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ネオサイタマ・イン・フレイム◆孤児院卓最終回◆幕間:ハラジュクの一番長い一日

◆注意◆これは、4月6日から4月27日にかけて行われたジツ修行やスキル習得をロールプレイング形式にしたものです。ニンジャスレイヤーTRPGのリプレイです。また、NM(ANIGR=サン)のオリジナルのシナリオとなります。また、本リプレイはプレイヤー、そしてNM=サンから許可を取って掲載しています。この場を借りてお礼を申し上げます。◆奥ゆかしさ◆また、ダイスの表記が統一されていないが原文をそのままに掲載する。◆

このお話群の作中時系列は、ストレンジャー・ストレンジャー・ザン・フィクション後からネオサイタマ・イン・フレイムが始まるまでの一日である。

ナンシー・リーの場合#1

◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【孤児院/客室】

キャバァーン!
急ごしらえのUNIX環境を前に、ナンシーはLAN直結ハッキングを続けていた。
当面の課題は明日の作戦立案とそのための情報集めと軍資金稼ぎ。
そして、ここまでで分かったことはソウカイヤのエコノミック面での混乱だ。
恐らく内部でエコノミック電算を統括していたであろう人間、もしくは部署に大規模な混乱が起きている。
とはいえ相手はソウカイヤ、混乱が収束するまでそう時間はかかるまい。
だが、それでも今のナンシー相手には十分過ぎる隙だった。
「貴方達を倒すためのオカネ、貴方たちからもらうわね」
キャバァーン!
ナンシーの口座金額が上がり続けていく……!
「これで、彼らへの報酬も払えるかしら」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

キャバァーン!
今回の戦いについて、ナンシーから報酬が振り込まれた。
万札70万(前金含む)
余暇7日(ゲーム的なものであり、ロールプレイ上のセッション8までの期間は1日です)
この余暇は第一部最後の余暇になります。(NMが特別に渡すボーナス除く)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ハラジュクの一番長い一日】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

アルマゲストの場合

◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【トコロザワピラー/天守閣】

トコロザワピラー。

雲を貫き、黒いモノリスめいた偉容でネオサイタマを睥睨するソウカイヤの本拠。

その頂上に冠たる天守閣のさらに頂点、王者の間において胡座をかくニンジャと、それに傅くニンジャあり。

ラオモト:「ムッハハハハ!なるほど、面白い」

邪悪の帝王は破顔一笑すると、傅くニンジャに頷いた。

アルマゲスト:「……では、そのように」

傅く……銀の鎧に青白い炎を纏わせたニンジャは答える。

ラオモト:「ウム、明日はワシは知事選で身動きが取れぬ。ぬかるなよ」

アルマゲスト:「ええ、お任せください。私に任せていただいた以上、全ての心配は無用」

銀の鎧のニンジャは、腕に巻きつけた鎖を小さく鳴らすと宣言した。

アルマゲスト:「今この瞬間を以ってシックスゲイツは解散。ダークニンジャ=サンを除く全ソウカイヤ威力部門を私の下で再編します」

ラオモト:「ムッハハハハ! ニンジャの数を集めるのは容易、だが強者に育てるのは困難。ならば――」

ラオモトの言葉は、アルマゲストが継いだ。

アルマゲスト:「――一人ひとりの兵隊を鎖でつなぎ、総体として完全なシステムを作れば良い」
「オムラもヨロシサンも完全にこちらにつきました。警察機構は相変わらず少数の高官が抵抗していますが、七割は掌握済み。どちらにせよラオモト=サンが知事になれば逆らえません」

ラオモト:「ムッハハハハ!ユカイ、ユカイ。しかしこうなるとシックスゲイツに変わる名称が必要となるな?」

アルマゲスト:「奴らはコマ。名前など必要ありません。だが、そうですね。あえて名前を呼ぶならば……鎖で繋がれた者共……プリズナーとでもお呼びください」

ラオモト:「ムッハハハハ!囚人とは随分と包み隠さぬ名をつけるな。……だが、今度のコマは裏切らなかろうな?」

ラオモトの目が冷たくアルマゲストを睨み据える。

無論、言外には元アルマゲストの部下でありながらラオモトに牙を剥いた孤児院のニンジャ達を踏まえての圧力がある。

通常のニンジャならばその場で失禁しながらセプクするであろうアトモスフィアに対し、アルマゲストはメンポの奥で微笑すら浮かべた。

アルマゲスト:「問題ございません。全てのニンジャ達にはサイバネ改造時に脳内に爆薬を埋め込んでおります。同時に、ヨロシサンの協力を受けてクローンヤクザに施すものに近い洗脳処理を」

ナムアミダブツ!なんたる非人道的服従処理か!そこまで自我を抑圧すれば無論カラテにも悪影響が出るであろう。
だが、ラオモトとアルマゲストにはそんなことは全く関係が無い。
恐怖と強さの象徴となるべく定められたシックスゲイツと違い、鎖で縛られた囚人達はただの替えのきく駒でしか無いのだ!
これにはラオモトが知事になれば全てがどうにでもなるという算段がある。
公的な絶対権力さえ得れば、古めかしいヤクザのソンケイなど不要。
むしろビジネスの邪魔にさえなりうる。

ラオモト:「ワシが知事になった暁には、警察長官の座をくれてやる」

アルマゲスト:「ヨロコンデー。最初の仕事は全野党議員の逮捕ですかな?」

ラオモト:「ムッハハハハ!!空いた席にはクローンヤクザでも座らせておくか!!」

おお、なんたる邪悪談合か……!

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

アルマゲスト:「トコロザワピラーの防備を固め、全道路に検問を張れ。対象はニンジャスレイヤー 、ナンシー・リー、そして8人の裏切り者だ」

天守閣から出たアルマゲストはIRCに傲岸に告げた。

アルマゲスト:「明日はラオモトの選挙、奴らは必ず現れる」
「ああ、そうだ。ゲイトキーパーを殺した連中もその一味だ……」
「ヘルカイト? ハッ……そうだな、傭兵ニンジャとでも組ませて、外の警戒にでも当たらせてやれ」
「奴らにはナンシー・リーがいる。電算室を狙ってくるに違いない。プリズナーのうち『重犯罪者』達を守りに当てろ」

「……これが終われば、ネオサイタマの全ての兵力は私のモノになる。すぐに全てのソウカイニンジャをプリズナーにし、いずれは全てのデッカーとマッポもを……ククク、ハハハハハ!ハハハハハハハ!!」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ハラジュクの一番長い一日】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ツヴァイの場合#1

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

その日、彼はネオサイタマの裏路地で唐突に目を覚ました。

ベッドめいて彼を包むゴミ袋の臭気に顔を歪めながら、気を失う前の記憶を必死に辿る。

センタ試験の失敗、マケグミ労働者としての日々、カロウシ寸前でのフリークアウト、

ヤバレカバレでヤクザの事務所に空き巣に入り、トロ粉末を盗み出すも成功直前でバレて追いかけられ

「ああそうだ、それでこの裏路地に逃げ込んだところで捕まって……」

つまり、自分はヤクザに囲んで棒で叩かれて気絶していたということだろうか?

その割には身体に痛みは無いが、瀕死の重傷というのはそういうものかもしれない。

周囲は夜の裏路地の割には妙に明るく、まるで夜目の聞くカラスになったような気分だ。

見回すと、そこには赤い水溜まりと……頭を潰された死体「アイエエエエ!?」

上等なヤクザスーツを着込んだ死体は、まだ真新しく、死んでから時間は経っていないようだった。

抗争だろうか?しかしこんな路地裏で?そう思った瞬間、彼は自分の手に血がべっとりとついていることに気がついた。

「アイエエエエ!?」

その時に彼はようやく理解した。眼の前の死体は自分が作り出したものだということに、自分が超常の存在……ニンジャになったということに。

彼を包んだのはもはや恐怖ではなかった。あったのは暗い高揚感、そして世界の王になったという万能感。

「ヤベェ……俺、ニンジャだわ……」

人生の一発逆転が訪れた瞬間だった。
彼は今、世界の王となったのだ。

そうとなったからには自分を虐げた社会に復讐しなければならない。

まずはサラリマン時代の上司を殺して……いや、クレームでいつも自分をドゲザさせた常連客を……
いや、なによりも自分を虐めたハイスクール時代の同級生を皆殺しにすべきだろう。

しばらく考えたところで、とりあえず彼は大通りを行き交う人を物色すると、
一人で歩いている女子高生を見繕って無理やり路地裏に引き込んだ。まずは欲望を満たしてから考えることにしたのだ。

「アイエエエエ!?」

女子高生を道路に抑えつけ、服を破る。

「暴れるなよ、俺はニンジャだぜ?名前は――」

「――お前の名前になど興味は無い」

声は背後から聞こえた。同時に腹部に強烈な衝撃。
蹴り上げられたのだと気づいたのは、彼が空中10メートルまで舞い上がった時だった。

「……グワーッ!?」

激痛。

「イヤーッ!」
「グワーッ!?」

そして着地すら許されず、彼は首を捕まれ更に腕を手錠で拘束される。
流れ作業めいた淡々とした処理。

「こちらツヴァイ。新人候補を捕獲」
「了解」

新たに現れたニンジャは、「ゴミ」と書かれたズタ袋に哀れな新人ニンジャを放り込む。

「……あの、ありがとうございます」
「……」

ツヴァイと名乗ったニンジャは破れた服を手で抑える女子高生を一瞥すると、何の感慨も沸かないと言ったふうに振り返り、去っていった。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆


見慣れぬ天井。彼は、知らないベッドの上で目を覚ました。

ニンジャになり、女子高生を襲おうとしたところまでは思い出した。

その後、いろいろとしようと考えていた気がするが、どうにも考えがまとまらない。

そもそも、女子高生を襲った理由すらも曖昧だった。

「目が覚めたか。フュンフツィヒ」
「はい、目が覚めました」

フュンフツィヒ、自分の名前だろうか。一瞬疑問に覚えたが、目の前の人間に逆らうことはいけない気がしてフュンフツィヒは丁寧にオジギをした。

「ならばトレーニンググラウンドに行け。命令があるまで、鍛え続けろ。栄養は壁のボタンを押せばネギトロとチャが出てくる」
「ヨロコンデー」

フュンフツィヒには、名も知らぬその銀色の鎧を纏ったニンジャの言葉がまるで自分の人生の目的のように感じられた。

走って扉を出てトレーニンググラウンドに向かう。いつのまにか生体LANを通してインプットされていたようで、道はすぐに分かった。

両腕が見慣れぬ大型テッコに変わっていたが、不思議と気にならなかった。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ハラジュクの一番長い一日】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ニンジャスレイヤーの場合

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【孤児院/ドージョー】

フォルブレイズ:「スウーッ…フゥーッ…」小休止を終えたフォルブレイズはドージョーにてトレーニングを行っている。
このような時だからこそできる限り『いつも通り』な自分のペースで行動しなければならないからだ。

彼はドージョーに配置されたショドー木人に向き合い、おもむろに腰を沈め、左に捻り、…そして!

9d6>=4  = (4 6 5 4 6 1 1 3 3, 5 successes) = 5

フォルブレイズ:「イィィ…アイ!」鋭い一撃!ショドー木人の黒線真っ二つ!
フォルブレイズ:「…チィッ…踏み込みが、まだ甘い!」しかし、速度が、切れ味が、ヒサツ足るには足らぬ。
フォルブレイズ:(…やはり、経験の絶対的不足が浮き出てきたか……いや!下らない!…戦うべきは今。トレーニング出来るのも今。…ならば、さっさとカタナを振るえ!)

9d6  = (2+2+6+5+5+5+5+2+2) = 34

フォルブレイズ:「イィィ…アイ!」鋭い一撃!しかしやはり、足りぬ!
「カラテ、あるのみだ!」

「スゥーッ……ハァーッ……!スゥーッ……ハァーッ……!」
「スゥーッ……ハァーッ……!スゥーッ……ハァーッ……!」

ドージョーの隅でアグラ・メディテーションを行っていたネオサイタマの死神は徐に立ち上がった。
「……」
隣で修行をしているフォルブレイズを一瞥することもなく、自身も木人の前に立つ。
「スゥーッ…………ハァーッ…………!」
深い、深いチャドー呼吸

フォルブレイズ:「……」彼はニンジャスレイヤーを一顧だにしない。どう接すればいいかわからないからだ。

ニンジャスレイヤー:「スゥーッ…………ハァーッ…………!」
やがて、死神は腰を落とし、禍々しい古代ジュー・ジツの構えをとった。
「イィイイイ……ヤァアアアアアーッ!」

:18d6=6 = (4,1,2,1,4,2,3,6,1,3,1,3,2,3,1,1,2,2 :成功数:1) = 1

フォルブレイズ:「イィィィ…アイ!」

 9d6>=4  = (2 2 4 2 2 6 5 5 6, 5 successes) = 5

ニンジャスレイヤー:SMAAASSSH!木人が大きく揺れる。
しかしまだまだ完調には程遠い。
「イィイイイ……ヤァアアアアアーッ!」

フォルブレイズ:ショドー木人真っ二つ!鋭い一撃!…しかし

18d6=6 = (3,3,6,2,3,5,5,1,3,6,5,4,3,2,6,3,6,3 :成功数:4) = 4

ニンジャスレイヤー:SMAAAAAAAAAAAASSSH!!

ニンジャスレイヤー:バ ァ ン

ニンジャスレイヤー:木人が、まるで内側から爆ぜるように破砕した。

フォルブレイズ:「……」(自分のカラテに集中だ。)

フォルブレイズ:「…イィィィ…アイ!」

9d6  = (2+3+4+2+3+1+4+2+4) = 25

フォルブレイズ:「ヌゥーッ…」隣で発された凄まじい音に思わずカタナの軌跡がわずかにずれる

ニンジャスレイヤー:「……」
ネオサイタマの死神は己のカラテを確かめるように手を握り、開くのを繰り返すと、再びドージョーの隅でのアグラ・メディテーションに戻った。

スケルター:「……!?」ドージョーのドア越しに破裂音を聞く。オチャとお菓子を差し入れ用としていたが…

フォルブレイズ:(…なんたるワザマエ)

ストーンカ:「……スゴイカラテでした」

トライヘッズ:(なっ…)

ニンジャスレイヤー:「スゥーッ…………ハァーッ…………」

スケルター:「ど、ドーゾ」オチャとお菓子をドージョーの机に置く

トライヘッズ:「ワァ…やっぱり…」コワイと口に出そうになったが「スゴイ」と言った

スケルター:しめやかに退出

フォルブレイズ:(…一瞬。しかしあれは…忘れてはたまらない。都合も良いからザゼンするとしよう)
ニンジャスレイヤーと対角線に位置する隅に行きザゼンする
「スゥーッ…フウウーッ!」

ブラスムーン:(何だ今の音は!)部屋に居ても聞こえた音に慌ててドージョーへ

トライヘッズ:(………もっと優しく接したいけど…やっぱり…そう簡単にナカヨクはなれないよね…)
(ヌケニンしたとはいえ…ワタシも元ソウカイヤだし…)

ニンジャスレイヤー:「…………」
ニンジャスレイヤーは目を瞑っていたが、やがて口を開いた。
「オヌシらには迷惑をかけた」

トライヘッズ:「ダイジョブです。…無事でよかった…」

フォルブレイズ:「…構わん。こちらの勝手な都合が偶々重なった、それだけだ」

ブラスムーン:「……いえ、貴方が殿を努めてくれたおかげです」

フォルブレイズ:「…確かに、ああしていただけなければ、…誰かはやられていた」
「改めて、感謝する」

ストーンカ:「いえ……感謝します、結局……ソウカイヤとは戦わなければならなかったでしょうから」

ニンジャスレイヤー:「ソウカイヤ、ヌケニン、孤児院の少女。オヌシらにどんな事情があるか私は知らぬ。知る気もない」
「だが、私は止まる気はない。ラオモトを殺し、ソウカイヤを滅ぼす。そのために行く手を阻むもの全てを排除する」

フォルブレイズ:「…ああ。ニンジャスレイヤー=サンが何故ニンジャを殺すかについても、俺たちは知らなくていい」

スケルター:(……)扉越しに眺める

フォルブレイズ:「……そうか。」

トライヘッズ:「それは…自分で言ってたよ。」

ニンジャスレイヤー:「ニンジャを殺す。そしてラオモトを、アルマゲストを、ダークニンジャを葬る。考えるのはそれだけだ」

フォルブレイズ:「…?言っていた?」彼はその場にいなかったのだ

ブラスムーン:「……」

フォルブレイズ:「まぁ、良かろう。詮索は下らない」

スケルター:(……アイエ)

ニンジャスレイヤー:「……」

ストーンカ:「…………」

トライヘッズ:「…………それが終わったら…一緒にスシパーティーしましょー!」

ニンジャスレイヤー:長い沈黙の後、死神は再び口を開いた。
「……明日、ネオサイタマ知事選がある」

フォルブレイズ:「………」(イクサをする相応の、理由があるか。ニンジャスレイヤー=サンにも)
「…そうだな」

ブラスムーン:「仕掛けるのですか」

トライヘッズ:「………知事選…あのラオモト=サンが有力候補だった...」

フォルブレイズ:「…これが、ラオモトが表の権力を得る前に最後に仕掛けられる最後のタイミング、というわけか」

ニンジャスレイヤー:「知事の座はラオモトを今まで以上に強力な、反逆の手など届かぬ絶対の存在たらしめるだろう」

スケルター:(たしかに…)

ブラスムーン:「……」

ストーンカ:「……そして私達も表と裏から抹殺される」

トライヘッズ:「そうなったら…今度こそ殺せなくなるかな…」
「…だね。きっと私の家族も…ううん、勝たなきゃ…」

ニンジャスレイヤー:「だが奴が表の顔に縛られる知事選の瞬間は、ソウカイヤが最も脆弱な隙を晒す瞬間でもある」

ニンジャスレイヤー:「……ゆえに、今だ。今しかない」

スケルター:(フムフム…)

フォルブレイズ:「…ああ。その瞬間ばかりはラオモトが表立った強引な手段を控えて世間体に縛られるほかなく、かつラオモトが自由に動けなくなる」

ブラスムーン:「……未来は今、か」

ニンジャスレイヤー:「私は明日の夜、仕掛ける」
その言葉を最後にフジキドは再び目を閉じ、チャドー呼吸を始めた。

フォルブレイズ:「…アルマゲストは、俺達に任せておけ。奴には沢山の礼をしなければならない」

トライヘッズ:「………決戦は明日か。」

ストーンカ:「……やりますか」

ブラスムーン:「まず行動してから後のことを考えよう」

フォルブレイズ:そして、フォルブレイズもアグラ・メディテーションを開始した。

スケルター:(ムウーッ…)

ブラスムーン:ブラスムーンは部屋へと戻りザゼンを再開した

スケルター:ドージョーの扉越しに聞いていたが部屋へと戻った

トライヘッズ:決断的に部屋へと戻った。時間は一秒も無駄にできない

ストーンカ:「イヤーッ!」

7d6>=4+6d6>=4 = (6,2,4,2,1,6,6 :成功数:4) + (6,5,4,2,4,6 :成功数:5) = 9

ストーンカは木人の頭部を掴み、超自然の01光を流し込む。
最終的に、全てはカラテなのだ。
「イヤーッ!」「イヤーッ!」

カトブレパスのことを思えば、ラオモト・カンに対する憎しみの一つも湧くかと思ったが、全くそのようなことはなかった。
ただ、ドサンコの氷のようにひたすらに澄んだ殺意だけが存在する。

「……後悔だけはしたくない」

18d6=6 = (4,5,3,5,4,6,3,3,1,3,2,3,4,3,3,5,2,5 :成功数:1) = 1

トライヘッズ:トライヘッズは木人に喰らいつき、恐るべきアーチニンジャのカラテを研ぎ澄ます。

結局はカラテである。相手が誰であろうと、最終的にはそうしてきたのだ。

「ラオモト=サン、アナタは…このネオサイタマにはいてはいけない人だよ…」
「ダークニンジャ=サン…アナタを見るとソウルが疼く…ナンデかな…」
「そしてアルマゲスト…許さない。」

「最後に…アルマジロ=サン、ホントゴメンナサイ。いや…ホントゴメンナサイ…」
これは…彼女が犯した罪を清算するための戦いである。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ハラジュクの一番長い一日】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ストーンカ&トライヘッズの場合#1

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【路地裏】

ダークストーカー:「……ドーモ、トライヘッズ=サン、ストーンカ=サン。ダークストーカーです。
へへ、薄汚いネズミ共がこんな場所に隠れていやがったとは……お前たちを殺し、この場所をシックスゲイツに報告し、俺はキンボシ・オオキイだ……わかるか?」

ストーンカ:「イヤーッ!」

14d6=6 = (4,4,1,5,1,5,4,5,3,2,2,4,2,3 :成功数:0) = 0

トライヘッズ:「ドーモトライヘッズです。」

ストーンカ:「ドーモ、ストーンカです。トライヘッズ=サン、後よろしく」

トライヘッズ:「任されたー!」

12d6>=5 = (1,1,2,3,5,6,5,3,1,3,4,1 :成功数:3) = 3

トライヘッズ:「ソウカイニンジャ…容赦シナイヨ!」アクマ変身!
カラテ

6d6+6d6 = (6+5+1+1+3+1) + (4+5+2+6+5+2) = 41

トライヘッズ:「イヤーッ!」恐るべき致命打!

ダークストーカー「……グワーッ!俺のキン、キン、キン……キンボシがァァァァ!!!!!サヨナラ!」
ダークストーカー爆発四散!

ストーンカ:「……まぁ、こんなもんですか」

トライヘッズ:「ウン…けど…明日ラオモトを殺せなかったらこれが毎日続く…かも」

ストーンカ:「まさか、こんなサンシタじゃあ済みませんよ」

トライヘッズ:(トライヘッズはストーンカが何もしていないことには奥ゆかしく触れなかった)
「…だね」

ストーンカ:ストーンカは奥ゆかしく、ダークストーカーから万札を抜き取ると、おおよそ半分ぐらいをトライヘッズに渡した。

トライヘッズ:「まあ…ジツって失敗するのにも疲れるからね…」
そう言うと半額の万札を貰った。

ストーンカ:「大分強くなりましたね、初めて出会った時とは大違いだ」

トライヘッズ:「アナタこそ…けど…結構危なっかしくもなったね…」

ストーンカ:「……これが本当の私ですよ」

トライヘッズ:(………そうかな。)ユイはナンシーにドゲザする彼女をリフレインしていた
「………とにかく…明日はガンバロウ。」

ストーンカ:「……私は本当は、誰よりも弱くて醜い。幸せなアナタのことも……憎んでいたわ」
くつくつという笑い声がストーンカのメンポの奥から聞こえる。
「ええ」

トライヘッズ:「知ってるよ。」
「一つ訂正するなら…アナタはとっても強いと思う。」

ストーンカ:「…………」
「私はアナタの健やかさが羨ましい」
ストーンカはメンポを外すと、トライヘッズに渡した。

トライヘッズ:「……帰ろう。まだ一日は始まったばかりだよ」
「…エッ!?」
「カ…カワイイ…」メンポを手に取る

ストーンカ:「……次に会う時、ストーンカはいないでしょう。
テコナ・ニンジャか、あるいは……盲目にして白痴なる……」
「私は寄り道をして行きます、大丈夫……すぐに戻りますから」

トライヘッズ:「……………」

ストーンカ:「トライヘッズ=サン、私を忘れないでね」
ストーンカはそう言って、淋しげな笑みを浮かべると、その姿はもう無かった。

トライヘッズ:「……待って!?…アッ…」ストーンカの発した言葉の意味をトライヘッズはまるで理解できなかった。
ただ、ある少女が付けていたメンポを眺め続けることしかできなかった。

トライヘッズ:トライヘッズは孤児院の面々にストーンカの失踪を話し、助けを乞おうとし…やめた。
決戦前日、今が一番重要な時期。インシデントが起きたと皆に知らせれば、皆の…孤児院の仲間一人一人の「貴重な一日」が大いに削られてしまうのだ。
…それを彼女が望むはずがない。
故に…「何も起こらずに帰ってくる」事を祈るしかなかった。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ハラジュクの一番長い一日】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ヒナコの場合#1

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【孤児院・キッチン】

ヒナコはナンシーにLAN直結してもらい、ニューロンの検査をしていた。

ウォーロックによる支配の悪影響が出ていないかどうかの確認だ。

幸い、過負荷による僅かな損傷は見られたが十分回復する範囲内で、後遺症のようなものは見られなかった。

「ここまできたら、私にできることは皆を応援すること……!」

迷いや後悔は後ですればいい。今は皆を、家族を守るのだ。

ヒナコは一心になって明日のためのオニギリを握った。

「ヒナコのオニギリ」の能力が向上した!

