ビギナー百姓になった理由
今回、PROJEK WASTEという団体の方にわたしがビギナー百姓になることを決めたわけを記事にしていただきました。
【 MISSION of PROJEK WASTE】
-To protect and sustain the marine ecosystem through nature conservation, waste reduction, and environmental education.
-自然保護、廃棄物削減、環境教育を通じて海洋生態系を保護し、維持すること。
記事は英訳していただいたので、こちらに日本語訳をアップします。
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わたしは日本の福島県で生まれ育ちました。コンビニや電車もない、山や田んぼに囲まれた田舎のまちです。
保育の専門学校を卒業したあと、カフェを通して子育て中の保護者の方の心のケアをしたいと思い、東京のカフェ&レストランに就職しました。
そこで、オーガニック&フェアトレードのコーヒーを使用していたことがきっかけで、途上国と呼ばれる国々で生産されているコーヒーは、正しい価格で取引されておらず、とても低い値段で買い叩かれている現実を知りました。
そのときから、生きることさえままならない人がまだ世界にはたくさんいるということに改めて気づき、コーヒーと貧困の関係に興味を持ちはじめました。
そして、”もし、農家の方の努力に見合った価格でコーヒーを買い取ることができたのなら、貧困に苦しむ人々の生活を豊かに出来るのではないか、貧困がなくなれば、戦争さえもなくせるのではないか”という、無知ゆえの壮大な夢が出来たのです。
その後はコーヒーと英語の勉強のためにワーキングホリデーでオーストラリアに滞在したり、ドバイや東京でバリスタとして勤務したりと、コーヒーについての知識と技術を得ることに必死でした。
ですが、バリスタとして勤務しているだけでは、生産国の現状も農家の方たちの暮らしも見えてきません。
もちろん、農家の方からのバトンを繋ぐバリスタとしての仕事も、とても楽しくやりがいがあります。
でも、コーヒーを通して繋がっているはずの一本の線が、どこかで途切れてしまっているような感覚になるのです。
ひたすらコーヒーを提供し続ける日々の中で、自分が力になりたいと思う人々と同じ土地で生活がしたい、彼らの見ているものを自分の目で確かめたい、その気持ちがどんどん大きくなり、アフリカに住みたいという気持ちは消えることはありませんでした。
そのとき、以前から興味のあった青年海外協力隊の中でルワンダでコーヒーに関わることのできる案件があることを知りました。
わたしは2020年に無事にそのチャンスを掴み、ルワンダに住むことができました。
ルワンダで過ごした日々はこれまで過ごしてきた国々とは異なる発見があり、不便さの中の豊かさを感じました。人間が生み出すことのできる力だけを使って、自然の中で自ら食料を確保しながら生きていく彼らの姿は、とても美しかったのです。
協力隊として、コーヒー農家さんの収入の向上とコーヒーの品質の向上を目的に派遣されていたので、コーヒーウォッシングステーションと呼ばれる加工場の現状調査をしたり、ローカルのカフェと連携して観光客向けの商品開発に取り組んでいました。
しかし、コロナによって3ヶ月の滞在で日本に帰国することとなりました。
アフリカでの暮らしは、たった3ヶ月とはいえ、わたしの人生をさらに変化させた大きなきっかけでした。
日本に戻ったあと、コーヒーの持つ可能性に興味を抱いた頃から最も農家さんに影響をもたらすと思っていた、コーヒー生豆の貿易に関わる仕事に就かせていただくことができました。
しかし、念願だったはずのインポーターとしての仕事をしていても、ルワンダで感じた違和感を忘れることはできませんでした。
コーヒーで貧困も戦争もなくしたいと思って、5年間突き進んできたものの、実際にコーヒー農家さんの暮らしを自分の目で確かめたとき、彼らは”コーヒーよりも収入”を求めていて、コーヒーを欲しがっているのは金銭的に豊かな先進国でしかない、と感じたからです。
これまで、自分のエゴを中心に生きていたことを思い知らされたのです。
コーヒーだけではなく、食料にも売り物にもなる野菜も一緒に育てることの方が、農家の人々のためにもなるのではないかと思いました。
環境負荷の低い農業こそが人々も、地球も、動物も救うことができる道なのではないかと。
さらには、自然農法やリジェネラティブ農法、パーマカルチャーなどの手法を取り入れることによって、環境への負荷を減らすことができる、そして自然環境を再生することさえできるのだと知ってから、わたしはコーヒーだけではなく”土”そのものを守っていきたいと思うようになったのです。
貿易の仕事から離れて、わたしは福島で小さな自然農の畑をはじめました。
わたしのビギナー百姓ライフのはじまりです。小さな自然農の畑と向き合ってみたら、小さな種から芽吹いて野菜たちが生き生きと育っていく姿は、わたしに大きなエネルギーをくれました。
これこそが、”生きる”ということだと感じたのです。
わたしの今のテーマは、Grow vegetable, Make peace.
土を守ることで、森も海も守ることになる。
生きとし生けるもの全てが自身の命を全うできる世界になるように。
そして、いまはデンマークのエコビレッジに住みながら、環境負荷の低い暮らしについて学んでいます。
デンマークのあとは、ドイツとタイでパーマカルチャーの勉強をする予定です。その後、日本に戻ってからは、生まれ育った福島県で自然農やパーマカルチャーを取り入れた畑を育みたいと思っています。
原発の被害に遭った”FUKUSHIMA”ではなく、自然が豊かで温かなひとたちが暮らしている、わたしの大好きな故郷の”FUKUSHIMA”を、世界のひとに知ってほしいから。
オフグリッドのタイニーハウス作り、自然農の畑、日本ミツバチの養蜂、保護犬たちの受け入れ、養護施設などへの食材のシェア、自然の中のコワーキングスペース、畑の真ん中でコーヒータイム、草木染めでの洋服のリペアなど、やりたいことは盛りだくさん!動物や自然とも共生できる暮らしを育んでいきたいです。
Do what I want to do.
まだまだわたしのnew chapterははじまったばかり。
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ぜひ、PROJEK WASTEのホームページもご覧ください。
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