――空は相変わらずの曇天に包まれているが、珍しく重金属酸性雨は降っていない。
長距離バスを待つ乗客のためのちょっとしたベンチで3人の男女がぼんやりと話している。

苦笑交じりに参ったなあと頭を掻く少年の名はヒカイ。
ごく一般的な男子高生であったが父親と共にバスで移動している最中に事故に巻き込まれ、
自分の身を守るように覆い被さった父親の死体の下からニンジャとして生まれ直した。
父子家庭であり、親族もいないヒカイは家族と人生を失った。

「ソウカイヤはもう無くなったし、もう狙われる心配も無いと思いますけどね」
「ええ、僕も彼女も多分大丈夫なんだと思います」
「けど……この街は、少し辛いことが多すぎました」

ヒカイにしだれかかる少女の名はミツマメ。
かつて存在した人身売買で勢力を伸ばしたヤクザによって、彼女はネオサイタマへと来た。
二束三文で彼女を売り払うことに、故郷の家族はどれほどの葛藤を抱いたのだろうか。
きっと、然程の罪悪感も抱いていなかったのだろう――彼女は自嘲する。
ネオサイタマという巨大な牢獄に囚われた彼女はニンジャになった。

ニンジャとなったヒカイを追うプリズナー。
ニンジャとなったミツマメを追うヤクザ。

ボーイ・ミーツ・ガールというにはあまりにも血塗れであった。
ただ、彼と彼女は協力して生き延びた。
足元に絡みついた鎖なぞ付いていないように、どこまでもどこまでも走った。

「どこへ行くんですか?」

「どこへ行くんでしょうね、けど」
「ええ……きっと、どこまでも」
ヒカイとミツマメは顔を見合わせて笑う。

「きっと行けますよ、ネオサイタマよりも遠くへ、キョートよりも遠くへ、オキナワよりも遠くへ……どこまでも」
二人の様子を見て、ストーンカも薄っすらと笑う。

「到着ドスエ」
マイコアナウンスが長距離バスの到着を告げる。
ライトが彼女たちを照らす。電子音と共にバスが停止する。
ヒカイとミツマメは手を繋ぎ、乗車する。

ストーンカは乗らない、乗れない。

「乗らないんですか、ストーンカ=サン?」
きょとんと頭に疑問符を浮かべて、ミツマメが尋ねる。

「ええ、良いんです」
ストーンカはバスが向かう先、どこまでも続くかのようなコクドウを見る。
夜の闇が無くても、その果ては自身のニンジャ視力でもわからないほどに、長く、長く、どこまでも続いているのだろう。

「ああ、そうだ」
ストーンカはバイオ白百合を束ねたブーケをミツマメに投げる。

「センベツというにはこんなものしかありませんが」
「……ありがとう!」「きっと、幸せになりますから俺たち!」
ミツマメとヒカイは投げられたブーケの意味を少し考え、ドアが閉じる寸前に叫んだ。

長距離バスが走っていく、あの日ストーンカとカトブレパスが乗れなかったバスが。
どこまでも、どこまでも遠くへ。


ゴウゴウゴウゴウゴウゴウゴウゴウ


暴走者クランめいた大量のエンジン音。
その先頭を走るのは――ニンジャだ!バイクよりも速く!長距離バスを追って来たのだろう。

「ドーモ、ストーンカです」
ストーンカは軽くオジギをする。

「ドーモ、ストーンカ=サン……ハウンドドッグです!」

大量のバイク編隊を従えた猟犬めいたニンジャがアイサツを返す。
「あの女……ペットとして可愛がってやれば飼い主の手を噛むとんだイディオット!」
「……あー、アナタが例の」

「お前もニンジャか?奴らのヨージンボーか何かか?無駄なことを……退け!」
「いえいえ、退けません」

「彼らはあのバスに乗ってネオサイタマよりもキョートよりもオキナワよりも……どこまでも遠くへ行くんです」

「バスになぞ乗らんでも俺達がアノヨに送ってやるわ!」

「そうですね……私達は乗りそこねたんだ、もう一生あのバスには乗れない」

「お前はこの世からも乗りそこねるけどな!」


◆ハウンドドッグ(種別:ニンジャ/重サイバネ)
体力:15
精神力:8
脚力:5
カラテ:7
ニューロン:7
ワザマエ:7
ジツ:-
近接攻撃ダイス:12
射撃ダイス:9
回避ダイス:9
◆装備や特記事項
▶生体LAN端子:
【ニューロン】判定時にダイス+1個、ハッキング時にさらに+2個
▶▶▶テッコ++:装備前提「??生体LAN端子」以上
【カラテ】判定時にダイス+3個、回避ダイス+3個、【ワザマエ】判定時にダイス+2個。
▶▶▶サイバネフレーム:装備前提「??生体LAN端子」以上
【体力】+6、【精神力】+3、【脚力】?1
↓過剰戦闘衝動(軽度)(最初から発動)
↓狂気の中の真実(軽度)
◆バイクヤクザx100(種別:ヤクザ/重サイバネ)
体力:5
精神力:2
脚力:4
カラテ:3
ニューロン:2
ワザマエ:3
ジツ:-
近接攻撃ダイス:3
射撃ダイス:3
回避ダイス:3
◆装備や特記事項
100人の射撃が飛んでくる(時間差無し)

ストーンカ:カナシバリ → ハウンドドッグ

17d6>=4 = (6,1,6,4,1,1,5,2,4,5,5,6,4,6,2,6,4 :成功数:12) = 12
7d6>=5 = (3,1,1,5,3,6,6 :成功数:3) = 3


ストーンカ:白百合の芳香

17d6=6 = (2,6,3,2,4,3,4,2,5,2,6,6,2,6,3,3,4 :成功数:4) = 4

ストーンカの手のひらに百合の花が生じる。
ブンシンを増やすマジックモンキーめいてストーンカが花に息を吹きかける。

それだけでヤクザは全員死んだ。

「……ナンデ?」
「よく言うでしょう、人の恋路を邪魔する奴は……何か死ぬって」

ハウンドドッグ 2連カラテ

6d6>=4+6d6>=4 = (5,2,5,1,4,6 :成功数:4) + (2,1,3,1,3,2 :成功数:0) = 4

部下の全滅に動揺を隠せぬハウンドドッグのカラテは精彩を欠く!

10d6>=3 = (2,6,2,5,3,1,1,3,3,3 :成功数:6) = 6
9d6>=4 = (3,3,5,1,3,2,1,3,6 :成功数:2) = 2

「イヤーッ!」「イヤーッ!」
ストーンカはブリッジ姿勢でハウンドドッグの攻撃を回避し、
カポエイラめいたケリ・キック!ハウンドドッグはバックステップ回避!

-2-

ストーンカ カナシバリ・永遠の繭期の終わり → ハウンドドッグ

17d6>=4 = (5,6,3,6,1,6,5,3,2,2,1,4,3,1,6,1,3 :成功数:7) = 7
7d6>=5 = (1,4,6,5,4,5,6 :成功数:4) = 4
17d6=6 = (4,6,1,4,5,5,5,2,4,6,5,3,5,1,5,2,5 :成功数:2) = 2

「グ……グワーッ!」
執拗なニューロン攻撃にハウンドドッグは頭を抱える。

「引きますか?ハウンドドッグ=サン」
微かな嘲笑を浮かべ、ストーンカが尋ねる。
「退けるかよ!」
ハウンドドッグは叫びと共にカラテを再度構える。

「逃げた女を追っかけて部下を全滅させるだと……バカな!
こんなところで退けるイディオットではないわ!」

6d6>=4+6d6>=4 = (3,2,3,3,5,3 :成功数:1) + (5,1,5,6,2,1 :成功数:3) = 4
5d6>=3+5d6>=3 = (5,2,2,2,4 :成功数:2) + (4,3,1,3,6 :成功数:4) = 6

「イヤーッ!」「イヤーッ!」
ハウンドドッグはその名の通り猟犬めいて飛んだ!
人間は牙と爪を失った――だが!ニンジャはそれを持っている!人間の邪悪な知性と共に!
ストーンカはハウンドドッグのカミツキを回避し、ケリ・キックを叩き込む!

4d6>=4 = (4,6,2,4 :成功数:3) = 3

ハウンドドッグは軽やかな身のこなしでストーンカの足の上にのり、鋭い爪によるチョップを見舞う!
ストーンカはチョップを抑え、地面に叩きつけんとする!3

3d6>=4 = (5,2,2 :成功数:1) = 1

ゴウランガ!ハウンドドッグの見事なウケミ!

ストーンカ 体力:11 精神力:10
ハウンドドッグ 体力:15 精神力:5

-3-
ストーンカ カナシバリ ユメミルテ → ハウンドドッグ

15d6>=4 = (3,2,3,2,5,4,4,5,1,5,4,2,4,4,2 :成功数:8) = 8
7d6>=5 = (5,2,4,3,1,1,6 :成功数:2) = 2
10d6>=4+7d6>=4 = (6,2,1,3,4,6,6,5,4,5 :成功数:7) + (3,3,2,6,6,6,5 :成功数:4) = 11

両方マウント宣言!

3d6>=5+2d6>=5 = (1,5,3 :成功数:1) + (4,3 :成功数:0) = 1

ゴウランガ!獣じみたハウンドドッグの動きをストーンカはとうとう捉えた!
アイアンクローめいてハウンドドッグの顔面を掴み超自然の01光を叩き込む!

「イヤーッ!」「アババババババババババーッ!!!!」
目から、耳から、口から、
身体にある穴という穴からハウンドドッグは血を垂れ流していた。
意識すら朦朧とする彼を立たせるものはなんだ。
彼はカラテを再度構えた。

「……こんなくだらないところで終われるかよ!」

6d6>=4+6d6>=4 = (2,1,3,5,3,2 :成功数:1) + (3,5,2,3,3,6 :成功数:2) = 3
5d6>=3+5d6>=3 = (4,1,5,1,2 :成功数:2) + (3,3,3,1,6 :成功数:4) = 6

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」ストーンカはハウンドドッグの突進に合わせてニー・ヤクザ・キック!
「イヤーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」それでも組み付かんとしたハウンドドッグに対してヤクザ・エルボー!