◆ヒナコのオニギリ
・体力1回復(手番を消費しない)
・このオニギリをセッションの開始時に受け取ったキャラクターは、サツバツ出目6や体力マイナスになっても気絶(行動不能)するだけで済み、行動不能状態で再度の攻撃を喰らわないと爆発四散しなくなる。(精神がマイナスになった場合普通に死ぬので注意)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ハラジュクの一番長い一日】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ドラゴンボーンの場合

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【孤児院/ドージョー】

ニンジャスレイヤー:「スゥーッ……ハァーッ……」

無人のはずのドージョーに静かな呼吸音が響く

ドージョーから誰もいなくなってなお、一心不乱にアグラ・メディテーションを行うニンジャスレイヤーである。

大量のスシとチャドー呼吸によるニンジャ回復力の促進によって、重傷であった傷もほぼ完治しつつあった

ギシ……。

ドージョーの入り口から響いた足音に、ニンジャスレイヤーは僅かに注意を振り向ける。
ドラゴン・ゲンドーゾー、あるいはユカノを思わせる気配。

ドラゴンボーン:「……驚いたな。チャドーも極めればあの重傷からも一晩で立ち直れるのか」

ニンジャスレイヤー:「……」

ニンジャスレイヤーは薄目を開き、現れたニンジャを見た。

ニンジャスレイヤー:「オヌシは……」

チャドーを使うニンジャは、彼にとって自分とあの二人を除き、初めて見る存在であった。
あるいは、彼もまたゲンドーゾーの弟子……つまり兄弟子めいた存在なのかもしれぬ。
ニンジャスレイヤーはアグラを解き、立ち上がった。

ニンジャスレイヤー:「……」

ドラゴンボーン:「ドラゴンボーン(竜の血筋)……なんて名乗ってはいるが、ドラゴン・ニンジャクランと縁があると知ったのは最近の事だ」
「多分、アンタの方が先輩なんだろうな。俺のセンセイは最近現れて、宿題残して消えちまった」
自分の胸を指さした。

ニンジャスレイヤー:憑依ニンジャ、つまりはセンセイの弟子ではない。

あるいはイッキ・ウチコワシのエージェントになってしまったユカノを取り戻すための繋がりとなるか、そう考えていたフジキドは内心で自らの弱さを叱咤した。

ニンジャスレイヤー:「私は僅かにセンセイから教えを授かったのみ。ドラゴン・ニンジャクランの人間ではない」

フジキドは真っ直ぐにドラゴンボーンを見た。

ニンジャスレイヤー:「いかなる用向きだ? まさか流派のカラテを使う門外漢を粛清しに来たというわけではあるまい」

ドラゴンボーン:「オイオイ、それをアンタが言うかよ。"ソウカイニンジャがドラゴンドージョーの名を汚すならば生かしてはおけぬ"とか言ってたのは誰だ?」

ドラゴンボーンはおどけて見せた

ドラゴンボーン:「……身勝手な願いだってのは承知の上だ。俺のセンセイが残した宿題を手伝って貰いたい」

ニンジャスレイヤー:「……」

フジキドは目の前の男の態度に、僅かに口許を緩めた。

あるいはドラゴンボーンが放つドラゴンドージョーのアトモスフィアに懐かしさを感じたのかもしれぬ。

ニンジャを前にしてナラクは不気味なほど静寂を保っている。

あるいはナラクが興味を持つほどでもないソウルということか。

ニンジャスレイヤー:「……よかろう」

同門との鍛錬。あるいは、自らのカラテの先を示すヒントになるかもしれぬ。

フジキドは小さく応えた。

ニンジャスレイヤー:「だが私には人を教えた経験は無い」

そう言って、古代ジュージツの構えをとる。

ドラゴンボーン:「……恩に着る」
「構わねェよ、俺のセンセイも常にカラテだけで道を示した。それだけで十分」
洗練とは程遠いヴァイキング・カラテとチャドーの入り混じった、歪なカラテを構えた。

ニンジャスレイヤー:「わかった」

ニンジャスレイヤーは構えたまま、うなずいた。

◆戦闘な◆
※サツバツは一律2ダメージとして扱う。身体欠損なし。
※距離は遠距離と近距離の2つのみ。

ドラゴンボーン:((一対一でやりあうのは初めてか。……そのカラテから絶対に何かを掴んでやる))

◆初期距離は遠距離◆
◆簡略化のため両者とも最初からチャドー呼吸の効果あり◆
【ニンジャスレイヤーの手番】

ニンジャスレイヤー:近距離へ移動、連続攻撃3

6d6>=4+6d6>=4+6d6>=4 = (1,6,3,6,5,2 :成功数:3) + (5,5,3,4,1,2 :成功数:3) + (5,4,6,3,3,2 :成功数:3) = 9

ニンジャスレイヤー:(まずはカラテを見極める)
ニンジャスレイヤーは一足でドラゴンボーンの眼の前まで詰め、チョップの連打を放つ。

ドラゴンボーン:ふつうに回避、5-5-4

5d6>=5 = (6,5,2,1,6 :成功数:3) = 3
5d6>=5 = (4,1,6,2,6 :成功数:2) = 2
4d6>=5 = (2,3,6,2 :成功数:1) = 1

ドラゴンボーン:「イヤッ!イヤッ!イヤーッ!」
難なくチョップをいなし、拳を握りしめる!
攻撃集中、連続攻撃2

ニンジャスレイヤー:(……!)チョップをいなされ死神は眉を僅かに動かした。荒いが、どこかにセンセイと同じものを感じるカラテ

3d6>=3 = (3,1,6 :成功数:2) = 2
11d6>=3 = (5,6,3,4,6,3,1,4,4,6,2 :成功数:9) = 9

ドラゴンボーン:トビゲリ宣言。

ドラゴンボーン:回し蹴りを放ち、勢いそのまま回転しながらしゃがみ……トビゲリに繋ぐ!
「イィィイヤァァーッ!!」

ニンジャスレイヤー:「……(あれはドラゴン・トビゲリ……!)」

3d6>=4 = (2,5,3 :成功数:1) = 1
15d6=6 = (5,3,5,4,5,1,6,2,2,3,6,2,2,3,1 :成功数:2) = 2

ニンジャスレイヤー:回し蹴りをしゃがんで回避すると、トビゲリを両腕をクロスして受ける。
「ヌゥーッ……」正面からでは受けきれぬことは明白な一撃、上へとベクトルを反らし受け流す!

ドラゴンボーン:「……フハ、ハ!まァ避けるよなァ……ここまで種はお互い知ってるモンなぁ……!」

ニンジャスレイヤー:(ここまで……?)
ニンジャスレイヤーは訝しみつつも、間断無く次のカラテを打ち込みにいく!
攻撃集中、連続攻撃3

ドラゴンボーン:回転しながら着地、攻撃に備える!

14d6>=3+2d6>=3+2d6>=3 = (2,3,2,3,2,5,3,3,3,4,3,6,1,5 :成功数:10) + (4,3 :成功数:2) + (1,4 :成功数:1) = 13

ニンジャスレイヤー:「イヤーッ!」踏み込みながらの正拳!

ドラゴンボーン:んーむ。サツキ宣言

17d6=6 = (1,2,2,1,1,1,6,3,1,1,6,2,2,3,1,5,3 :成功数:2) = 2

ドラゴンボーン:「んじゃここからが手品だぜ」 左手を捻りあげた奇妙な姿勢で正拳を受け止め……

ドラゴンボーン:瞬間的にカラテを放出、儚いムテキ・アティチュードを作り出す

ニンジャスレイヤー:「……!」

ニンジャスレイヤー:(ムテキ……!? 否、これは……!)

ニンジャスレイヤー:正拳の衝撃が逸らされ、吹き散らされる。

運動エネルギーがゼロになった一瞬の隙に粗雑なストレートをねじ込む!

ドラゴンボーン:「イヤーッ!」

ニンジャスレイヤー:フジキドは表情を全く変えないながらも内心驚愕した。

身を引こうとするが、攻撃を弾かれた直後とあってはそれも叶わぬ。

反撃が来る、ここまでの致命的な隙を晒しては――!

ニンジャスレイヤー:「グワーッ!」

ストレートを撃ち込まれ、フジキドの上半身が揺らぐ!

ドラゴンボーン:ストレートを放った姿勢のまま、ゆっくりと後退する

ニンジャスレイヤー:2ダメージ(残り体力14)
「……」

フジキドもまたカラテを構え直し、ドラゴンボーンを見つめる。

ドラゴンボーン:「……死ぬかと思っただろ。だが実際はコレよ」

ドラゴンボーン:「ほんの一瞬の隙。だが俺にはその隙を活かすだけのカラテがねェ……これが宿題」

ニンジャスレイヤー:(手加減された?いや……だがなんだこの違和感は……?)

(((グググフジキドなんたるウカツか……あのような子供騙しに引っかかるとは……)))
(((知っているのかナラク?)))

(((なんでもワシに問うて答えが返ると思うでないわ。だが、リスクに比べてなんらリターンをもたらさぬ子供の手品ごと、正面から押し潰すは容易……グググ)))

ニンジャスレイヤー:「……」

なるほど、宿題。
ニンジャスレイヤーはなにか得心のようなものを感じていた。

これだけ高度な集中を必要とするであろうにまともな反撃ができない防御技
まるで片輪を失った車のようなカラテ

確かに現段階では手品の域を出ぬだろう。

だが、もう片輪について、フジキドは知っているような感覚があった。

それがなにかわからぬ、だが――

ニンジャスレイヤー:「私は宿題に答えを返すことは出来ぬ。オヌシ自身で掴み取れ」

死神は眼の前に立つニンジャ――あるいは兄弟弟子へ手招きをする。

ドラゴンボーン:「……サツキ」

制御されたドラゴンブレス・イブキ。床に"殺気"の文字を焼き付けた。

ニンジャスレイヤー:「……」「サ ツキ」

ドラゴンボーン:「元よりそのつもりだ。この手品をヒサツ・ワザに昇華させる……掴み取ってやるさ」

攻撃集中、連続攻撃2

3d6>=3 = (6,3,1 :成功数:2) = 2
11d6>=3 = (1,1,1,1,4,5,2,2,1,4,6 :成功数:4) = 4

ドラゴンボーン:「イヤッ!イヤーッ!」
お返しとばかりに正拳の2連!

ニンジャスレイヤー:フジキドは考える。

サツキという技は自分に可能か。
否、不可能に近い。

あれは奇跡の一瞬とも言うべき見極めが必要となる。
即興でできる技ではとてもなし、だが――

ニンジャスレイヤー:「グ……!」

フジキドは一発目をあえて受け(1ダメージ)、僅かに後ろに下がり二発目を待ち構える。

18d6>=4 = (5,5,2,6,6,3,6,6,4,5,1,3,2,1,5,1,2,4 :成功数:10) = 10

ドラゴンボーン:((何……?))

ニンジャスレイヤー:これはサツキの真似事にすぎない。

フジキドは左腕で正拳を受け流す。

そして開いたドラゴンボーンの胴体に対し、右腕を弓のように引き絞った。

なるほど、サツキ。
これに値する車輪の片輪があるとするならば、これしかあるまい。

致命的な隙を晒した相手への、カイシャクの拳。

ヒサツ・ワザ「ジキツキ」。

ニンジャスレイヤー:「……イヤーッ!」
威力2+5(追加ダメージ)=7ダメージ 回避判定N

ギリギリまで引き絞った右腕のカラテを、ドラゴンボーンの胸めがけて解き放つ!

ドラゴンボーン:そのまま受けます。

ドラゴンボーン:((避けられる……が!))
「グ……グワーーーーーッ!?」

あえてまともに受け、吹っ飛ぶ!

ニンジャスレイヤー:「……!」

ドラゴンボーン:「ゴホッ……!なるほどな、タイミング、フォーム、カラテと衝撃の通し方……」
「学ばせてもらったぜ……!」

ニンジャスレイヤー:ジキツキを受けてタタミをゴロゴロと転がったドラゴンボーンをニンジャスレイヤーは見下ろした。

彼はサツキを習得することはできなかった。
だが目の前の男は違ったようだ。

ドラゴンボーンの握られた右拳には、

確かに新たなカラテを得た感覚があった。

ニンジャスレイヤー:「……そうか」

死神は短く言う。

ドラゴンボーン:「何事も自分の身体で学ぶのが一番だ……クソ痛ェがな!」
「……もう一発くれ」

木人を杖に立ち上がり、左手を捻り上げる……サツキを構える

ニンジャスレイヤー:「……」

ドラゴンボーン:右手はゆっくりと大きく引き絞った。
ニューロンに刻みつけたニンジャスレイヤーのそれを反駁するように微調節しながら。

ニンジャスレイヤー:「よかろう」
ニンジャスレイヤーは深く腰を落とす。

ドラゴンボーン:「スゥーッ……!ハァーッ……!」

ニンジャスレイヤー:ジキツキは隙の大きいカイシャクの拳。

だがこのような使い方があるとは思わなかった。

自分の未熟故思い至らなかったのか、それとも――否、それもどうでもいいことだ。
近接攻撃を実行

18d6>=4 = (6,2,4,4,2,6,1,4,4,3,2,4,6,5,3,1,6,1 :成功数:10) = 10

ニンジャスレイヤー:ヒサツ・ワザ「ジキツキ」を宣言

ニンジャスレイヤーは重い一歩を踏み込み、右腕を引き絞る。

手加減をしているとはいえ、ジキツキを二度まともに喰らえばこのニンジャはあるいは死ぬかもしれぬ。
否、そうはならぬという確信が死神にはあった。
それはカラテを交わした感触か、それとも兄弟弟子への信頼か――

ニンジャスレイヤー:「イイイイイイイイヤアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

右腕に縄めいた筋肉が盛り上がり、解き放たれる!
攻城弓が如き威力の右ストレート!

ドラゴンボーン:「――!」
サツキ宣言。

15d6=6 = (3,2,4,1,4,6,1,2,3,2,2,6,6,4,4 :成功数:3) = 3

ドラゴンボーン:「その胸」
サツキ!ほんの一瞬のムテキ・アティチュード!

ニンジャスレイヤー:「……!」

ドラゴンボーン:その一瞬の隙に今まで無理やりにねじ込んでいたのは粗雑なストレート。しかし今は!
「借り受ける!イィィィヤァァアアーッ!」
予め引き絞っていた右腕を攻城縋めいて突き出す!ジキツキ!

ニンジャスレイヤー:「グ……グワーッ!」

ジキツキを打ち払われ、硬直した身体
そこにジキツキが打ち込まれ、ニンジャスレイヤーは大きく吹き飛んだ!

ドラゴンボーン:「……!」

そのまま壁でウケミをとるが、逃した衝撃が壁に大きなヒビを入れる!

ニンジャスレイヤー:「ゴホッ、なるほどサツキ・ジキツキ」

死神はタタミの上に着地すると、深くチャドー呼吸をした。
ジキツキを受けたのだ、ウケミで受け流してもなお大きなダメージがあった。

ドラゴンボーン:「サツキ……それにジキツキ。それがこの技の名か」

ニンジャスレイヤー:「……」
フジキドもまた得心がいったように頷いた。
まさに今その身でワザをくらいながらも、目の前でパズルの最後のピースがはまったのを見たような満足感があった。

ドラゴンボーンのサツキは◎サツキ・ジキツキに進化した

◎サツキ・ジキツキ
『近接攻撃』及び『近接攻撃の代わりに使用する攻撃』を受けた際に『回避判定』の代わりに発動できる。ほか、NM判断で使用できる場合もある。
・精神力を1消費
・攻撃回避難易度がUHとなる(たとえ必中の攻撃であってもUHとなる。この回避難易度はどんな手段でも変更不可)
・その回避判定にのみ使える回避ダイス+3
・回避に成功した場合【必中】で1ダメージのカウンターカラテが発生する。(このダメージはバフ不可)
・回避判定に出目6が2つ以上あった場合、このダメージは2となる。
・回避判定に出目6が3つ以上あった場合、ヒサツ・ワザ「ジキツキ」の発動を宣言できる。この場合、ダメージは5となる。
・このスキルを連続攻撃に対して成功させた場合、その連続攻撃は強制的に終了される。
・失敗した場合は通常どおりダメージを受けるが、このダメージは「かばう」や「ムテキ・メイル」、「火炎耐性」等の対象にはできない。
 ◇ヒサツ・ワザ「ジキツキ」
 近接攻撃時出目6が3つ以上で発動可能。
 回避難易度N(タツジン:チャドー補正込) 威力:通常のダメージ+5

ドラゴンボーン:死神の身体、そして自分の右腕への反動をみる。
「……まだアンタほどの威力は出せねェー……だが、宿題は」
「及第点貰えそうだぜ」
静かに頭を下げた。

ニンジャスレイヤー:「……それはなによりだ」
フジキドもまた奥ゆかしくオジギを返す。
サツキ、あるいは自分もまた習得する時が来るかもしれぬ。否、習得しなければ生き残れまい。
彼にはそんな確信があった。
だが、それは今ではない。
再びドージョー隅でアグラ・メディテーションを開始する。
ニンジャスレイヤー:「スゥーッ……ハァーッ……!」

ドラゴンボーン:「…………」
ドラゴンボーンはもう一度死神に礼をし、ドージョーを去った……

……そして十数秒後、戻ってきた
チャドー呼吸の音が静かに響く中、ドラゴンボーンは床に刻まれた「殺気」の文字を必死に雑巾で拭おうとした……。

……だが、炎で刻まれた文字は消えなかった……!

「ドラゴンボーン=サン?」
雑巾をかける彼の背中に声がかけられる。
少女の、低い、よく通る声だった。

ドラゴンボーン:「クソーッ、テストに出ないぞこんなの……アイエッ」
ドラゴンボーンはゆっくりと振り向いた

ヒナコは、ドラゴンボーンにニッコリとした笑顔を向けた。
「……TAKE THIS!」

ドラゴンボーン:「アバーッ!」

ニンジャスレイヤー:そんな光景に、ドージョー隅のフジキドが僅かに微笑んだように見えた。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ハラジュクの一番長い一日】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ハートレスの場合

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【孤児院・キッチン】

ハートレス:「…」

ハートレスは悩んでいた
今回みたいにみんなが傷つくことに関して…

ハートレス:「………」

それゆえに、自らのドクに関しての知識を利用してクスリを作ってみようと思った、のだが…

ハートレス:「………………うがーーーーっ!」
全然うまくいってなかった…

ニンジャスレイヤー:「……」
そんな少女の後ろを通りがかったニンジャが一人

ハートレス:「……………」集中…でもうまくいかないの図

ニンジャスレイヤー:そのニンジャの装束は赤黒
さして興味もないというように通りがかりながら、チラとハートレスの調合風景を見る。

ハートレス:「…………ぬぬぬー…」

ニンジャスレイヤー:「……ニンジャピルか」

ハートレス:「ウワッ!」「びっくりした…」

ニンジャスレイヤー:フジキドはボソリと呟いた。
「ああ、スマヌ。続けてくれ」

ハートレス:「…そんな名前なのコレ?」「実際全然わからなくて…」

ニンジャスレイヤー:「……私も作っているところを見たことがあるだけだ」

フジキドの脳裏に去来するのは過去のドラゴン・ドージョーの風景

ハートレス:「…」

ニンジャスレイヤー:センセイ、ユカノ、彼らもまたニンジャピル調合のタツジンであった。

果たしてフジキドはその技術を受け継ぐ間もなく、今に至る。

持ち出した僅かなそれも、とうに使い果たしていた。

ハートレス:「…なら」
「…知ってる分だけでいいから教えてもらいないかしら…」
「できることはすべてやっておきたいの」

ニンジャスレイヤー:「……」

フジキドは僅かに逡巡する。

自分などが教える、大それたことだ。ましてや相手はニンジャ。

ハートレス:「…」

ニンジャスレイヤー:だが、ハートレスの目は彼がどこかで見たことのあるものでもあった。

(ユカノ……)

体型は似ても似つかぬ、だがどこか美しい黒髪、芯の強い瞳

ニンジャスレイヤー:「……そもそもが、世に出回っている薬品がニンジャピルを真似たものだ……そうセンセイは言っていた」

ハートレス:「…へぇ」

ニンジャスレイヤー:「トロ粉末、ザゼン、ZBR、シャカリキ、タノシイ、ドク、全ては元々ニンジャピルであった」
「あるいはスシをニンジャ筋力で丸薬状に固めたものが原初のニンジャピルであったという」

ハートレス:「スシを…」「…」
自分のスシを取りだして…

6d6=6[=6] = (4,2,2,2,2,1 :成功数:0 , サツバツ![=6]:0) = 0

ハートレス:「…ぬぬぬー…無理!」
やはりだめだった

ニンジャスレイヤー:「……」
フジキドはハートレスからスシを取ると、精神を集中させた。

ハートレス:「アッ」

ニンジャスレイヤー:「イヤーッ!」

18d6=6 = (1,1,1,1,5,5,6,6,5,5,6,2,6,3,5,4,2,2 :成功数:4) = 4

カッ!

握られた拳の中から、赤色の丸薬が煙を上げながらこぼれ落ちる。

ハートレス:「…すごいわねぇ…」

ニンジャスレイヤー:「……これはただの圧縮したスシだ」

ハートレス:「…まあ…そうね」

ニンジャスレイヤー:「だが、かつてドクを扱うニンジャ達はその知識によって、こういった食料やハーブを調合し、ニンジャピルとしたという」
「オヌシにドクの知識が足りぬのならば、今ある薬品をヒントにするのも良いのではないか?」

ハートレス:「…そうさせてもらうわ、今は時間がないし」
「…」

ハートレス:「……一つ、聞いてもいいかしら?」

ニンジャスレイヤー:「……」フジキドは無言を以って肯定する。

ハートレス:「…あなたが戦う理由を、なぜニンジャを殺すのかを」

ニンジャスレイヤー:「……」

ニンジャスレイヤーの目に、赤い光が火花のように散る

ニンジャスレイヤー:「私は利己的な殺戮者に過ぎん。妻子の仇をうち、仇に連なるニンジャを全て殺す。それだけだ」

ハートレス:「…そう」
「…じゃあ」

ハートレス:「…仇を全員殺した後は?」

ニンジャスレイヤー:「後など無い。今、ニンジャを殺すのみ」

ハートレス:「…私もそう思ってたけどね…」
「意外と、後ってあるものみたいよ?」

ニンジャスレイヤー:「……」
フジキドは黙ったまま言葉を返さなかった。

ハートレス:「インストラクションのお礼よ、後のことも考えておきなさいな」

ニンジャスレイヤー:「……覚えておこう」
フジキドは静かに頷いた。その目は元の黒目に戻っている。

ハートレス:「ええ、ありがとうね」
クスリ棚に向かって薬を出しだす
「とりあえずトロ粉末あたりからやってみようかしら…」

色とりどりのクスリを見ると同時に、ハートレスはニューロンの奥から何かが湧き出すのを感じた。
私はこれに触れたことがある。
もっと上手く操れる。そう身体が、否、魂が言っている。

ハートレス:「……フムフム…」

トロ粉末……
ニューロンを活性化させるが、吸引に手間と時間がかかるのが難点。
だが、より吸収効率を高めれば経口摂取でも十分な効果が得られるはず

教えられたわけでもない知識がニューロンから湧き出してくる。

ニューロン+ジツ判定。難易度H

ハートレス:「…」
「………」動く手に任せて作る

12d6>=5[=6] = (2,6,2,6,4,1,6,3,2,3,5,5 :成功数:5 , サツバツ![=6]:3) = 8

ハートレス:ヒサツ
こわ…
アッ1間違えてる…まあいいか

トロ粉末はいつのまにか薄ピンクの丸薬の形をなしていた。
これであれば、戦闘中に大きな動作もなく使うことができるだろう。
作るのに手間はかかるが……確実にイクサの大きな助けとなると思われた。

ハートレス:「…」

ハートレス:「…」

ハートレス:「…意外とできるものねぇ…」「自分で自分にびっくりだわ」

それからハートレスは湧き出す知識と勝手に動く手に任せ、次々とニンジャピルの試作を行った。

ハートレス:「………なんだか楽しくなってきたわね…アハハ」

スシ、トロ、ザゼン、ZBR、カラテ、モウドク、ズンビーめいた作用をもたらすニンジャピルさえ。

ハートレス:「……………ヒヒ……」

ニンジャスレイヤー:「スマヌ、一つ言い忘れた」

ハートレス:「わっ!」

ニンジャスレイヤー:夢中になっていたハートレスの背後に、いつのまにかフジキドが立っていた。
その服装はニンジャ装束ではなく、通常のジャケット姿だ。

ハートレス:「何を言い忘れたの…?」

ニンジャスレイヤー:「ム……スマヌ、余計驚かせたか」
「ああ」
「モータルを虐げ、殺し合うのがニンジャの本性だ」

ハートレス:「…」

ニンジャスレイヤー:「だが、オヌシがやろうとしているニンジャピル作りは違う」
「癒やし、助けるワザ」
「センセイや姉弟子もやっていたことだ。私は、好ましく思う」
「……それだけだ」

ハートレス:「…そう…」
「まあ…私だってそんなに邪悪じゃないかと聞かれるとわかんないけど…」
「そう褒められるのは…悪い気分じゃないわ」
「みんながみんな無茶ばかりするからこれぐらいしておかないと危なっかしいのよね…」

ニンジャスレイヤー:「フ……私もナンシー=サンによく言われる」
フジキドは小さく微笑むと、去っていった。

ハートレス:「…」(…なかなか…苦労してるわね…?ナンシー=サン)

◆ハートレスは★★「ニンジャピル生成」を習得した!

