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やらぬ善よりやる偽善もやらぬ健常者様様

今年もこの季節が来ました。
昨日から今日にかけて27時間テレビがフジでやってますね。
00年代で一度フジテレビはバラエティで無双してましたが、10年代に入り一気に下火に。
めちゃイケやはねトびで盛り上がってた『楽しくなければテレビじゃないじゃん!』は過去の遺物となり、2018年くらいは本当にダメだったよね。
たけしと村上が歴史を紐解く完全録画27時間テレビ、私は好きだったよ。
あの時期のフジはまさに迷走していた。

去年は鬼レンちゃんメインでメインパーソナリティが千鳥とかまいたちとダイアン。
大丈夫か!?って思ったらむしろ好評。
そこそこに盛り上がったから今年もやったんでしょうね。
今年はカギメンバーメインでメインパーソナリティはチョコレートプラネットと霜降り明星とハナコ。
意外とこれも好評。
ていうか今の若い子はテレビ見ないって言われてるけどそうでもない?
有吉の壁とか結構小学生は見てるらしいけど実際どうなのか。
いや、テレビを見ますか?見ませんか?ってアンケートをテレビで流してるんだからやっぱり見ない人が増えてるか……。
テレビっ子だったうちの還暦の親ですらもう今はほぼ地上波見てないらしいし。
ずっとアマプラでドラマ見てるらしい。
私も気になる番組は録画して後で見てるけどリアルタイムで地上波なかなか見ないなぁ。

一時期の瀕死のゾンビみたいになってたフジテレビは今はどう変わったのか。
肌感覚だけど24時間テレビはアンチがめちゃくちゃ多いから時期になると話題に上るけど、27時間テレビは話題にすらなってない。
しかも今年は若い層に売ってる内容みたいだから、テレビっ子のジジィババァは見てくれるのか?
もういい加減若い層取り込もうとする悪あがきやめた方が効率的じゃないか?
うちの作業所のジジィババァはBSしか見ない人多い。
一昨年の紅白歌合戦、作業所で仲良しの70代の人が12月30日に「楽しみにしてるんだ♪」って言ってて、1月2日に会ったら「紅白全然おもしろくなかった……」ってしょげてたのあまりにも可哀想だったからマジで歌番組は昭和歌謡と演歌だけ流しとけ。
若いアーティスト出しても若者は見ねえよ。

さてさて、本題に入りましょうか。
毎年夏の風物詩。
この時期になると私は悪鬼羅刹となります。
もうこの活動を始めて8年になりますかね。
では元気に参りましょう。

24時間テレビアンチアンチの24時間テレビ好きがお送りする障害者とテレビと健常者、やらぬ善よりやる偽善をやらぬ健常者様様は果たして障害者の味方なのか!?そんなわけねぇよなぁ!!2024夏の陣、怒れる障害者は液晶の前で拳を握る!!

なぜか夏になると障害者って存在を思い出す人多いですよね〜。
そういえばそんなんいましたよね。
障害者ってやつ。
アイツら普段何してんですかね?
24時間テレビってチャリティー番組なのに出演者にギャラ払ってるの全然チャリティーじゃないじゃんwww
去年募金の着服が表沙汰になったし最悪!
もともと一度も募金したことないしチャリT?とかいう普段使いできない黄色いTシャツも買ったことないけどあの番組最悪だよね!

などなどなど。
おおよその健常者様様がこのようにのたまっておられますこと早ウン十年。
ネット民の方々におかれましては24時間テレビを好きだと発信している人、見たことないですねぇ〜。

「何言ってるんだ!俺は障害者だけど24時間テレビ嫌いだよ!」「私たち障害者はお涙頂戴コンテンツじゃないのよ!」「感動ポルノ反対!」
ごもっとも。
ごもっともでございます。
障害者のみなさまにおかれましても怒れる方はいるでしょう。