ストーンカ 体力:11 精神力:8
ハウンドドッグ 体力:13 精神力:0

-4-

「ハイクを読め……ハウンドドッグ=サン!」
「……まだだ、まだ終われねぇ……こんなところじゃ……!」

ハウンドドッグは朦朧とする視界でコクドウの先を見る。
ニンジャになった以前のことはよく覚えていない。
だが、ひたすらに死体を積み上げ続けてここまでたどり着いた。
まだ行ける――ソウカイヤも無くなり、これから自分の時代が来るのだ。

「どこまでも……どこまでもッ!」

15d6>=4 = (6,4,3,2,1,5,2,4,4,3,3,3,2,2,2 :成功数:5) = 5

「アバ……」ハウンドドッグの動きが止まる。
最早、ストーンカのカナシバリに抵抗する精神力はない。
戦うことだけが奇跡であった――そして、もう奇跡はハウンドドッグに微笑まない!

10d6>=4+7d6>=4 = (3,2,5,3,5,2,2,2,6,3 :成功数:3) + (6,5,4,2,4,6,2 :成功数:5) = 8

「イヤーッ!!!!」

ストーンカのユメミルテがハウンドドッグのニューロンを完全に捉えた!

「アバッ……アバババババババババババババ……」
まだだ――まだ行ける、俺はどこまでも。
コクドウの先――未来――夢――どこまでも届く俺の――

「サヨナラ!!」
ハウンドドッグ発狂死!

「……サヨナラ」
ストーンカはハウンドドッグの死体を振り返ることもしなければ、
バスが進んだコクドウの先を見ることもしない。

持っていた長距離バスのチケットをビリビリと破り捨てて、ハラジュクへと戻る。
チケットの破片は、花びらに変わり、そして01に分解されて消えた。

全てはもう喪われ、戻らない。
心の中にあるものを殺し蘇ってしまったものを殺し
それでも、ストーンカはたまたま出会った二人に何かを託すことが出来た。

だから、それで良い。

「……サヨナラ!!!」

【ストーンカは全てを受け入れて、ジツ:7に成長した】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【デイ・アフター・デイ】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ヒナコの場合

【ネオサイタマ/ネオサイタマ大学】

ソウカイヤが滅んでからしばらく。
センタ試験を上々の成績で突破した私は、ネオサイタマ大学の入学試験を迎えていた。

「いいかいヒナコ=サン。キミは学力テストではもう心配はない」
付き添いできてくれたクロミネ=サンが真剣な顔で私にアドバイスする。

「それよりも心配なのは面接だ。ネオサイタマ大学の面接では、必ず政府官庁の有力者が面接官として入ることになっている。」
「『学問の自治』が歴史上の単語になって久しいが……、ともあれそこで将来のエリート候補である学生がどれだけ権力に素直に服従するかを見るわけだ」

「ハイ」
私は素直に頷く。

「しかも今回面接官になっているのはネオサイタマ市警の高官だという。警察といえばもっとも上下関係に厳しい組織だ。
間違っても相手の言葉に反抗したり、現在のネオサイタマ体制を批判するようなことを言ってはいけないよ」
「……」
「ヒナコ=サンがジャーナリストを志しているのはわかってる。だが、ここはぐっと堪えるんだ。いいね?」
「ハイ、わかりました」
私はもう一度頷くと、ネオサイタマ大学の巨大な校舎を見上げた。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「ではムカタ=サン。志望動機を」
「ハイ、私は現在のネオサイタマの政治体制を深く支持しており、その下支えとなるべくこの大学で学びたいと思いました。私は高校時代ヤブサメ部で副部長でした」
「はい、ありがとうございます」
「ではコマタ=サン。志望動機を」
「ハイ、私はネオサイタマの企業をより発展させるべく、経済をこの大学で学びたいと思いました。私は高校時代ボーイスカウト活動で潤滑油でした」
「はい、ありがとうございます」

面接が始まり、緊張で顔を真っ赤にした受験生たちの回答がベルトコンベアーめいて淡々と流れていく。
学校側で受け答えをしているのは冷たい色のスーツを着たメガネの面接官補佐。
本来の面接官であろう眼帯をした厳しい老人は腕組みをしたまま目をつぶり、学生たちの答えを聞いているのか、いないのか。
「アバーッ!」
順番待ちをしていた学生の一人が緊張のあまり嘔吐し、面接会場からフリークアウトした。
大学受験ではよく見られる光景だが、同じ受験生の立場で見るといたたまれないものがある。

「……それでは次、コトナギ=サン」
面接補佐官の冷たいメガネが私の方を向いた。
「ハイ」
「志望動機を」
「ハイ」

私は椅子に座ったまま、眼帯の老人をじっと見つめた。
ネオサイタマ市警。もし、こいつらがカネマスと癒着していなければ父や孤児院の子どもたちは死ななくて済んでいたかもしれない。

昔の私なら怒りで我を忘れていたかもしれない。だが、今の私は違う。
警察だけではない、ネオサイタマの闇に蠢く様々な存在を知った。決して光で照らされぬ彼らの存在を。

「……コトナギ=サン?志望動機をお願いします」

「私は」

私はそこで息を吸った。私は、ウソはつけない。
それは闇と戦った彼らを裏切ることになる。

「私は、ネオサイタマの闇に光を当てたい。そのためにジャーナリストになりたいと考えています」

「……」
眼帯の老人が薄目を開けて私を見た。

「ネオサイタマには様々な悪徳が溢れています。貧富の差、労働基準法や環境保護を無視する企業、ヤクザや犯罪の跋扈、社会保障制度の破壊、政官財の癒着、そして、警察の堕落」
「き、キミねえ!ここにいるのが誰だか分かって――」

面接補佐官が立ち上がり私の言葉を止めようとするのを、眼帯の老人は手で制した。
眼帯の老人は私をじっと見つめる。胸の底まで貫くような厳しい眼光

「……続けなさい」

「私は孤児院出身です。父が経営していた孤児院で、10人ほどの子供達と一緒に暮らしていました。ですが、地上げにより私以外の全員が殺されました」

「……!」

「私は警察に駆け込もうとしましたが、不動産会社との癒着により助けられるどころか、捕まりそうになりました。そして、逃げ出した私を更に追いかけてきた存在がありました」

私はそこまで言うと、眼帯の老人を見つめ返した。

分かるだろう、伝えるように。

眼帯の老人は分かる、と答えるようにゆっくりと頷く。この人はニンジャの存在を知っている。

「そこで私はネオサイタマの闇に触れました」
「……」
「それは決して報道されず、警察の力で抑えることもできず、そして裏から誰もを力で支配する存在です」
「ですが、その中で私のことを助けてくれた人達がいました」

老人が興味深げに眉を動かす。

「……彼らもまた、始めは巨大な闇に鎖で繋がれていました。私の知らないところで様々なことをやっていたらしいことも知っています」
「ですが、彼らは最後に抗う選択をした。自分達の正義のため、巨大な闇と戦うことを決意しました。その戦う理由の一つには、私を守るため、というのもありました」
「ビガーケイジズ、ロンガーチェインズ。どこまでいってもより強いモノ、より長い鎖に支配される。それがこのネオサイタマの掟、皆がそう言います」

私はいつの間にか椅子から立ち上がっていた。

「ですが、私はそうは思わない! 人は鎖から自由になれる。ならなきゃいけない!人を鎖でつなごうとする闇があるならば、光で照らして明らかにしなきゃいけない!」

「そのためには力が必要です!ですが私は彼らとは違う、この腕では自分ひとりも守れない。でも、ペンの力なら銃よりも大きなことができるはず!」

「私はそのための知識を得るために、この大学で学びたいと思っています。 鎖を断ち切り、闇に光で照らすための力を得るために」

私はそこまで言うと、大きく息を吐いた。

「それが、私がこの大学を志望する動機であり、”彼ら”への恩返しだと思っています」

「け、警備員!この小娘をつまみだ――アイエッ!」
叫ぼうとした面接官補佐が、老人のアトモスフィアに当てられて椅子から転げ落ちた。

眼帯の老人は腕を組んだまま、私のことを射抜くように見つめている。

「……私は、ノボセ・ゲンソンという。改めて名前を聞いていいかな?」
想像していたよりもずっと低く厳しい、しかし柔らかい声。

「コトナギ……コトナギ・ヒナコです」

「コトナギ=サンか。……どうだ、デッカーに興味は無いかね?」
ノボセと名乗った老人は、唐突にそう言った。

もしかしたらこれは最後通告なのかもしれない。ここでデッカーに興味があると言わねば、私はいよいよ逮捕されるのかもしれない。
まあ、その時は逃げればいいと思った。それくらいの修羅場はくぐってきてる。

「私は、ジャーナリストになりたいと思っています」

「……そうか、残念だ。良いデッカーになると思うのだが」

意外なことに私の答えを聞いたノボセ老はクックと笑うと、優しい目で私を見た。

「若い。眩しいほどに若い。その道は苦難の連続だぞ、何も果たせず殺されるかもしれん」
「死にません。今までも私は弱かったけど、いつだって誰かに守られてきたから」

私が言い切ると、ノボセ老は一瞬あっけにとられたような顔をし、そして改めて柔らかな笑顔になった。

「……そうか。なら、大学で思う存分学びなさい。あらゆる知識を吸収しなさい。そして願わくばそこで得たものを、君が思うように使いなさい」


「合格、おめでとう」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【デイ・アフター・デイ】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ムラサキ・ソウマの場合+みんなの反応

【ネオサイタマ ハラジュク】

「つまらないものですが」髪の長いキモノを着た女がオーガニックマッチャの入ったチャワンをスッと差し出す

「いえ 結構です。悪いですよ」
サラリマンが断る。その場で貰おうものならムラハチだ。…サラリマンの目は女の豊満なバストに注がれている。…穏やかな時間が茶室で流れ…

スターン!
「タコス食いてえ!」「俺コロナ!」
ナムアミダブツ…敵対茶室からの嫌がらせだ!

「「アイエエエ!?」」サラリマンは白目を剥く!「……」女は静かに茶室の出入り口へと向かう。

「ア?」茶室の出口は小さい…そのような作りなのだ。

「なンだテ「イヤーッ!」

11d6>=4 = (5,5,3,6,6,2,2,1,1,3,2 :成功数:4) = 4

「「「グワーッ!」」」

女のカラテとは思えぬ殺人的キック!