★★「ニンジャピル生成」
「ニンジャピル」を以下の種類から【2つ】選び生成・所有した状態でセッションを開始できる。
このジツは例外的にジツ5、ジツ6で【2回】まで取得でき、その場合最初から生成可能なニンジャピルは【4つ】となる。
余ったニンジャピルを次セッションへ持ち込むことはできない。
・全てのニンジャピルは手番時に、手番消費無しで使用できる。
・自分の手番時、隣接していない仲間にも受け渡し可能。
※その他行動扱い(ニンジャピルは小さいため、射線が通っていれば投げて受け渡しが可能)
 ①ニンジャピル「スシ」
  体力を即座に3回復する。
 ②ニンジャピル「トロ」
  精神力を即座に2回復する。
 ③ニンジャピル「ザゼン」
  能動・受動問わずニューロン判定時に使用。効果はその判定一回限り。判定を自動成功させる。
 (【ジツ+ニューロン】の判定や、難易度UHでも使用可能)。
 電子戦で用いた場合ダイスを+4する。重複使用可能
 ④ニンジャピル「ZBR」
  次の手番まで脚力+2。
  気絶した仲間に用いた場合、上記の効果に加え即座に体力を1まで回復させ復帰させる。
  射線が通っていれば使用可能。
 ⑤ニンジャピル「カラテ/ワザマエ」
 その手番中の近接攻撃もしくは射撃ダイスを+4する。
 (使用時にどちらのダイスを増やすか宣言すること)
 ⑥ニンジャピル「モウドク」
  次に命中した攻撃の威力が+2される。(連続攻撃、連射の場合1発目のみ)
 ⑦ニンジャピル「ズンビー」
  その戦闘中肉体欠損無効
  ※ダメージ上昇はある、サツバツ出目6を受けても即死せず「通常ダメージ+1d6ダメージ」化
  精神がマイナスになっても爆発四散せず気絶するようになる。
【解説】
ある種のニンジャは化学知識に精通し、自然界の野草やキノコから恐るべき効果を持つニンジャピルを作り出した。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

しばらく時間が経ち、ハートレスの眼の前にはいくつものニンジャピルが転がっていた。

いくらか試作してみたが今のところ使い物になりそうなのは7種類だけだ。

ハートレス:「…………はーっ…疲れた」

ハートレス:「…いやー…作ったわねぇ…」
「…」
「…これだけあれば…」
「…誰も…死ななくて済む…わよね…?」

そう、その一点
その不安を取り除かんがために
ハートレスは頑張っていたのだ

ハートレス:「…」

未来は誰にもわからない
だが…

ハートレス:「…」
「………」
「………誰も死なないで…!」

祈ることぐらいは…
許されてもいいだろう…

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ハラジュクの一番長い一日】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

フリントアームの場合

フリントアームは傷の治療もそこそこに孤児院からそう遠くないガレージに向かった。

この借ガレージはソウカイヤと事を構える事を想定して用意した簡易サイバネ施術室である。

ジャーナリスト報酬や孤児院に来る前の貯蓄をすべて使い果たして用意したものである。

部屋の中には西洋甲冑めいたサイバネアーマーが吊るされている。
その表面は特殊な火炎耐性処理されており有機的でどこか爬虫類を思わせる。

フリントアームはサイバネの近くに手紙が置かれていることに気付く。

手紙にはサイバネアーマーの詳細な説明と重サイバネ処理することへの警告、そして小さく心配する言葉が書かれていた。

フリントアーム:「すまんな。本当にすまん」

フリントアームは小さく呟くと手紙をカエルに折る。

そして決断的に上着を脱いだ。

背中に備え付けられた生体LAN端子をサイバネアーマーに接続。

アーマー前面部が変形することで自動的に装着される。

レッドアームフレームと接続されたアーマーが赤く輝き異常な熱を発する。

フリントアーム:「ヌゥー!」

レッドアームの熱がサイバネと肉体を溶接する痛みに耐える。

サイバネと肉体の歪な融合。

「傷ついた人の手足になれ」という夢の残骸。

それが男の戦う力となる。

pipipi…計器が溶接融合の完了を告げる。

余剰熱を蒸気として放出しながらフリントアームは立ち上がる。

フリントアーム:「俺は止まらんぞ。立ち塞がるものがあれば全て灼き尽くす!」

瞳が決意の炎に輝く。

装束を着直すと決断的な足取りで帰宅した。

計器の光だけが灯るガレージにはカエルの折り紙だけが残された。

サイバネ手術:サイバネフレーム
サイバネ総数:8.精神力ー3、狂気2個

サイバネ狂気判定

2d6 = (1+5) = 6

虚無衝動/肉体への過信

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ハラジュクの一番長い一日】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ナンシー・リーの場合#2

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ナンシー「これは……参ったわね……」

ソウカイネットにハッキングしていたナンシーは、新しくバウンティ(報奨金)が設定された賞金首のリストを見て、ため息をついた。

スケルター、ブラスムーン、ドラゴンボーン、フリントアーム、フォルブレイズ、トライヘッズ、ハートレス、ストーンカ

その全員が100万札を超える賞金が賭けられている。

当然ながら、その生死は問わず。

これはつまり、ネオサイタマにいる全てのソウカイニンジャ、傭兵ニンジャに命を狙われることを意味していた。

ネオサイタマ闇の帝王ラオモト・カンに逆らうとはこういうことなのだ。

ナンシー「ヤクザ天狗=サンを追い越してニンジャスレイヤー=サンに次ぐ金額ね。動きが早くてビックリだわ」

今の段階では裏の懸賞金にとどまっているが、ラオモトの政財界への触手は深い。

表の世界においても孤児院のニンジャ達がお尋ねものになるのは時間の問題だろう、奴が知事となればなおさらだ。

この孤児院もいつバレるか分からない。もはや一刻の猶予も無かった。

都知事選は明日。

明日の夜までにトコロザワピラーに攻め込み、ダークニンジャとアルマゲストを排し、電撃的にラオモトを葬り去らねばならないいのだ。

だが、現在のソウカイヤはアルマゲスト手主導で大幅に戦力を増強しつつあるという。正面からの突撃は自殺行為だろう。

一体どうすれば良いのか、ナンシーは深く頭を悩ませた。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

トライヘッズ:「いよいよ私もお尋ね者か~」
「…マズイ!ドウシヨウ!お母さんにバレたらおこられるー!」

ヒナコ:「お母さんにバレたらとかそういうレベルの話じゃ……まあいいか」
ヒナコはトライヘッズが変わらず家族への思いを抱いていたことに安心した。

トライヘッズ:「…………ダイジョブ。ココさえ乗り切れば英雄だよ!」(だよね、ストーンカ=サン!だから…帰ってきてね。)
素顔を明かし一人で消えたストーンカが心配であったが、彼女の言ったように…ちょっとだけ彼女のように明るく振る舞うトライヘッズであった。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ナンシー「トコロザワピラー、これは外部からのハッキングは無理ね……」

UNIXとの直結を解除したナンシーはため息をついた。
流石ソウカイヤの本拠地と言うべきか、
サンシタが使うソウカイネットとは格が違う、偏執なまでの電子的防御。

ナンシー「あるいはダイダロスの遺産なのかしら」

かつて幸運と度胸で打ち破った強大なハッカーの存在を思う。
だが、ハッキングに成功せねばラオモトのいる天守閣には辿り着けすらしないことも調べがついている。

ナンシー「これは内部からのハッキングしかないわね……もしくは中継してくれる子に中に入ってもらうか……」
「皆に意見を聞いてみようかしら」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ハラジュクの一番長い一日】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

スケルターの場合

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【孤児院/ドージョー】

ソウカイヤを裏切り、激しい戦いを終えて帰った次の日
スケルターは、なにかに呼び出されるような感覚とともに、ドージョーを訪れていた。
無人のドージョー。先程までは赤黒のニンジャがいたようだが、今は誰もいない。

スケルター:「……」「フム…」カガミを見る

カガミに映るのはスケルターの姿
ドクロのニンジャがダブって映っている。

スケルター:「イヤーッ!イヤーッ!」カガミを見ながらカラテトレーニングをし始める

「イヤーッ!イヤーッ!」
カガミの中の彼女とともにドクロも同様にカラテの動きをする。
彼女が完全にソウルと共振し、その力を支配下においた証だ。

「……初めて会った時とは見違えたな」

その声は後ろから聞こえた。

スケルター:「……」(((フシギだな…このドクロ男に見える))
「ム?」

モウケ:「ドーモ、スケルター=サン。ラオ・モウケです」

スケルター:「ドーモ、ラオ・モウケ=サン。スケルターです」

モウケ:その老人ニンジャは、胡乱な風体にはそぐわぬ古式ゆかしいオジギをした。

スケルター:「ゴキゲンヨ。今日は実際大変であった…」

モウケ:「手を貸してやれず、申し訳ないな」
モウケは意外にも心の底から申し訳なさそうに言った

スケルター:「…いいんだ。自分たちで切り抜ける必要があった気がする故…」

モウケ:「フ、一廉のニンジャになったというわけか」
モウケはどこか寂しげに笑う。
「迷いを祓い、困難を乗り越え、カラテを積み、本来は合わぬソウルすら自身と一体化させた」
「大したものだ。心からそう思うよ」

スケルター:「アリガトウゴザイマス」オジギする
「……しかし」
「まだまだ自分は未熟だと思います。自裁我流カラテであるが故…」

モウケ:「未熟、か」モウケはしみじみとつぶやく。
「それもまた良さの一つ。未来の可能性そのもの」

スケルター:「…モウケ老人がかつてモーターヤブに見せたようなカラテを学びたく…」
「ムムム…」

モウケ:「……」
「オヌシを見ていると、昔の弟子を思い出す」

スケルター:「昔の弟子…」

モウケ:「自由とはなにか。己の意思とはなにか。選び取ったそれを最後まで貫き――」

「――ワシに殺された」

スケルター:「………」真剣な表情で聞く

モウケ:「ビガーケイジズ、ロンガーチェインズ。洒落た言葉だが真理だ。オヌシらが選んだ道は実際苦難の道のりになることであろう」

スケルター:「そうですな…ですが…切り開かなければなりませぬ」

モウケ:「ああ、そのとおりだ……」
モウケは優しい目でスケルターを見た。

スケルター:「それがマッポーの世…ニンジャの世界だと考えています…」

モウケ:モウケは一度深く頷くと、右手を胸元まで差し出した。

「今から、一つだけワザを教える」

スケルター:「ハイ」

モウケ:「スゥーッ……ハァーッ……」
モウケは息を深く吸い、吐いた。

スケルター:「……」モウケのカラテを目に焼き付けようとする

彼の差し出した右腕に力がこもる。カラテだけではない、黒い霞のようなジツの力もだ。

スケルター:「おお…」

リアルニンジャのカラテは、それだけでエテルの風を揺るがし、ビリビリと床を震わせる。

スケルター:「……ヌウーッ」

モウケの腕は徐々に黒く染まっていき、耐えきれなくなった空気が黒く燃えだす
まるで世界そのものを揺るがすような存在感を放ちながら、モウケの右腕は黒い炎に包まれた。

スケルター:「……タツジン」動きを真似しようとするが中々難しい

モウケ:指が、腕が、僅かに動くたびに空間そのものが軋みを上げる。
「今から教えるワザは極めて単純なものだ。”ただ、全力で殴りつける”それだけだ」

スケルター:「オオ!と、得意分野です…!」

モウケ:「だが、必要なのはカラテの力だけではなく、ジツの力もだ」
「部位ヘンゲができるオヌシならそれができるはずだ」
「単に右腕だけをヘンゲさせるのではなく、全身をヘンゲさせる力を右腕だけにこめる」
「ワシの場合はムッジョのジツをこめるがゆえに、このようになる」

スケルター:「…もしや部位ヘンゲはかなり特殊なワザ…?」
「成程…腕だけをヘンゲ…」

モウケ:スケルターが見るとモウケの右腕は最早ブラックホールが如き黒に染まり、その炎は禍々しく空気を灼きえぐっていた。
「カラテとは物理における拒絶の力、ジツとはエテルを揺るがす力」

スケルター:「……ハイ」

モウケ:「両者を極めて、以って世界そのものを自らの意思に従わせる力とする。以って”自在の境地”という」
「そして私はこれをこう呼ぶ。”キワミ・テ”」
モウケはそう言った瞬間、木人へと向かって跳んだ。

「イィイイイイイイイイイヤアアアアアアアアアアアッ!!」

24d6=6 = (6,5,3,4,1,6,6,2,6,3,3,4,4,4,5,4,2,5,3,4,3,3,1,6 :成功数:5) = 5

スケルター:「”自在の境地”…!あるソウカイニンジャが言っていたノージツノーカラテですか…!」「!?」

シャグッ
音は、まるでスプーンでスイカをえぐったような音だった。

スケルター:「……アイエ」

モウケ:「……ハァーッ」
木人の後ろでモウケがザンシンする。

木人の頭は、まるで元から存在しなかったかのように消滅していた。
まるで空間そのものがえぐり取られたかのように、消えている。

スケルター:「…タツジン」

スケルター:「…」木人の頭を撫でる

モウケ:「これで貫けない相手はいない」
モウケは端的に言った。

スケルター:「スゴイ…」木人の切れ目はカラテを受けたような跡すらない…

モウケ:「実際これでフジミのやつを10年ほどねこませてやったこともある」

スケルター:「古代ニンジャ世界…おそろしや」

モウケ:「さて、オヌシの番だ。やってみろ」モウケは振り返ると平然と言った。

スケルター:「は、ハイ!」

モウケ:「部位ヘンゲができるオヌシならそれができるはずだ」繰り返す。「単に右腕だけをヘンゲさせるのではなく、全身をヘンゲさせる力を右腕だけにこめる」

スケルター:「成程…スゥーッ…ハァーッ…」

モウケ:「もしかしたら無意識にやっていたのかもしれんが、部位ヘンゲとは完全にジツを己のモノとしなければ出来ない技術」
「何があったかは知らぬが、オヌシとオヌシのソウルは今や一つになっている。 結婚式でもしたか?クハハ……」

スケルター:「そうなのですね…!」完全に無意識だった
「し、してません!」

モウケ:「そうか、そうか」モウケは笑った。

11d6  = (4+2+4+4+3+5+2+3+1+4+1) = 33

スケルター:「ヌウーッ…!」右腕だけをヘンゲさせるよう集中する…!
「中々…ムズカシイ」

モウケ:「足りぬ!もっとだ!身体全体をヘンゲさせるつもりの力を右腕だけに注ぎ込め!」

スケルター:「は、ハイ!」

11d6=6 = (2,2,6,3,2,2,1,3,4,4,2 :成功数:1) = 1

スケルター:「スゥーッ…ハァーッ…!」

……これはいかなることか。
この上ない手応えが会ったにもかかわらず、スケルターの右腕は微動だにせぬ
ただ、腕が猛烈に熱く、そして白くなっていく。
ドクロの白よりなお白く

スケルター:「これは…!」

スケルター:「こ、こうですか…!」

モウケ:「気を抜くな」

スケルター:「ハイ!」

キィイイイイイイイイイ……!
ジツの力がスケルターの右腕から逃れようと暴れている!

スケルター:「ぐ、グワーッ…いやまだだ…!」

11d6=6 = (1,2,6,6,4,2,6,5,4,5,5 :成功数:3) = 3

徐々にスケルターの右腕は白熱電球めいて発光しつつある!

スケルター:「スゥーッ…ハァーッ…!」

キィイイイイイイイイイ!!

ゴウランガ!グレーターヘンゲで現れるドクロの巨大な怪物と同じだけの力が、今やスケルターの右腕にこめられているのだ!

スケルターの右腕がいまやスタングレネードめいた凄まじい光を発し、白い炎をまとった!

スケルター:「ま、マブシイ…!」

スケルター:「ヨシ…あとはこれで…!」木人を睨む

モウケ:「ここから先は趣味でな、ワシのようにその状態でぶつけるものもおれば、当てた瞬間にチカラを解き放つものもいる」

スケルター:「や、やってみます…!」

モウケ:「……さて、オヌシはこのワザをなんと呼ぶ?」

スケルター:「……大きいドクロの手だからドクロ・テとか…ムウ―ッ難しい!」

モウケ:「ドクロ・テか!クフフ面白い!」

●ヒサツ・ワザ『ドクロ・テ』
・近接攻撃時、出目6が3つ以上出た時に発動可能。
・威力通常ダメージ+8、回避難易度N(下限※回避難易度低下の影響を受けない)
・出目6が4つ以上出た場合は回避難易度H、5つ以上出た場合は回避難易度UHとなる。
・命中した相手の一部の「不滅」を無効化する。(無効化可能かはNMが都度判断)
・ムテキの相手に命中した場合はムテキによる軽減を受けた上で、ムテキを強制的に解除する。
・命中し相手が死ななかった場合、出目1と同じ吹き飛ばし効果を与える。
【解説】
モウケから伝えられた全カラテ、ヘンゲの力を右腕に凝縮して放つ究極の一撃。
凝縮したまま相手を穿つのが本道であるが、スケルターはインパクトの瞬間にヘンゲを解き放ち
右腕のみを暴走機関車めいた巨大な異形に変えて相手を爆散せしめる。
準備動作が大きいため通常であれば回避は容易である。

モウケ:「さあ、木人相手などではつまらなかろう」
モウケはスケルターに向かって構えた。

スケルター:「な、なんと」

モウケ:「受けてやる。ワシに向かって放ってみよ」

スケルター:「や、やってみます…!」

「イイイイ・・・・」スケルターの右腕が超弩級ハンマーシリンダー施設めいてスライドする…!

「ヤヤヤァァァァーッ!!」

17d6=6 = (4,2,4,4,3,1,6,4,6,5,6,1,6,1,3,5,2 :成功数:4) = 4

スケルター:BOOOOM!!!圧縮されたカラテが一気に放出される!
「ぐ、グワーッ!」自信も反動を受ける…

モウケ:「……!グ……グワアアアアアーッ!!!」

CRAAAAAAAAAASSSH!!
凝縮されていたカラテ・ジツ全てをこめた巨大ドクロ右腕が爆発的に解放され、暴走機関車めいてモウケに直撃する!

スケルター:「だ、ダイジョブですかご老人!」

モウケの身体は粉微塵になり――

「サヨナラ!」爆発四散!

スケルター:「…アイエ」

モウケ:「……すまんな、驚かせたか」

スケルター:「ハイ…と、とても…!」

声は、塵と化したモウケの身体からした。
徐々に塵はより集まり、モウケの身体を再構成していく。
「凄まじい一撃であったよ。この肉体が滅ぶほどに」
モウケは、しみじみと言った。

スケルター:「ワオ…ゼン…」
「アッハイ」(((死んだはずなのになんて態度だ…)))

モウケ:「具体的に言えばダメージ10と言ったところかな、老体には流石に応えたわ!ハッハッハ!」
モウケはひとしきり笑うと、スケルターの肩を叩いた。

スケルター:「……」唖然とする

モウケ:「……死ぬなよ。オヌシの中のカラテがオヌシの自由と未来を導かんことを」

スケルター:「は、ハイ」
「生き延びます…!絶対に…!」

モウケ:「ああ、そうするがいい。これから先はオヌシ達の時代であるが故」

スケルター:「……そういえば老人…」
「私が…私で最後の弟子なんてことは言わないですよね…?」

モウケ:「ああ、言っていなかったかな。ワシは弟子をとると滅ぶ。そう定められておる」

スケルター:「…では今のは」

モウケ:「ハッハッハ。規約スレスレというところだ、実際寿命が縮んだな?」

モウケがそう笑うと、その口の端から赤い血が流れた。

スケルター:「…!」「スミマセン…!」

モウケ:「まこと、素晴らしい威力だった。本当に人の成長は速いものだ……」
モウケはそう言いながら、力尽きたように仰向けに倒れた。

スケルター:「ご、ご老人ーッ!?」抱きかかえる

モウケ:「……慌てるな、3つある命のうち1つが潰えただけだ……」

スケルター:「……」リアルニンジャのスケールの大きさについていけない

モウケ:「こう見えても死の専門家でな……多少はしぶとくできておるのだよ……」
「偶然だがオヌシの中にもあるようだぞ? ワシはニンジャスフィアと呼んでいるが……」

スケルター:「な、成程…。エッ」

モウケ:「ドクロ・ニンジャもシの系列。あるいはそれ故かもな……」

スケルター:「…フム」困惑することばかりだ

モウケ:「まあ、女の弟子に抱かれるというのも悪くない経験ではあるが。そろそろ起きるとするよ」

モウケは身を起こした。

その姿は先程までよりもだいぶやつれたように見える。

スケルター:「……生きて帰って…今度ビールを持っていきます…!」

モウケ:「ありがとう、楽しみにしておるよ」

モウケはまるで弱々しい老人のように笑みを浮かべた。

そして、まるで風に吹かれたように砂となって消え去った。

スケルター:「……」

スケルターは自らの中に確かなチカラが宿ったことを感じていた。
それは彼女自身の中から引き出されたものか、あるいはモウケから受け継いだものか
それはどちらか判然としない。
一つ確かなことは、彼女がモウケという老人から一つのインストラクションを得たということだった。

スケルター:「……」使えるフダで戦うしかない、ミヤモト・マサシの格言を思いついた

◆スケルターは以下のスキルを習得した。◆

◉自在の境地:取得前提【カラテ】10以上、【ワザマエ】7以上
効果:●タツジン(ジザイヘンゲ)、●『ヒサツ・ワザ:キワミ・テ』を習得
●タツジン(ジザイヘンゲ)
・非ヘンゲ時にも「ヘンゲ」を近接武器として装備可能。この際基礎ダメージは2となる。
・Gヘンゲ時も『連続側転』が可能(判定はヘンゲ後のワザマエで行う。難度H、回避ダイス追加無し)
【解説】
ヘンゲヨーカイ・ジツを完全に掌握することで、身体の一部分だけ自在にヘンゲすることが可能になる。
これにより通常のグレーターヘンゲではできない身軽な動きも可能に。
●ヒサツ・ワザ『ドクロ・テ』
・近接攻撃時、出目6が3つ以上出た時に発動可能。
・威力通常ダメージ+8、回避難易度N(下限※回避難易度低下の影響を受けない)
・出目6が4つ以上出た場合は回避難易度H、5つ以上出た場合は回避難易度UHとなる。
・命中した相手の一部の「不滅」を無効化する。(無効化可能かはNMが都度判断)
・ムテキの相手に命中した場合はムテキによる軽減を受けた上で、ムテキを強制的に解除する。
・命中し相手が死ななかった場合、出目1と同じ吹き飛ばし効果を与える。
【解説】
モウケから伝えられた全カラテ、ヘンゲの力を右腕に凝縮して放つ究極の一撃。
凝縮したまま相手を穿つのが本道であるが、スケルターはインパクトの瞬間にヘンゲを解き放ち、右腕のみを暴走機関車めいた巨大な異形に変えて相手を爆散せしめる。
準備動作が大きいため通常であれば回避は容易である。

スケルター:「モウケ老人…」胡乱だと思っていたがいざ別れるとなると寂しくなるのかもしれない…

また、スケルターはモウケの物理肉体を一度滅ぼした経験から、モウケの能力をなんとなく類推することができた。

◆ラオ・モウケ (種別:リアルニンジャ/タソガレ・ニンジャ)
体力:14
精神力:42
脚力:8
回避ダイス:16
カラテ:14
ニューロン:14
ワザマエ:14
ジツ:9
◆装備や特記事項 
 装備:ケモビール、伝統的ニンジャ装束、
 自動スキル:連続攻撃3、連射3、疾駆、マルチターゲット、時間差、臨機応変、超人
 選択スキル:◎ヒサツ・ワザ「キワミ・テ」、◎タツジン(イアイドー)、◎タツジン(スリケン)、
 ジツ:『★★★枠1上昇』
アーチスキル:★★★黒炎の拳、★★★ムッジョ・ジツ、★★★タソガレの身体、★★★不滅、★★★アーチ級ニンジャ第六感、、★★★「???」、★★★「???」
特殊能力:▼ケイトーとの誓約
◎ヒサツ・ワザ『キワミ・テ』
・近接攻撃時、出目6が3つ以上出た時に発動可能。
・威力通常ダメージ+8、回避難易度N(下限※回避難易度低下の影響を受けない)
・出目6が4つ以上出た場合は回避難易度H、5つ以上出た場合は回避難易度UHとなる。
・命中した相手の一部の「不滅」を無効化する。(無効化可能かはNMが都度判断)
・ムテキの相手に命中した場合はムテキによる軽減を受けた上で、ムテキを強制的に解除する。
・命中し相手が死ななかった場合、出目1と同じ吹き飛ばし効果を与える。
★★★黒炎の拳
モウケの極めて強大なカラテはエテルにすら影響を及ぼしソウルを破壊する黒い炎を纏う。
・近接攻撃威力+3
・スリケン威力+2
・近接ダイス+10
・この攻撃が命中した相手の不滅を無効にします。
★★★ムッジョ・ジツ
物理存在にオヒガンから干渉して”終わらせ”土に還すジツ。生物の物理肉体に対しても作用可能。
・モウケと同じマップにいる又は視線が通る任意の対象に実施可能(複数対象可能/制限なし)、精神2消費、判定UH
・一度でもこのジツの対象になったキャラは命中の有無に関わらず
 *以下の武器、全てのサイバネ、バイオサイバネ、★★★欠損部位再生の効果が無効化される。
 戦闘兵器、バイオニンジャ、重サイバネのキャラクターは直ちに行動不能となる。
 (魂に結びついていない身体を終わらせるなど、彼にとってはあまりにも容易いことだ)
・このジツの対象となったキャラは全員ニューロン抵抗UHを行う。失敗した場合即死する。
(★★★不滅をもっていた場合爆発四散は免れるが、肉体を失い戦闘不能となる)
・対象を一体の敵に集約した場合、相手の抵抗難易度はサツバツとなる。
★★★タソガレの身体
”モノのオワリ”を司る彼にとって、物理肉体は一時的な仮宿に過ぎない。
・肉体の爆発四散では死亡せず、精神力がマイナスになってはじめて死亡します。
・このニンジャの精神力はニューロン×突破した壁枚数となる。
・オヒガン経由移動が可能に(マップ内の場所に任意に移動可能、移動に関わる一切のペナルティなし)
・物理肉体が破壊された(体力0になった)場合、精神力5を使って肉体を即座に再構成可能
・幽体化と違い、モウケ自身が物理攻撃をすることは可能
★★★不滅(3つの命)
・3回まで滅ぶことが可能です。
・失った命は10年ごとに1つ復活します。
・ただし誓約に背いて失った命が復活することはありません
・現在残り2つ(誓約に背いて失ったため復活なし)
★★★???
★★★???
▼ケイトーとの誓約
①カツ・ワンソーに歯向かうことができません。また彼の命令に逆らうことができません。
②ニンジャ大戦でワンソー派だったニンジャを害することができません(自分含む)
③自身のジツを誰かに伝えることができません
以上の誓約に背いた場合、モウケは即座に滅びます。

スケルター:「成程…これがリアルニンジャ」

いずれ自分もモウケのような存在になれるのか、果たしてなることは幸せなことなのだろうか?
それは分からない。一つ分かることは、目の前の状況を切り開かねば未来も自由も無いということだ。

スケルター:「…ウム」再びカラテトレーニングを始めた

泣いても笑っても、決戦は――明日

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ハラジュクの一番長い一日】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

トライヘッズの場合#1

トリニティ・ニンジャ。

無垢な少女に宿った、揺るぎ無く邪悪かつ強大なアーチニンジャ。

彼女があくまでも一介のアクマ・ニンジャクランであったのか、それとも「直弟子」であったのか、ユイ・クレハには知る由もない。

ただ一つ分かるのは…

トライヘッズ:(ストーンカ=サン…あの右目…どんなニンジャソウルが宿ってるんだろう…)
(…あの子も…きっと…根はいい子なのに…とっても悪いソウルに憑依されて…ああなっちゃったのかな…)

自らに宿るソウルと、トライヘッズとなった自分のここに来るまでの所業を思い返す。

………ソウルのせいにはしない。

きっと悪いことをしただろう。
ジゴク行きかもしれない。
殺したヤクザの家族に敵討ちされるかもしれない。

そのようなネガティブな感情が湧いてきた。

明日のイクサは苛烈であろう。

その内に…ワタシの心は完全にトリニティに塗り替わってしまうかもしれない。
これまでもそんなことが何度もあった。

それがインガオホーなのかも…
抑え込もうとしても、ほんの少し(ムリかも)と思った途端、心は塗りつぶされていた。

そんなことが何度もあった。実際、疲れていた。

トライヘッズ:(…アトマワシ。一旦寝よう…せめて…明後日までは…ワタシでいたいな…)
そう思いながら、ユイ・クレハは一時の休息として、眠った。

夢の中で、トリニティ・ニンジャはユイに語り掛けた。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ハラジュクの一番長い一日】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

レッドウォールの場合

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ネオサイタマ/焼き鳥「串と塩」】

「モシモシ、ドーモ。レッドウォールです。アー、ボス、どうしました?」

「え?そろそろ時期が来る? ウェー、面倒臭いなあ」
「いやいや、もちろん嬉しいですよ。俺ほどロードへの忠誠心があるやつはボスを除けばいませんよ?」

「まあそれはおいといて仕事ですからね、きっちりやりますよ。こんな大規模なショーギ、滅多にできるもんじゃない」

「え?例のカガミも?まだアレ狙ってるんですか?やめといた方が良いですよ」
「あそこの戦力報告したでしょう。実際リスクに見合わない」
「リスクに見合う必要性がある?ウェー、まあ深くは追求しないけどさ……」

「あ、勧誘もしていいですよね?ありがとうございます」
「それと部下にならなかったら逃して良いですか?え、殺すしかない?やだなあ勿体無い……」

「ハイハイ、勿論ですよ。こんだけ戦力を手当てしてもらったんだ。ベイビーサブミッションです」

「ええ。わかってますよ」

「ニュー・ワールド・オダー」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ハラジュクの一番長い一日】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ある少女の回想

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「オヒメサマ」
「え?」
「私は小さい頃、オヒメサマになりたかったんです……可愛くてキラキラしてたから」
「へぇ……」
「あと偉いし、皆に尊敬されて色んな人に命令出来てなんでも出来るから」
「ストーンカ=サンなら、多分なれるんじゃないかな」
「……私、もう可愛くないし、キラキラもしてないですからね」
「いや、俺は多分……」

「ストーンカ=サンはオヒメサマになっちゃうような気がするよ」
「アナタの隣で?幸せな……?」
「幸せな」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ハラジュクの一番長い一日】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

トライヘッズの場合#2

◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【???】

【これまでのあらすじ】トライヘッズは寝た。
そして目が覚めた。
…はずだ!