でもね。
2016年夏からこれに新たな勢力が加わったのです。
「24時間テレビは感動ポルノだからバリバラを見よう!」「NHKEテレのバリバラって番組が障害者の本音を見れるいい番組らしい!」「バリバラが24時間テレビ批判してて草www」
そう。
2016年夏、24時間テレビ放送の真裏で生放送したNHKEテレのバリバラという番組。
内容は徹底的にアンチ24時間テレビといったもの。
寝たきりの障害者に山登らせて「しんどい」って言わせたり、専門家を呼んで「障害者は感動ポルノのための道具じゃない」とか言わせたり。
これがアンチ24時間テレビの健常者様様に大ウケ!
そこから夏になるとバリバラって番組がキーワードとして出てくるようになったんですよ。

でもあの、ひとついいっすか?

バリバラって毎週やってんですよね。

ていうか。

障害者って毎日生きてるんですよね。


私は未就学児の頃から人五十倍くらい正義感が強く、ヒーローになることに憧れていました。
発達障害だからかもしれませんね。
そして私には妙な性癖がありました。
それは『障害者に魅力を感じる』ということ。
5歳くらいの時点で夏の24時間テレビを楽しみにしていました。
小学1年生の時に学芸会で6年生の人たちが障害者をテーマにした劇を披露して、それを見た私は障害者に強く強く惹かれました。
私にとって障害者とはキラキラ輝くオンリーワンの強くしなやかなかっこいい存在に映りました。
この年になって結果的に障害者手帳1級の障害者になりましたが、いわば今の私は憧れたあの頃の私が望んだ姿です。
へんちくりんに思うでしょうが、そうなんです。
もちろんめちゃくちゃ生きづらいし病むけどね。

私が高校生くらいになった頃、毎年楽しみにしている24時間テレビを見ていると父と弟からめちゃくちゃ馬鹿にされました。
というのも、番組に出てきた難病の少年の真似をするのです。
その少年は病気のせいで上手に喋れずどもるような言い方ですが、父と弟はその特徴的な喋り方を真似してギャハハハと笑い「テレビに出んなよキモいwww」と言っていました。
私は衝撃的でした。
分別のつく年齢の人間がテレビの向こうのマイノリティの方に小学生レベルの揶揄をして、あまつさえそれが身内だということに心底軽蔑しました。

チャリティー番組である24時間テレビ。
私の以前いた作業所では24時間テレビから寄贈された車がありました。
街中でもよく見ますね。
トップの募金着服はショックでした。
しかし、それ以前からアンチ24時間テレビの人は多かったです。
理由は「チャリティー番組なのに出演者にギャラを払ってるのがチャリティーじゃない」「100kmマラソンする意味があるのか」「感動ポルノだ、障害者が搾取されている」「お涙頂戴はもう飽き飽き」など。
確かにここ10年くらいはバラエティ色が強く深夜帯なんてそれ24時間テレビでやる必要あるのか?みたいな低レベルなパートもありますね。
番組としてのマンネリもいなめません。
だから単純にテレビ番組としてつまらないから見ないという人に対してはなんとも思いません。
私という障害者が怒れる理由はそこではありません。

24時間テレビを批判したいから自分は障害者に寄り添ってる、福祉の観点から見てこの番組は不快だと主張する、普段から福祉に触れていない障害者という存在を常に意識していないただの番組アンチが障害者のためと言いながらアンチ活動をすることが嫌。

障害者って24時間365日生きてるんですよ。
あのね?
知らない人もいるかもしれないから言いますけど、障害者って人間なんですよ。
驚きました?
あなたと同じ人権があって、あなたと同じこの世に生きてるんですよ。

前述のバリバラの話になりますが、2016年の真っ向から24時間テレビ批判をしたバリバラがとても評価されたのは、障害者の本音を描くリアリティのある番組だからではありません。
24時間テレビアンチの人がNHKがそこまで攻めた内容を放送したことに盛り上がっただけです。
だってバリバラって毎週放送してるんですよ。
なのにバリバラという話題が盛り上がるのは夏の、24時間テレビが放映する頃だけです。
普段から福祉へ関心がある人は通常放送も見てるでしょ。
なんならバリバラだけでなくNHKの福祉番組ならハートネットTVとかもありますし。