ヨタモノが茶室の小さな扉から射出され、後ろのヨタモノをボーリングのピンめいて吹き飛ばす!
「「アイエエエ……な、なんですかムラサキ=サン」」

「…失礼します。少し…片付けをば」女は茶室から出ていった

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「…モシモシ」着物から着替えハラジュクカワイイな格好で女は街を出歩く。今日は早く帰っていいと言われたのだ

「エッ本当かヒナコ=サン!ヤッター!」「ウン、すぐに帰る…!」

女は街を駆け出した

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

トライヘッズ:「ヒナコチャン…合格したんだね!オメデトー!」
そういう彼女はテストで赤点だったため、兄によるオベンキョ研修重点期間であった

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「ヒナコ=サンも合格したし、私も頑張らないとな……」
ストーンカは様々な感情の結果から生じた数時間の気絶から目覚めると、
テーブルにてショドーをしたためる。
「……ドラゴンボーン=サン、フォルブレイズ=サン」
そして自分――この3人でまずは始めることとなるだろう。

イマジナリートライヘッズが存在感を示すように手を振るが、
お前女子高生だろ。形骸化したネオサイタマの労働基準法ですら動くわ。

「……CEO、CEOかぁ」

まず最初の問題が生じる。
代表者として自分はあまりにも若いし、フォルブレイズ=サンも若い。
運営自体は行えないことはないが、対外的にはそれなりの人間が欲しい。

イマジナリードラゴンボーンが
ふかふかの社長用ザブトンに座るなり、蜂蜜酒を呑んだ。

ストーンカは決断的に社長とショドーし、その横にモンキとしたためる。

しかし、3人では少々戦力に心もとない。
他のニンジャを仲間に加えたいところであるが、
仲間が平穏に過ごせそうならばそれを邪魔するつもりもない。

イマジナリーチョコハンターとイマジナリートライヘッズが
仲良く手をつないで、社長室の戸をノックする。

ストーンカが無慈悲にスイッチを押すと、
天井から凶悪なタライトラップが降り注いだ。

「チョコハンターか……」

ストーンカは磨り潰したワームを一息に飲み干した様な顔をする。
放置しておくとろくなことにならないだろうし、
まだ手元に置いておいたほうが良いのかもしれない。

「…………」

ストーンカはフートンに入って再び長い眠りについた。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【デイ・アフター・デイ】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

◆ちょっと未来の日常+集うニンジャたちの話◆

フォルブレイズ→ブレイジングの場合

【ハラジュク:???】

「パトロール任務、と言えば聞こえがいいなぁ…今回の仕事は」

「……警備会社、と銘打って旗揚げしたは良いが、ビズの対象が皆目存在しない!だからとにかく適当にそこかしらのヤクザをボコしてきて、それによりビズのコネも出来ればアブハチトラズ」

「……って、相変わらず内容にツッコミどころしかないんだが。ス…おっと。ディスチャージ=サンからの指示は」

「まぁ、いつもの事だったな。いつも通り屑を斬る、それだけだ。」
「……いや、完膚なきまでに叩きのめして生かすことで名声を広めてもいいな。暗黙のうちに淡々と殺したらその脅威を語るものもいなくなるから最後の手段にするか。」

深夜の今の時間帯となれば殆ど誰もいないネオサイタマの路地裏を囁くように色付きの風が駆ける。

ビルの屋上でその色付きの風、『ブレイジング』はふと、何かを思い出したように進行を止め、沈黙思考する。
男子高校生程の年齢と見受けられる彼は襟部分が深いコートを羽織っており、鋭角な鍔広の帽子を被っていた。

「うーむ…最低限周りを巡回した結果だが、もうハラジュクには、余程のバカ以外はもう騒乱の種を持ち込む奴はほとんど居なくなったか」

「……これだけ見ればいい傾向、なんだが、大体こんなときはここからはいなくなっただけで、別の場所に移ってるのが相場だ。こんな簡単に払拭しきれるほどネオサイタマの闇が浅いなら苦労はしない。
いなくなった理由はまず間違いなくソウカイヤ時代から聞かせてきた今までの「睨み」が効いてきたからだからな…」

「こんな時、そんな奴らはどこが与し易いと考えるか…」

「……成る程、よし、行くか」

ブレイジングは再び色付きの風となりハラジュクの夜闇を北東方向に駆ける。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【デイ・アフター・デイ】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ストーンカ→ディスチャージ+チョコハンターの場合

【アマテラス社 オフィス(旧ブラックモンキーヤクザクラン事務所)】

「……高級ヤクザスーツ代金、それでクローンヤクザ」
「アッハイ」
ディスチャージがソロバンで計算し、読み上げたものを、
モンキが奥ゆかしく書類に書き留めていく。
ネオサイタマにおいて物理的書類は人間のぬくもりが重点されるとして、
どれほど効率的であっても、IRCだけでデータ管理がされることは少ない。

(重サイバネクローンヤクザにモテない人間の記憶を埋め込んで、
チョコハンター=サンに強化させる……いや、やめておこう)

ドラゴンボーン、フォルブレイズが強いことは言うまでもないが、
運転手として――あと、保護を兼ねて雇用したつもりのチョコハンターが、
ここまで強くなったことは流石に想定外であった。

「……モンキ=サン、僕は」
「アッハイ、なんですか」
「いえ……やめましょう、頑張ってくださいね」
「ハイ、ガンバリマス」

社長をチョコハンターに据えるか、
そう考えたのが一瞬ならば、否定したのもやはり一瞬であった。

「……ザイバツへの上納金、おマミ、積立……」
ディスチャージはウイスキーボンボンを口に一つ放り込むと、
再び虚無的事務作業へと戻っていった。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「このたびは本当にありがとうございます……息子はいつもあちこちフラフラ歩いてて将来が心配だったんです……それを就職させていただいてなんとお礼を言っていいのか……」
チョコハンターの両親がアマテラス社にアイサツにきて、そして菓子折りを置いて去っていった。

「ご丁寧にありがとございます、社長共々ただただ感謝するのみです」
「アッハイ、アリガトウゴザイマス」
「とんでもない、これまでの経験があったのでしょう。」
「息子さんは未経験の立場ながら、立派に働いています……と社長は仰っています」
「ハイ、立派です」

「お前……親がお前……親がいてチョコハンターやって……お前……」

チョコハンターの両親をモンキと見送ったディスチャージは
ただただチョコハンターに掛けるべき言葉をニューロンで転がし、
形にできないままの残骸を呟いていた。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ディスチャージは悲痛な表情で述べた。
「我々は正しい人間ではない、だが正しくあるものの味方でありたいと考えている」

「再びハラジュクがこのような厄災に襲われたのは、我らの弱さが故である……
だが、かならずや犯人を捉え――再び、平和なハラジュクを取り戻しましょう」

「では、最近起こっているチョコ強奪事件の調査に参りましょう――
犯人はバレンタインデーの日にカップルの持つチョコを狙い、襲撃を繰り返しています。
被害者はその犯人がチョコハンターを名乗ったと聞い――」

(チョコハンター……こいつじゃん!)
(チョコハンター……この人だ!)
(チョコハンター……俺だ!)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「ヤメロー!ヤメロー!」
人生で最悪の時とは何時か、それを知る人間が果たして世界に何人いるのだろうか。
過去にどれほどの不幸があろうとも、人は決して未来を知ることは出来ない。
ただ、過去を振り返ってーーああ、と呻きを漏らすのみである。
今、廃墟に監禁されている男ーーモンキにとっての最悪の日は今だろうか。
いや、違うだろう。

「ヤメロー!ヤメロー!」
「へへ……なぁ社長よぉ……へへ……カネ……!」
「へへ……社長……権力!」

ブッダ!モンキを監禁するのは二人のニンジャであった。
暗黒新興ニンジャ組織『遍久照社』のCEOであるモンキはモータルである。
このような胡乱なニンジャに拉致監禁されることもあろう。
モンキは二人のニンジャによってアマテラスの傀儡CEOに据えられようとしていた。

「大したことじゃないんだ社長、社長の権力で裏金を俺らに回す」
「そして、へへ……アマテラスもアマクダリもザイバツも関与しない空白地帯を作る……俺達が好き勝手出来るエリア、それを作る……それだけだよ」
「無理に決まってるだろ!」
「じゃあ……へへ……」

ゴウランガ!ニンジャの片割れが取り出したものはケジメ用のチェーンソー!
獣が咆哮を上げるかのように鳴り響くエンジン音!

「腕の一本ケジメすれば素直になるかなぁ」
「バカ!やめろ!俺は絶対にアマテラスを裏切らん!」
「見上げた忠誠心だぜぇ……じゃあ腕一本行っちゃうかぁ!」
「お前らに従わなくても助かる可能性はあるんだよ!けど……!」

人生で最悪の時とは何時か、それを知る人間が果たして世界に何人いるのだろうか。
過去にどれほどの不幸があろうとも、人は決して未来を知ることは出来ない。

「俺がアマテラス社を裏切ったら……絶対に助からないんだよ!来るんだよ!ディスチャージ=サンが!」
「じゃあよ……今、目の前にいる俺と、いつ来るかわからないそのディスチャージ=サン、どっちが怖いか試してみようぜェ……へへ!」

「来たよ」

人生で最悪の時とは何時か、それを知る人間が果たして世界に何人いるのだろうか。
だが、モンキは知っている。
眼の前の二人のニンジャの人生で最悪の時は、これから数秒後だ。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【デイ・アフター・デイ】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

スラッシュサージ/リコールウェイブの場合

スラッシュサージはソウカイヤ・キョート拠点でラオモトのスキャンダルが流出したことを知った。

あのニンジャたちが首尾よくやれば恐らくソウカイヤは今夜滅ぶ。
しかし、滅んだ後何が起こるのか。その時動くであろう組織に最も近い彼女は予測を立てた。そして今、それに対する備えは最終段階に入った…。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「ドーモ、スラッシュサージです。ご無沙汰しています。ストーンカ=サン。どうか雇ってください」

「私はキョートでザイバツ監視に当たっていました。このままでは死んでしまいます」
「私は電子戦が得意です。恐らくテンサイ級といったところでしょうか」

「…金出せ?ネコソギ・ファンドの株を売りぬきました。200万あります」

「まだ足りない?ザイバツの勢力図です。レッドウォールなるニンジャがグランドマスターになった直後のものですが」

「まだ足りないと?……私の身体でどうでしょう?初物ではありませんがテクニックは…あ、いらない?はい」
「…雇っていただけますか。ありがとうございます!」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【デイ・アフター・デイ】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

リヴィエラの場合

「では、行ってきますわね」
「ああ、気をつけてな」

場所はネオサイタマ。重金属酸性雨が降る相変わらずの憂鬱な空。
フロントフィールド・ヤクザクランの本部である武家屋敷では家族の団欒が繰り広げられていた。
仲睦まじい夫婦。それを横目にこれまたじゃれあう兄妹(妹がじゃれついているだけなのだが)
そして、それになにか言いかけ、結局見守るだけのオヤブンである祖父。
毎朝、繰り広げられる和やかな光景にシャテイたちも諦め顔であった。