トライヘッズ:「こ…ここどこ!?」

「フンフフンフ~ン、フンフンフンフフーン♪」

トライヘッズは、奇妙な鼻歌に呼び出されるようにして目を開けた

「オハギの決め手はタコとワサビ!料理は自由な発想が肝心!」

トライヘッズが周囲を見回すも、風景は油絵のように滲み歪んでいまいち判然としない
トライヘッズの実家のようであり……あるいは孤児院のようであり……

トライヘッズ:「なんか怪しげな歌が聞こえる…」

一つ分かるのは、キッチンに人影が一人立っていることだった。
そしてゆりかごには小さな小さなドクロが眠っていたが、何者かにより花飾りが添えられていた。

母親でもヒナコでもストーンカでもない、しかし見覚えのある後ろ姿。
「あら、目が覚めた?」

トライヘッズ:とりあえず歌の聞こえる方に行ってみることにした。何かが聞こえ…

キッチンの人影は振り向くと、満面の笑みをトライヘッズへ向けた。

トリニティ・ニンジャ:「ドーモお久しぶりユイ=サン」
「トリニティ・ニンジャです」

…なぜかメイド服姿だ!

トライヘッズ:「アイエエエエエエエエエエエ!?」

トライヘッズ:「アイエエエ…アイエエ…ドーモ…ナンデ…メイドナンデ…」

ユイは凄まじいM(メイド)・R(リアリティ)・S(ショック)!

トリニティ・ニンジャ:「フフフ、料理ってタノシイだねユイ=サン」

トライヘッズ:「料理ナンデ…」

トリニティ・ニンジャはユイが怯えるのを全く気にせずに笑った

トリニティ・ニンジャ:「だって貴方たち、いつもタノシソウに料理して、オイシソウに食べてるんだもの」
「ワタシもやってみたくなっちゃった」

トライヘッズ:(ナ…ナニ企んでるの...アノ…うん)

トライヘッズ:「ホ…ホント!?なんか企んでないよね!?ウン企んでるよね!?じゃあくな罠だよね!?」

トリニティ・ニンジャを人の理解から外れた恐るべき怪物と捉えていたユイはただただびっくりしていた

トリニティ・ニンジャ:「アハハハハ!アカチャン! 食べ物とかよくわからないんだけど、えっと、これがショーユだっけ?」

トリニティが空中を眼差すと、得体のしれぬ紫がかった黒い液体が唐突に虚空から湧き出て、トリニティが作っている料理?に滴る。

トライヘッズ:「…………あの…それ…誰が食べるんです…?」

トリニティ・ニンジャ:「次はマグロ!」

グジョリという音と共に、まな板から見た目だけはマグロの赤い魚肉が生える。

トリニティ・ニンジャ:「ウフフ、アカチャン!」

トリニティは笑いながらトライヘッズを見た。

トリニティ・ニンジャ:「ワタシ、大切なオニンギョサンにタノシイになってほしくって!」

トリニティの目に悪意は感じられない。いや、人の意思を推し量ろうというのがそもそも無駄な行為なのだろう。
目の奥に爛々と輝くのは残酷なまでの純粋さと自由さのみ

トライヘッズ:実際ただただ黒いだけでありそこに狂気はない。ただ、染まっているだけで、表情は極めてやわらかであった。
「タ...タノシイ…」
明日はそんな場合じゃないと言いだそうとしたが……どういう訳か言う気分にはならなかった。

トリニティ・ニンジャ:「~~~♪」

トリニティは鼻歌を歌いながら料理を続ける、そして。

トリニティ・ニンジャ:「よーし、カンセイ!」

トリニティは晴れやかな笑顔でオーボンに載せた料理一式を持ってきた。
いつのまにか現れていたチャブにそれを乗せる。
トライヘッズは気づくとその前に腰掛けさせられていた。
スシ、
タマゴヤキ、
オデン、
そしてデザートにオハギまでついている。

トライヘッズ:「これ…全部わたしの.........」椅子に腰かけていたユイ!

トリニティ・ニンジャ:「ウッフフ!メシアガレ!」

トリニティは心の底から愉しそうに笑う。

トライヘッズ:(す…少なくとも見た目はよい…)

(…ホント!?食べたら発狂したり自我が破壊されたり…しちゃわないかな…………)(けど…)トリニティの余りに純粋すぎる目を見る

トリニティ・ニンジャ:「料理は愛情?」

眼の前のアクマは笑いながら首をかしげる。

トリニティ・ニンジャ:「愛情ってのはワタシには良くわからないけど、タノシイでしょ?」

トライヘッズ:「……………」意を決して、スシを…二つ握る!

ラオモトへの対抗か!

落とす!

一つにショーユを付けて………

口に…入れる…

そのスシは……!
ニューロン判定お願いします。ノーマル

7d6 = (6+3+4+4+3+2+2) = 24

そのスシは、ただひたすらに不味かった!

トライヘッズ:(……………)想像を絶した

トライヘッズのニューロンは辛うじて焼き切られるのを耐えきった。
メシマズ死回避!

トライヘッズ:(…………………スゴイ、ただただ純粋な味だ…)

トリニティ・ニンジャ:「ウッフフフ!ドウ!?」

トライヘッズ:(………………吐きたい)

しかし、トリニティはこんなあまりにも小さすぎるような嫌がらせをする小さい存在ではないということは彼女にすらわかることであった。

トライヘッズ:「あの………とりあえず感想は全部食べてからにします」

トリニティ・ニンジャ:「ウフフフ!美味しいでしょ? 美味しいってワタシにはよくわからないけど」

ユイは食べた。食べた。食べ続けた。
もう凄い勢いで精神力が抉られていくのを感じた。
スシ、タマゴヤキ、オデン、オハギ
そして付け合わせのガリに至るまでただただ壮絶な戦いであった。

そして…完食!

トライヘッズ:「……………独創的でした」そう言ってトライヘッズは項垂れた

トリニティ・ニンジャ:「ヨロコンデもらえたみたいでウレシイ!」

アクマは心からうれしそうに笑った

トライヘッズ:「ア…ヨ…ヨカッタです…アリガトウ…」

飯をおごってもらったものにお礼を言うのはトライヘッズの流儀である…

たとえ…それがアクマだとしても、神話級メシマズだったとしても…

トリニティ・ニンジャ:「最近のオニンギョサン、やっとタノシイになってきた」
トリニティは笑顔のまま唐突に言った

トライヘッズ:「…………タノシイか…明日はきっとタノシクないかな…」
「アナタも…死んじゃうかもしれませんし…」項垂れながらそう言った

トリニティ・ニンジャ:「ウッフフフ!」
トリニティは項垂れるユイを見て笑った。
「アナタが自由にした結果でしょ?ならそれもまたタノシイじゃない」

トライヘッズ:「死ぬのは…コワい…それとタノシイは分けられないかな…」

トリニティ・ニンジャ:「わからない、ワタシはタノシイのことしか考えたことないから――ウーン、ソウダ!」

トリニティ・ニンジャは唐突に手を打って、トライヘッズを見た。

トライヘッズ:「エッ?」

トリニティ・ニンジャ:「ならワタシ、明日はアナタに力を貸さない。何もしない。アナタが死にそうになっても、絶対に助けてあげない」
「アナタが死ぬ時は、一緒に爆発四散してあげる」

トライヘッズ:「エッ…」
「それじゃ…ワタシは…」

トリニティ・ニンジャ:「アナタがやれると決めた。ならワタシもそれに賭けてあげる」
「アナタのエゴで自由にタノシイしてみせてよ」
「アッハハハハ、ワタシまた死ぬのかも、それもまたタノシイ!」

トライヘッズ:「待って!それはワタシにニンジャのカラテがあったからで…」

トリニティ・ニンジャ:「アハハハハハハハハ!」

トリニティは笑ったまま、唐突に遠ざかっていく。否、ユイがトリニティ・ニンジャから遠ざかっているのだ

トリニティ・ニンジャ:「アハハハハハハハ!ガンバッテ、ユイ=サン!」

トライヘッズ:「待ってよ!ワタシは…」その先に浮かぶユイの言葉は…ない

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

トライヘッズ:「あと…花飾り…アリガト…」

呟きながらトライヘッズが目を開けると、そこは見慣れた天井だった。

トライヘッズ:「アッ…」髑髏への花飾りのお礼を言う前に目が覚めてしまった

………自分に起きた変化を確かめてみる。
カラテは…大丈夫だ。ヘンゲは…

トライヘッズ:「出来ない…」
「明日…明日どうすれば…………」
「…………けど…やれるだけのことを…するしかないかな…」

トライヘッズは少しでも明日発揮できる力を伸ばすために、ドージョーに行った

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【孤児院/ドージョー】

ニンジャスレイヤー:「スゥーッ……ハァーッ……」

トライヘッズがドージョーに行くと、既に先客が部屋の隅でザゼンを行っていた。

ニンジャスレイヤー:「スゥーッ……ハァーッ……」

まるで料亭に置かれたタヌキ・フィギュアのごとく微動だにせず、ただひたすらにチャドー呼吸を深めている

トライヘッズ:「あの…ニンジャスレイヤー=サン…」
「ワタシと...戦ってください…」

ニンジャスレイヤー:「……」
フジキドが薄目を開ける。
「それは訓練ということか」

トライヘッズ:「ジツが…急に使えなくなってしまったんです…」
「だから…少しでも素手で戦えるようにしないと…」

実際トライヘッズは最早断腸の思いで彼に頼らざるを得なかった。

ニンジャスレイヤー:フジキドはチャドー呼吸を止め、立ち上がった。

(((おお、おお! この小娘に潜んでいるこれはトリニティ・ニンジャ!))

その時、フジキドの脳裏に急に嗄れ声が響いた。
彼のニューロンに同居する邪悪存在、ナラク・ニンジャだ。

((相変わらず隠すこともせずあからさまにソウルを垂れ流す……何を考えておるか、今はロクに力を振るうつもりもないようだ、キンボシぞ!必ず狩り仕留めよ……!))

((黙れナラク!))

フジキドはやおら興奮するナラクを黙らせると、トライヘッズに向き直った。

震える彼女を見て脳裏に浮かぶはヤモト・コキの姿。

あるいはソウルに振り回される自分自身か

彼は自身の無力さに歯噛みする。

もしこれがドラゴン・ゲンドーゾーならばなんらかのインストラクションを授けたのだろう。

だが血なまぐさい戦いをただカラテによって生き抜いてきた彼は、教える舌を持たない。

トライヘッズ:外から見ると何が起きたかは理解できぬ。

ニンジャスレイヤー:「……必要なのはカラテの指導ではないようだな」
フジキドは端的に言った。

トライヘッズ:ただ、もしかしたら彼の中でもニンジャソウルとの葛藤が繰り広げられているのだろうか…と感じていた

トライヘッズ:「いや…だからジツが使えないからカラテを…」

ニンジャスレイヤー:その言葉を聞いていないのか、フジキド再びアグラを組むとザゼンを始める。
だがそのアトモスフィアは先程までの人を寄せ付けぬものではなく、
ユイ・クレハに隣に座れと促しているようでもあった。

トライヘッズ:「あの…オネガイシマス!悪いことはしました!どの面かと言われても詫びるしかありません…けど…」
ナムサン!ニンジャスレイヤー=サンの意図に気づいていない!焦っている!

((何をしているフジキド!堕落したか!!そのような小娘の細首をへし折るなど、小枝を折るより容易かろう!))
((黙れ!私が何をするかは私が決める!))
ニューロン内のナラクを押さえつけながらフジキドは立ったままのトライヘッズを見上げる。

トライヘッズ:「ヒナコチャン達は…守らなきゃいけないし…家族のためにも簡単には死ねないので…どうか…」

ニンジャスレイヤー:「手綱を握るのは自分自身」フジキドは再び口を開く。「オヌシが積み上げてきたものは、たった一日の付け焼き刃で変わるほどのものではあるまい」
((フジキド!今すぐ身体を貸せ!オヌシがやらぬならワシがやる!!))

トライヘッズ:「じゃあ…戦えるだけ戦って死ねということですね…ワカリマシタ…だからこそせめて…」未だに気づかない!

ニンジャスレイヤー:「信じるべきは己のカラテだ」

トライヘッズ:「わかりました。信じます。」英気を養うためにドージョーを出ようとする。気付かず。
(ヘンゲなしでどれだけやれるかわからないけど…)ドージョーの階段に足を掛けた

ニンジャスレイヤー:((フジキドオオオオ!))
己はセンセイではない。積極的にインストラクションを与えられる立場ではない。
ナラクの絶叫がニューロンに鳴り響く中フジキドはユイを引き留めようとはせず、再びザゼンへと自分のニューロンを落とし込もうとする。

トライヘッズ:「…ちょっと待ってください」
「その…ザゼン…どういう意味でやってなさるのですか?」
ドージョーに戻ってきた
凄まじいカラテを持つニンジャスレイヤーのザゼンにどんな意味があるか、聞いてみてから英気を養おうとしたトライヘッズであった

ニンジャスレイヤー:「チャドー、フーリンカザン、そしてチャドー」

フジキドはシンピテキな言葉を発し、ユイが顔に?マークを浮かべたのを見てなんと言い換えようか思案して、言った。

「手綱を握るのは己自身。そのために、自分自身のニューロンと対話している」

トライヘッズ:「ニューロンと...対話…」

トリニティ・ニンジャと再び話せるかと思ったが、そんなことはしないだろう。

だが…

手綱を握るのは己自身…鍛えよと言われたエゴ…
『アナタのエゴで自由にタノシイしてみせてよ』
あの時だけ、目が笑っていなかった。

ユイは、無言でニンジャスレイヤーの隣に座った。

ニンジャスレイヤー:「スゥーッ……ハァーッ……」
ユイを導くようにフジキドはチャドー呼吸を深める。

トライヘッズ:「スゥ…ハァ…」フジキドのようにはできない。
普通の呼吸である。

未熟な呼吸、なれどゼンは確実に染み渡り焦っていたトライヘッズのニューロンが無風の湖面のように澄み渡っていく。

けど、まだ足りない。

更に呼吸を深める。自分を振り返る。何度もそうしてきた。

(アノ時は…後悔した…)
オイランサービスの時を思い浮かべながら呼吸する

(あの時も…後悔した……けど…今は…)
暗黒賭博場から小さな女の子を助け出したときのことを思い返す。

(あの時は…タノシカッタ…)
初めてヒナコ達と会うことになるゴリラ退治を思い返す

(あの時は…後悔…しなかった…!)
スワンソングを、再びニューロンの中で奏でた。

(けどアレは後悔した)
パンツの件を思い返す。

「…プッ………アハハ…」不意にザゼン姿勢のまま、トライヘッズは笑った。

ユイ・クレハは初めは、退屈なただの女子高生だった。
ニンジャ「トライヘッズ」となり、人を越えた力を得た。
ソウカイヤに入り、無邪気に邪悪を為した。
己の中に宿るトリニティ・ニンジャに触れ、扱いきれぬ力に翻弄された。
仲間に出会い、ヒナコに出会い、ヤモトに出会い、ソウカイヤの闇を見た。
そして――命の危険を覚悟して、自らの意思でソウカイヤを抜けた。

けれど、彼女はずっと一点では変わっていなかった。

トライヘッズ:「あの日から…ずっと…こう思うことなんで出来なかったけど…」
「ワタシなんて…何も変えられないって…何も刻めないって…思うことだってあったけど…」

トライヘッズ:「生きるって…タノシイなぁ!」

そう。

トライヘッズはトリニティ・ニンジャの力があるからソウカイヤを抜けたのか?

否。

人は何かを変えられる。
彼女は自分の意思と力を信じるからこそ、その選択を為したのだ。

で、あるならば。

トリニティ・ニンジャが力を貸さなかった程度で力を全て失うなんてことはあるだろうか?

チカラがニューロンに戻ってくる。

人は何かを変えられる。

彼女は自分の意思と力を信じるからこそ、その選択を為した…

トライヘッズは自分が既に抱いていたエゴ、そして彼女の…自分自身が抱いていた…あの日から心の奥底に沈んでいた光が…やっと輝きだした。

自然と、トライヘッズの心に一つの言葉が浮かんでいた

「……………………アクマ!」

15d6>=5 = (1,6,1,6,6,6,4,2,6,5,1,1,2,6,4 :成功数:7) = 7

彼女は、今までとは決定的に違う姿へとヘンゲしていた。
確かにその腕は恐るべきアクマの物である。
しかし三つ首の内、真ん中は…砕け散り…

ニンジャスレイヤー:「……!」

隣で巻き起こったチカラの奔流にフジキドはチャドー呼吸を止めユイを見た。

何処か…大人になったトライヘッズの顔が覗かせていた。
残った下半分はメンポに変形し、口元を覆っていた。
またそれ以外のも…ところどころアクマ外殻が砕け肌が覗かせる!
セクシー!
そして…大きな翼が生えていた。

ニンジャスレイヤー:「……どうやら、カラテの鍛錬は不要だったようだな」

ニンジャスレイヤーは立ち上がり、トライヘッズを見た。

トライヘッズ:「ハイ…!」

トライヘッズのニューロンに力が戻っているのを感じた。
カラテが漲る…今ならきっと、アルマゲストだって倒せるような…そんな無鉄砲だが大きな自信に満ち溢れていた。

「ウフフ…まずはオメデト。思う存分タノシイしてね」

ヒカリになって消えていくユリカゴを眺めながら、トリニティはコトダマの中で祝福し、再びニューロンへ沈んでいった。

◆トライヘッズの【ジツ】値が6になった!◆
 ・トライヘッズは「グレーター・アクマ・ヘンゲ」を習得した!
 ・トライヘッズの特性▼「無茶」が消滅した!

ニンジャスレイヤー:「……」

軽い足取りでドージョーを去っていくトライヘッズの一回り大きくなった背中を見ながら、フジキドはまだ年若いにもかかわらず巨大なチカラを抱えることになった彼女の幸福を祈った。

トライヘッズ:「明日…どうなるかわからないけど…」

拳を握り、確かなる自らのカラテを確かめる。

トライヘッズ:「最後に笑うのは…ワタシ達だよ!『ソウカイヤ=サン』!」
(後は…ちゃんと...帰ってきてね…)


「ンアーッ!」そして、高低差で階段のドージョーの壁に激突した。


トライヘッズは笑いながらドージョーに戻り、ヘンゲを続けつつザゼンを再開した。

その姿を見てフジキドは少しだけ微笑むと、自身もザゼンを続けた。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ハラジュクの一番長い一日】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

フォルブレイズの場合

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【孤児院/ドージョー】

バジリスク達との激しい戦いの夜、一人で木人に向かってイアイを打ち込む影あり。

9d6>=4  = (4 2 1 4 2 4 5 4 2, 5 successes) = 5

フォルブレイズ:「イィィィ…アイ!」

鋭い一撃。しかし、その刀筋には僅かながら乱れがある。

フォルブレイズ:(…甘い。ヒサツにはまだまだ甘い!)

9d6>=4  = (4 1 4 1 1 3 4 4 1, 4 successes) = 4

フォルブレイズ:「イィィィ…アイ!」

鋭い。しかし、足りない。

鈍い音が響く。
「焦っておるなあ若者」


フォルブレイズ:「……ドーモ、ラオ・モウケ=サン」

モウケ:「ドーモ、フォルブレイズ=サン」

モウケは初めからそこにいたかのようにドージョーに現れると、ツカツカと近づき無遠慮に木人に手を乗せる

モウケ:「心の乱れが剣筋にあらわれておる」

フォルブレイズ:「…ああ、自覚している。しかし、言うは易し。…行うは、難し。以ってケイコあるのみだ」

モウケ:「ケイコあるのみ、まさに言うは易しよな」モウケの声は珍しく厳しい。
「その言葉ほどケイコに集中できていたようには見えぬが」

フォルブレイズ:「……」

モウケが腕を振るうとその手の中に黒いカタナが現れる。刀身に赤い炎めいた刃紋が浮かんだ長刀だ

モウケ:「イヤーッ!」

フォルブレイズ:「…!!」

5d6>=4+5d6>=4+5d6>=4+5d6>=4+4d6>=4 = (3,1,2,5,2 :成功数:1) + (5,1,6,4,1 :成功数:3) + (5,1,1,5,4 :成功数:3) + (1,1,1,2,6 :成功数:1) + (4,4,5,4 :成功数:4) = 12

5連続の剣閃に木人が6つに断ち切られ、ドージョーの床に落ちる。

フォルブレイズ:「…なんたるワザマエ 。…ろくに目で追いきれませんでした」

モウケ:「本来ならば見れるはずだ」
「『あるいは己もソウルのチカラを借りれるのでは?』そのような心を持つから、ワシのイアイを『ただツヨイもの』としてしか捉えられぬ」

フォルブレイズ:「………」
「………見抜かれて、しまいましたか。…雑念と処理していたつもりでしたが、…雑念として処理しきれていないなら、意味が無いですね…」

フォルブレイズ:(……実際、トライヘッズ=サン、ストーンカ=サン。…あまりにも強大なアーチ級のニンジャの能力。…聴いた限りでしか無いですがジャクマリア=サン、…アナイアレイター=サン……)
(いずれも、すざまじい威力でした)

モウケ:「憑依ニンジャの在り方は難しい。ワシに理解しきれぬところもある」
「ワシと同類の中には、オヌシらを所詮借り物の力と見下げる者もある」

フォルブレイズ:「……」黙って、真剣に聴いている

モウケ:「だが、ワシはそうは思わない。オヌシのイアイとワシ達のイアイは一続きのものだ」

フォルブレイズ:「…はい。」

モウケ:「オヌシのヒサツワザ。それをオヌシに託した者はアーチ・ニンジャのジツを使ったか?」

フォルブレイズ:「いえ、違います」きっぱりと、はっきりと答える

モウケ:「そうだろう。オヌシのヒサツ・ワザを見れば分かる。揺るぎない鍛錬の積み重ねによってたどり着いた境地よ」

フォルブレイズ:「はい。……」

フォルブレイズ:(しかし、足りるのか…足らせなくてはならないというのに)
(…己を恥じろ)

モウケ:「浅ければ深く踏み込め、一刀で足らぬ時は二刀を使え、相手が崩れれば切り込み、相手が打ち込んでくれば後の先を打て。それがイアイのフーリンカザンだ」

フォルブレイズ:「はい。」

モウケ:「受けてやる、打ってみよ」

フォルブレイズ:「…はい!」カタナを構える

5d6>=4+4d6>=4 = (2,3,6,6,2 :成功数:2) + (1,4,5,1 :成功数:2) = 4

フォルブレイズ:「イヤーッ!イヤーッ!」

袈裟懸けの一撃。油断なく胴薙ぎ及び逆袈裟へと繋げる構え。

8d6>=4+8d6>=4 = (6,5,2,5,5,6,2,2 :成功数:5) + (1,4,3,2,1,4,3,1 :成功数:2) = 7

モウケ:「イヤーッ!」モウケは黒い長刀でこれを受け、切り返す!「イヤーッ!」

4d6>=4 = (3,4,2,2 :成功数:1) = 1

フォルブレイズ:「…ッ!イヤーッ!」辛うじて受け流す

モウケ:「良いイアイだ! もう一度打ってこい!」

フォルブレイズ:(…クッ、冷静になれ!)「スウーッ、ハァーッ!」

10d6>=4 = (3,4,5,2,3,4,6,2,4,5 :成功数:6) = 6
5d6>=4+5d6>=4 = (4,2,5,2,1 :成功数:2) + (2,5,3,1,3 :成功数:1) = 3

フォルブレイズ:「イヤーッ!イヤーッ!」カタナが超自然の炎に包まれ、一瞬にして赤熱する!