バリバラ側もバズ狙いだったし、一度大ウケした以降4、5回ほど同じ企画やったんですよね。
そもそもたまたま2016年の放送枠が日曜の19時だったから24時間テレビの真裏で、そこに当てて生放送したら盛り上がったって話なんですけど、それ以降放送時間変更になったのにわざわざ24時間テレビアンチの内容を当てるために特別枠組んでましたからね。
バリバラ側も確信犯。
私はそれ以降バリバラを見なくなりました。
以前は見てたんですけどね。
NHKが民放揶揄しだしたら終わり。
そのアンチ24時間テレビってプロレスやってたバリバラですら2020年以降は番組そのものがゆるやかに終わりに向かっていて、公式HP削除とか以前の内容の再放送ばかりだったりしてそろそろ番組畳むのかもしれません。
あの番組12年もやってるしそろそろでしょう。

ほとんどの健常者は障害者に興味ないんですよ。
世の中って歩ける人基準で設計されてるから車椅子だと本当に不便なんです。
ただ道をまっすぐ進むことも難しい。
道って水はけをよくするために斜めになってるんです。
それは車椅子に乗ったことがないとわからない。
ゴミゴミしてるお店なんかも大変。
だからカルディが車椅子の方が通りやすいようにって棚と棚のスペース広く取ったらなぜか健常者から「カルディはこのゴミゴミしてるのがいいのに車椅子の奴がわがままを言うからカルディらしくなくなった!」なんて批判も出たり。
電車やバスで知的障害のある方が大きな声を出していたら「迷惑だ」なんて言うでしょう?
酷い場合だと「障害者が外出するな」とか言うでしょう?
車椅子インフルエンサーが定期的に炎上するのは、根底にあるのは「障害者のくせに健常者と同じように振る舞うな、出しゃばるな」です。
車椅子の人がお店に入れないと「事前に連絡しなかった障害者が悪い」とか言われます。
大阪城の改修で車椅子の方が登れるようにエレベーターを付けるって案が「城にエレベーターはおかしい。車椅子の奴が城に登ろうとするな。何様だ」なんて言われたりもしていました。
これが先進国日本の現実ですよ。
あまりにも日本人の福祉に対する感覚が遅れている。

障害者って夏の時期だけ話題に上る蝉じゃないんですよ。
人間なんです。
ヒトなんです。
普通に生きてて普通に暮らしてるんです。
あなたとなんら変わりません。

なぜ障害者は嫌われるのか。
理由はただひとつ。
わからないからです。
人って自分の知らない事象に対して恐怖を抱くように設計されています。
できる人はできない人の感覚がわかりません。
それを想像力で補填できる人もいますが、感受性や想像力が乏しいと「なんで誰でもできることができないんだ!」と感じます。
なんでと言われてもできないもんはできないんだからしかたありません。
でもそのことをイメージできない人が多すぎる。
そしてわからない、想像できないところから不和は生まれ、恐怖は怒りに転化します。
健常者と同じく人権がある障害者は、ただ障害者に生まれたというそれだけで多くの不利益を被っています。

しかしそのイメージのできなさは大きな命取り。
いつなにが起こるかわからない世界。
コロナを誰が予想できました?
今はまだ健常者のあなたでも、いつ何時どうなるかなんてわからない。
事故で歩けなくなったら、精神疾患になったら、認知症になったら、なんで私がこんな目に!なんて思ってももう遅い。
これを読んでいるあなたは今のうちに自分が健常者でなくなったらどうするかをイメージトレーニングしておくことをおすすめします。