「おかーさんもう行っちゃうの?」妹が母親に不満そうに言う。

ソウカイヤの傘下に入ってしまったフロントフィールド・ヤクザクランはソウカイヤの要請にこたえなければならない

そして母親は…ニンジャであった。

ここ数日のソウカイヤは反乱者が出たことで大いに揺れていた。
そのためなのか自前のニンジャは本拠地のトコロザワピラーに
傘下の組織のニンジャは外部での敵対組織への警戒にと割り振り、
母親であるニンジャはほとんど家に戻れていなかった。

「大丈夫。すぐに戻ってきますわ」
娘の頭を撫でながら母親は安心させるように言った。
「お父様が守ってくれますわ」
後ろでこくこくと頷くワカガシラである父親(モータル)
「おとーさん、おかーさんよりめっちゃ弱いじゃん」
「まぁまぁ…うふふ」
「確かに、腕っぷしではそうですわ。ですが、あなたのお父様はあなたたちのためならば絶対に退きません」
「えー?ほんとぉ?」
「馬鹿言うな。父さんをなんだと思ってるんだお前は」さすがにむっとする父親
「まぁ親父はともかく、俺がお前を守るよ」
その様子に兄が笑いながら妹を撫でた。
「それなら安心!」
母親と兄妹は笑いあい…それにむっとしていた父親もやがて笑い出し…
一しきり笑いあうと母親はナギナタをもって家を出た。


───そしてその日ソウカイヤは滅びた

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ソウカイヤが滅びて一週間ぐらい】
【ハラジュク アンダーバンブーストリート】

君たちは、今日は特に仕事もなく遊びに来たトライヘッズの相手をしていた。

トライヘッズ:「………」行く前にアハトの墓に手を合わせる。

ハートレス:「…」

ディスチャージ:「……」

トライヘッズ:それはそれとして来た!

ハートレス:「…とりあえず、オチャよ」

:12d6>=4[=6] = (6,4,3,3,6,5,4,4,2,6,5,3 :成功数:8 , サツバツ![=6]:3) = 11

ハートレス:ヒサツ級のオチャだ

トライヘッズ:「ゴキゲンヨ!アリガト!」

ディスチャージ:11d6=6 = (2,3,4,3,4,5,3,2,4,5,2 :成功数:0) = 0

ディスチャージは適当にチャを飲んだ。
ディスチャージ:「うん、割と美味しいですね」

トライヘッズ:「…あの日…ぶりかな」

ハートレス:「まあそうねえ…」ぼけーっ
あからさまに気が抜けてるのだ!

トライヘッズ:「………ワタシも結構平和ボケしてきたよ」

ハートレス:「平和なのはいいことよ…寝てられるし」

トライヘッズ:「オニイチャンにも毎日会えるし…って思ってたけど、なんか最近あまり家にいないんだよね」
「…バイトでもしてるのかな…」

ハートレス:「しったこっちゃないわよあんたの兄の話なんて」ずずー

ディスチャージ:「アナタのお兄さん、なんか気持ち悪いんですよね。話聞いてると」

トライヘッズ:「………キモいとはなんじゃい!いくらスト…ディスチャージ=サンでもおこるよ!」

トライヘッズ:「……と言いたいけど…………」「否定しきれません」

ハートレス:「まあ、漏れ聞こえる話だけでもそれはわかるわよ」

ハートレス:「…というか、何で名前変えたの?ストーンカ=サン」
「呼びにくいんだけど」

ディスチャージ:「退院(ディスチャージ)したんだよ」

ハートレス:「…」「そう」
「…おめでとう?」

トライヘッズ:「………退院オメデト!…って…言えばいいのかな」

ディスチャージ:「ドーモ」

そんな風にのんびりしていた君たちのIRCにノーティスが入る

トライヘッズ:「………ん?」ノーティスに反応する

ハートレス:「…」ぼけー

自警団からで内容は
『変な格好をした女が歩いている。そちらの近くを通るので止めてほしい』というものだ

ハートレス:「…めんどくさ」

トライヘッズ:「………ヘンタイかな」

ディスチャージ:「スケルター=サンじゃないんですか?」

ハートレス:「最近そんな変な格好してないじゃないリーダー」

トライヘッズ:「じゃあ…女版チョコハンター=サンかな」

ディスチャージ:「ま、良いや仕事しますかね」

トライヘッズ:「だね。ニチョームに引っ越しした身としてしっかりガンバらなきゃ!」

ハートレス:「うげー」「まあ暇だし見物がてら手伝おうかしら…」

ごそごそ
ハートレス:「ハイこれ、いつものよ」スシ、トロをトライヘッズに

トライヘッズ:「アリガト―」

ハートレス:「後はこれかしらね」
モウドクとザゼンを持ち出しておく

ディスチャージ:「準備が良いことですね、では行きましょうか」

君たちは路上に出て、あたりを見渡した

ハートレス:「ふあー…ねむ」

トライヘッズ:「さて...変な女ってどんな風に変なんだろう…」

するとすぐに君たちは気が付いた
死装束である白装束を身にまとい、
背にノボリを背負った女性…ニンジャが歩いている

ハートレス:「…」

トライヘッズ:(…あの人だ)

君たちのニンジャ視力は、ノボリには
『殺してから死にます』
『やられたからやり返します』
など威圧的にミンチョされており、
額のハチマキには
『身勝手』
と書かれていることが判別できた

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【デイ・アフター・デイ】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

キラーハンターの場合

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ハラジュクから少し離れた位置にある酒場や居酒屋が並ぶストリート
大通りには人々でにぎわう店、少し路地に入るとひっそりとした店。さまざまである。

ムラサキ:「……」ちびちびとカルーアミルクを飲む女…バストが豊満だ

キラーハンター:「はあ……疲れた疲れた」

路地の奥にあるひっそりとした酒場のカウンターで、グラスを揺すっている女がいた。

最近は仕事も何もなくなっている。今は残りの金で人生を楽しむだけだ。
黒いコートの裏のグレネードに気付いた客が距離を取った。

ハートレス:「ビール、ジョッキで」おもむろに注文

スラッシュサージ:「ミソスープ・ラムを」おもむろに注文

キラーハンター:「ウーン……ビール……いや、アイス・チャで」おもむろに注文

ハートレス:ごびごび

ハートレス:「…アー…仕事上がりのビールはおいしいわね…」

スラッシュサージ「…冒険したのは失敗でしたね」美味しくはないらしい

ユイ・クレハ「メロンジュース」

ハルアキ・クレハ「ここにそんな物はない…別のとこ行くぞ」

ユイ・クレハ「ハーイ」ユイは兄に連れられて去っていった

スラッシュサージ:「…結構な数のニンジャソウル…少なくとも私含め5…6…いや4…」

ハートレス:「言わなくても気づいてるわよ」

キラーハンター:「……ン」

スラッシュサージ:「6から4に減ったのはちょっと不自然…ん」

キラーハンター:「……おたくらニンジャ……ニンジャだな! っとシツレイ。あまり大きな声は出さない方が良さそうだ」

ハートレス:「ええ、そうよ?」ごびごび

スラッシュサージ:「ええ…うっぷ」おいしくない

ハートレス:「いらないなら私が飲むわよ?」

スラッシュサージ:「ドーゾ…ミソスープ・ラムですよ…」

ハートレス:「ドーモ、ごびごび」「ウワッくっそまずい」でも飲む

キラーハンター:「ミソスープ・ラムね……」嫌そうな目をしながら見ている

スラッシュサージ:「えーと、ドーモ、スラッシュサージです。あなたは?」

ムラサキ:「……」女は静かに酒場を去った

キラーハンター:「ドーモ、キラーハンターです」
「最近は仕事が入らなくてもう大変大変」

ハートレス:「ドーモ、ハートレスです」「へえ…」

スラッシュサージ:「ここはハラジュク境界に近いですが所属は…フリーでしたか」

キラーハンター:「フリーよ、私は。なんか最近のニンジャ界についていけなくなってきてね…」
「こうやって貯めた金を使ってそこらの路地で寝てるよ」

ハートレス:「へえ…あ、蜂蜜酒一つ」注文!

スラッシュサージ:「ザイバツはフリーを雇いませんし、アマクダリは…私はズンダ・カクテルを」

ハートレス:「…んー…」

キラーハンター:「あ、アイス・チャ追加」

ハートレス:「…なら、ちょうどいいかしら?」

ハートレス:「あなた、うちに入りなさい」びしっ

キラーハンター:「……マ、マジ?」

ハートレス:「マジ」

キラーハンター:「マジか。オーケイ」

ハートレス:「ちょうど戦力が少し足りないってストーンカ=サンがぼやいてたしね」

スラッシュサージ:「(私の時は頭を下げたんですけどね)」

キラーハンター:「いいよいいよ。仕事ないし……」「だから入る」

ハートレス:「よし、じゃあついてきなさいな」酒を飲みながら出る

キラーハンター:「……よし!」ついていく

スラッシュサージ:「私の方が貧乏なのに…これお勘定です」素子を支払い続く

というわけでアマテラス社に一人ニンジャが増えたのだった

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【デイ・アフター・デイ】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ハートレス+トモエの場合

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ハートレス:「zzz…」

ここは、ハートレスが営んでいる薬屋【ツキノヘビ】

立地は、ヒナコの孤児院の裏手、つまりほぼ孤児院に住んでるに等しいぐらいの距離だ

なぜ、わざわざ孤児院と店を分けたかというと

ハートレス:「怪しげな薬屋の店構えは路地裏と相場が決まってるわ」

という店主の謎のこだわりだ

…ちなみに、扉には「気が向いたら営業」のカンバンがまぶしい

ハートレス:「…んー…」のびー

ハートレス:「よいしょっと」がぱっ

…そして、建物が面している、ということは…

ハートレス:「よっこらしょ」がぱっ

…当然、至るところが隠し通路にて孤児院とつながってるのだ

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ツキノヘビ:店内】

ハートレス:「zzz…」

ハートレス:「…ん」

――まどろみから覚めてしまった

――理由は明白、ニンジャの気配だ

ハートレス:「…ふぁぁ…ちゃんとお客さんだといいけど…」

――今日のところは看板は「気が向いたので営業中」なのだ、運のいいニンジャだ

――ツキノヘビは、どこのニンジャにでも薬を売る(少なくとも私は商売をそういうものだと思っている)

――ただ、私が気に入らない奴には売らないってだけで

ハートレス:「さーて、どんなニンジャかしら…」

がらっ!