鋭い突き。油断なき精密な一撃。

8d6>=4+8d6>=4 = (2,1,1,4,1,4,2,6 :成功数:3) + (4,5,4,3,3,2,6,4 :成功数:5) = 8

モウケ:「そうだ!使えるものは何でも使え!」
カトンを纏ったカタナを弾き返す!

フォルブレイズ:「はい!」(…かえって考え過ぎて行動を止めるな!)

モウケ:「もう一度だ!」

フォルブレイズ:「はい!!」

6d6>=4+5d6>=4 = (4,5,6,6,1,4 :成功数:5) + (4,3,6,4,1 :成功数:3) = 8

フォルブレイズ:「イヤーッ!イヤーッ!」

踏み込みと共に放たれる袈裟懸けの一撃。そして、追撃に放たれる突き!

8d6>=4+8d6>=4 = (5,6,3,1,5,2,4,2 :成功数:4) + (1,3,5,4,1,2,1,1 :成功数:2) = 6

モウケ:「……ホウ!」

これを受けるモウケ、だが初めてカウンターを入れる隙が無かった

フォルブレイズ:「…スウーッ、ハァーッ!」

モウケ:「……ウム、良いイアイだった」
モウケはカタナを下ろす。

フォルブレイズ:「はい。…アリガトウゴザイマシタ!」
カタナを下ろしザンシンし、オジギする。

モウケ:「忘れるな、オヌシはただまっすぐに進めばよい。その先にオヌシにヒサツを託したニンジャが、そしてワシがいる」

フォルブレイズ:「はい。カラテあるのみ、です」

モウケ:「ならば餞別だ、くれてやる」

モウケはいつの間にか黒と赤で塗られた鞘に包まれていたカタナを、無造作にフォルブレイズに放った。

フォルブレイズ:「…これは、……有り難く、受け取らせていただきます!」
オジギする

**『無銘』**(近接武器、ニンジャレリック(エピック)
 モウケが使っていた黒い刀身に赤い炎のような刃紋を持つ長刀。
 モウケ自身が生み出したカタナでもある。
 今のフォルブレイズのイアイではまだその力をフルに発揮することは出来ない。
 ・近接攻撃ダイス+1、回避ダイス+1(※現時点の効果)
 ・カタナ代替として扱う。他のカタナと二刀流が可能

モウケ:「ワシの一部のようなものであるが故、名前はつけていない。好きに呼べ」
「これからはあるいは二刀流を使う時もあろうが、その朱のカタナはともかくもう一方のカタナではオヌシのカトンに耐えられまい」

フォルブレイズ:「…確かな業物であることは感じられますが、…何事か、…なんの変哲も無いようにも思えてしまいます。……これは真なる業物の証でしょうか」

モウケ:「ハッハッハ!オヌシの未熟が故よ」モウケが手を振るうと、もう一本、フォルブレイズの手のカタナの色合いを黒赤反転させたようなカタナが生まれ出る。

フォルブレイズ:「…そうですね。実際、使えそうなものを近場から見繕っただけであるので、そろそろ限界を感じておりました。」

モウケ:「もう一つの餞別としてくれてやる。いずれこの境地に達せ」

フォルブレイズ:「なんと、一部、とはそのままの意味でしたか」「…!!」

24d6>=4 = (5,1,3,5,4,2,4,5,1,2,2,2,3,5,6,2,4,2,6,3,4,3,6,2 :成功数:11) = 11

モウケ:ヒサツ・ワザ『キワミ・テ(カタナ仕様)』を宣言

「イヤーッ!」モウケのシャウトに反応し、カタナが黒炎を纏う!

★★★アーチニンジャ第六感を使用(攻撃的)

モウケ:威力13(1+3+1+8)、回避判定HARD

フォルブレイズ:「…イヤーッ!」

12d6>=5 = (1,1,3,1,3,3,1,3,4,1,3,5 :成功数:1) = 1

空気を焼き切る上段からの一刀がフォルブレイズのワンインチ横を通過した。

フォルブレイズ:「イヤーッ!」何とか、僅かに体を逸らした

フォルブレイズ:「……!!!」(…すさまじい)

モウケ:「ヒサツの境地は一撃必殺。とくと二刀流と使い分けるがよい」
「そのカタナも、いずれはオヌシのイアイに応えてくれることだろう」
モウケはそう言うと、カタナを虚空の中に消した。

フォルブレイズ:「はい!」

ヒサツの極意を見たフォルブレイズの『ヒサツ・ワザ:無名』の性能がアップした!

以下の文言を追加
・なお、このキャラが通常の『サツバツ!』で『1:吹き飛ばし』を確定させた場合
【精神力】を1消費することで、サツバツの代わりにこの『ヒサツ・ワザ』を発動させても良い。

モウケ:「では、行け」モウケは笑った。「身体を休めることも肝要ぞ」

フォルブレイズ:「はい。…実際、体より頭が疲れました。」軽く笑いかける
「改めて、アリガトウゴザイマシタ!ラオ・モウケ=サン」90度のオジギ

モウケ:「ハッハ!ショッギョ・ムッジョとならぬよう生きて帰ってくることだ」
モウケは破顔し、フォルブレイズが顔を上げた時には姿を消していた。

フォルブレイズ:「勿論、そのつもりですよ。」誰にともなく、自分にも告げるように彼は答えた

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

フォルブレイズ:「…今まで、有難う御座いました」

自室に設えた簡易神棚にニンジャソウル憑依者となってから扱っていたカタナをしめやかに飾った。その棚には「ムメイ」というカタカナが彫られている。

フォルブレイズ:「…これより、よろしくお願い致します。『ムミョウ』」
新たに右に刺したカタナをフォルブレイズはそう呼んだ。

フォルブレイズ:(…俺は、何も知らないし、わかっていないのかも知れない。…届くべき所に、届かせることができないかもしれない。)

(けれども、関係無し。カラテ、即ちイアイドーあるのみだ)


フォルブレイズ:「…そして、とりあえずおやつでも食べようか。少々疲れた」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ハラジュクの一番長い一日】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ナンシー・リーの場合#2

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ナンシー「……よし」

UNIXの直結を終えたナンシーは、首をゴキゴキと回した。

今ナンシーがしていたのはトコロザワピラーピラーの見取り図の入手。

ただでさえ困難極まるソウカイヤの本拠地攻略という難事業、その内部をあらかじめ知らねば不可能に近い。

だが下層階はともかく上層階の見取り図はソウカイネットにもなく、
ソウカイヤ本拠地のUNIXは偏執的なまでの電子防御。

最早万事休すに思われたが、ナンシーはなんとか手がかりを見つけた。

ここ1、2日でソウカイヤはトコロザワピラーで大規模な内装工事を行っている。

複数の業者に分割して委託され、全体像が誰にも掴めないよう偽装されていたそのパズルを

ナンシーは獲物を追う狼めいた執念で全業者を特定、すべての図面を入手してつなぎ合わせたのだ。

ナンシー「やれやれ、これが終わったらバカンスでも行こうかしら」

ナンシーはため息をついて、机の上に山になったザゼンの瓶を眺める。

ピーガガガ……ザリ…………キャバァーン!

やがて、陽気なサウンドと共に、トコロザワピラーの見取り図がプリントアウトされる。

ナンシー「……!」

ナンシーはそれを見て、言葉を失った。

画像1

ナンシーは一瞬立ち眩みを起こしそうになるのを、気力でこらえた。

偏執的なまでの電子的防御を上回る、執念めいた防衛体制。

だがそれ以上に恐れるべきは、ピラーの中腹に設置されたオムラ製の巨大な迫撃砲・連装砲であった。

マグロ・ツェペリン3個艦隊ですら一瞬でスクラップに変えるであろう対空連装砲網は、何人たりともラオモトを害させぬという意思の現れ……これは100歩譲って理解できる。

だがしかし! 砲口を地上へと――ネオサイタマの都市へと照準を合わせ続けている対地迫撃砲は一体いかなる目的で設置されたものか!?

次の瞬間、テレビから聞こえてきた「ネコソギ・ファンド」という名前にナンシーは振り返った。

画面には湾岸警備隊高官とにこやかに握手を交わすラオモトの姿

『ネコソギ・ファンドは湾岸警備隊と協定を結び、社屋の一部を兵器の設置場所として貸し出すことに――』

『実際高層ビルからの砲撃は効率的に都市に潜むテロリストを粉砕できる。これにより市民の皆様の安全はこれまでの100倍にもなる。
実際都心部においてこのように気前よく社屋を貸し出してくれるのはラオモト=サンだけだった。湾岸警備隊として感謝したい』

ケイノウ・サナダを名乗る湾岸警備隊高官――ラオモトの友人と調べはついている――のブルシットなスピーチ。
.
『誤爆可能性や市民の巻き添え可能性については湾岸警備隊からは『必要な犠牲で交通事故より確率が低い』、オムラ社からは『高度な照準装置により実際心配が無い』とのコメントが出されており、問題は無いとのことです。治安の改善が期待されますね』

『ええ、市民を思うラオモト=サンの優しい人柄が感じられますね。早く知事になってほしい!』

『以上、ミッドナイト・オイランニュースでした』

「Shit」

ナンシーはつぶやくと、背もたれに身を預けた。

これは自分達に攻撃をしかけてくれば街を焼くという警告だろうか?

どちらにせよはっきりしているのは、このままにしておけばネオサイタマは完全にラオモトの手に落ちるということだった。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ハラジュクの一番長い一日】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ストーンカの場合#1

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【孤児院/壽判謦?シ偵???」蟆?シ偵?∵凾髢灘キョ縲√?繝ォ繝√ち繝】

壹Θ繝。繝溘Ν繝

繧ク繝?シ壹さ繧ウ繝ュ繝サ繧ケ繝ェ繧ア繝ウ縲√さ繧ウ繝ュ繝サ繧イ繝ウ繧ク繝
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医い繝シ繝∫エ壹ル繝ウ繧ク繝」蟄伜惠諢滂シ峨?上?√?寂?笘?ーク驕?縺ョ郢ュ譛溘?

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?シ亥ケシ縺?鴨縺ョ謾セ蜃コ?峨?上?√?寂?逋ス起動逋セ蜷医?闃ウ鬥呻必要?寂?は?

「i縺吶§縲�繝・け繝ォ繝サ繝槭す繝ウ繝サ繧キ繧ケ繝・Β繧コ遉セ縺ョ・オ・ョ・あああああああああああああ!!!!」

カラテ → 眼の前に

7d6>=5 = (3,4,4,1,1,6,2 :成功数:1) = 1

ストーンカ:「叩けば治るんですよ!こんなもんは!!」

BLAMN!

鈍い音を立てて、なにかが肉片のようなものが砕けて散る
グロテスクな肉片だったそれは、おぞましい血しぶきに代わり、空中で花びらへと代わり、床に落ちる前に消えた

これで一旦は落ち着ける。

本当に?ストーンカは息をついた。
なんで一人だけで落ち着いてるの?

ストーンカ:「……スゥー……ハァー……」

深呼吸を二度、三度繰り返す。
チャドーなどという上等なものではない、ただカンフーカラテを齧った際に少々だけ呼吸法を習った。
精神が揺らげば、自分は飲み込まれるだろう。

そう、呼吸を落ち着ければなんとかなる。

ストーンカはそう自分に言い聞かせる。これでいいんだよね?

深呼吸すれば落ち着けるよ落ち着いて

繝ウ縲√さ繧ウ繝ュ繝サ落ち繝ウ縲√さ繧ウ繝ュ繝サ

どうしたの怖いの怯えてるの?泥棒のくせに

頑張ろう大丈夫だよストーンカ=サンは私達の希望だから

繝ュ繝サ繧イ繝ウ繧ク繝?ア?ー??スス?キ?呻シ壹?寂?繝ッ繧ケ

ストーンカ:「スゥー……ハァー……スゥー……ハァー……悪いけど私は……
泥棒どころか……居直り強盗だ……!」

0と1で崩れ果て景色が少しずつ01110101戻っていく

どうして?ストーンカは見慣れた自分の部屋に意識を集中させる。

一瞬でも油断すれば話を聞いて意識をもっていか助けてれる。そもそも自分はなにものかお前は誰だ

ストーンカ:「……ウナイ・ニンジャ、テコナ・ニンジャ、1010001010101010100100101010010私はストーンカだ【要出典】」

011010101……ニューロンの中に激しいノイズが吹き荒れ、そして凪が訪れた。
頭の中の声がピタリとやむ。だがこれも一時のものだと感覚的に分かった。

「なら、ストーンカ=サンはどうして顔を隠してるの?」

唇から、自分の声で、自分のものではない声が滑り出る。

「なんで鏡を見ようとしないの?」

ストーンカ:「…………」

思わず口元を手で覆う。声は止まらない。

「どうして?」

胃の奥からこみ上げる吐瀉物すら押しのけて声がこぼれる。

ストーンカ:「ハァー……ハァー……ゲイのサディストだから」

挑発的なキツネサイン!
声の主は理由なぞ知っているにきまっている、お上品に付き合ってやる必要はない。

繝ュ繝サ繧イ繝ウ繧ク繝
?ア?ー??スス?キ?呻シ壹?寂?繝ッ繧ケ

ノイズが一瞬だけ湧き上がり、消えた。

数奇な数奇な、フィクションよりも数奇な運命

その運命の激流を、辛うじてストーンカ達は生き延びた。

一時はウォーロックの手に落ちたヒナコを取り戻し

誰一人欠けることなく、この孤児院に戻った。

だが、ストーンカは一人その代償を支払っていた。

自己統一性の完全な失調

激しい精神性のショック、欲求と立場の乖離、抑えていた感情の暴発

それら全てが、寄せ集めを無理やり繋いだようなストーンカの精神のタガを壊し、崩壊せしめたのだ。

もはや、ストーンカの肉体の主導権は彼女のものではないのかもしれぬ。そもそもアナタの名前はストーンカなの?

ストーンカ:「……だったら、どうした。お前らは誰だ。私は私だ」

ストーンカ――そのような人間はそもそも存在しない。
ストーンカと名乗っているi縺吶§縲�繝・け繝ォ繝がストーンカの正体である。

故に、ストーンカはその質問に答えない。
自分はストーンカであるが、ストーンカではない。

ゴトリ。

その時、部屋の扉の外で重い音がした。
何か、重量のあるものが置かれたような音だ。
そのモノを置いたであろうヌシの気配は、まるで塵になったかのように唐突に消えた。

わかることは何一つとして無い、唯一つ言えることは――主導権は自分で握り続けなければならない!

ストーンカ:「…………」スリケン → その方向へ

7d6>=5 = (2,5,6,4,3,1,1 :成功数:2) = 2

ストーンカ:「イヤーッ!」

カカッ、と小気味よい音を立ててスリケンは扉に刺さった。
ゴトリ、と衝撃で扉に立てかけられていたなにかが倒れる。

ストーンカ:「…………」カラテを構える。

いつの間にか部屋の中にはいってきていたそれは、風呂敷の包みだった。

ストーンカにはそれに見覚えがある。

普段はドージョーの隅に立てかけられているもの。

ストーンカが頑なに忌避し続けてきていたもの。

己のローカルコトダマ空間への扉。

カガミ・オブ・シ

第1段階「否認」:ストーンカは鏡から目を逸らそうとした。

第2 段階 「怒り」:逸らすことは出来ず、ストーンカは怒り

第3段階 「抑うつ」:絶望し

第4段階 「受容」 :鏡で己の顔を見た。

ストーンカ:「上等だよ」

恐怖と怒りと絶望、諦念、そして覚悟――複雑な感情が入り乱れ、
時間感覚は異常な感情と泥めいて混ぜ合わされる。
鏡には己の顔が映っている。

顔が映っている。
ストーンカの素顔が。
メンポで隠していた火傷の痕。
火傷を受けるまえの美しい……だが火傷を受けた後とどこか僅かに違う顔がダブって映る。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

繝ウ縲√さ繧ウ繝ュ繝サ繧イ繝ウ繧ク繝
?ア?ー??スス?キ?呻シ壹?寂?繝ッ繧ケ繝ャ繝翫う繝?シ亥ケシ縺?鴨縺ョ謾セ蜃違う

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ストーンカは己の意識を強く保とうとする。

「……こんにちは」

ストーンカ:「……こんにちは」

「ハノガミ・リルカです。私のことを覚えていますか?」

ストーンカ:「もちろん、覚えています」

ストーンカはかつてある病院に入院し、脱走のために患者を した。
その内の一人である。

入院した?本当に?

「ストーンカ=サン。ごめんなさい、本当に」

リルカと名乗った少女は頭を下げた。

「苦しいよね、私達のせいで」

ストーンカ:「…………うん」

かつて誰よりも一緒にいたリルカの声に、ストーンカは一瞬だけ――穏やかな声を発し。

ストーンカ:「だから、私決めたんだ」

「……うん」
リルカはストーンカと同じ顔で穏やかに笑う。
「どうするの?」

ストーンカ:「私の中にはいくつもの精神がある、ウナイ、テコナ、リルカ、イルカ、スグレ、イマリ」

ストーンカ:「……全員殺す」「……怒る?」

リルカは応えず、困ったような顔をした。

「お前が死ね」

その瞬間、声は横からした。

3d6>=4 = (5,2,1 :成功数:1) = 1

何者かのつたないカラテ攻撃がストーンカの右頬を襲う。

ストーンカ:「……」

3d6>=3 = (4,3,3 :成功数:3) = 3

ストーンカ:「イヤーッ!」

戦い慣れたストーンカは、それをたやすく避けた。

攻撃を避けられた影は、勢い余ってたたらを踏む。

その何者か(ストーンカの意識はその顔を具体的に認識することを拒否した)は、ストーンカを睨みつけ、アイサツした。

「ドーモ、デッドブーケットです」

◆デッドブーケット(種別:ニンジャ?) 
体力:-
精神力:3
脚力:3
カラテ:3
ニューロン:3
ワザマエ:3
ジツ:-
◆装備や特記事項
このニンジャの攻撃は全て精神ダメージとして扱う
このニンジャが受けたダメージは全て精神ダメージとして扱う

ストーンカ:「ドーモ、デッドブーケット=サン。ストーンカです」

「イマリ、やめてよ」リルカが小さく言うが、デッドブーケットは聞く耳を持たず、ストーンカへと襲いかかる。

ストーンカ:「……まぁ、その、私も虐殺は嫌なので……精々、頑張ってください」

メンポを持たないストーンカは、ただ人間を真似た表情が描かれた人形のようにうっすらと非人間的な笑みを浮かべていた。

3d6>=4 = (6,1,3 :成功数:1) = 1

「イヤーッ!」デッドブーケットが不格好なカラテを仕掛ける。

3d6>=3 = (5,6,5 :成功数:3) = 3

ストーンカ:「イヤーッ!」それに合わせてストーンカはカウンターを仕掛ける。

1d6>=4 = (3 :成功数:0) = 0

「グワーッ!」デッドブーケットはカウンターを受け、01で構成された床を転がった

ストーンカ:ユメミルテ → デッドブーケット

10d6>=5+5d6>=5 = (4,5,1,5,1,2,1,3,1,6 :成功数:3) + (5,6,2,5,5 :成功数:4) = 7
1d6>=4 = (1 :成功数:0) = 0

「アッ……」

転がったデッドブーケットに駆け、ストーンカは容赦なく追撃のユメミルテを試みる。

カラテの基礎中の基礎、瓦割りパンチだ!

ストーンカ:「イヤーーーーーーーーーーッ!!!!」

「アッ……010101001010101」

攻撃を受けた箇所からデッドブーケットが爆ぜる

「アッ……0110101アッ、アッ、アッ……01011010101」

ストーンカ:「……サヨナラ」

「……マタネ」

デッドブーケットは、最後にストーンカを見た。脳の奥がチクリと痛む。

――「死にたくない、助けて」

痛みともにストーンカの脳裏に、ある種の記憶がフラッシュバックする。ストーンカはカラテを構えた。

ストーンカ:「……次ッ!」

「ドーモ、デッドブーケットです」
「ドーモ、デッドブーケットです」

2つの声が聞こえる。
それぞれ別の顔をしているはずなのに、相貌失認症めいてストーンカの脳はその顔の判別を拒否した。

ストーンカ:「……ドーモ、ストーンカです。」

ストーンカは片手で頭を抑えた。鈍痛めいた鈍い痛みがニューロンに走る。

「……」リルカはやはり何も言わず、悲しげにストーンかを見つめている。

「イヤーッ!」デッドブーケットAが仕掛ける。

3d6>=4 = (4,1,3 :成功数:1) = 1
4d6>=3 = (4,6,2,1 :成功数:2) = 2

ストーンカ:「イヤーッ!」決断的なカウンター!

1d6>=4 = (5 :成功数:1) = 1

「イヤッ……!」
デッドブーケットはまるで少女めいて、身を固めてカウンターを辛うじて回避した。

――「ユウジョウ!」「ユウジョウ!」 

フラッシュバック。ストーンカは構えを解かない。

「イヤーッ!」二人目のデッドブーケットの攻撃

3d6>=4 = (4,2,5 :成功数:2) = 2
4d6>=3 = (4,6,5,2 :成功数:3) = 3

ストーンカ:カウンター!「イヤーッ!」

1d6>=4 = (2 :成功数:0) = 0

「ンアーッ!」
カウンター攻撃を受けたデッドブーケットは、お腹を押さえてうずくまる。

ストーンカ:「……ハァーッ!」
ユメミルテ→、デッドブーケットA,デッドブーケット,B

7d6>=5+7d6>=5 = (4,6,4,1,3,3,4 :成功数:1) + (6,4,3,5,6,2,3 :成功数:3) = 4

ストーンカ:二発目はマウントタックル!

2d6>=4 = (4,1 :成功数:1) = 1
2d6>=5 = (5,6 :成功数:2) = 2

ひらひらとデッドブーケット達は回避する。
まるで少女同士が戯れに遊ぶように

ストーンカ:「……ハハ」

自嘲する。少女同士の戯れなど、ストーンカには無かった。
今更、そういうものが追いついていた。

「イヤーッ!」デッドブーケットの一人が再びストーンカへと飛びかかる。

3d6>=4 = (6,5,2 :成功数:2) = 2
4d6>=3 = (6,3,4,3 :成功数:4) = 4

ストーンカ:カウンター!

2d6>=4 = (2,1 :成功数:0) = 0

「ンアッ……!」

ストーンカの胡乱なジュージツが少女を打ち落とす。

「……」もうひとりのデッドブーケットがぼんやりとストーンカを見た。

デッドブーケットはいつの間にか、正面にいた。

「……カトン」

ストーンカ:「……あ」

6d6>=3 = (5,4,5,6,2,3 :成功数:5) = 5

ゴウ。手のひら大の炎がストーンカの顔めがけて飛んだ。

「避けて……!」声は誰のものだったか

4d6>=4 = (2,3,5,6 :成功数:2) = 2

ストーンカ:「イヤァァァァァァッ!!!!」

――「ユウジョウに火を点けましょう」

フラッシュバック!

炎はストーンカの頬を僅かに掠めただけで通り過ぎた。

ストーンカ:「イヤーッ!イヤーッ!」
ユメミルテ → デッドブーケットB

7d6>=5+7d6>=5 = (6,1,6,5,5,4,6 :成功数:5) + (5,3,1,2,5,1,3 :成功数:2) = 7

ストーンカ:マウント!

「ア……」

1d6>=5 = (1 :成功数:0) = 0

ストーンカ:ストーンカの超01自然光を纏った手がアイアンクローめいてデッドブーケットの頭を握り、01光を流し込んだ!
「イヤーッ!」

「アッ、アアアッ、アッ……!」

デッドブーケットがガクガクと震え、01発散していく

やがてデッドブーケットは紅茶に溶ける砂糖めいて、空気に解け消えた。

ストーンカ:「…………………………ごめんなさい、サヨナラ」

「イヤーッ」

まるで諦めることを知らず、デッドブーケットAがストーンカへと飛びかかる。(突撃を宣言)

3d6>=4 = (3,6,2 :成功数:1) = 1
8d6>=3 = (5,5,4,4,5,6,2,6 :成功数:7) = 7

ストーンカ:「イヤァァァァァァッ!!」

相手の勢いを利用して、そのまま床に投げつけた。

「ンアーッ!」

突撃は容易くいなされ、デッドブーケットは地面に叩きつけられる。

ユメミルテ2連

7d6>=5+7d6>=5 = (2,1,2,2,6,1,5 :成功数:2) + (4,1,6,5,3,5,5 :成功数:4) = 6

ストーンカ:「イヤーッ!」「イヤーッ!」瓦割りパンチの連打だ!

