- 運営しているクリエイター
記事一覧
現実の変革、その試演
当月の観る会はウェス・アンダーソンの新作『アステロイド・シティ』を。これまでに十本を数える彼の過去作より、さらにもう数段ギアを上げたような、いわば挑戦作であったと感じた。毎作お馴染みともなっている"演じる"シーン、今回はその立ち位置が作品の大部分を占めるという構成に。虚実の境界線をハッキリと設け、なぜ演じる一一延いてはなぜ創作を行うのか、そんな問いに対し極めて自己言及的に応答する。
以前、同監督
人間って計り知れないですね
ディック・ロングがなぜ死んだのかは、劇場公開当初より気になっていたことで。それでも評判だけみてスルー、配信サービスで見掛けたときに思い出しては、ふと疑問が湧くというくらいのことであった。
そんな『ディック・ロングはなぜ死んだのか?(2019)』をやっとこさ鑑賞。スタジオはA24、ダニエル・シャイナート監督作。数年前に観た『スイス・アーミー・マン(2016)』、こちらは未鑑賞だが先の賞レースを賑わ
パルプ・フィクション-偶然に宿るもの-
〈観る会(会員2名)〉の開催も6度目を数える。今回の作品は『パルプ・フィクション』である。劇場での鑑賞は初めて。私の大好きな作品のひとつである。1週間の限定公開を逃す訳にはいくまい。
今回の鑑賞までこの映画に対する"好き"は、恐らくであるが、全編を通じて漂うどこか"クール"な空気感によるものだった。身の無いようであるような、それでもやはり薄っぺらい会話劇。作中の出来事に対してどこか無関心を貫いて
ゴードンは生きていた!
『フラッシュ・ゴードン』を観た。あぁ、凄く元気が出た。そこにはなんの悲壮感も無ければなんの緊張感も無い。映像を観ているだけだ。それでもこれだけは言える。本作は紛れもなくホンモノの作品である。
アメフト界のヒーローが宇宙を救う物語。どうしようもないくらいに面白くない。ラストの大円団に至るまでの流れに関しては、本当に何が起きたのか分からなかった。理解が介在する隙を与えない、急展開とも言い難い只管に意