トモエ:「オジャマシマース!」「ドーモ!トモエです!」

ハートレス:「あら、いらっしゃい」

――へえ、ずいぶんと強い…

――ザイバツのニンジャあたりかしら

――それに、なんとなく気にいる顔ね

ハートレス:「うちはニンジャの薬売りよ」

トモエ:「へー、ちょっと通りかかったところにいいお店があるのねー」
「それに、なんとなーくいい感じの雰囲気―」

ハートレス:「へえ…」

――なんとなく、このニンジャ――トモエといったか――とは相性がいいみたいだ

ハートレス:「うちの薬は効き目はいいわよ」

トモエ:「へー!私傷だらけになりがちだし、いいかもー!くーださーいな!」

ハートレス:「一つ万札:30万ね」

トモエ:「ウワッ高い」「エートいくらあったかな…」

――割とぼったくり値段に文句を言わないなんて、ホントにいいお客様ね…

トモエ:「…40しかないや…」「…えへへ…二つ買うから負けて?」

――その顔を見ていると、なんだか、しょうがないなあ…という気分になってしまった

ハートレス:「…いいわよ、お得意様が増えるのもいい感じだしね」

トモエ:「ヤッター!アリガトー!」

トモエ:「じゃあこれとこれ!」

ハートレス:「ハイ、マイドアリー」

トモエ:「それじゃあ、また来るわね!なんかいい気がするしここ!オタッシャデー!」

ハートレス:「オタッシャデー」

――嵐のように来て嵐のように去っていった

――んー、なんとなく、また来そうな気がするわあのニンジャ…

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【デイ・アフター・デイ】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

トライヘッズ→インディペンデンスの場合

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ユイの家】

ユイ「ひかる~ひかるよ~~~ソーキそば~」ひかるソーキそばである

ハルアキ「ソーキそばとは!手堅い物を買ってきたな!」

とりあえずソーキそばを美味しく頂く兄弟。食べ終えたころ

ユイ「…ねえオニイチャン、何で最近おうちにいないのかな」
急に単刀直入に言ったユイであった。

ハルアキ「いや~…フッハハハ!バイトだバイト!特別なバイトだよ!なんてことはない!」

ユイ「バイトか~。ならいいや!まだちょっと残ってるから食べよう」

ハルアキ「フッハハハハハハハ!戦う道は働く者にしか開かれない…その先にはきっとニューワー」

ユイ「ゴチソーサマ!オニーチャンも食べよう食べよう!」

ハルアキ「アッハイ」

【しばらく後】

ハルアキ「…そろそろオレはまた行かねばならない…オレにだけの戦いがあるんだ…無論バイトだぞ」
(出来る事なら、ずっとここにいたくなるな…だが…か弱すぎるユイを守るにはこのマッポーそのものをどうにか変えなければならない…戦いを止めてはいけないな。)

ユイ「ウンウン!」旅立っていく兄を笑顔で見送る。
(オニーチャンワタシに隠して何やってるんだろう。…まあ深入りは良くないかな…)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

トライヘッズ「ウーン、ワタシもそろそろ偽ニンジャネームとか変装とか考えた方がいいかな〜。」

ス…ディスチャージが自分の名前を聞くだけで発狂するというレベルにまで疲れてしまったと言う事実やインフレイム前の日に「これ以上戦わないで」と言われたことを重く見て、

偽名を名乗ることで少しでも私のことをディスチャージが気にしないようにするための発言であった。
トモダチが私のせいで苦しむのは嫌だ。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

男装は初めてだったけど、これで良し。

ニンジャ装束も別バージョン。サイバーサングラスもアクマヘンゲ硬質フルフェイスキツネオメーンにヘンゲさせて顔はしっかり隠す。声も頑張って変える。

フルフェイスオメーンに変声機能も付けられるかな。ヘンゲの時は…その時考えよう。

結局これでも少しもディスチャージの慰めにはならないかもしれないと思いつつも、戦いをやめることは考えちゃだめと思っていたユイであった。

「名前は………真面目っぽくしなきゃ!」

「………インディペンデンス。カッコイイ!」

「独立」と言う意味であった。これからはこれを名乗ろう。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ネオサイタマ電話相談室】

ディスチャージ:「企業代表をしています……はい……いや、あの雇っていないっていうか、不採用にした人間が勝手に出社を……はい……いや、情熱っていうか……雇ってないので……」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ユイ・クレハ(パトカーって、案外乗り心地いいなぁ)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

色々あってパトカー案件が解決したインディペンデンス…否ユイ・クレハは考える。

自分の行為は結局ディスチャージ=サンの心労にしかならないのだろうかと。結局…正体も気付かれたのかもしれないし。

けど耐えられない。

人を遥かに勝るカラテを手に入れ、スリケンを投げることが出来、アクマにもなれるワタシが今更モータルとして全てを忘れて暮らすのは…嫌だ。

あの戦いもあの子のことも忘れられないのだ。私の妹になってくれるかもしれなかったあの子のことは。私が殺したあの子のことは…

思い詰めるのは悪い癖だ…頼りになるオニイチャンに相談しよう。最近家には帰らないけどIRCなら答えてくれるし。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ニチョーム】

独「ドーモ、インディペンデンスです」キツネオメーン男装ニンジャだ!

ザ「ドーモ、ネザークイーンです。…ユイチャンニチョームに染まりすぎちゃったの?」

独「ワタシはユイではない。インディペンデンスです。」

ザ「アータ…」(いやナンデ男装…)

ヤ「ユイ=サン…」

独「インディペンデンスです。たまにトライヘッズもユイも来ます。」

独「ああヤモト。オレは一日でおまえに惚れてしまった」雑な男子アピールだ!

ヤ「へたな男子アピールはやめた方がいいよユイ=サン…」ヤモッチャンは呆れている

ニチョームは今日も平和だった。

ノライヌ+αの場合

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ネオサイタマ路地裏で、ゴミ箱に頭を突っ込んでいる者がいる

ごそごそ、がさがさ、残飯に食らいつくように頭を振っては唸り声を上げる

まるで犬のように、その動作からは人間の理性というものを感じ取ることはできなかった

ノライヌ:「う、わう、がうっ、がー…ぅ、っ」

口にハメられた鉄製のマズルガードの隙間から入ってくる餌を食らい生きながらえる日々

後ろ指を指されながらも、そうとも気付けないそのニンジャは割と幸せな日々を送っているのだった

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

正体を見破られながらもあくまでも自身をあほではないと言い張るインディペンデンスはニチョームをパトロールしていた。

そこで気になるニンジャを見つける…

(こ…ここは治安が比較的良いはずなのに…なんでこの人はこんなことしてるの…?)

(ひょっとして…ワタシ以上のあほ…?)

(だったら助けてあげなきゃ!)

ユイは駆け出した!

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

近づいてくる姿を見てゴミ箱を漁っていたノライヌ(ニンジャ)の野生の勘が囁いた

(私のエサ箱を狙っている!!!!)

(そしてこいつはあほだな! 私以下だな!)

ニチョームの路地裏で、熾烈なる縄張り争いの幕が上がる――――!

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

トライヘッズ:(犬の着ぐるみでも着せてあげようかな)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

高度な、極めて高等な、学術的な交渉の末に縄張り争いは終結した

ノライヌ:「もごもごもごもご」

イヌのフルフェイスメンポを着用させられたのだ、ウカツ!

そうだ、社会的な身分を保証されるには後見人が必要らしい

こいつにりれきしょを書いてもらうついでにハンコを押して貰えば
しゅうしょくかつどうもうまくいくに違いない……

ノライヌ:「もごもごもごもごもごもご!!」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

まさか高度な拘束具(キグルミ)を着せられるとは

▷かわいいが 微妙に上がった
▷かっこいいが かなり下がった
▷つよそうが がっつり下がった

そのうち汚れてずだ袋めいてきたため、不審者度が大きく上がった

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

後日、インディペンデンスは貰った履歴書のコピーに自分の履歴を書いて社に投函した。

「だって...見も知らぬ犬めいた女の子の履歴書なんて書けないし…」

ちなみにだいたいがでっち上げであり、穴だらけであった。
とりあえず、コピーではない物には可能な限りノライヌの真実を書いた。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

あいつは私の言うことを聞いた、つまりは私の方がイニチアチブをとっていることは言うまでもないだろう…
だがこの件はきっちりと決着を付けなければならぬ、ノライヌは届けられた履歴書を持ってネオサイタマの某所へ赴く

【アマネク社】

アホ面ダブルピースをした自分の写真をデカデカと、枠をガン無視して貼り付けたぐっちゃぐちゃの履歴書をポストに投函する

今日は良い飯が食えるだろう……しゅうしょくかつどうを終えたノライヌは満足げに帰っていくのだった

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「お、愚かな……」
ディスチャージは高熱を出して寝込んだ。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

◆前回までのあらすじ◆

ハラジュクで多発する放火事件。どうやら無軌道ニンジャによるものらしい。アマネク社からパトロール強化の命令がある中、君達2人は偶然合流したのだった。

ハートレス:「…ふア…ねむ」

キラーハンター:「アー」「アー……アー」

ハートレス:「なに、のどの調子でも悪いの?うちののど飴買う?」

キラーハンター:「いや、違うな……」「サイバネがちょっと……ね」
「でものど飴は欲しいな」

ハートレス:「…サイバネ…」自分の心臓を見る
「…まあ、おだいじに、これ試供品よ」飴を上げる

キラーハンター:「オー、ありがたく貰うよ」

その時、路地裏にあったゴミ箱が倒れ、中から奇妙な着ぐるみが出てくる

ハートレス:「…ウワッナニ」

キラーハンター:「って何だ?」

ノライヌ:「……ばぅ、がうがう」

キラーハンター:「エ……?」

ノライヌ:「がうがうがうがうがうがうがう!!」

イヌを模したフルフェイスのメンポ、そこから覗くマズルマスク
のど飴の匂いを嗅いで突撃してくる影!

ハートレス:「…エート、いる?飴」投げる

ノライヌ:「ばぅーーっ!!」普通に手でキャッチしてぼりぼりと貪っている

ハートレス:「…フム」「お手」

ノライヌ:「がふ、がふっ……わん」人間の手が乗せられた

ハートレス:「お座り」

ノライヌ:「わん」

ハートレス:「よし」撫でる

キラーハンター:「偉いな……」

ノライヌ:「ばうばうばうばうばう」マズルマスクから唾液が滴る
髪の毛は無作法に伸び、やせいのにおいがじゅうまんする……

ハートレス:「…とりあえずもっと食べなさい」

キラーハンター:「私も撫でて良いかな?」一応確認しながら撫でようとする

ハートレス:「アー、ちょっと待って」
いろいろ身体を調べて病気がないかどうか調べる…

凄い……凄い野生を感じる……
唾液からはヤバい級のウイルスが発見されるだろう

狂犬病と狂牛病とペストが蟲毒めいて
死闘を繰り広げた挙句生き残ったようなのが

ハートレス:「…アー、これは…」

ノライヌ:ちなみにキラーハンターにも撫でられておいた

ハートレス:「…うん、とりあえずこれは確保、でないと、アブナイわ」

ハートレス:「何があるか分かったもんじゃないわこれ」

ハートレス:「後、絶対噛まれないようにね」

ノライヌ:「まじで!?」すっくと立ちあがったノライヌ!

