車椅子で役者をやるもの。(seen17 恩人と温人)
ワークショップはやり切った感があったもののすぐに次に掛かった。勢いというものは凄い。2か月後には第2回目を開催。前回は色々な不安と期待の中、やった訳だが2回目は多少の自信と参加者が楽しんでもらえるようにと考えれる余裕が出てきていた。
ワークではあるものの、やはり芝居は難しくて、だからこそ、楽しくて。芝居の話しを自分から存分に出来る時間。まさかこんな日が来るとは障害者になってやってくるとは思ってなかった。
「絶対やる」と決めてはいて、言い聞かせて、信じてやってきた。でも、、、もしかしたら無理かも、出来ないかもしれない、、という不安はいつも付き纏っていたのだ。だから2回目が開催出来た事は1回目とはまた違った感慨があった。
そんなある意味、絶好調な時、先日、ラジオ局であった演劇BARの方から連絡がきた。そして会う約束をした。
約束の当日。ラジオ局であったオーナーのマサコさん、それから初対面の企画のアキさんと待ち合わせ。話しをする事に。この時の事は実はあまりよく覚えていない。兎に角、舞い上がっていた。なんとしてもこの縁を繋がなければいけない。外に向かっていかなければいけない。その先ずは一歩になる筈だからと必死だった。認めさせなければいけない。「演劇BAR eggplant」でやりたい。先ずはワークショップをだ。その思いだけで話した。兎に角、話した。多分1人で話しまくってたような気がする。1人話しまくってる最中、
「じゃ、スケジュール決めましょうか」
は?なんて?脈立もなくいきなり言われた。
「ワークショップいつやります?」
は?いいんですか?そんな簡単に?心で呟いた。マジか。それは呆気ないくらい。今日いきなりそこまでの話しになるとは思ってなかったのであたふたと希望日や、やれるだけやらして欲しいと伝えた。
「いいですよ、押さえときましょう。話は早い方がいいから。決めちゃいましょう」
俺はスケジュールを何箇所か押さえた。ほんとに予想してなかった展開だったので自分自身の頭が追いついていかなかった。スピード感。すげぇ。なんだこの人達は。それがこの時の印象。決まる時は時に自分の予想を遥かに越えていく。頭が興奮とパニック。追いついていくのに必死。そんな興奮の中、アキさんから
「マルさんはワークしかやらないの?芝居は?」
芝居?いや、やりたいよ。ワークはあくまで今の自分のやれる事。先ずはワークを何回か重ねてそれから、、
「ウチで演劇ナイトってのをやってるんだけど出てみない?」
ちょっと、この人、何言ってるんだろう?頭おかしいのか?今日初めて会って、2時間そこそこしか話してなくて、ましてや芝居から離れてブランク20年以上もある車椅子の障害者相手に何言ってるんだ?絶対頭、おかしいわ、この人。嬉しいけどお愛想だったら辞めて欲しい。
「嬉しいですけど、大丈夫ですか?やれる保証ないですよ?」
本当は嬉しかった。お愛想でもそんな事言ってもらえるなんて思ってなかったから。涙が出そうなくらい嬉しかった。でも、いや、話し半分で聞いておこう。ワークショップをやらせてもらえるだけでも有難いのに、調子に乗ったらダメだ、これは勢いだ。ノリだ。
「わたし、感はあたるの。出来るか出来ないか。調整してまた連絡するから出演してね、演劇ナイト」
バカだ。この人は。俺自身がまだ舞台に立つなんて早いと思ってるのに何言ってるんだ?
そうだ、リップサービスだ。あかん、真に受けるな俺。
「マジすか‼️待ってますよーマジで」
ない。ある訳ないだろ。これが本当ならこの人は、この人達は、
本当にバカだ。
車椅子の役者、演出家として活動していく事で観る側だけでなく演る側のバリアも崩していきたい。活動にご支援の程宜しくお願い致します‼️