「ンアーッ!」

ユメミルテに触れた瞬間、デッドブーケットの身体が爆ぜる。

「……!」

さらなる一撃で、デッドブーケットの頭部は声を上げることもできずに消滅した。

ストーンカ:「……私は、なんなんでしょうね。殺してばっかりだ」

自嘲するようにストーンカは言った。

「……かわいそう。傷つけて、傷つけられて」

一人残ったリルカは悲しげに目を伏せる。

ストーンカ:「……間違ってるだなんてわかってますよ、けど正しければ全て解決するんですか。」

ストーンカはリルカに向き直った。

「私は守りたい者を守りたい、だから……」
「死人は死んでてください」

「……」

リルカは項垂れると、デッドブーケットとは比べ物にならぬほど洗練されたカラテを構えた。

「ドーモ、私はウナイ・ニンジャです違う」

ストーンカ:「……ドーモ、リルカ=サン。ストーンカです」

諦めたように笑い、ストーンカはカラテを構えた。

捩じ伏せる。それしか無い。

◆ウナイ・ニンジャ?(種別:ニンジャ/アーチ)
体力:-
精神力:7
脚力:5
回避ダイス:8
カラテ:7
ニューロン:7
ワザマエ:7
ジツ:5(ココロ)
◆装備や特記事項 
 自動スキル:連続攻撃2、連射2、時間差、マルチターゲット、疾駆
 選択スキル:ユメミルテ
 ジツ:ココロ・スリケン、ココロ・ゲンジツ
アーチスキル:『☆ワスレナイデ(幼い力の放出)』
『☆白百合の芳香(アーチ級ニンジャ存在感)』
『☆☆永驕?縺ョ郢ュ譛溘?』

☆☆永驕?縺ョ郢ュ譛溘?を行使

14d6=6 = (3,3,2,3,6,1,5,4,6,1,4,4,5,5 :成功数:2) = 2

(体力は存在しない)、精神1ダメージ、回避ダイス2ダメージ

フラッシュバックの渦がストーンカを襲う。

それはリルカの力か、ストーンカの後悔か。

それともこの身体を踏み台になんらかの目的を果たさんとする古のニンジャの暴虐か

ストーンカ:「ン……アァ……ッ!」

――「ユウジョウ!」

――「こんなところで私、死にたくない!」

――「大丈夫、最期まで私が側に」

――「私、もう全部嫌だ」

――「私に任せておいてください!大丈夫、皆は一人のために、一人は皆のために!

――「直してあげます!アナタのココロを!全員混ぜちゃえばいいんですよ!!」

ストーンカ:「今更……こんなことで引けるかッ!」

ストーンカは鼻血をダラダラと垂れ流しながら、リルカの顔を見た。

永遠の繭期 → ウナイ・ニンジャ

14d6=6 = (5,1,2,1,2,6,6,3,4,2,4,4,6,1 :成功数:3) = 3

ウナイ・ニンジャ:「う……ああ……!?」

ストーンカ:「イヤァァァァァァッ!!!!」

――「ココロ・ニンジャ・クランは、テコナ・ジツ、そしてサイカイ・ジツというヤバイジツを作ったんですよ。
   ようぐそうとほうとふ!まだですか!?
ようぐそうとほうとふ!!ていくありりぃ!ていくありりぃ!
   一度壊れたココロなら、
いっそ全部ぶっ壊して他の人からパーツを持ってきて!ほら完成!
   ココロトカラダニキヲツケテネ!」

ウナイ・ニンジャ:「アアアアアアッ!」

苦悶の叫びがリルカの声からウナイ・ニンジャの声に変わる。

ストーンカ:「私は誰なんでしょうね……権力があれば、誰からも認められれば、気にしないでいられると思いました。」

ストーンカ:「愛されれば……私に愛される資格があれば、気にしないでいられると思いました。」

ストーンカ:「……もう、どうでもいいんです。私は……孤児院の皆を守りたい……それだけでいいんです」

ウナイ・ニンジャ:「アアアアアアアアア!」

ストーンカ:「だから……だから……死んでください……」

ウナイ・ニンジャが苦悶の絶叫を上げる。
己の生み出したミーム改変ジツ、サイカイ・ジツ。

本来は自身に向けられることなどありえなかった。

相手をテコナ・ニンジャへ作り変えるジツ。

その威力は、相手がテコナ・ニンジャのことを考えていればいるほど高まり、かかりやすくなる。

ではこの世で最もテコナ・ニンジャのことを考えている者は誰か。

答えは明白であった。

ウナイ・ニンジャ「アアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

今、絶叫を上げる一人のニンジャだ!

ストーンカ:「ドーモ、ウナイ・ニンジャ=サン……ココロトカラダニキヲツケテネ!」

ウナイ・ニンジャ:「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

ウナイ・ニンジャは絶叫し、その身体が01拡散していく。消えゆく顔がリルカのものに戻る。

リルカは、ポツリと呟いた。
リルカ:「たすけて、おねえちゃん」

ストーンカ:「……リルカ!……リルカ!」
殺そうとした相手に手を伸ばし――

縺?鴨縺ョ謾セ蜃コ?峨?上?√?寂?逋ス逋セ蜷医?闃ウ鬥呻シ医い繝シ繝∫エ壹ル繝ウ繧ク繝」蟄伜惠諢滂シ峨?上?√?寂?笘?ーク驕?縺ョ
」邯壽判謦?シ偵???」蟆?シ偵?∵凾髢灘キョ縲√?繝
ウ縲√さ繧ウ繝ュ繝サ繧
ウ縲√さ繧ウ繝ュ繝サ繧イ繝ウ繧ク繝
?ア?ー??スス?キ?呻シ壹?寂?繝ッ繧ケ繝ャ繝
シ医い繝シ繝∫エ壹ル繝ウ繧ク繝」蟄伜惠諢滂シ峨?上?√?寂?笘?ーク驕?縺ョ郢

そこにいたのは、あまりにも美しい一人の女性だった。

ストーンカは、その少女の例え方を一つしか知らなかった。

『火傷が無かった、私』

ストーンカ:「…………ああ、畜生」

少女は目をつぶったまま静かに言った。

テコナ・ニンジャ:「ドーモ、テコナ・ニンジャです」

◆テコナ・ニンジャ?(種別:ニ?潟?吾???≪?若??鐚?
体力:-
精逾槫鴨???
脚力:5
回避ダイス:繝ッ繧
カラテ:7
ニュ繝シ繝ュ繝ウ??
繝ッ繧カ繝槭お??
ジツ:5鐚??潟?潟?㍼?
◆装備判謦?シ偵記事項 
 自動スキル:連騾」邯壽判謦?シ偵???」蟆?シ偵?∵凾髢灘キョ縲√?繝ォ繝√ち繝シ繧イ繝?ヨ縲∫明鬧
 驕ク謚槭せ繧ュ繝ォ?壹Θ繝。繝溘Ν繝
 繧ク繝?シ壹さ繧ウ繝ュ繝サ繧★★★「罪なき幻想幻惑」ケ繝ェ繧ア繝ウ縲√さ繧ウ繝ュ繝サ繧イ繝ウ繧ク繝
?ア?ー??スス?キ?呻シ壹?寂?繝ッ繧ケ繝ャ繝翫う繝?シ亥ケシ縺?鴨縺ョ謾セ蜃コ?峨?上?√?寂?逋ス逋セ蜷医?闃ウ鬥呻シ医い繝シ繝∫エ壹ル繝ウ繧ク繝」蟄伜惠諢滂シ峨?上?√?寂?笘?ーク驕?縺ョ郢ュ譛溘?

ストーンカ:「ドーモ、テコナ・ニンジャ=サン。ストーンカです」
「……お前の姉は殺した………………次は、お前だ」

テコナ・ニンジャ:「……」

テコナ・ニンジャは静かに腕を伸ばした。

7d6>=4+7d6>=4 = (5,2,3,3,5,4,3 :成功数:3) + (3,4,4,4,2,3,6 :成功数:4) = 7

その手は01拡散と再構成を繰り返している。幻想的なほど美しく、危うい光景だ

ストーンカ:「……イヤーッ!」呑まれればその瞬間に死ぬ!

3d6>=3+4d6>=3 = (3,1,4 :成功数:2) + (1,3,4,3 :成功数:3) = 5

夢見る手がストーンカの頬をかすめる。

01の飛沫が肌に触れるだけでストーンカは自身の存在が危うくなるような恐怖を覚えた。

ストーンカ:「……」軽口を叩く余裕も無い。

殺される前に殺すしかない――

眼の前の美しい者を。

ユメミルテ2連

7d6>=5+7d6>=5 = (6,2,2,3,4,2,3 :成功数:1) + (1,1,5,5,1,3,3 :成功数:2) = 3

ストーンカ:「イヤーッ!」「イヤーッ!」

荒れ狂う波が如く、01の超自然光はストーンカの両手でアトランダムな異常点滅と飛散を繰り返した。

4d6>=4+3d6>=4 = (6,6,4,5 :成功数:4) + (1,4,5 :成功数:2) = 6

テコナ・ニンジャは表情を目を閉じた微笑みのまま変えず、ストーンカのユメミルテを避けた。

カウンターをせず、そのままストーンカの背中を見守っている。

ストーンカ:「…………テコナ・ニンジャ=サン」

ストーンカは何かを言い掛けて、止めた。

敵に祈ることも願うこともしない。

私の代わりに孤児院の皆を守って、だとか――

そういうことは大切な人に似ていても言わない。

カナシバリ → テコナ・ニンジャ

14d6>=4 = (3,3,4,6,5,1,4,4,4,2,6,2,3,2 :成功数:7) = 7
30d6>=5 = (5,6,5,5,1,1,2,3,4,3,5,2,2,3,3,2,2,6,4,3,3,1,5,3,3,1,5,1,1,5 :成功数:9) = 9

ストーンカはテコナ・ニンジャの顔を見た。

傷一つ無い、かつての自分の顔を。

ユメミルテ → テコナ・ニンジャ

7d6>=5+7d6>=5 = (1,3,3,3,6,5,4 :成功数:2) + (4,5,3,1,2,1,1 :成功数:1) = 3
7d6>=4+7d6>=4 = (1,5,4,5,5,1,4 :成功数:5) + (3,3,4,2,4,2,1 :成功数:2) = 7

テコナ・ニンジャは表情を変えぬままストーンカの右腕を掴んだ。

ストーンカ:「…………ッ」

「我は守護者なり。この壊れたココロの守護者なり」

「汝も守護者たらんとするか。汝が守りたいものの」

ストーンカ:「……そうです」「私は守りたい、皆を」

テコナ・ニンジャ:「……されば、征け」

テコナ・ニンジャは目を閉じたまま言った。

★★★罪なき幻想幻惑(真)を発動

ストーンカに再行動権利を付与。

【ストーンカの手番】

テコナ・ニンジャはそのまま、ストーンカの右手を自分の胸へと押し当てようとする。

ストーンカが後少しでも力をこめれば、目の前の存在は0と1に爆ぜて消えるだろう。

この誰よりも愛しかった人の顔は。

ストーンカ:「…………」

ストーンカは目を閉じ、祈るように――

7d6>=5 = (1,4,4,6,1,1,2 :成功数:1) = 1

ストーンカ:「サヨナラ」

力を込めた。

ユメミルテがテコナ・ニンジャの胸に触れる。

全ての記憶がストーンカの中に流れ込み、視界が眩しいほどの0と1の奔流に包まれる。

テコナ・ニンジャは光の中で僅かに揺らぐとその表情を笑みの形に保ったまま――爆散した。

ストーンカ:「…………」

もう戻れない、いや戻る気など無い。

殺し続けた果てに――ようやく、大切なものが生まれてしまった。

だから――この目から流れるものは。

………………
…………
……

ストーンカが目を開くと、そこは見慣れた天井だった。

「ダイジョッブですか?」

ネコチャンが不安げにストーンカの顔を見つめている。

ストーンカ:「夢を……見てただけですよ、寂しい夢を」

「夢ですか」ネコチャンはキョトンとした表情でストーンカを見つめた。

ストーンカ:「ええ」

ストーンカは薄っすらと寂しげに微笑んで、立ち上がった。

ストーンカ:「……さて、少しだけ独りにしてくれませんか」

「ワカリマシタ、カラダニキヲツケテネ」

ネコチャンは自然な電子音声で答えると、静かに部屋から出ていった。
バタン、と音を立てて扉が閉じられる。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ストーンカ:「……ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!」

自分の人格を確実に統合するために、自分の中の全てを殺し尽くした。

カトブレパス=サンの時のように、他の人間のために自分の愛するひとを見捨てた。

後悔はしない――そう心の中で思いながら、ニューロンが悲鳴を上げる。

けれど、やはり止まる気はない。
自分は、孤児院の仲間たちを選んだ。
だから――

ストーンカは少しだけ泣いて、また立ち上がった。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「ストーンカ=サンはオヒメサマになっちゃうような気がするよ」
「アナタの隣で?幸せな……?」
「幸せな」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「私の体は純金で覆われている」と王子は言いました。
「それを一枚一枚はがして、貧しい人にあげなさい。 生きている人は、金があれば幸福になれるといつも考えているのだ」

ツバメは純金を一枚一枚はがしていき、 とうとう幸福の王子は完全に輝きを失い、灰色になってしまいました。
ツバメが純金を一枚一枚貧しい人に送ると、 子供たちの顔は赤みを取り戻し、笑い声をあげ、通りで遊ぶのでした。

                                             幸福の王子/オスカー・ワイルド


◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ストーンカの【ジツ】値が6に上昇
以下の効果を得た。


・☆☆永遠の繭期の1シナリオ1回制限を解除
・★★罪なき幻想幻惑を習得

 ★★罪なき幻想幻惑
・ターン開始時に使用可能(手番消費・判定H)
・精神消費 2
 そのターンにおける手番の順番を敵味方含めて全て自由に入れ替える。
・次のターンからも変更後の順番で手番となる。
この際の全ての決定権はストーンカが持ち、他キャラクターの臨機応変は無効化される。
順番決定の際にチーム内での相談や他PCが意見することはできない。
セッション前にある程度相談しておくこと。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【脱衣所】

ストーンカは喪服めいた黒い着物に着替えると、
軽く腕や足を振り、自分の精神の指先から頭の先まで自分であることを確認する。

もう、キツネ・オメーンめいたメンポは必要ではなくなった。
ストーンカは鏡を見る。01の超自然光がメンポめいて、彼女の口元を覆い隠している。

自室に戻ると、机の上に花冠が置かれていた。

『退院、おめでとう』

ストーンカはオヒメサマめいて奥ゆかしく、花冠を装着した。

装備品:パーソナルメンポをキツネオメーンめいたメンポから花冠に変更。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ハラジュクの一番長い一日】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ヤモト・コキの場合

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ニチョーム】

「マタネ」「カラダニキヲツケテネ!」

「ユウジョウ!」「ユウジョウ!」

その日も、ヤモトは学校からの家路を急いでいた。

ヤモトのニンジャ第六感は最近の街のアトモスフィアが妙にざわついているのを敏感に感じ取っている。

知事選が近いからだけではない、路地裏から漂うサツバツとした匂い、ジトリと冷たい視線

戸籍を作り変えたヤモトがソウカイヤから狙われることはもう無いはず……

だが、その日は妙に不安でヤモトは足を早めた。

ヤモト「……」

あともう一度角を曲がれば「絵馴染」というところでヤモトは足を止める。

「お前、ニンジャだな」

無感情な声は後ろから聞こえた。

ヤモト「……ドーモ、サクラオリヅルです」

◆ヤモト・コキ(種別:ニンジャ/アーチ)
体力:5
精神力:8
脚力:5
カラテ:4
ニューロン:5
ワザマエ:8
ジツ:5
近接ダイス:9
回避ダイス:9
◆装備や特記事項 
 カルマ:【善】
 装備:カタナ『ウバステ(精神+1)』、カタナ『ソメイ(精神+1)』
    タクティカルセーラー服(体力+1)、生成マフラー(精神+1)
選択スキル:タツジン(イアイドー※新)
自動スキル:●連射2、●疾駆
 ジツ:『★オリガミミサイル・マスタリー』、『★★サクラ・エンハンス』
アーチスキル:『☆装束生成』、『☆☆オリガミ・フェニックス(アーチ級のジツ1)』
 代償:『▼大器晩成』
★オリガミミサイル・マスタリー
 カラテミサイル・マスタリー1と同様
★★サクラ・エンハンス
 戦闘開始時自動発動、近接攻撃威力+1
☆☆オリガミ・フェニックス(アーチ級のジツ1)
 ・指定した場所中心、爆発3×3、威力3+D6、精神力3消費、発動UH、回避N
 ・【1ターン準備】
  指定した場所中心、爆発5×5、威力9+D6、精神力5消費、発動UH、回避H、1シナリオ1回まで

ヤモトは振り返り、オジギをしながら咄嗟に偽名を名乗った。

「ドーモ、サクラオリヅル=サン、プリズナーです」

◆プリズナー(種別:ニンジャ/プリズナー) 
体力:4
精神力:2
脚力:4
カラテ:3
ニューロン:3
ワザマエ:3
ジツ:-
近接ダイス:6
射撃ダイス:6
回避ダイス:3
能力:近接攻撃(威力2×2)、射撃(威力1×2)
◆装備や特記事項
サイバネ:
▶▶▶▶▶プリズナー用量産型バイオ/サイバネ複合フレーム(全身セット)
・体力+1
・近接攻撃威力+1
・連続攻撃+1
・連射+1
・近接攻撃ダイス+3
・射撃ダイス+3
・脚力+2
▼プリズナー
 ・指揮官がその場にいないと行動選択の知性レベルが落ちる。
 ・サツバツが発生しなくなる。

眼の前のニンジャは淡々と応答する。

ヤモト(……クローンヤクザ? いや、違う、なんだろう)

機械めいて淡白な受け答えに、ヤモトは違和感を感じる。

「ニンジャは、連れて帰る。それが命令だ」

プリズナーはカラテを構え、ヤモトに襲いかかる。

ヤモト「……やってみろ!」

ヤモトは腰に差した「ウバステ」と「ソメイ」に手をかけると、引き抜いた!

【戦闘な】

ヤモト:(まずは距離をとる……!)
ヤモトは一歩下がると、オリガミを放った。

カラテミサイルレベル5を発動

10d6>=4 = (3,5,3,1,1,4,6,2,1,6 :成功数:4) = 4

3・3の射撃をプリズナーに発射

「……」

2d6>=4+1d6>=4 = (2,5 :成功数:1) + (4 :成功数:1) = 2

プリズナーは迫るオリガミミサイルをヒキャクからの圧縮空気噴出で回避。

ヤモト:「な……」

ヤモトが目を見開く。

その隙にプリズナーは更にヒキャクの脚力を生かして跳躍、ヤモトへ飛びかかる

3d6>=4+3d6>=4 = (2,6,6 :成功数:2) + (5,6,3 :成功数:2) = 4
5d6>=4+4d6>=4 = (4,3,2,5,5 :成功数:3) + (6,2,4,6 :成功数:3) = 6

本来ならば死を覚悟する勢いの攻撃

ヤモト:(だけど、気迫を感じない……!)

ヤモトはこれを半身で躱すと、そのままの勢いでイアイにつなぐ。

ヤモト:「イヤーッ!」

ヤモトはカタナを振るった……それも、二本も同時にだ!二刀流!

3d6>=4+3d6>=4+3d6>=4 = (1,3,2 :成功数:0) + (5,4,5 :成功数:3) + (5,1,4 :成功数:2) = 5

「ヌッ」

プリズナーは繰り出されたカタナをバックステップで回避しようとする。

2d6>=4+1d6>=4 = (4,6 :成功数:2) + (6 :成功数:1) = 3

カタナは空を切る。

プリズナーは反撃のカラテを放つ

3d6>=4+3d6>=4 = (4,5,2 :成功数:2) + (2,3,3 :成功数:0) = 2

「イヤーッ」

サイバネ強化された、しかし覇気のないカラテ

9d6>=4 = (6,2,6,5,4,1,4,5,6 :成功数:7) = 7

(アブナイの意味を知れ、ホームをでなければ電車には轢かれない)

ヤモトはニューロンでカギの教えを反芻する。

ヤモト:「……ここだ!」

カウンターのイアイを放つ!

「グワーッ……!?」

横一線のイアイはプリズナーの身体を深々と切り裂いた!2ダメージ

ヤモト:「どうだ!」

ヤモトがカタナを構え、威嚇する。致命傷ではないが戦闘続行は難しいダメージだろう。

しかしプリズナーはやや揺らいだだけで、再びカラテを構え直した。

ヤモトは困惑する。

目の前のニンジャの脳内に、今サイバネにより鎮痛剤がダム放水めいて注がれていることなど彼女は知るよしもなし!

ヤモト:「どうしても戦うなら、容赦はしない!」

3d6>=4+3d6>=4+3d6>=4 = (4,2,6 :成功数:2) + (3,6,1 :成功数:1) + (5,1,4 :成功数:2) = 5

ヤモト:「イヤーッ!」

ヤモトはウバステとソメイを手に、疾風めいてプリズナーに斬りつける!

「……!」

1d6>=4+1d6>=4+1d6>=4 = (5 :成功数:1) + (3 :成功数:0) + (6 :成功数:1) = 2

「……グワーッ!」

プリズナーはそれでも脳内補助AIの補正により3発のうち2発を弾く!

だが、たった一刀でも入ればサクラの光によりエンハンスされたヤモトのカタナには十分だった。

プリズナーの膝から力が抜け、地面に倒れ落ちる。

「……サヨナラ!」爆発四散!

ヤモト:「なんとかなった……」

ヤモトはため息をつくと、誰かに見られていないか周囲を見渡し、そそくさとその場を去った。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

今切り捨てた敵ニンジャを思う。

まるでカラテもワザマエも感じない、だが妙に手強かった。

そしてなによりも、ジョルリめいた自我の薄さ。

感情が無いわけではなさそうだったが、一体なにをすればああなるのか。

ヤモト:「……」

ヤモトは絵馴染の前で立ち止まると、不安げにハラジュクの方角を見つめた。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ハラジュクの一番長い一日】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

夢の中の話◆模擬戦&夢オチ重点◆

「ドーモ、プリズナーです」
「ドーモ、プリズナーです」
「ドーモ、プリズナーです」

どこかクローンヤクザめいて虚無的な響き、
全く別のニンジャを同じ型に仕立て上げたかのような奇妙な統一感。
これがかのプリズナーか。
ストーンカは激戦の予感に覚悟を決めて、アイサツを返す。

ストーンカ:「ドーモ、プリズナー=サン。ストーンカです」
ユメミルテ2連→プリズナーA

10d6>=5+5d6>=5 = (4,1,1,1,3,1,3,3,1,2 :成功数:0) + (4,2,1,1,3 :成功数:0) = 0

ナムサン!恐ろしく虚無的なプリズナーに機先を制され、ストーンカは攻撃のタイミングを逸した!
なんたる恐るべき暗黒テックか!

プリズナーA近接2連 → ストーンカ

3d6>=4+3d6>=4 = (1,2,4 :成功数:1) + (3,1,1 :成功数:0) = 1
2d6>=3 = (4,1 :成功数:1) = 1

プリズナーB近接2連 → ストーンカ

3d6>=4+3d6>=4 = (6,4,5 :成功数:3) + (4,6,2 :成功数:2) = 5
2d6>=3+2d6>=3 = (1,2 :成功数:0) + (4,5 :成功数:2) = 2

「ンアーッ!」プリズナーの攻撃がストーンカに突き刺さる!
ストーンカ 体力:8→6

3d6>=4+3d6>=4 = (5,1,5 :成功数:2) + (2,2,5 :成功数:1) = 3
2d6>=3+2d6>=3 = (6,4 :成功数:2) + (1,2 :成功数:0) = 2

「ンアーッ!」ナムサン!プリズナーのなんたる機械的連携攻撃!
ストーンカ 体力:6→4
カナシバリ → プリズナーA

15d6>=4 = (4,3,3,3,3,6,5,5,5,2,2,6,2,6,4 :成功数:8) = 8
3d6>=5 = (6,2,4 :成功数:1) = 1

ユメミルテ → プリズナーA、プリズナーB

6d6>=5+9d6>=5 = (5,2,3,2,3,2 :成功数:1) + (6,3,2,1,3,6,6,5,2 :成功数:4) = 5

2発目マウントタックル!

2d6>=4+2d6>=5 = (6,3 :成功数:1) + (1,6 :成功数:1) = 2

プリズナーは回避!

3d6>=4+3d6>=4 = (2,5,5 :成功数:2) + (1,3,6 :成功数:1) = 3
2d6>=3+2d6>=3 = (6,5 :成功数:2) + (2,5 :成功数:1) = 3
3d6>=4+3d6>=4 = (4,6,5 :成功数:3) + (5,6,5 :成功数:3) = 6
1d6>=3+1d6>=3 = (2 :成功数:0) + (1 :成功数:0) = 0

「ンアーッ!サヨナラ!」ストーンカは爆発四散!

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ストーンカ:「アレは……」

「アレは、何だ言ってみろ」

ストーンカはプリズナーに囲まれて正座をさせられていた。

視線は明確に定まらずくるくると眼球運動を行い、冷や汗はじっとりと彼女の身体を濡らしていた。

ストーンカ:「ダイスを振ったのが、ころころでかわいいウォンバットだったからとしか……」

「そんなわけがあるか」

ストーンカ:「ある」強い意志。

「そんなわけはない、お前をこれから囲んで警棒で殴り殺す」

ストーンカ:「待て」

「プリズナーは滅多に待たぬ」

ストーンカ:「では、滅多に待て」

「しょうがないなぁ……」

01010010010101

ストーンカ:「……はっ!」

ストーンカは飛び起きる。
この場所は居間――どうやら変な夢を見ていたようだ。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「恥ずかしくないのかお前は」「バカ」「恥を知れ、恥を」

ストーンカ:「うるせ~~~~~~!!!!私が勝つまでやるんです~~~~!!!」

カナシバリ → プリズナーA

3d6>=5 = (5,1,5 :成功数:2) = 2

ユメミルテ2連 → プリズナーA

10d6>=5+5d6>=5 = (6,5,6,1,4,3,3,3,1,6 :成功数:4) + (2,1,2,6,2 :成功数:1) = 5

一発目マウント!

2d6>=5 = (5,1 :成功数:1) = 1

2発目回避ダイス無し!

「アババババーッ!サヨナラ!」プリズナーA発狂死!