ハートレス:「ウワッしゃべった」

キラーハンター:「うむ…え!?」

ノライヌ:「わん!」

ノライヌ:「ワンワン」再び座るノライヌ!

ハートレス:「…まあいいわ」撫でる

キラーハンター:「……どっち!?」

ハートレス:「とりあえず…首輪と鎖かしら」倫理とか気にしてない!

キラーハンター:「まあ、そうなるかもな……」

ノライヌ:「とりあえずこのメンポ外して」

ハートレス:「噛むと危ないからダメ」気にも留めない

キラーハンター:「確かに……そうだな」

ノライヌ:「がうがうがうがう!!」

その時である
キラーハンターにリコールウェイブからのIRC着信!

キラーハンター:「お?」

ノライヌ:「わぅん!」音の出る装置に手を伸ばすノライヌ!オモチャだ!オモチャだ!

キラーハンター:「これは……リコールウェイブ=サンからか? あ、こらこら」

ハートレス:「アーこらこら、手を出さないの」首根っこ捕まえておく

ノライヌ:「ぐるるるるるる」

リコールウェイブ:「現在あなたがいる付近で火災発生。恐らく例の放火魔ニンジャが近辺にいます。目撃情報によると男女二人組です」

キラーハンター:「了解。っと」

ハートレス:「とりあえず撫でられておきなさいな」顎の下を撫でる

ノライヌ:「わぅん……」なんだろう…こうふくをかんじる
別に感覚器官はないけれどこう……感じる……

キラーハンター:「この付近に例の放火魔ニンジャがいるかもしれないらしい。男女二人組だそうだ」

ノライヌ、ニューロン判定

:5d6 = (6+2+6+1+5) = 20

野生の勘は鋭い、分かるね?

周囲に別のニンジャがいる…!この前意地悪してきた奴らだ!

ノライヌ:「アァ―ッ! こらテメコラーッ!!!」

ハートレス:「ウワッ」

ノライヌ:「ゴミ箱に閉じ込めやがってわんわんわん!」
「ぐるるる! ぶっ殺す! わん!」

ハートレス:(アッだからあんなところから出たのね)

キラーハンター:「……ほう、ほう」

そのニンジャ達はカトン使いだったぞ
吠えた方向を見たハートレスとキラーハンターもニューロン判定

:7d6>=4[=6] = (6,2,5,3,6,2,5 :成功数:4 , サツバツ![=6]:2) = 6
:9d6>=4 = (5,6,6,1,5,3,5,1,3 :成功数:5) = 5

明らかにニンジャ!追いかけよう!

ハートレス:「…あれかしら、イヤーッ!」

キラーハンター:「……ほう、イヤーッ!」

ノライヌ:「わぅっ! はっ、ばぅ……わんっ!」ノライヌ疾走!

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【デイ・アフター・デイ】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

スケルター+グリッティの場合

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ネオサイタマ  ハラジュクの近くの河川敷】

グリッティ:「兄上…?」グリッティはどうにか兄らしき人物に追いつき肩に手を置いた。

ムラサキ:「……」女はくるりと振り向いた。蝶の髪飾りに長い髪、だが顔は紛れもなくお兄様だ。

グリッティ:「お兄様!」グリッティは思わず女に抱きついた。

女は驚きを隠せなかった。

ムラサキ:「……お前は…アキヒロか…?」

グリッティ:「ハイ!お兄様…!」

ムラサキ:「何故ここにいる…?」

グリッティ:「えっ…」グリッティは驚いた

グリッティ:「それは…お兄様みたく家を…出たの…」

ムラサキ:「何故」お兄様と呼ばれた女性は硬い表情を崩さなかった

グリッティ:「い、いいじゃないの…どうせあんな家いつか飛び出すつもりだったし…」

ムラサキ:「お前すら居なくなったらどうするというのだ?母上は?それに父上はまず黙ってはいないはず。跡継ぎの居なくなった家は直ぐに他の貴族やメガコーポに食い荒らされるのがわからんのか?」

ムラサキはグリッティの胸を指で突いた

アンダーガイオンへ降り、男オイランを目指した後に、ニンジャとなり、謎めいたニンジャ組織の尖兵として任務をこなしているなど…言えぬ。
それにこのようなウソを…と言われるだろう

グリッティ:「う…お、お兄様だって今までどこに言ってたのよ!アンタが家を出なければ…それにそんな事言うケンリあるの?とっとと戻ればいいじゃない!」

弟は目に涙を浮かべながら言った

ムラサキ:「そ、それは…」

キョートを出た後に記憶を失い、ソウカイニンジャとなり、最終的にソウカイヤを滅亡へと追い込んだ…言えぬ。
それにこの様なウソを…と言われるだろう

ムラサキ:「…とにかく事が大きくなる前に家へ戻るんだ。…私も付いてい」

グリッティ:「い、嫌だ!折角の自由満喫してやるンだから!は、母上は私に見向きもしないし、父上は論外!あんな家滅べばいい!」

スケルターの眉がピクリと上がる

スケルター:「もう一回それを言ってみろ…ムラサキ・アキヒロ」

グリッティ:「ああ言ってやる、あんな家滅べば「イヤーッ!」

スケルター:「…ッ!」スケルターの強烈な平手打ちがグリッティの顔を叩いた

スケルター:「……!」スケルターはしまったという顔をした。

グリッティ:「…ウ…お兄様なんて大嫌い…!」グリッティは憎悪に満ちた目で兄を見返した。

スケルター:「待て、アキヒロ…お前にも守るべきものがあるはずだ…!」その言葉は聞こえたかわからなかった。河川敷の土手には兄が一人残された

スケルター:「……過去が清算をしに来た…!」
彼女は思った。行かねばならぬ、実家へ、キョートへと…!

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【デイ・アフター・デイ】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ヒナコの場合

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ハラジュク/孤児院】

「……!?」

朝起きたヒナコは、机の上に置かれた書き置き……
そしてもぬけの空になっていたスケルターのベッドを見て目を見開いた。

「キョートの家族に会いに行く。必ず戻る」
そう端的に書かれた彼女らしい手紙。

一瞬激しい不安に襲われたが、ヒナコは1つ頷くとその不安を飲み込んだ。

「必ず戻るというなら、必ず戻るんでしょ」

今更約束を破るような関係でもない。
そんなに長い期間ではないが、濃い経験に裏打ちされた信頼が彼女の中にはあった。

ソウカイヤが滅び、皆それぞれの道を歩み始めている。

孤児院に残ったニンジャは実際少ないし、ヒナコもそれでいいと思っている。

スケルターはその数少ない例外ではあったが……まるで人生をクリアしてしまったかのように振舞っていた彼女が、また新たに立ち向かうべき何かを見つけたのならそれはむしろ喜ぶべきことなのかもしれない。

唯一、毎日仕事帰りに外を飲み歩いては地下の酒蔵で迎え酒をしているあのマダオと二人暮らしになってしまうという問題が無いことは無かったが、それもまあ些細な問題だろう。

「さて、朝ごはんでも作るかあ」

歯磨きの間に心の整理を済ませたヒナコは、携帯IRC端末がチカチカとメッセージ受信を知らせていることに気がついた。
「えっ……ストーンカ=サンが入院……!?」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「アレがディスチャージ=サンですか」
「ヤバイっすね、アンタのとこの社長秘書。幼児退行起こしてるんで」
「治るんですか」
「オタッシャ重点ですねぇ……」

「ヤバイなぁ」
モンキはそれだけ言うのがやっとであった。

「ディスチャージ=サンは何を描いているんだい?」
「んーとね!えーっと!みんな!」
ディスチャージは筆で極限までディフォルメされた人間のような絵を描いている。
無邪気な笑いは完全にストレスとは無縁であった。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「えーっと、ディスチャージ=サンから伝言です。
私が自我科に入院している間に動き出す組織はあるだろうから、この機会に掃除しておけと」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ヒナコは思った。スケルター=サンがいなくてもやっていけるように、将来ジャーナリストとして自衛できるようにならねばならぬ。

「やっぱりピストルカラテか……」

最近読んだサムライ探偵サイゴの悪影響だ!

ピストルカラテを習得するにはやはりメンターが必要だ、
ヒナコは同居ニンジャ達の鍛錬を見てそう感じていた。
幸いピストルカラテの使い手には一人だけ心当たりがある。
キョートを本拠地とする私立探偵――まるで本当にサムライ探偵サイゴのようだ

―タカギ・ガンドー

昔スケルターの実家に絡んだトラブルで知り合った彼のIRCにつなぐ。

「ピストルカラテをつかいたい? 嬢ちゃんが?その細腕で? オイオイオイ、冗談きついぜ」

電波越しの探偵の反応は予想通りと言うべきか、酷く冷たいものだった。

「冗談じゃない? ならそれこそ冗談だ。 そもそもピストルカラテは二丁拳銃が手足のようになるまで修練して、そこがスタートラインってもんなんだぜ?」

であれば、どうすれば教えてもらえるのかと食い下がる。

「ハ ハ ハ、そうだな。もし嬢ちゃんが二丁拳銃を日常的に使ってて、ニンジャ相手にタイマンで勝ったことがあるなら教えてやるよ。からかってるわけじゃないぜ、ニンジャは実在するんだ」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「ブッダ!」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

