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「やりたいことがわからなかったら、取りあえず嫌いじゃないことを」自動操船ヨットeverblue Technologies 野間恒毅さん

こんにちは。MANAI 広報のヴィアナです。

MANAI とつながりがある方にお話を聞く「MANAI ピープル」という企画を始めました。

第1回目は、自動操船ヨットを作っている『everblue Technologies(エバーブルーテクノロジーズ)』代表の野間恒毅(のま つねたけ)さんです!

ヴィアナ「野間さんのお仕事内容を教えて下さい」

野間さん「風の力だけで航海できる自動操船ヨットを作っています。最新のロボティクスと、風力・潮力で航行する帆船を融合させてセーリングを自動化し、無人で航海出来る取り組みです」

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「project Hydroloop(プロジェクト ハイドロループ)のモデル
洋上の再生可能エネルギーを水素に変換し風力で自動運搬することで、
陸上洋上問わず水素エネルギーのデリバリーを可能とする洋上エネルギー
サプライチェーンを構築するプロジェクト

ヴィアナ「無人で航行が可能なんですね」

野間さん「簡単にいうと、海上版のドローンです。飛行型ドローンは事前に目的地を登録すると、GPSを利用して自動で飛行できます。この仕組みとほぼ同じですが、帆の制御を自動化するのが大変なんです。産業革命で蒸気船がメジャーになり、速い帆船の作り方や制御操作の技術も失われました。現在はレジャーやスポーツとして残っていますが、風の強さによって重心のバランスを取ったり、風向きに合わせて帆を動かすなど、かなり繊細なコントロールが必要なんです。また風の力で進む帆船は地球温暖化ガスを排出しないのも特徴です」

ヴィアナ「なるほど。とても環境にいいですね」

野間さん「はい、わたしたちエバーブルーテクノロジーズ は『サステナブルな社会を作る』がミッションで、海の豊かなクリーンエネルギーを利用して、SDGsにも取り組んでいます。目標は『海のシーンを変える』ことです」

ヴィアナ「海のシーンを変える、とは、具体的にどんなことをイメージされていますか?」

野間さん「印象派の時代、絵画には真っ白な帆を掲げた美しい帆船が描かれていました。産業革命で蒸気船が出来ましたが、この頃ってあまり船が描かれてないように思うのです。黒煙を出すから絵にならなかったのではないかと。昔のように、風の力だけで航行出来るようにすれば、より海の景観がきれいになります。そして音も静かで、環境にも優しい。そんなイメージです」

*船に注目したきっかけ

ヴィアナ「野間さんは車やバイクのメディアで記事を書いたり、ブロガーとしても活動されているので、車やバイクがお好きなことは知られていますが、なぜ船になったんでしょう。きっかけはどんなことですか?」

野間さん「慶應義塾大学のSFC学長、脇田さんのインスタレーションを見たのがきっかけですね(日産の電気自動車「LEAF」と一体化した映像作品《NEW SYNERGETICS –NISSAN LEAF X AKIRA WAKITA》(2017))。銀座の日産ギャラリーで『LEAF』という電気自動車と一体化した映像作品が見られると聞いて、孫泰蔵さんと一緒に見に行きました。データヴィジュアライゼーションで、18〜19世紀の帆船がどこに行くかが見えるというものです。作品を見て泰蔵さんが『みんな電気自動車になったら環境に優しいのに』と言ったんですが、電気量の供給が間に合わなくなるという試算は出ていましたし、どこから電気を調達するんだろう、という疑問がありました。帆船は風の力だけで船を動かして世界を行き来してて、ゼロ・エミッション。『昔も出来たなら、今も出来るはず』と考えたんです。空や陸の自動操縦、ドローンはすでにレッドオーシャン(競争のない市場・業界・分野)だったので、『海は空いてるな』と思いました」

逗子海岸_野間さん作業中

逗子海岸で作業中の野間さん

ヴィアナ「飛行機とヨットを組み合わせたドローンを作って、飛行と帆走、着水のテストにも成功されましたね。今後、自動操船ヨットビジネス化の目処は立っていますか?」

野間さん「商業化にはもう数ステップ必要だと感じていますが、需要はあると思っています。無人航行出来れば、人件費は削減できます。人が乗っていないので、沈没するなどのトラブルが起きても人が亡くなることはありません。企業にとってはリスクが少ないと考えています」