ストーンカ:「……永遠に囚人として苦しめられるぐらいならば、いっそ私の手で」

「発狂死の方が嫌だろ」「常識無いのか」

「「恥を知れ、恥を」」

ストーンカ:「うるせ~~~!!!」

プリズナーB 近接2連 → ストーンカ

3d6>=4+3d6>=4 = (4,6,6 :成功数:3) + (4,3,1 :成功数:1) = 4
2d6>=3+3d6>=3 = (3,2 :成功数:1) + (4,6,5 :成功数:3) = 4

カウンター!

3d6>=4 = (3,3,6 :成功数:1) = 1

プリズナーはストーンカの繰り出した攻撃を回避。
プリズナーC 近接2連 → ストーンカ

3d6>=4+3d6>=4 = (1,4,4 :成功数:2) + (6,1,5 :成功数:2) = 4
2d6>=3+2d6>=3 = (6,4 :成功数:2) + (4,3 :成功数:2) = 4

「行くぞ!」
カナシバリ → プリズナーB

15d6>=4 = (4,1,3,1,2,3,5,3,1,5,4,6,3,4,5 :成功数:7) = 7
3d6>=4 = (1,1,3 :成功数:0) = 0

ユメミルテ → プリズナーB、プリズナーC

5d6>=5+10d6>=5 = (5,4,3,2,4 :成功数:1) + (6,1,1,1,5,1,3,1,2,6 :成功数:3) = 4

マウントタックル!

「アババババーッ!」プリズナーB発狂死!

2d6>=5 = (2,3 :成功数:0) = 0

「アババババ……アバーッ!!」プリズナーC発狂死!

「……勝った!」

勝った。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ハラジュクの一番長い一日】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

アインスの場合

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【トコロザワピラー】

アインスはサイバネ調整コフィン・ベッドから身を起こした。

決められた仮眠時間はまだあと1時間ほどあったはず。

そう思いながら脳内UNIXを起動させ、『出動依頼:暴走プリズナー3体な』

IRCメッセージに舌打ちをする。

プリズナーはどのようなサンシタであろうと安定した戦闘能力を供給する。

だがその代償である重テック・バイオ複合サイバネ手術に耐えきれずフリークアウトする者も発生する。

急ごしらえの新技術。脳内爆弾を発動させれば済むことだが、どうやら研究者共の狙いはアインス自身の戦闘能力の最終チェックにあるようだった。

アインス:「面倒な……」

立ち上がり、全身のサイバネ稼働を確認し、最後に自らのジツ……手の上に練られたコク・トンを確認する。
ヴ……と短い電子音を立て、漆黒のサイバーサングラスが赤いLED光を発した。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「アイエドーモモモモ!!」

「ドドドドドドドオドdーモ、プリズナーです」

「…………」

三者三様の動きを見せるプリズナー達に対し、アインスは鋭いアイサツをきめた。

アインス:「ドーモ、ナンバー……いや、アインスです」

◆アインス(種別:ニンジャ/重サイバネ/プリズナー)
体力:11
精神力:10
脚力:9
カラテ:3
ニューロン:10
ワザマエ:13
ジツ(メツレツ):6
近接攻撃ダイス:16
射撃ダイス:16
回避ダイス:15
能力まとめ:近接攻撃(威力2×4連続攻撃)、射撃(威力2×4連射、判定H回避H)
◆装備や特記事項
【このプリズナーはサツバツを発生させる。】
装備:ジッテ二刀流、サイバーサングラス
自動スキル:『●連射3』、『●疾駆』、『●マルチターゲット』、『●時間差』
選択スキル:◎タツジン(イアイドー※新)、◎タツジン(スリケン)、
      ◎ツジギリ、◎タクティカル射撃、◎キリングマシーン、
ジツ:★メツレツ・ウェポン、★コクトン・ダート、★★コクトン・トビ
 ★メツレツ・ウェポン……精神消費1、近接攻撃威力+1
 ★コクトン・ダート……精神消費1、スリケン威力+1、射撃ダイス+1
 ★★コクトン・トビ……カトン・ジャンプと同性能
◇装備サイバネ(負荷9、精神-3、狂気3個)
▶▶▶サイバネフレーム
 【体力】+6、【精神力】+3、【脚力】−1
▷▷スリケンアーム
 連射+2
▶ヒキャク
 脚力+1、回避ダイス+1
▷内蔵型スリケンボウガン
 射撃の近接武器ペナルティ解除
▶生体LAN端子
 ニューロン判定ダイス+1
▷記憶容量拡張
 スキル数+1
▼狂気:自我希薄化、虚無衝動(中程度)

互いに逃げ遅れたばかりにとんだ災難だな。眼の前の壊れたニンジャ達に彼は同情する。

【アインスの手番】

★メツレツ・ウェポン、★コクトン・ダートを起動
射撃→プリズナーAに3発、プリズナーBに1発

アインスは両足からダート発射機構を展開、跳びながらプリズナー達に放った。

◎タツジン(スリケン)、精密投擲を起動

4d6>=5+4d6>=5+4d6>=5+3d6>=5 = (6,1,1,5 :成功数:2) + (2,6,3,2 :成功数:1) + (2,2,2,3 :成功数:0) + (4,1,1 :成功数:0) = 3

「GRRRR!」プリズナーAは回避

2d6>=5+1d6>=5 = (2,2 :成功数:0) + (3 :成功数:0) = 0

コクトンダート二本はプリズナーAの脳と心臓に的確に突き刺さった。4ダメージ

「アバーッ!!!」爆発四散!

だがアインスの左足のボウガン展開機構は完全に沈黙している。

アインス:「ヤブ技術者共め……」

◎キリングマシーンを起動
◎コクトン・トビを起動

アインスは自らの足元にコクトンの水溜りを発生させ、そこに潜る。
次の瞬間、アインスはプリズナーBの真後ろにいた。

「!?」

プリズナーBが振り返る。

アインス:「悪く思うな」

プリズナーBへ攻撃

4d6>=4+4d6>=4+4d6>=4+4d6>=4 = (6,2,5,6 :成功数:3) + (1,3,1,5 :成功数:1) + (1,3,4,5 :成功数:2) + (5,6,3,6 :成功数:3) = 9

一発目、4発目サツバツ
プリズナーBは回避

1d6>=4+1d6>=4+1d6>=4 = (4 :成功数:1) + (6 :成功数:1) + (6 :成功数:1) = 3

サツバツ判定

1d6 = (5) = 5

コクトン・ジッテによる攻撃をプリズナーBは俊敏に回避する!

アインス:「さすがはニンジャということか」

アインスは淡々と攻撃を加え続ける。

奇跡が続くのも3回まで。
4発目がプリズナーBの両腕を捉えた。

「イヤーッ!」「アバーッ!?」

両手のジッテがプリズナーの両腕を破壊する。
そのままアインスはハイキックでプリズナーBの頭をケリ壊した。

「サヨナラ!」爆発四散!

アインス:「ハイ、サヨナラ」

アインスはプリズナーCを横目で見る。

「アイエエエエ!」

理性を失ったニンジャはそれでも湧き上がる動物的恐怖にあらがい、アインスに襲いかかる。

3d6>=4+3d6>=4 = (4,1,1 :成功数:1) + (5,6,3 :成功数:2) = 3

バイオサイバネ置換された両腕による二連撃。
サンシタニンジャならば受けた時点で即死するだろう

8d6>=4+7d6>=4 = (3,5,2,1,6,5,6,1 :成功数:4) + (6,5,5,6,6,5,5 :成功数:7) = 11

アインスはこれを半身になり、両腕の間に滑り込んだ。

アインス:「死ね」

カウンターカラテ二連撃。

「アバッ!?」

プリズナーCの両脇腹にメツレツ・ジツの籠もったジッテが突き刺さる。

「アババババ、アバーッ!?」

内蔵がコクトンに侵され、破裂!

「サヨナラ!」

3体の爆発四散痕を見下ろしながら、アインスは電子煙草を咥えた。

アインス:「こちらアインス。任務完了」

脳内UNIXで論理速度IRC入力する。

『オツカレサマドスエ。サイバネ稼働は順調なようですね?』

アインス:「なにが順調なものか。左脚のダートボウガンが全く動かんぞ」

『ハイ、戻りましたらすぐ修正します』

アインス:「……」

どれだけ調整したところで、それを振るう相手が現れるのか

ヤツらはちょうど良いところで離れたと思う。

いや、あれだけ思いきらねば人生は掴めぬものかもしれぬ。

アインスは自分の運命を一人呪う。

この街の未来も、自分の未来も興味は無い。

だが一瞬の機会を捉え、運命を自分の手に取り戻した連中の行く末にだけは、アインスは僅かに興味があった。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ハラジュクの一番長い一日】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ストーンカの場合#2

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ローカルコトダマ空間】

オリガミの花輪で病室中飾り付けられており

部屋の隅には「退院おめでとう」の文字が安らかなショドーで書かれている。

到るところに開いた穴からは百合の花が咲き誇っていた。

ストーンカ:「……コンジンッ!」

ハッカーめいてストーンカはローカルコトダマ空間内に物質を生じさせる。

現在孤児院にいる彼らを模した人形達、そして指揮者めいたストーンカの人形。

ストーンカ:「んー、なんかなぁ……こういうのじゃないなぁ」

ストーンカは人形たちを消し去る。
罪なき幻想幻惑を行使する上で特別なイメージは必要ないが、なんとなくそういうモノがあったほうが良い。

ストーンカ:「んー」

ストーンカは悩み続けていた。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ハラジュクの一番長い一日】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ツヴァイの場合#2

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【トコロザワピラー】

(バイオ四本腕によるダブルイアイド)
(発想は間違っていなかった)
(バイオ胚ニンジャに扱わせるには要素が複雑)
(腕移植な?)
(バイオ過重負担。耐えきれるか疑問視)
(それまでの記憶を全て消すことで対応)
(テンサイ!)
(テンサイ!)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

枕元で騒がしい連中だ……全員切り刻んでやる……

ツヴァイはイライラとしながら両目を開けた。

誰もいない、白い実験室。ツヴァイの今の居室だ。

ツヴァイ「……俺のダブルイアイドは無敵だ」

ツヴァイは誰にいうでもなく、無人の部屋に声を響かせた。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「またシミュレーションをするんですか?」

ツヴァイ「移植腕に慣れておけと言ったのはお前達だろう」

「そうはいっても、シミュレーションとはいえ敗れればニューロンへのダメージ可能性があります。あなたの今の不安定なニューロンでは」

ツヴァイ「いいからやれ。俺のダブルイアイドは無敵だ」

ツヴァイは技術者から強引にVR用サイバーサングラスをもぎ取り、被る。
途端に、目の前にはプリズナーが3体現れた。

何の個性もない、ただのニンジャであるだけの塊。

こんなものと自分が一緒にされていること自体が腹立たしい。

「ドーモ、プリズナーです」
「ドーモ、プリズナーです」
「ドーモ、プリズナーです」

ツヴァイ「ドーモ、ツヴァイです」

◆ツヴァイ(種別:ニンジャ/バイオニンジャ/プリズナー)
「俺のダブルイアイドは無敵だ」
体力:20
精神力:7
脚力:6
カラテ:13
ニューロン:5
ワザマエ:3(元4)
ジツ:5(サソリ※攻撃+2、回避+2)
近接攻撃ダイス:25
回避ダイス:10
能力まとめ:連続攻撃5×3ダメージ(ダイス5,5,5,5,5//突撃連続回転斬撃5×3ダメージ
◆装備や特記事項
【このプリズナーはサツバツを発生させる。】
装備:カタナ二刀流、Pメンポ、ブードゥー(デッカー手帳)
自動スキル:連続攻撃3、●不屈の精神
ジツスキル:●サソリFS、●突撃、●回転斬撃、●●連続回転斬撃、★カトン・エンハンス
選択スキル:◎三倍脚力、◎トライアングルリープ
◇装備サイバネ(10、精神−4、狂気3)
▲▲▲バイオサイバネ腕(多腕)
【体力】+4、『連続攻撃+1』、『近接攻撃』時のダイス+4個
▶▶▶サイバネフレーム
【体力】+6、【精神力】+3、【脚力】−1
▶生体LAN端子
ニューロン判定ダイス+1
▼狂気:狂戦士化【中】(簡略化のため初期から発動)、狂気の中の真実、バイオインゴット欠乏症

シミュレーションといえどアイサツは大事だ。

ツヴァイは深くオジギをすると、四本の腕でカタナを掴んだ。途端にカタナが燃え上がる。

ツヴァイ「サソリ・ダブルイアイド。見せてやろう」

【ツヴァイの手番】

ツヴァイ「ウオオオオオ!!」

●突撃を宣言

ツヴァイは獣めいた雄叫びを上げ、3体のプリズナーへ猛然と飛びかかる!

●●連続回転斬撃を発動。

ツヴァイ「ダブル・サークルイアイド!」

5d6>=5+5d6>=5+5d6>=5+5d6>=5+5d6>=5 = (2,2,4,2,5 :成功数:1) + (3,5,6,1,2 :成功数:2) + (5,1,2,2,1 :成功数:1) + (5,5,6,1,6 :成功数:4) + (3,2,4,3,6 :成功数:1) = 9

「「「!!?」」」

プリズナー達は回避しようとする!

1d6>=4+1d6>=4+1d6>=4 = (5 :成功数:1) + (6 :成功数:1) + (3 :成功数:0) = 2
1d6>=4+1d6>=4+1d6>=4 = (4 :成功数:1) + (2 :成功数:0) + (5 :成功数:1) = 2
1d6>=4+1d6>=4+1d6>=4 = (5 :成功数:1) + (1 :成功数:0) + (5 :成功数:1) = 2

「「「アバーッ!!!」」」

自我の薄い人形に5連撃は回避しきれるものではない!

三体のプリズナーは即座に全身をバラバラにされ死亡!

「「「サヨナラ!!!」」」

死ぬ時ですら奇妙な統一性を見せるプリズナーをツヴァイは嘲笑った。

こいつらも自分も過去を奪われた存在だ。

だが彼には圧倒的なカラテがあった。

このカラテの力で向かってくる羽虫共を膾切りにする。そう考えただけで彼の胸は高鳴る。

ツヴァイ「俺のダブルイアイドは無敵だ」

植え付けられたバイオ遺伝子が彼にそう呟かせる。何度でも。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ハラジュクの一番長い一日】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ストーンカ&トライヘッズの場合#2

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【孤児院/トライヘッズの部屋】

1ミッションの間だけの友になる筈だった者達と、なんか気づいたらアジトにいた者と、食いしん坊…今やソウカイヤを共に打倒するまでになったかけがえのない仲間達を思い返す。

スケルター=サン、あなたみたいな大人な女性、憧れちゃうな。ああなりたい。

フォルブレイズ=サン、一緒にカギ=サンの仇を討とうね。

ドラゴンボーン=サン、ああ見えて最年長。頼りにします。

ハートレス=サン、ブラスムーン=サンとはお幸せにね。あとあの時はアリガトウ。

ブラスムーン=サン、あなたもきっと、許して貰えると思うよ。

フリントアーム=サン、思い返せばあなたの言葉のおかげでワタシはここにいられたのかも。

ストーンカ=サン…無事を信じてるよ(未だに孤児院にいることに気づいていない)

そしてヒナコチャン、ヤモッチャン、あなた達がまた堂々と暮らせる世界にするために…ワタシ頑張る。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【孤児院・ドージョー】

トライヘッズはどういう風の吹き回しか、ストーンカのメンポを再び持ってドージョーに戻っていた。

彼女1人である。ニンジャスレイヤー=サンもザゼンを休んでいるようだ

ストーンカ:「……オハヨ」

トライヘッズ:「……オカエリ。ストーンカ=サン。」
「…やっぱりキレイだね」改めて素顔を見て、そう思う。

ストーンカ:「…………」
ストーンカはバイオソメイヨシノめいて薄っすらと身にまとった微笑みを一瞬歪め、何事もなかったかのように、

ストーンカ:「あ、そう」と言った。

トライヘッズ:「これ…いるかな」

単眼キツネ・オメーンを見せる。
付けていた理由は顔を見ればわかる。問う必要などない。

ストーンカ:「いりませんよ、今更……」

ストーンカは自分のメンポをトライヘッズから奪い取ると、両手で握り込んだ。

固く握った手を再び開くと、そこにはバイオ白百合が咲いている。

ストーンカはトライヘッズの頭にバイオ白百合を挿した。

トライヘッズ:「…ワァ…スゴい!アリガトウ!ゲン・ジツってこんなことも出来るんだね!」
「無事に帰ってきてくれてよかった…あとは明日…頑張ろう。」

ストーンカ:「……この戦いが終わったら、お前はもう戦うのやめろ」

トライヘッズ:「……エッ?」「やめるって…」

藪から棒だった故にすぐに答えは出せない

ストーンカ:「お前は戦いに向いてるけど、裏社会に向いてねぇよ……この戦いが終わったら、表で生きろ」

ストーンカは真剣な目でトライヘッズを見た。

トライヘッズ:「…わかった!」
「ニチョームの自治会に誘われてるから、そこでヤモッチャンと一緒に頑張ろうと思う。きっとそこなら今度こそ…」
「だけどアブナイならすぐ呼んで!駆けつける!」

ストーンカ:「……」

ストーンカは薄っすらと微笑んで「ええ」とだけ言った。
ストーンカはトライヘッズの真っ直ぐな部分を心の底から嫌っている。

ストーンカ:(……なんで、お前みたいな何も喪ってない奴がわざわざ戦いに首突っ込むかなぁ)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

何も喪っていない、というストーンカの推測は正確には間違っている。

実際彼女は喪っている。

妹を。

妹になるはずだった「子」を。

「喪った」のではなく「殺された」のだ。残酷な結論に。

もっとも「それだけだ」。家族は皆元気だ。

自分よりつらい人…目の前の美人さんのような人はたくさんいる。

だから、彼女は語らないだろう。だから知ることもない。

抱え続ける…はずだったが、「少し前向きに」生きることにした今。

「抱える」という言葉は最早…合わないだろう。

きっと、もっと笑って生きていけるだろう。

もっと口が悪い悪友ともナカヨクしていけるだろう。

トライヘッズ:「…とにかく、とりあえず今は基礎を付けとかなきゃ!イヤーッ!」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【ハラジュクの一番長い一日】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ナンシー・リーの場合#3

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【孤児院/ホール】

ネオサイタマ知事選挙が行われる前日。

電算室にこもっていたナンシーは目の下に大きなクマを作った状態で現れると、皆をホールへと呼び出した。

部屋の中央にはいつの間にか巨大な戦略チャブが置かれ、ネオサイタマの地図とトコロザワピラーの見取り図が映し出されている。

ナンシー:「ドーモ、ごめんなさいねお疲れのところ」

ブラスムーン:「ドーモ」

ドラゴンボーン:「構わんよ。どうせ酒を飲むくらいしかやることがねぇ。いつも通りな」 言って、蜂蜜酒を呷る

スケルター:「うむ、ナンシー=サンもお疲れだろう」

フリントアーム:「気にしなくていい。そちらも同じくらい詰めているんだからな。それでこの状況をどうにかできる案は浮かんだのかね」

ストーンカ:「ドーモ」

ナンシー:「ええ」

ナンシーは頷くと、部屋の隅を見る。そこにはいつの間にか赤黒の死神が装束をまとい立っていた。

ニンジャスレイヤー:「……」「……ドーモ」

死神は短くオジギをすると、ソファの一角に油断なく腰掛けた。

スケルター:「……ドーモ」

ドラゴンボーン:無言で奥ゆかしくオジギをする

ブラスムーン:「ドーモ」

ストーンカ:「ドーモ」

ナンシー:「どうやら彼もお急ぎみたいだし、始めさせてもらうわね」

ナンシーは頷くと、戦略チャブを指でフリックする。

スケルター:「アッハイ」

ブラスムーン:「頼む」

チャブ全体にトコロザワピラーの見取り図が広がる。

画像2


ドラゴンボーン:「…………フ、ハハハハハ」 乾いた笑いしか出ない

ストーンカ:「贅沢なことですねぇ……」ストーンカは花冠をいじりながら呟いた。

ナンシー:「最近トコロザワピラーでは大規模な改修工事が行われてね。
複数の企業に分割受注して全体像を隠していたようだけど、なんとか全部の企業にハッキングして全貌を調べることができたわ」

スケルター:「なんだこの…ムウ」

ドラゴンボーン:「陸(オカ)の戦術には疎いがよォ、これはこれは」

フリントアーム:「ニンジャ囚人化施設…こんなものいつの間に」

ブラスムーン:「なぜ対地迫撃砲が……?」

ストーンカ:「ニンジャ囚人化施設ねぇ……」ドラゴンボーンを見た。

ナンシー:「トコロザワピラーの下階はネコソギファンドのオフィスなのはご存知だと思うけど、最近新たに慈善病院が併設されたの」

ナンシー:「どうやら、巷で捕まえたニンジャを片っ端から洗脳・サイバネ改造して戦力化してるみたいね」

スケルター:「ニンジャを…囚人…なんたる事を」

ブラスムーン:「慈善、ね」

ドラゴンボーン:「…………俺はまだ何もしてないぞ」 ストーンカの視線に気づいた

ストーンカ:「……厄介な」

ストーンカ:「……まだ、ね」

ナンシー:「私が知ってるフリーランスニンジャも何人か捕まってるわ」

ブラスムーン:「……アルマゲストか」

フリントアーム:「慈善施設と称して洗脳改造か…」

スケルター:「見境なしだ…!」

ナンシー:「ご明察。アルマゲストがナンバー2になってから、ソウカイヤはヒステリーめいて戦力増強を図ってるわ」

フリントアーム:「ずいぶんと前回のことが堪えたようだな」

ブラスムーン:「よほど我々の事がショックだったか」

ストーンカ:「どうやら離職タイミングは適切だったようですね、この環境じゃ退職金も出そうにないですから」

スケルター:「…ゲイトキーパー=サンはどうなったのだ?」

ナンシー:「ソウカイネットに流れる噂レベルに過ぎないけど……死んだと言われているわ。お知り合い?」

スケルター:「…面識はある」

ストーンカ:「まぁ、オチャする仲じゃないですがね」

ブラスムーン:「ラオモト・カンの右腕だったとしか」

ナンシー:「ご冥福をお祈りするような相手ではないのでしょうね……。話をすすめるわね」

フリントアーム:「あのタイミングを見計らっていたのは我々やゴンベモンだけでは無かったということか」

スケルター:「ハイ」

ストーンカ:「ええ」

フリントアーム:「どうぞ」

ドラゴンボーン:(このタイミングでナンバー2の死亡、ね。ウォーロックのクソが手を回す余裕があったとも思えん……となると、なぁ)

ブラスムーン:「……」

ドラゴンボーン:「ウム」 ゲイトキーパーの事はさして興味がなかった。敵が減ったのならそれで良し

ナンシー:「そうね、アルマゲストの権力掌握は異常な速さ。裏になにかあったと考えるのが正しいのでしょうけど、ともあれ私達にとって問題になるのはその影響の方」
「その影響は大きく別れて2つあるわ」
「一つはサイバネ洗脳されたサンシタニンジャ達が大量にトコロザワピラー内に配置され、守りを固めていること」
「もう一つはこの地図に見える、ブルシットな対地迫撃砲と対空連装砲よ」

ブラスムーン:「どちらも最悪だな」

スケルター:「フム…」

ストーンカ:「サイバネ洗脳ニンジャぐらいなら私はなんとか出来ますけど、大砲相手はどうもね……」

ドラゴンボーン:「偏執的な防衛体制だぜ」

ナンシー:「そうね……。まずは前者の方から話そうかしら」
「サンシタニンジャ達が大量に用兵されたことで、ソウカイニンジャの指揮体勢は大きく変わった」

「驚くかもしれないけどよく聞いてね。シックスゲイツが解体されたわ」

ドラゴンボーン:「マジで」

フリントアーム:「伝統という程では無いがついになくなったか。ショギョムッジョ」

ブラスムーン:「何?名誉ある肩書をわざわざ……?」

ストーンカ:「……満を持して、って感じですね……」
(今のシックスゲイツの格じゃまぁそうなるでしょうよ)

ナンシー:「アルマゲストを頂点に、その他を全て自由に運用可能な配下とする……まあ簡単に言えば指揮系統の一本化ね」

スケルター:「な、なんと…ゲイトキーパー=サンが死んだのもやつの狙い…?」

ストーンカ:「ずいぶん出世したものですね……」

ナンシー:「アルマゲストの部下達につけられた名前は――分かりやすい上に悪趣味ね。『プリズナー』」

ドラゴンボーン:「フハハハハ、どちらも悪趣味な改革な事だ」

ストーンカ:「私が部下ならセプクもんですね」

ブラスムーン:「まともな自我があるならばアルマゲストには反感を覚えること間違いないからな」

フリントアーム:「ハ ハ ハ。彼なりのユニークさが良く分かるな」

スケルター:「ムムーッ…」顔をしかめる

ナンシー:「アルマゲスト、会ったことはないけど絶対お付き合いは避けたい相手ね」

ストーンカ:「まぁ、それなら精々我々は死刑執行人を頑張るとしましょう」

ドラゴンボーン:「まァ、だが。逆に言えば中級指揮官がごっそり消えたワケだろ。そこに居るのは1人の看守に従う囚人の群れだ」

ナンシー:「さすが元軍人さん、的確な意見ね」

フリントアーム:「そうだな。頭を潰せないい。シンプルだな。あとはどうやって奴の喉元まで迫るかだな」

ストーンカ:「良い作戦を期待したいものですね、軍のミサイルをハッキングしたとか」

ナンシー:「とはいえ……トコロザワピラー中層に、シックスゲイツクラスのニンジャが10、準シックスゲイツクラスが20は詰めていることは間違いないわね」

ナンシー:「えっ」ナンシーはストーンカの言葉を聞き目を丸くし、自らのLAN端子に何かが刺さっていないかを確かめた。

ドラゴンボーン:「ブルシットだな」
「えっ?」

フリントアーム:「ハ ハ ハ。まじか」

ストーンカ:「えっ」

スケルター:「オイオイ…」
「え?」

ブラスムーン:「限界までサイバネ強化されたニンジャならば……何?」

ナンシー:「えっと……」

「まだ、してないのよ?」ナンシーはニコリとアナウンサーめいた笑顔を作った。

フリントアーム:「つまりドラゴンボーン=サンの出番ということか」

ドラゴンボーン:「まだ、な!フハハハハハ!」

ブラスムーン:「やる予定ではあったのか」

ストーンカ:「私の倫理観が悲鳴を上げてるんですが、放っておきましょう」

ナンシー:「とりあえず、話を進めるわね」

スケルター:「ま、まだか…ウヌ」

ナンシー:「敵ニンジャが詰めているのは、この地図でいう軽犯罪者フロアと重犯罪者フロア。その前段階のトレーニング・フロアには半人前のサンシタサイバネニンジャがアリの如くうごめいてるって話」