◆コトナギ・ヒナコ(種別:モータル)
体力:5 
精神力:5 
脚力:4
カラテ:3 
ニューロン:5 
ワザマエ:5
近接ダイス:7(ワザマエ判定)
射撃ダイス:10
回避ダイス:4(判定HARD)
◆装備や特記事項
装備:LAN直結型大口径オートマチック・ガン×2【コトナギカスタム】
(遠隔武器、連射2+1、対ニンジャ仕様、時間差、マルチターゲット、
 ダメージ2、基本射撃難易度UH※二丁拳銃補正込み)
 外骨格型ヒキャク(脚力+1、回避+2、連続側転を難易度HARDで可能)
 ヤモトのオリガミスリケン(回避2)
◇スキル
 ◎タフ:体力+2、このキャラはモータルですがNRSに陥りません。
 ◎二丁拳銃マスタリー:二丁拳銃に伴う射撃難易度ペナルティ無効
◎タツジン(軽量級ピストルカラテ)
 『近接射撃』:
  拳銃を使用する場合に限り、隣接する敵に対しても『遠隔攻撃』が可能。
 『戦闘オプション:軽量級射撃反動カラテ』:
  敵と隣接状態にある場合、回避ダイスを2消費して
 「射撃」→「近接攻撃(ワザマエ判定)」の連続行動が可能。
  ただし近接攻撃は難易度HARDでサツバツが発生しない。
  『二挺拳銃射撃』の場合回避ダイスを4消費して『近接攻撃』を『連続攻撃2』とする。
 『戦闘オプション:ムーンサルト射撃』:
  隣接する敵1人に対して射撃を行う際に精神力1を消費してこの技を宣言可能。
  射撃の難易度が1上昇する代わりに、敵の回避ダイスに2ダメージを与えた上で射撃を行い、
  さらに射撃後に移動が可能となる。
  移動後の使用不可。
◇装備サイバネ
▶高級生体LAN端子
▶サイバネアイ(ワザマエダイス+2)、▷赤外線ターゲッター(射撃+3)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

攻撃集中→射撃反動カラテを宣言

:4d6>=4+3d6>=4+3d6>=4 = (6,2,1,3 :成功数:1) + (5,4,5 :成功数:3) + (1,6,6 :成功数:2) = 6
カラテ:4d6>=4+3d6>=4 = (5,4,1,3 :成功数:2) + (6,4,5 :成功数:3) = 5

ヒナコ:「……」
攻撃集中→ムーンサルト射撃を宣言

:4d6>=5+3d6>=5+3d6>=5 = (6,4,4,5 :成功数:2) + (6,1,3 :成功数:1) + (4,4,1 :成功数:0) = 3

後方に4マス移動

ヒナコ:「フム……まあまあかな」

ガンドー:《なにがまあまあなもんかよ、俺は驚いたぜ。こんな簡単にピストルカラテを習得しちまうとはブッダも呆れるってなもんだ》

ヒナコ:「脳内UNIXに直接経験データを転送してもらえたからね。これくらいはできないと」

ガンドー:《脳味噌はやり方を覚えても、普通は身体がついてこないもんなんだぜ? ただの小娘に見えて一体どんな生き方してたんだか全く》

ヒナコ:「秘密。それじゃあ報酬は――」

ガンドー:《ああ、いい!いい! あのYCNANからの紹介だ、この程度でカネは取らねえよ》

ヒナコ:「え?いいの、ほんとに?」

ガンドー:《ああ。それにお前さんと仲良くしておけって告げてるのさ、探偵の勘がな》

ヒナコ:「え、なにそれ口説いてる?」

ガンドー:《ハハハハハ! そんなカマかけは10年は早えな!》

ヒナコ:「ム……」

ガンドー:《まあ、とはいえ悪用はしてくれるなよ。俺がセンセイから残してもらった遺産の一つなんだ、これは》

ヒナコ:「勿論」

ガンドー:《ああ――》

ヒナコ:「?」

ガンドー:《いや、なんでもねえ。それじゃあ切るぞ。こわーい同居人サン達によろしくな》

ヒナコ:「うん、ありがと」

通信を切り、LAN直結を解除する。

ヒナコ:「……」
ヒナコは銃を下ろすと、ホルスターにしまった。

――今思えば、アイツにも銃の使い方の一つくらい教えてやりゃ良かったのかもしれないな。

タカギ・ガンドーがIRCメッセージには載せず、しかしLAN直結状態だったヒナコには届いてしまった言葉。

ヒナコ:「……死ねないなあ、ほんとに」

ヒナコはポツリと呟くと、射撃練習場を後にした。

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【デイ・アフター・デイ】

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ブラスムーン→ディフェンダーの場合

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【ネオサイタマ ドウゲストリート】

飽きること無く相変わらず降り注ぐ重金属酸性雨の中、ディフェンダーは歩いている。

散歩か、仕事の帰りか、あるいはプレゼントでも買うのだろうか。

ディフェンダーが歩いていると奇妙な者を見つける。

ディフェンダー:(おや?)

フミ:「…………」

血の気の失せた女性だ。
否、それだけなら珍しいというものはない。ここはネオサイタマだ。

さめざめと泣いているというのが奇妙でも無ければ、中年女性が奇妙というわけでもない。

この重金属酸性雨の中、彼女は傘も差さずに立っていた。
ネオサイタマの重金属酸性雨は人を容易に死に至らしめる。
だが、自殺には向いていない。

ディフェンダー:「ご婦人、体に毒ですよ」中年女性に傘を差し出す

フミ:「……ああ、スミマセン」

中年女性は錆びた人形めいてディフェンダーの方を見た。

ディフェンダー:「どうかされましたか?」

フミ:「……いえ」中年女性はディフェンダーの問に答えあぐねている様子であった。

フミ:「その……アナタはボンズなのですね」

ディフェンダー:「ええ……そのようなものです」

フミ:「よろしければ、ネンブツを上げてはいただけませんか」
そう言って中年女性は目の前の劇場に向けて指を指した。

【看板】
『死人が動きます』『人体フシギ!』『アメイジング・デッドガール』

ディフェンダー:「……?アメイジング・デッドガール?」

フミ:「……アメイジング・デッドガール」中年女性はディフェンダーの言葉をオウム返しした。

フミ:「死人が動く見世物ですよ、ご存知ありませんか?」

フミ:「いえ、ボンズ様ですものね」

ディフェンダー:「いえ、初めて聞きました」

ディフェンダー:「死人、まさか本物を?」

フミ:「……フフ」中年女性は自嘲気味に笑った。

フミ:「偽物ならば、どれほど良いことでしょう」

ディフェンダー:「……」

フミ:中年女性は懐から写真を取り出し、ディフェンダーに見せた。
スポットライトを浴びる人形めいた少女が映っている、その眼球は裏返り、額には銃痕めいた穴が開いている。

フミ:「娘です」

ディフェンダー:「……」拳を強く握る

フミ:「どうか、あの娘が眠れるようにネンブツを唱えてあげてください」

ディフェンダー:「……あいわかった」

フミ:「……」

フミ:「ありがとうございます」中年女性は深々と頭を下げた。

フミ:「これぐらいしか、私にしてやれることはないのです」

ディフェンダー:「劇場の者はヤクザかなにかと繋がりでも?」

フミ:「ええ、ヤクザの経営する見世物小屋です」

ディフェンダー:「ふむ……」

フミ:「そして……」「ニンジャ」フミはポツリと呟く。

ディフェンダー:「なるほど」

フミ:「お笑いにならないのですね」

ディフェンダー:「ええ、嘘をついているように思えませなんだから」

フミ:「……ありがとうございます」

ディフェンダー:「……ネンブツを唱えた後、もし娘さんを取り返せるようであればそうします」

フミ:「……」フミは信じられないと言った様子でディフェンダーを見た。

ディフェンダー:「私は、ボンズ崩れのニンジャですから」

フミ:「……あぁ」

フミ:「どうか、どうか、よろしくお願いいたします」

フミ:中年女性はそう言って、チケットを渡した。

ディフェンダー:「ドーモ。首尾よくいった時ご遺体はどこのテンプルにあずけておけばよろしいか?」

フミ:「……どこというテンプルはございませんが」

フミ:「どうか、安らげる場所に……テンプルに迷惑にならぬようお金はお支払いいたします」

ディフェンダー:「わかりました。では……」

フミ:「どうか、どうか、お願いいたします……」

ディフェンダー:「……お体に気をつけて」

フミ:「……そうですね」中年女性はそう言って、自嘲するように笑った。

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【デイ・アフター・デイ】

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フリントアームの場合

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【キョート共和国、アッパーガイオン・タコ区画】

ネオサイタマではめったに見られぬ太陽の光を受けてキョートライン川が黄金色にきらめく。
『アンダーガイオンラーメン紀行』を執筆し終えたあともフリントアームはキョートにいた。
オープンテラスの周囲にはイチョウ並木が整然と植えられ、その木陰が穏やかな空間を作り出している。

しかし、フリントアームはまったく別の光景を見ていた。

瓦礫から飛び出す腕、土砂に埋まった家の前で座り込む人々、光を失った子ども、そして今だ何らかの作業をするヤクザスーツの者たち…

サイバネアイで写し取ったアビ・インフェルノ・ジゴクの中に男はいる。

所詮この世は弱肉強食。

モータルがニンジャに蹂躙されるのも仕方ないことだ。

だが、無数の命を、それらが持っていたであろう語られるべき物語が誰に顧られることもなく潰されていくのを見逃すのは主義に反する。

俺はジャーナリストなのだから

hiuchi《火打石から眠り姫へ。コーフン遺跡の採掘作業は“事故”後も依然進行中。作業スケジュールの確認が取れ次第改めて連絡する。君の健康を祈る》

ヤバイ級ハッカーからのレスポンスはごく稀にしか返ってこない。しかし、彼女に送っておけば必ず“彼”にも届くであろう。ネオサイタマの死神に――

フリントアーム:「これがザイバツのやり方ならば少々ボヤ騒ぎを起こさせてもらおう」

男の瞳の奥で炎が揺れる。
男は目をゆっくり閉じると、陽炎だけを残して姿を消した。

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【デイ・アフター・デイ】

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ドラゴンボーン+コーポラルの場合

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【ネオサイタマ ハラジュク】

ネオサイタマが燃えた夜に見せた冷静な判断力。

暴走族クランが一夜にして滅んだ後に漂わせた僅かなソンケイ。

そういった要素から、ドラゴンボーンはストーンカのカイシャへの入社を決めた。

ドラゴンボーン:「あと酒飲んでても怒られねェしな」

 蜂蜜酒で口を潤しながら、色付きの風となってハラジュクを駆ける。

――――「カネ出せやッコラー!」「よして下さいよ!」

駆け込んで目に入ったのは、ニンジャがクレープ屋の店主の胸ぐらを掴んでいる光景だった。

ドラゴンボーン:「ドーモ、アマテラスのドラゴンボーンです。直ちに脚を組んで跪き両手をあげよう!」

コーポラル:「アア…?ドーモ、コーポラルです。ナマッコラー!俺はニンジャだぞ!跪くのはテメーだッコラー!」 

ディセンション直後か。ドラゴンボーンは察して、おどけてみせる。

ドラゴンボーン:「フハハ、コワイ!俺はカラテ弱者でなァ、出来れば話し合いで解決したいんだ!だからまず座って、額を地面に擦り付け……」
※当社比

コーポラルは対峙する男が明らかに酒臭い事に気づき、激昂した。

コーポラル:「酔っ払いがナメやがって…!ぶっ殺してやる!」

6d6>=4 = (3,1,6,6,5,2 :成功数:3) = 3

コーポラルはドラゴンボーンの心臓めがけ鋭い突きを放った。

20d6=6 = (4,2,1,5,6,2,6,3,3,5,3,3,3,6,2,2,2,1,1,4 :成功数:3) = 3

しかしドラゴンボーンは捻りあげた左腕でそのカラテを受けた。サツキ。

「ハイ、正当防衛の要件成立」「エッ」

そして引き絞っていた右腕を……極めて手加減して突出す。ジキツキ!