そしてそのくらい世の中一般からなかったことにされている障害者を世に知ってほしい、わかってほしい、こんな人もいるんだよ、が24時間テレビの入口です。
私も幼い頃からこの番組を通して様々な病気や障害を知りました。
今はSNSを通して誰でも発信できるから24時間テレビを見なくとも難病や障害を学ぶことはできますが、ネットって興味のあるものを自分から調べないと出てこないんですよね。
そして普段自分の興味のあるものだけを検索してるとアルゴリズムに組み込まれるのでその内容しかオススメ欄に出てこなくなり、情報が偏りがちになります。
その点テレビってまんべんなく情報を手に入れることができるので、まずテレビで流れているもので新たなことを知ってそれをネットで深掘りする、ってやり方が効率的だと感じます。
その入口として24時間テレビのコンセプトはまだ需要があると思います。

やらぬ善よりやる偽善。
募金して、チャリT買って、ただそれだけで自分は社会的弱者に気を遣える高尚な人間だと優越感を得られるのでおすすめですよ。
まぁ着服事件があったから信じられないって気持ちもわかるけどね……。
ちなみに東日本大震災後に赤十字に何兆レベルの義援金が集まったんですけど、中抜きされてるって噂はありましたね……。

結局バリバラはアンチ24時間テレビを言っただけで何もしてない。
それに比べ24時間テレビはあーだこーだ言われてても毎年募金が何十億超えてる。
これこそまさにやらぬ善よりやる偽善。

障害者が健常者と同じレベルで生活能力も収入を得る力もあればこんな番組が生まれることもなかったんですよ。
でも、できないもんはできないんです。
そしてただそこで生きてるだけなのに、障害者という存在はなぜか健常者様の中ではないもの扱いされてます。
自力で生きることが困難だから助けてくれ、助け合おうって考えることを否定されるのはやはり人権がないとしか言いようがない。

軽度知的障害の人は普通に学校も卒業してるし普通に働いてるし普通に生活できてる場合がありますが、でも生きづらさを抱えて二次障害でうつ病や統合失調症になることが多いです。
そこで精神科を受診して発覚するケースはままあります。
現在知的障害の人がどれほどいるかは療育手帳の発行人数でのみカウントされますが、本人も周りも気づかない軽度知的障害の人を全部カウントしたら今把握されている7倍に上るというデータもあります。
つまり、自覚してないだけであなたはもう既に障害者なのかもしれないんですよ。

社会的弱者を馬鹿にしたら必ずどこかでしっぺ返しが来ます。
老いない人間っていないんだから。
障害って意外と身近な話です。
「私には無縁」なんてことはない。

24時間テレビという番組自体が好き嫌いは好みの話なのでいいとして、嫌いな理由を障害者にかこつけるなって話です。
障害者自身が感動ポルノ反対派で嫌いというのもいいとして、健常者が一年の中でこの時期にしか障害者というワードを意識してないのに番組が嫌いな理由を障害者のためにならないって言ってるのが腹立つってことです。
真摯に障害者、福祉に向き合ってるわけじゃない健常者が言うなってこと。
そしてこの時期にしか話題にならない障害者というワードに腹が立ちます。
こちとら毎日生きてるんですよ。
なぜか健常者様の間では存在ごと抹消されてるけどね。

私は結果的に今障害者ですが、幼い時から24時間テレビを好んで見てました。
都合で見れない時もあったけど、見れる時は楽しんでました。
そして私は障害者という存在へ大きなリスペクトを持っています。
あと普通に涙もろいので24時間泣いてるレベルで泣きながら見てます。
それを感動ポルノだなんて低俗な表現をされてることにすごく腹が立ちます。
まして障害者を感動の材料にするななんて言う普段から障害者のことを考えているわけでもない斜に構えてるだけの人に批判されるのはまったく不愉快。
障害者になった私が私以外の障害者を見て励みになった、パワーをもらえたと感じるこの心は真。
それをさも障害者に寄り添ってる風をかもしながらただの番組アンチが批判してる姿を見ることが嫌。

まとめるとこんな感じですね。

今27時間テレビやってますけど、時間が合えばこちらも見ます。
今年の視聴率はどうなるのかな?
そして今年の24時間テレビは8月31日9月1日らしいので楽しみにしています。
なんであれテレビの衰退は感じるけどね……。
私はもう少しテレビというものを楽しもうと思います。

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