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『疾風の勇人』2巻を読んでみました

この漫画を読んだら、いつのまにか社会科(昭和史、近代日本の政治史)の勉強になっていました。

前総理の吉田茂に能力を買われた官僚の池田。地元広島から立候補して初の選挙でトップ当選を果たし、政治家としてのスタートを切りました。そればかりか議員一年目で大蔵大臣に任命されるという前代未聞の政客人生の幕開けとなりました。
講和を実現するには、日本が経済で自立しなくてはなりません。そのためには物の物価上昇が激しいインフレ状態を緩和する必要がありました。
アメリカから経済顧問として赴任してきたジョセフ・ドッジとやりあいながら池田は日本の戦後復興を目指すのでした。
いま自由にチョコレートやキャラメルを食べていますが、戦後は制限されていたようで豊かな国になったことを実感しました。

2巻では、こんな勉強ができました。(以下、内容のネタバレを含みます)

①インフレーションとデフレーション

戦後日本は復興のために、アメリカからの援助と、政府の補助金でお金を賄った結果、お金が余るインフレ状態が起こっていました。
お金はあるが商品が無いという、供給<需要の関係です。
ドッジはインフレを排除するために補助金をカットすることを指示します。
これにより経済はデフレに突入。企業は資金繰りに困り、失業者があふれます。しかし日本の企業がもつ底力を信じる池田は、この不況をこえてこそ日本の経済的独立があると唱えるのでした。

インフレとはインフレーションの略で、私たちが普段買っている日用品やサービスの値段(物価)が上がることをいいます。
物価が上がるのは困る気がしますが、その分企業が販売価格の上昇で儲かり、社員の給料が増えて消費者としてもっと商品を買うようになり、商品がたくさん売れて企業が儲かる…という好景気をもたらすサイクルとなります。しかし、商品の仕入れ価格の上昇ほど商品価格に上乗せできず、企業の業績が悪くなり、賃金が上がらないのに身の回りの商品が値上がりして家計を圧迫する、といった悪循環をもたらすインフレもあるので要注意です。

デフレとはデフレーションの略で、私たちが普段買っている日用品やサービスの値段(物価)が全体的に下がる現象です。 つまり、モノに対して相対的に貨幣の価値が上がっていく状態を指します。 デフレになるとモノが売れず不景気になります。いったんデフレになると、モノの値段が下がるので、企業業績の悪化から賃金が減少し、消費の減退につながり、さらに物価が下がるといった、「デフレスパイラル」を引き起こしやすくなります。
物価の水準を適正に管理することは政府や中央銀行の大きな役割なのです。

②1ドル=360円 になった理由

ドッジは池田に、日本の通貨「yen」とは何を示すのかと尋ねます。池田は「円」つまり真ん丸の意味だと教えます。そしたらこうしようとドッジは言います。円の角度は360度なので、「1ドルは360円」ということで、と。

世界には様々な通貨があり、その価値は異なります。そこに一定の基準が無いと通貨の交換ができません。その基準が為替レートです。為替レートは、外国為替市場において異なる通貨が交換(売買)される際の交換比率です。円とドルの交換は円・ドル相場と言い、日本で最も頻繫にやりとりされる為替取引といっていいでしょう。
戦後、日本は品目ごとに為替レートが異なっていました。これが著しく不合理で負担が大きかったたため基準を固定する必要がありました。その時、ドッジが「円」というところから導き出した360円は固定相場制と言って、日本ではしばらくこの水準で取引がなされていました。

アメリカのビッグマックは5.8ドルらしいので、これを固定相場制のままで計算すると2000円を超えます。マックに行けないよ~涙。


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