ヴィアナ「MANAI とはどんな関係なんでしょうか」

野間さん「私はMANAI に投資している会社の教育グループのメンバーでもあります。MANAI 、以前はISSJという名前でしたが、現在のMANAI という名前に変更する際のディスカッションに参加しました。理想論から現実論まで、さまざまな観点から話し合いをしました」

*勉強をしなくなった学生時代

ヴィアナ「野間さんはブロガーやアプリ開発会社社長、エバーブルーテクノロジーズのCEOなどさまざまな肩書をお持ちですが、どんな学生時代を過ごされましたか?」

野間さん「僕は中学から勉強をしなくなったんです」

ヴィアナ「えっ! それはどういうことでしょう」

野間さん「うちの母親はいわゆる教育ママだったので中学受験をすることになったんです。その時の夢は『東大に入って官僚になろう』でした。当時の子どもって夢は『医者、総理大臣、プロ野球選手』みたいな時代ですから、いい学校に入ったら東大に行けると思ってたんですよね。ところが、あんなに受験勉強して入ったのにみんなもっと頭がいい。そんなに勉強しなくても成績がいい子ばっかりなんですよ。あの頃って、試験は知識を問うものでしたから、記憶していればよかった。彼らは教科書を1度読んだら覚えちゃうんです。これはもう敵わないと思って、勉強はやめました」

ヴィアナ「かなり早い段階で見切りをつけられたんですね」

野間さん「いやもうびっくりしましたよ、みんな頭良くて」

*学生時代のめり込んでいたもの

ヴィアナ「その当時のめりこんでいたものって、何だったんですか?」

野間さん「プログラミングですね。入っていた物理研究部では物理、天文から電気まで広く網羅していて、最初電子回路を作ったりもしました。当時パソコンは高価で部になかったので、うまいこと言って親に買ってもらい(笑)、プログラミングをはじめました」

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学生時代の野間さん

ヴィアナ「どんなプログラミングをされていたんですか?」

野間さん「ゲームですね。当時はパソコン雑誌があって、コードが書いてあるんです。それを打ち込むとゲームが出来るんですが、3時間くらいかけて打ち込んだのに、3分で飽きるんですよ、つまんなくて。面白くしたいなと思って自分でコードを書き始めました」

ヴィアナ「どんなゲームを作られたんですか?」

野間さん「だいたいシューティングゲームです。インベーダーゲームみたいなものも作りましたし、大学の時は1時間半くらいでアドベンチャーゲームも作りました」

ヴィアナ「ものすごく短時間で作れるものなんですか?」

野間さん「例えば当時大学受験のための塾へ藤沢から下北沢まで1時間半くらいかけて行っていたのですが、その移動中に書いたこともあります。塾に行く時間やお金が無駄じゃないかって思いながら(笑)シャープから出ていた携帯型の『ポケットコンピューター(ポケコン)』があって、それを使っていました。実は今でも持っていて(と取り出す)、たまにポケコンを見て『俺の原点だな』と当時を思い出して奮い立たせるんです」

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野間さん所有のポケコン。今でもプログラミングが可能

*大学進学を決めた理由

ヴィアナ「勉強嫌いな野間さんが、大学に行かれたのはなぜですか?」

野間さん「バブル突入期で進学率が高く、大学院卒じゃないと就職出来ないぞ、と父に言われたからです。受験はしたくなかったので、推薦で入れる大学に行きました。ゲームプログラマーになりたかったので、パソコン雑誌とゲーム会社でアルバイトしましたが、ゲーム会社では『卒業できなくなるよ』と先輩に忠告され1日で辞めました。推薦で入っていることもあって、成績を落としたり途中で辞めたりするのは後輩のために良くないので」

ヴィアナ「ずっとプログラミングはなさっていたんですか?」

野間さん「はい。楽しくて、もっとうまくなりたいなと思ってました。大学でプログラミングの授業もあったんですよ。実験の中の1コマでしたけど、簡単すぎて課題とか早く終わるんですね。残った時間で音楽を流す、とか課題の完成度を上げたりしてました」