「アバーッ!?」

ドラゴンボーンはコーポラルに近づき、しめやかにZBRを打つ。

「では話し合おう。示談交渉な」「アイエエエエ……」

「エー、店への迷惑料30万。傷害未遂の慰謝料50万。ZBR代10万。就職斡旋料10万。しめて100万円、乙は甲に対し月賦で支払う事に同意する。甲アマテラス、乙コーポラル」ドラゴンブレス・イブキで紙に文字を焼き付ける。

「あの、就職斡旋料って」「キミ、これからザイバツって所で働いてもらうから。ガンバロ!」「アイエエエエ!」

プリズナーに連れて行かれるコーポラルを見送り、ドラゴンボーンはひとりごちた。

「俺って平和の守護者かも……」 彼は酔っていた。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ディスチャージは、ドラゴンボーンに提出された書類を見た後、ドラゴンボーンを見た。

「…………」

酔っている――何故、躊躇なく仕事中に上司の前でサケを呑んでいるのかわからない。
頭を抱え、しかし上司としてはっきりと注意はしないといけない。

「ニンジャなんだから、各項目25万ずつ追加出来たでしょう」

酔っているからと言って、200万の仕事を100万にされては困る。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ディスチャージとブレイジングが姿を消した翌日、ドラゴンボーンは残されたアマテラス社社員と助っ人を会議室に呼び集めていた。

「我が社は現在、深刻な人手不足に直面している。パトロール程度なら問題あるまい、
しかしインシデントが発生した場合の対処能力は大幅に低下していると認めざるを得ない」

ドラゴンボーンは戦略チャブにグラフを表示した。

「そこで肝要なのが、いかにしてインシデントを事前に防ぐか、という事になる――――このグラフを見て欲しい」

そこには 「酒量」「インシデント数」と書かれた2つの折れ線グラフ。

「見ての通り、俺の酒量が多い時、有意にインシデント数が少ないという事がわかった。
この相関から導き出される答えは一つ、俺に酒を呑ませる事によってインシデントを未然に防ぐ事が可能である」

数分後、ボコボコになったドラゴンボーンはパトロールに出かけた。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【デイ・アフター・デイ】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

クランブルの場合

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【アンダーガイオン 最下層】

もう、何日も飯を食ってなかった。

誰かから奪おうにも、俺が一番痩せっぽちなんだから奪いようがない。

俺より弱い爺さんは死んでる。

死体はバイオネズミが持っていく。

バイオネズミは俺より速い。食えねぇ。

薄っすらと骨が浮かび上がってて、いつも食ってる生ゴミに近いから腕を噛んだ。

味はしねぇ、腹も膨れねぇ、痛くもねぇ、俺は歯が弱い。

昔、ボンズが俺に教えてくれた。天国と地獄の話。

ボンズの話を考えるにここは地獄なんだろう。ボンズはさっさと死んだ。

ブディズムで自殺が罪かはしらないが、弱いことは罪だ。

ボンズは蜘蛛の糸の話もした。

俺は腹が減っていた。頭もおかしくなっていた。

ああ、蜘蛛の糸があるじゃねぇかと思ってー
ーひたすらに壁を昇った。

ひっついてるのに力はそんなにいらない。俺は異常に軽くなっていた。

ひっつくための力はそんなにない。俺は何日も飯を食っていない。

上へ、上へ、ただひたすらにそれだけを考えた。

上には空というものが有るらしい。太陽というものも。そして飯。

何かを考えている間が一番辛い。

何も考えずに昇っていられる間が一番幸い。

余計なことばっかり頭に浮かぶ。振り払って上に進む。

どれほど進んだかはわからない。

ただ、自分でも異常なほどに頑張ったなぁと思った頃。

俺の腕から完全に力が抜けた。落ちていく。

天国に行こうと思ったが、どうやら地獄に落ちて死ぬらしい。

いや、地獄に落ちて死んだら、天国に行けるんだろうか。

異常に加速する中、地面に近づく中、俺は何かの声を聞いた。

何かが俺に手を差し伸べた。俺は何かの手を握り返した。

気づくと俺はもう一度壁を掴んでいて、ニンジャになっていた。

俺はクランブルだった。

俺の身体は異常に軽やかで、
アッパーガイオンに行って、
ザイバツ・ニンジャになった。

これが俺の話。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【デイ・アフター・デイ】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ハルアキ・クレハの場合

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ソウカイヤが滅んだ日】

ラオモト・カンが死んだ。

「彼」はラオモトが嫌いだった。だが、ユイは今日一日いない。

ネオサイタマが炎上している。

ユイは家にいない…駆け出した。

(ユイ…無事なのか…無事でいてくれ…ユイ!何故…オマエはいなくなるようになってしまったのだ…)

重金属酸性雨が降りしきり彼のカラダを蝕むが構うはずもなく、走る。奔る。当てもなく奔る…

ヨタモノ、サラリマン、パンクス、重サイバネ、誰もかもユイではない、彼は走り…

急に視界が真っ赤に染まった。

その身体には明らかに、抉られた傷。

先程の重サイバネの者の手が、血に染まっていた。

…(アア…ナンデ…ユイ…どうか無事で…いや…まだ…)

ユイには俺が必要だ

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

気付いたら、終わっていた。爆発四散痕。

そして俺の手には、血。オレは…人を殺した。

そして何かが彼に漲っていた。オレは何になった…何に…

急激な身体能力上昇に心が追い付かない。

すっ飛んでいく。これがオレなのか。俺は生まれ変わったのか。

「あーあ、オレの兵にするつもりだったのに、減っちまったぜ」
「まあ…代わりにオマエを連れて行くってのも悪くないかな…」

赤髪の少女。

「オマエは…誰だ。」

「あっ、ドーモ。レッドウォールです。」

「オマエにもあるだろ、名前。さあ名乗ってみろよ」

「………ドーモ。ヴァイスバイトです。」

オレの様な者は吐き捨てるほどいると言われた。

ニンジャであることは隠した方がいいとも教わった。

罪罰影業組合に誘われた。

ニンジャの為のニンジャの組織だと聞いた。

…一日だけ待って欲しいと言った。

彼は生き残った。

だから、ユイのIRCに「家族は全員無事だ」と伝えた。これは…事実だ。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

    の場合

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【キョート アッパ―ガイオン】

――とにかく俺は、疲れ果てていた

――飯も食えず、傷も絶えず、何のために生きるのか、それも分からずに――

「…?」

そして、それが降ってきた

――イヤーッ!――

――太陽が、落ちてきたのかと思った――

――それぐらいの、きれいな赤色だった――

――そして、落ちてきた太陽は、こう名乗った――

――ドーモ、レッドウォールです――

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

レッドウォールの場合

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【キョート城】

ネオサイタマ制圧におけるレッドウォールのグランドマスター昇進は、ザイバツ・シャドーギルド内におけるハバツ・ストラグルに少なからぬ影響を与えていた。

ネオサイタマで大きな戦力を獲得しキョートにつれて帰ってきたレッドウォールに元々のグランドマスター達も新参者に遅れを取るまいと派閥抗争はさらに激化、
足の引っ張りあいは碁盤の目がごときキョートの区画、その路地一つを挟んですら行われるようになり、時にはザイバツニンジャ同士での戦闘すら起こるようになりつつあった。

「ムーフォーフォー……」
「……は、ご心痛痛み入ります」

車椅子に腰掛け、顔を御簾で隠した老人にパラゴンは膝を付け深く頭を下げる。

「ほどほどのハバツ・ストラグルは内部統制に良い。しかし確かに最近は行き過ぎです、組織運営に実際支障が生じ始めております……」
「ムーフォーフォー……」
「……なるほどハバツを越えたチーム。それは……確かに、良い手法かもしれませんな」
「……クルシュウナイ」
「はっ。ただちに用意させます」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【キョート・某所】

「はい、こちらマジカル美少女運営事務所……あ、ボス……じゃなかったパラゴン=サン」

革張りの黒い椅子に深くこしかけた赤髪の少女はIRC着信音で目を覚ますと、面倒臭げに受話器を耳に当てた。

「えっ、派閥抗争が行き過ぎで困る? だって最初にハバツ・ストラグルの仕組み考えたの俺と貴方でしょ、狙いどおりじゃないですか」

受話器から響くヤクザスラングにレッドウォールは受話器を耳から離すと、ため息をついた。

「はいはい、了解了解。つまり派閥抗争の弊害で支障が出てる任務をこなすための特務部隊と」
「それが派閥同士の友好にもつながればベスト?なるほど」

そう上手く行くかなあ、レッドウォールは首をかしげつつも思いつかなかったアイデアだったと感心する。

「けどそんなチーム、どこの派閥も新人しか出さんでしょう。え、それでいい? なにかあった時使い捨てにできる? テンサイ」

「なるほど、まずはパーガトリー=サンとニーズヘグ=サンが協力してくれると。わかりました、そういうことならウチも人を出します」

「ハイハイ、了解です。ええ、上手くいくと思いますよ。新人育成にも実際ちょうどいい。ええ、ええ、ハイ」

「ニュー・ワールド・オーダー」

IRC通信を切るとレッドウォールは大きく背伸びをし、UNIXを立ち上げた。最近自分の派閥に入ったニンジャの一覧を呼び出す。

「さーて誰を出すかな……そういえばチーム名も決めないとな」

レッドウォールはキーボードをカタカタと叩きながら、ふと呟いた。

「そうだな……派閥から使い捨て上等でこんなチームに派遣されちまう連中達のチームだから……」

「派閥から見捨てられた孤児達のチーム。」

「【チーム・オルフェンズ】なんて、いいかもな」


◆カラテの高まりを感じる……!◆

ニンジャスレイヤーTRPG 
第二部「キョート殺伐都市&ネオサイタマ動乱」
セッション0
【キック・スタート・ア・ニュー・デイ】へ続く


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