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しんぶん…。惰性でなく。何のために作るのか

最近、身内の作業療法士が疲弊している。明らかに。
児童発達支援・放課後等デイサービスの事業所で、療育に携わっているが、本務の方での疲弊ではなさそう。
事業所内の役割分担で、月1回発行の、利用者(の保護者)に配布する新聞の担当になってからだ。
疲れているときにありがちなこととして、混乱している。

なぜ、こんなにも時間をとられるのか。真剣にやっているにもかかわらずなぜこんなにも上からの直しが入り、いつまでやってもOKが出ないのか。何が悪いのか。「これでよし」と思って提出したら、「今それを言うか…」な『そもそも論』で、ちゃぶ台がひっくり返された…。

利用児童たちが帰ってから、職員の定時までに30分弱であるらしい。その間に、ひとりひとりについての記録をつける。その為に必須のパソコンは職員数の半分程度しかなく、しかもそのうち1台は管理者(当然非常に多忙だしPC作業が多い)専用となり、他の少ないパソコンを職員たちが交代で使う。
定時が来たら、「いつまで残っているの」と非難される。「その記録、今日でなきゃだめなの?!」と(⇐普通その日の療育記録はその日につけるものだろう)。
そんな中で(台数の少ない)パソコンをなんとか確保して使い、新聞編集する。「いつまでやってるの!」「す…すみません!」。

…無茶じゃないか…?

聴いてると、なんか働き方改革が社会で実施されるに於いて、立場の弱いところにひずみがあらわれたような話だなあ。
残業は悪だ!って言われるんだね。
効率化と生産性向上で残業撲滅。
いや、でもそれ、物理的に無理じゃない?
児童発達の療育しながら記録つけとか、新聞編集作業とか、安全管理面を考えるととてもできない話。お子さんがたが帰ってから、記録を作成するにあたり、作業に必須の端末が足りない。使える時間も30分弱?なんだそれ?そんなに時間に追われて、いい仕事ができるだろうか?
その時点で既に無理。
『働き方改革=残業撲滅』みたいな単純な話じゃないだろうし…。ま、長時間労働で作業効率が落ちるのを防ぐ意義はあるけど。でも効率化って、仕事をやりかけで放り出して帰れって意味じゃないし。責任持って仕事を完成させようとすることそれ自体はまともな考えだよね。

「他職員による新聞の内容チェック、3人いる時短職員がちゃんと帰れるように、時間みつけて確認してもらうにしてもぎりぎりでタイトだから…」…。

育休あけ、3歳未満のお子さんを保育園に託して時短勤務(所定6時間)している職員たち。そりゃそうだよね。時間オーバーなんかとんでもないよね。能力もやる気もあり、より良い仕事をしようと前向きな専門職職員たち。自らの現在進行の育児経験が仕事に有意義に反映することも大いに期待できる。時短の権利が守られなくて働きにくくなることは決してあってはならない。

職員たち全員みんな一生懸命なんだね。誰もががんばってるんだね。

「どうしたらいいんだよ。新聞、OKが出ない。スペース一杯使って、フォント小さくして、ぎちぎちだよ。イラストも写真も入れてもっと見やすくしたいのに。まだいろいろ盛り込まなきゃいけないことの指摘をされた。自分に何が足りないんだよ…。何がだめなんだ…」。

けなげだねえ。みんなが可愛いよ。いとしいよ。
何が足りないって、そりゃ、強いて言えば時間とか設備とか、物理的な面かなあ。みんな頑張ってるよ。
ただね………。

その紙幅の新聞で盛り込める情報は限られてるよ。フォント10ポイントにしたって?もうそれ以上無理でしょ。10ポイントって既にかなり字が小さいよ。
だいたい、事業所の本業はなに?新聞発行じゃないよね?非の打ち所がない素晴らしい新聞作って配布しても、すぐ次の発行時期が来るよ。非の打ち所がない誰からもなんにも言われない新聞出そうなんて欲を出したら、100年かかったって無理だよ?
てかさあ、新聞もいいけど、昭和じゃないんだから。新聞はポイントを絞って、あとの細かい情報告知はサイトじゃだめなの?忙しくて、サイト委託してる業者さんに電話連絡取る時間がないって?
あのさあ、外部委託業者とのやり取りにはチャットとかも使ったら?
いやいや、責めてるんじゃないよ。

使い終わったノートの表紙裏の白い厚紙を切り取って、書いて渡した。

  • 新聞作成でいちばん大事なことは、決められた期日に規定の様式のものをとりあえず発行すること。

  • 完璧な出来である必要はないし、そもそも無理。誰からも要望が出ないようなものにしようと思ったら、永遠に発行できない。そのせいで疲弊するようでは逆効果。推敲を重ねるのもいいが、発行が自己満足になってはいないか。

  • 新聞を発行する目的は何か。本業の事業の補完をする為。それを出すことで利用者からの理解が深まり、信頼関係が補強される為では?それならば紙幅の限られた媒体ではポイントを絞り、サイト等他の媒体で補完。

  • 事業所新聞は、研究論文ではない。

さて…。
どうなるだろうか。
私としては、せっかく国家資格の専門職員なんだから外部研修を受けて専門知識の拡充をはかる方に多少その労力を割いてはどうかと思うのだが。

身内の仕事の悩みを聞きつつ、私は私自身の仕事(労務)について考えるのである。

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