*やりたいことがなければ、取りあえず嫌いじゃないことを

ヴィアナ「野間さんは学生時代からやりたいことがありましたが、MANAI の中にはやりたいことがわからない、という子もいます。そんな学生から相談を受けたら、なんと答えますか?」

野間さん「取りあえず嫌いじゃないことをすればいいと思います。うちの子は今高校2年生で、他にやりたいことないからスマホゲームしてて、それに罪悪感を感じているらしいんですけど。僕は『ゲームしてればいい』って思ってます。『ゲームばっかりしてるとろくな大人にならない』『マンガはダメ!』とか、子どもって世間とか大人の価値観を素直に吸収するんですよね。息子に『YouTuberでもいいじゃん』って言ったら『不安定な仕事は無理』って言われました(笑)。昔って電話交換手っていう仕事がありましたけど、今はない。時代が変われば仕事って変わるんです。僕はテクノロジーの進化だけが、人類を進化させるって思っています」

ヴィアナ「大学に関してはどうお考えですか? 先日MANAI の学生たちが『大学に行くべきか否か』という議論をしていてさまざまな意見が出たのですが」

*大学は必要になったら行けばいい

野間さん「必要になったら行けばいいって思ってます。入学に年齢制限ないじゃないですか、大学って。でも、大学って体系化したものしかないですよね。大航海時代、地球って平面で象が大きなお盆を支えているって考え方がありましたが、大学はいわば、お盆の中のことしか教われない。やりたいことが新しいこと、つまりお盆の外にあるのなら、行ってみるしかない。自学自習するしかないんですよ。プログラミングだって今のように教材や情報が豊富になくて、教わるというよりまず自分でやってみるしかなかったんです。好きでやってることって、広がっていくんですよね。僕は好きでやって来たこと、ハンダ付けとかプログラミングとか、今全部仕事に結びついてます」

逗子海岸_野間親子

野間さんと息子さん
貨物運搬実験で搭載したプリンを持って実験成功の記念撮影

ヴィアナ「確かに、エバーブルーテクノロジーズでは基盤のハンダ付けからプログラミングもされて、全てつながっていますね」

野間さん「職業選択肢の自由があるから、かえって足かせになっている。やりたいことがない人に『何にでもなれる』ってつらいんですよ。家が事業をしているなら、跡を継ぐっていう選択肢もあると思います。昔って、家業を継ぐのが普通だったんですよね。サラリーマンって職業の歴史は浅く100年も続いてないじゃないですか。最低限嫌いじゃないことって、ご飯と一緒。毎日ご飯とみそ汁食べても飽きないですよね。でも大好きなケーキを毎日食べてたら飽きちゃう。どんなに好きなことでもやり過ぎたら嫌いになるので、飛びついて『これ!』というものじゃなくてそんなに頑張らずに『やれちゃう』こと、それを仕事にすればいいと思います。息子には『人に喜ばれることをしなさい』と言っています。感謝されて、自分が笑顔になれることは続けられるけど、尽くしてつらくなることは続かないから」

ヴィアナ「『やりたいことがないから、大学に行って時間を作る』という考え方もありますが、これはどうお考えになりますか?」

野間さん「自分で決めたことなら、いいと思います。親が進路を決めると、言い訳や責任が親に向くんですよね。何でもいいから自分で決めるべき。ある時息子に『お昼何がいい?』って聞いたら『何でもいい』って答えたことがあって、僕は『お昼も決められない奴が人生決められるのか!』ってキレました(笑)。息子には『学校も行かなくていい』と伝えています。彼が『行かない』と決めたなら、それでいい。何でもいいから自分で決めるのが大事。親が子どもに出来ることって『これがしたい』『あれがしたい』という時に支援してあげることしかないと思います」

最新のロボティクス技術とゼロエミッションの帆船を融合させて産業革命を上回るインパクトの変革が起こそうとしているエバーブルーテクノロジーズ。ご興味ある方はこちらから遊びに行って下さいね。


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