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『疾風の勇人』1巻を読んでみました

漫画を読んでたらいつのまにか勉強になっていた。という体験がずばりと当てはまる良本に出会いました。今回紹介する『疾風の勇人』です。
日本の政治系を学べる漫画がないかなと調べていた際に、たどり着きました。当初は日本の政治制度、選挙制度を学べる漫画をさがしていたのですが、いくつか読んだものの漫画の面白さとしてのめり込めるものがありませんでした。
が、『疾風の勇人』は圧倒的に面白く、近代日本の政治史の勉強にもなります。なにより漫画に出てくるカッコいい男たちは実在の人物であり、漫画の中には社会の教科書にも載っている人名や出来事が頻繫に出てきます。

主人公は池田勇人。のちの第58〜60代内閣総理大臣です。大蔵省の官僚であった池田が政治家になったのは、戦後日本がまだGHQの占領下にある時代。吉田茂との出会いや、池田の数字力と人柄により、日本が独立を果たす過程の日本近代史を描く漫画です。
私の妻はハワイやハンバーガーが大好きです。日本はアメリカと良好な関係にあり、かつ独立して豊かな経済大国を築いてきた背景を、妻と娘と漫画で学んでみます。

1巻では、こんな勉強ができました。(以下、内容のネタバレを含みます)

①池田勇人と所得倍増計画

漫画のサブタイトルには、所得倍増伝説とあります。これは、のちの池田勇人が総理大臣になった際に打ち出される日本の経済計画「所得倍増計画」からきています。
所得倍増計画とは、日本の実質国民総生産を10年以内に倍にする!(簡単にいうと月のお給料を20万円から40万円にしよう!)という計画でした。
そして実際の日本経済は倍増以上の経済成長を遂げることとなるのは、のちのお話。

池田は数字にめっぽう強い人物で、吉田内閣は当選1年目の池田を大蔵大臣に抜擢するほどでした。池田は吉田茂の側近として経済政策を推し進め、戦後日本復興を成すためGHQとの経済交渉も行います。マッカーサーやドッジといったアメリカの大物が登場し、時には言い合い、時には肩を組む、そんな間柄を築けたのも池田の豪快な人柄あってこそだったろうと想像できました。

②吉田茂と講和条約

この漫画の第一話から、池田にまとわりつく謎のお爺さん。その正体は吉田茂でした。歴代内閣総理大臣の中で任命回数最多の5回総理を任された政治家です。戦後日本の礎を築いたと言われる彼の功績は、日本国憲法の公布、サンフランシスコ講和条約、日米安全保障条約の締結といった小学生の社会の教科書にもバンバンと載っていることばかりです。
漫画を読むと、講和条約に至った流れ、日米安全保障条約を締結するために奔走した裏側が見えてきます。
今こうして平和な国であることに感謝です。

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