ドラゴンボーン:「勘弁してくれよ……ハーネスでも買っておけばよかったぜ……」 >フリントアーム

ナンシー:「そしてそこを越えないと電算室にはたどり着けない。
そして電算室を掌握しないと、アルマゲストのいるフロアにはたどり着けないわ」

ブラスムーン:「軽重はサイバネの度合いの事か」

ストーンカ:「ヤンナルネ……」

ナンシー:「それもあるけど、単純に実力差みたいね」

フリントアーム:「まずは電算室の確保が必須と」

ストーンカ:「強くなればなるほど罪が重くなる……ウフフ、トレーニングの気力が失せていきますね」

スケルター:「アリのごとく…ナムサン」

ブラスムーン:「当然警備は厳重になっているのだろうな……」

ナンシー:「そうね……詳しくは後で説明するわ」
「もう一つの問題、対地迫撃砲と対空連装砲」
「これはオムラと湾岸警備隊とソウカイヤの悪夢めいたコラボレーションの産物よ」

ドラゴンボーン:湾岸警備隊と聞いて、大きくため息をつく

フリントアーム:「また随分な組合せだな」

ブラスムーン:「湾岸警備隊までも」

ナンシー:「対地ではほぼネオサイタマ全域を照準に収めていて、対空ではマグロツェペリン三個艦隊を一瞬で潰せるくらいのスペックね。オムラの兵器がスペックどおり動けばだけど」

ストーンカ:「威力だけは本物ですからねぇ……自爆するかもしれませんが」

スケルター:「…ドラゴンボーン=サン……」
「なんと…!」

ドラゴンボーン:「まぁ飛びつく将軍サマやら高官なりは居たんだろうなァ……」

ナンシー:「高官の一人、ケイノウ・サナダが全面的に協力してるみたいね。なにか知ってる?ドラゴンボーン=サン」

ブラスムーン:「スペック自体は信用していいようだからな」

フリントアーム:「まぁ、一応火力だけは信じて問題ないからな」

ドラゴンボーン:「俺みたいな下級指揮官にとっちゃ雲の上の人さ。だが戦争狂のクソ野郎だとは聞いている」

ナンシー:「ナルホドね」ナンシーは美しい唇からため息をつく。
「もうすぐソウカイヤは対テロ戦争を口実にカスミガセキ以外のネオサイタマのどこでも砲撃できる権利を得るわ。当然、このハラジュクも例外じゃない」
「タイムリミットは、ラオモトが知事になるまで」

フリントアーム:「すでに街に向けてミサイルを撃ち込む前科もある。もう奴は躊躇せんだろうな」

ブラスムーン:「人質を取るために随分なものを作ったな」

ナンシー:「奴が知事になったら、このハラジュクはおそらくテロリスト潜伏都市として即座に火の海になるでしょうね」

ストーンカ:「もちろん……そんなことはさせない」
ストーンカから生じる超自然の01光が燃えたぎるように発散された。

ブラスムーン:「そのとおり」

スケルター:「ああ…!」

ニンジャスレイヤー:「……ああ」ボソリと、しかし力強く死神も頷く。
「それでどうするつもりだナンシー=サン。ソウカイヤがいかに強大かを語って聞かせるために我々を呼んだのか?」

死神の言葉に、ナンシーは挑発的な笑みを浮かべた。
ナンシー:「もちろん、そんなつもりはないわ」

ドラゴンボーン:(地下にあるとはいえ酒蔵も砲撃を受けて無事とは思えねェーしな……働く理由に事欠かなくていいぜ)

戦略チャブを細長い指で触ると、トコロザワピラーの見取り図に赤と黄色の矢印が現れる。

ストーンカ:「ほう……」

ブラスムーン:「赤……」ニンジャスレイヤーをチラと見る

ナンシー:「ここからがトコロザワピラー攻略作戦のあらましよ。私達は明日の晩、選挙が行われるまさにその夜。」

「一晩でソウカイヤを滅ぼす」

スケルター:「…正気か。一晩とは」

ブラスムーン:「……」

ストーンカ:「ふふ……ソウカイヤを敵に回すんです、それぐらいの狂った作戦じゃあないとね」

フリントアーム:「文字通りの弾丸作戦というやつか」

ドラゴンボーン:「いいねェ……」 力強いその言葉に口角を釣り上げる

ナンシー:「まず、チームを2つに分けるわ」

ブラスムーン:「フム」

ナンシー:「一つのチームは、トコロザワピラーの正面から突撃する。文字通り正面突破よ」
赤い矢印がネオサイタマ・ハイウェイを突っ切り、トコロザワピラーのエントランスに突入する。
「元々、電算室を落とすには正面からしか道が無い」
細い指は更に上へとなぞり、トレーニングフロアを通り、軽犯罪者フロアをとおり、重犯罪者フロアを経由し、電算室へ至った。

ストーンカ:「わーお」

フリントアーム:「分かり易いな」

ブラスムーン:「シンプルだ」

ナンシー:「そして、このチーム……Aチームと呼ぼうかしら? Aチームの裏で、隠密作戦をするチームを編成するわ。Bチームと呼びましょうか」

ストーンカ:「特攻野郎」呟く

ドラゴンボーン:「古い映画だが、まさにその通りだな……」 >ストーンカ

ナンシーが指を一旦入り口に戻すと、黄色の矢印がトコロザワピラーの地下に現れた。

ナンシー:白い指先が下水道を通り、ニンジャ囚人化施設に至る。
「Bチームチームはここで、捕らえられた洗脳前のニンジャを解放。トコロザワピラー内で反乱を起こさせる。Aチームへの援助になるはず」

フリントアーム:「内部での陽動か」

ナンシー:「そういうこと。焼け石に水かもしれないけどね」

ストーンカ:「良いですねぇ、そういうことなら私の得意分野です」

スケルター:「ほほう。」

ナンシー:「けどBチームの仕事はまだ終わらない」
ナンシーの指は更にオムラ対地迫撃砲へ至った。
「アルマゲストがヒステリーを起こしても無駄なように、このブルシットな鋼の●●●を叩き潰すわ」

トン、とナンシーがチャブを叩く。

ドラゴンボーン:「助攻としては中々だな。正面の戦力が減るだけでもありがたい」

ブラスムーン:「フフ、間違いなくヒステリーを起こすだろうからな」

スケルター:「フムフム」(((結構カゲキだなナンシー=サンは)))

ナンシー:「そしてそのままBチームは整備用の梯子を登って対空連装砲も破壊してもらう。恐らくここの防衛は元シックスゲイツのヘルカイトが担当してるはず。強敵だけど……」

ドラゴンボーン:「フハハハハ、俺たちの後背地を撃てるとほくそ笑んでる自信ごとヤツの鋼の●●●をへし折ってやるワケか。楽しそうな仕事だ」

ブラスムーン:「ヘルカイト=サンか。彼のラオモト・カンへの忠誠は人一倍だと聞いたことがある」

フリントアーム:「ヘルカイト=サンか。”囚人”どもよりも油断できんな」

ストーンカ:「ヘルカイト=サンですか……悲しい降格処分ですね」

スケルター:「ヘルカイト=サン」かつてジャクマリアを探した日のことを思い出す

ナンシー:「アルマゲストの台頭により閑職に回されたみたい。内通を図れないか考えたけど、そんな時間も無いし……」

ニンジャスレイヤー:「ソウカイヤのニンジャは全て殺す」ナンシーの言葉を遮るように死神が言う。

ナンシー:「こうだから」ナンシーが苦笑する。

ドラゴンボーン:「元シックスゲイツ級も洗脳されてンのかね。何かしら現体制に思う所はありそうだが……」
「……まあ、そうなるか」 ニンジャスレイヤーの言葉に肩をすくめる

ストーンカ:「まあ、頼もしいことですね」

ブラスムーン:「内通は不可能だろうな」
「そうだな」

フリントアーム:「仕事のパートナーの主義は尊重しよう」(肩をすくめる)

ナンシー:「今のところをまとめるとこうなるわね」

ナンシーが再びチャブを叩く。

画像3

ナンシー:「赤い矢印がAチーム、黄色い矢印がBチームってところ」
「電算室を押さえればアマツチの間への扉も開ける。上手くやればアルマゲストを挟撃できるはずよ」

ストーンカ:「アルマゲスト=サンの部屋で合流ですね、たっぷり恩返しをしてやるとしましょう」

ナンシー:「それで……ここからが本題なんだけど」ナンシーがストーンカの方をチラリと見ると、笑顔を作る。

ドラゴンボーン:何となく嫌な予感を感じた

スケルター:「成程…ン?」

ナンシー:「トコロザワピラーの電算室は比類ないマシンパワーを持ってると同時に、"何故か"湾岸警備隊の基地と直通回線でつながってるの」

フリントアーム:「何故か」

ストーンカ:「……ああ、成程」

ブラスムーン:「フム……」

スケルター:「フゥーム?」

ナンシー:「本来の理由は癒着からなんでしょうけどね。腐敗ここに極まれり」ナンシーは一度ため息をついてみせる。

ドラゴンボーン:「ワーオ、ホットラインまで完備とは。随分とネンゴロなんだなァ」

ナンシー:「だけど、直通回線がある基地の一つに、ミサイル基地があるの」

フリントアーム:「ほう」

ブラスムーン:「なるほど」

ナンシー:「この作戦どおりに行けば、Aチームが電算室を抑えた頃には、Bチームは対空砲を破壊し終わってるはずよね?」

フリントアーム:「ああ。なるほど…」

ブラスムーン:「徹底破壊という事か」

ドラゴンボーン:「ウン……ウン?」 飽和射撃で対空砲を抑えるのかと思ってた

ストーンカ:「BANG!」指鉄砲を作った。

ナンシーはストーンカの言葉に合わせて、チャブを横一文字に指でなぞった

画像4

ナンシー:「だから、こうする」

フリントアーム:「ハッハッハ!随分と”飛んだ”作戦だ」

フリントアーム:「派手な花火になりそうだな」

スケルター:「おお…ゴウランガ」

ブラスムーン:「なんとまあ……」

ナンシー:「ミサイルにしがみついたアナタ達を見て思いついた作戦よ」ナンシーはスケルター達を見て笑った

ナンシー:「ダークニンジャ=サンには悪いけど、彼の部屋を想定着弾地点にさせてもらうわ」

ドラゴンボーン:頭を抱えた

ストーンカ:「自我科をオススメします」

フリントアーム:(この作戦だとドラゴンボーン=サンはミサイルに乗らないのか…)

ナンシー:「そしてミサイルには……貴方に乗ってもらう」

ナンシーは赤黒の死神を見た。

ブラスムーン:「やはりな」

ニンジャスレイヤー:「……」赤黒の死神は無言でその言葉を受ける。

スケルター:「……」(((そういばミサイルは二度目…)))
「…!?」

フリントアーム:「ドラゴンボーン=サンではなく?」

ナンシー:「その案も魅力的だけどね」ナンシーは笑うと、ドラゴンボーンを向いた。「どう?やってみる?」

ドラゴンボーン:「俺は丁重に辞退申し上げさせて頂くぞ!」 断固として拒否!

ドラゴンボーン:「せめて美人のレスキュー同伴でなきゃ断固として嫌だな!フハハハ!」

フリントアーム:「あれ結構視聴回数稼げたんだけどなぁ…」

ブラスムーン:「フフフ」

ナンシー:「フフ」

スケルター:「…また乗るのも悪くないと思ったが…まあいい」

ドラゴンボーン:(俺はアンタの自我が心配だよ) スケルターを見た

スケルター:「???」

ストーンカ:「イタミ・ニンジャ・クランのバカみたいな真似やめてくださいよね」

ナンシー:「フフフフ……っと、コホン」

スケルター:「ウム。じょ、冗談だ」半分本気だった

ナンシー:「それで貴方たちは彼がラオモトを仕留める間に、アルマゲストを仕留めて欲しい」
「奴は奴らしく、身の回りを精鋭で固めているわ。もしかしたらラオモトを倒すよりも難しいかもしれない」
「でもいくらネオサイタマの死神といえど、ラオモトを倒した後にアルマゲストまで相手にする体力は残らないはずだから」

ブラスムーン:「ウム、奴は我々の獲物だ」

ドラゴンボーン:「因縁もある事だしな」

フリントアーム:「いいだろう。今までの因果やらなんやら纏めて精算してやる」

ストーンカ:「ええ」

ナンシー:「ありがとう」ナンシーは微笑み、死神へと振り返る。「貴方もそれでいいわね?」

ニンジャスレイヤー:「異存は無い」ニンジャスレイヤーは頷くと、スケルター達を見た。「よろしく、頼む」

ドラゴンボーン:「撤退戦と宿題の借りの分くらいは働いてみせるさ」

ブラスムーン:「ああ、よろしく頼む」

スケルター:「ああ!」親指を立てる

ストーンカ:「……フフ」微笑を浮かべる。

フリントアーム:「ああ。そちらも頼んだ」

ニンジャスレイヤー:「ああ。こんどはしくじらぬ。ラオモトとダークニンジャを必ず殺す」

ストーンカ:「信じてますよ」

ブラスムーン:「アルマゲストは任せてくれ」

ドラゴンボーン:「アルマゲストにアンタのケツをつつかせはしねェさ」

フリントアーム:「派手に焼いてやるさ」

ナンシー:「フフ……」ナンシーが笑った。「少し前まで二人だけで戦っていたのが、本当にウソみたいね」

ニンジャスレイヤー:「……」フジキドは腕組みをすると、ソファに座り直した。

ナンシー:「……じゃあ、作戦名でも決めましょうか。みんな、良い案ある?」

ストーンカ:「ネオサイタマ征服計画」

(フジキドは一瞬『マジかよ』という顔をした)

フリントアーム:「正面突破と後方撹乱、ミサイルで突撃の三面作戦の名前ねぇ…」

ドラゴンボーン:「助攻が分断、主攻が突破。敵の中級司令部を合撃。んでアタマは空挺で狩る。……案外悪くねェ作戦になったな。内実はぶっ飛んでるが」

ブラスムーン:「難しいな」

フォルブレイズ:「…プリズン・ブレイカー、はどうだ?」
「…遅れてすまない、シツレイする」

スケルター:「…デストロイ・オール・ソウカイニンジャズ…」
「ム―ッ…ムズカシイ」

ドラゴンボーン:「シンプルにレベリオン……ウーム、湾岸警備隊っぽくてうまくねぇな」

フリントアーム:「三本の矢か?」

ナンシー:「三本の矢、いいかもしれない」ナンシーはフリントアームを見た。

フォルブレイズ:「…たしかに、サンダンウチの作戦だな」

ナンシー:「正面突破し敵を焼く『炎の矢』」

「敵の背骨を破壊する『雷の矢』」

「そして、敵の首を打ち砕く血の矢……『ブラッドアロー』」

フリントアーム:「『矢はたくさんあると折れない』とマサシも言ってる」

スケルター:「オオ…さすが…」

ブラスムーン:「我々はそれを体現してきた。そうだな?フリントアーム=サン」

フォルブレイズ:「たくさん打つと実際当たりやすい、とも言うな。」

フォルブレイズ:「…そのままだとダサいな」

ストーンカ:「つまり、沢山の矢でソウカイヤを滅ぼす計画」
「いい名前ですね」

フリントアーム:「フッ、そうだな。ずっと一人で生きていたらこうはならなかっただろうな」ブラスムーンに頷く

ドラゴンボーン:「或いは。1本の毒矢ではライオンを殺せないかもしれない。だが3本なら殺せる。すなわちアナフィラキシーショック也ってか」 ニンジャスレイヤーとラオモトのイクサを思い出しながら

フリントアーム:「ポエット」

ナンシー:「フフ、ポエット!」

スケルター:「ポエット!」

ブラスムーン:「フフフ、ポエット」

フォルブレイズ:「実際ポエット。…三本ならば、更に凄絶な反応を起こすかもな」

ナンシー:「じゃあこうしましょうか」

「正面から撃つ火の矢」

「背中を撃つ毒の矢」

「頭を撃つ血の矢」

「この3つの矢でソウカイヤを殺す。」

「『オペレーション・スリーアローズ』」

ブラスムーン:「私はそれで良いと思う」

ドラゴンボーン:「異存ねェ」

スケルター:「オオ…カッコイイ!」思わず立ち上がる

フリントアーム:「異存なし」

フォルブレイズ:「異存はない。」

ストーンカ:「いい名前です」

ニンジャスレイヤー:「……」死神もまた無言で肯定した。

スケルター:「ウム!」

ナンシー:「じゃあ、決まりね」ナンシーが笑う。
「決行は明日の夜19時。その時間からラオモトはミッドナイト・オイランニュースに生放送を予定している。指揮系統に少なからず乱れは生じるはずよ」
「それまでに皆、『炎の矢』チームと『毒の矢』チームのどちらにするか決めておいて」

ドラゴンボーン:「アイ、アイ」

ブラスムーン:「承知した」

フォルブレイズ:「了解した。」

ナンシー:「あとは……ヒナコ=サンだけど」

ナンシーが横目で扉が閉ざされたヒナコの部屋を見る。昨日の疲れからか、部屋で眠っているようだ。

ナンシー:「連れていくのもいいし、置いていくのも良いと思う。頼まれれば私が責任を持って信用できる知り合いに預けるわ。今回は向こうも本拠地防衛戦、あまり無茶をやる余力は無いはずよ」

フォルブレイズ:(…俺も実際寝過ごすところだった。…迂闊)

スケルター:「……」考えこむ

ナンシー:「それも決めておいて。ただ、敵の本拠地を彼女を守りながら行くのは並大抵のことではないと思うわ」

ブラスムーン:「……流石に守り切る自信はない」

フォルブレイズ:「ああ、…実際防衛戦ならともかく、今回は攻めだ。その中で死守するようなことは避けたい」

ドラゴンボーン:「……もう一回、泣かせるかね?真のニンジャのイクサを見せて」
「だが正面戦力が足りねえのも、守ってやる戦力がねぇのも事実だ。難しい所だな」

ナンシー:「実際戦力ではあるのだけどね」ナンシーはクスクス笑う。「友達のニンジャがいるなら、そこに預けるのも手だと思うわ」

ストーンカ:「……預かってくれる人がいるなら、私は連れて行くべきではないと思います」

ブラスムーン:「ニチョームか……」

スケルター:「だな。ニチョ―ム。悪くない」

フォルブレイズ:「…俺もストーンカ=サンに賛成だ。戦力になるにしても基準が違いすぎる。同数程度の相手との防衛戦じゃない、今回は」

フリントアーム:「ヤモト=サンのところか。絵馴染だったか」

ニンジャスレイヤー:「……」フジキドは一人のモータルを守るために本気で頭を悩ませるニンジャ達を見て、僅かに困惑しているようだった。

スケルター:「ム?どうしたニンジャスレイヤー=サン」

フリントアーム:「トライヘッズ=サンの家族といい、この恩はいずれ返さなければな」

ブラスムーン:「そのためには生きて帰らねばな」

フリントアーム:「もとより死ぬ気などないからな。」

ニンジャスレイヤー:「……いや」フジキド・ケンジはスケルターの言葉に目を閉じ、首を横に振った。ナンシーはその様子を嬉しそうに眺める。

ナンシー:「そうね、私達は死ねない」ナンシーは頷いた。

フォルブレイズ:「……ああ。死ぬ気もないし、死なせる気もない」

ナンシー:「ラオモト・カンを殺せれば良い、だけじゃただのアナーキストだからね。でしょ?ドラゴンボーン=サン」

ドラゴンボーン:「覚えててくれたかよ、トコロザワ・ピラーにミサイルぶちこもうとしてるテロリスト=サン?」 ニヤリと笑う

ブラスムーン:「精一杯守る。だから安心して攻めてくれ」

ストーンカ:「ええ、生きて帰りましょう……私達の家へ」

スケルター:「ウム…安心してほしい」

ブラスムーン:「もちろんだ、ストーンカ=サン」

フォルブレイズ:「ああ。イクサに勝つだけがイクサじゃない。…言い得て妙だが、イクサに勝った後もその先はあるからな」

フォルブレイズ:「…そのためにもまずは今、だな」中空を見上げる

ニンジャスレイヤー:「……私は妻子の仇が討てればそれでよい」
ニンジャスレイヤーは決断的にそう言うと、席を立った。

ストーンカ:「ところで誰か金貸してくれません、ネコソギ・ファンドの株券空売りしましょうよ。
イクサに勝った後のその先のために」

フリントアーム:「すまん。金は食い歩きでなくなった」

ドラゴンボーン:((まァ俺は盾に乗って凱旋でも構わんがね)) とは言わなかった

ブラスムーン:「……生きてさえいれば、あるいは……」ニンジャスレイヤーの去っていった方を見つめる

ナンシー:「ごめんね、彼あれでも照れてるのよ」ナンシーは横目で死神の背中を見送ると言った。「ワオ、名案ね」

フォルブレイズ:「…投資に使うほどのカネは残してないし、そもそも口座凍結されているだろうよ」

ナンシー:キャバァーン!新設された偽名口座に偽造100万札が振り込まれる。
「じゃあその手で今回の任務報酬を稼ぐとしましょうか」

ブラスムーン:「トレーニングにほぼ使ってしまったな」

ストーンカ:「Hoo!」

ドラゴンボーン:「マジかよ」

フリントアーム:「戦闘中に株取引する専門のカラテがあるとか。ワオ」

スケルター:「……」ニンジャスレイヤーの背中を見つめる
「ホウ?」

フォルブレイズ:「おっと、そういえばナンシー=サンならばお手の物だったか」

ブラスムーン:「おお……」

フリントアーム:「凱旋パーティーの料理が楽しみになったな」

ナンシー:「ハッキングで手に入れたお金はすぐ凍結されちゃうんだけど、株取引でロンダリングすれば長持ちするからね。主婦の生活の知恵ってやつかしら」

フォルブレイズ:「実際勝てばいいわけだからな。インサイダー取引ここに極まれり、だな」

フリントアーム:「ハハハ。とんだ主婦力だ」

ストーンカ:「……ま、ラオモト=サンも散々やったことです。
やられ返しても文句は言えないでしょう」

ドラゴンボーン:「ヒデェ知恵だぜ」

ブラスムーン:「ナムサン」

ナンシー:「あ、それで思いついたわ。電算室を掌握したらソウカイヤだけじゃなく、そうね――ヤツの選挙戦も無茶苦茶にしてやりましょう」

フリントアーム:「ハ ハ ハ!いいね。愉快なことになりそうだ」

ブラスムーン:「フフフ、大いに荒れ狂うことだろうよ」

フォルブレイズ:「逆選挙プロパガンダ映像でも放映するのか?スキャンダラスな」

スケルター:「ムウ、なんかそういう事はニガテだから任せたぞ」

ストーンカ:「最高ですねぇ……」

ドラゴンボーン:「それこそヒナコ=サンに録画頼んでおくぜ」

フリントアーム:「できればその場面をカメラに収めたいものだ。ジャーナリスト的に」
「ヒナコに頼むのが良さそうだ。良いジャーナリスト体験になるだろ」

フォルブレイズ:「…また新しいくろ……動画が増えるのか」頭を抑える

ナンシー:「フフフフフ!」ナンシーは愉快そうに笑った。
「それじゃあ、今日はここまでにしておきましょう」

ブラスムーン:「ウム、そろそろ休もう」

フォルブレイズ:「ああ、…また詳細を詳しく確認する。」
「ありがとうございます。ナンシー=サン」

スケルター:「ああ。休んでくれナンシー=サン…」

ナンシー:「決戦は明日。『オペレーション・スリー・アローズ』、よろしくね」

ドラゴンボーン:「ン、了解だ。よろしく頼むぜ」

フォルブレイズ:「こちらこそ、宜しくお願いします」

フリントアーム:「ああ。よろしく頼む」

ブラスムーン:「ああ、よろしく」

ナンシー:ナンシーはそこまで言うと戦略チャブの電源を切り、立ち上がった。
足元はザゼン中毒でややふらついているようだが、その目には強い意思が漲っていた。

スケルター:「応!」

ストーンカ:「ええ、よろしく」

フォルブレイズ:「…アルマゲストと決着を必ずつけます」

決戦まで、あと1日

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【ハラジュクの一番長い一日】

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ヒナコの場合#2

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【孤児院/ヒナコの部屋】

「だいぶ寝ちゃってたな……」
ベッドの上で目を開けたヒナコは、窓の外が真っ暗なことに気がついた。
ナンシーのニューロン診断を受けたのが朝だったから、丸一日寝ていたことになる。

ホールの方から微かに聞こえてくる話し声にヒナコは一度扉を開きかけ、やめた。
机の上の参考書を開くと、ここ3日止まっていた課題を再開する。

今自分がするべきは彼らと一緒に戦うのではなく、自分の未来を目指して前に進むこと。

守られるのは不甲斐ないけれど、どんな壁や敵が立ちふさがったとしても、必ず彼らが蹴散らしてくれると信じることができた。

「さ、頑張るか!」
ヒナコはサイバー筆を手に取るとノートに猛然と数式を書き始めた。

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【ハラジュクの一番長い一日】

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◆そして、その時がやってくる◆

孤児院卓最終回:ネオサイタマ・イン・フレイム#1に続く

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