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絶望の処方箋

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絶望した時の処方箋として。
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#創作大賞2024

「取り返しのつかなさ」に対するささやかな救済(矢田海里『潜匠 遺体引き上げダイバ…

主人公の吉田浩文さんは、祖父の代から潜水業を営む一家の三代目として生まれた。その意味では…

杉原 学
3年前
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動物も、死者も、自然も、働いている(梨木香歩『家守綺譚』を読んで)

夢とうつつの境界線に迷い込んだような、不思議な気持ちにさせられる物語。でもほんの少し前ま…

杉原 学
3年前
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「悪い人間という一種の人間が世の中にあると君は思っているんですか」(夏目漱石『こ…

『こころ』との出会いは、高校の教科書に載っていたものを読んだのが最初であった。おそらく、…

杉原 学
3年前
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プレッシャーに弱い人間の可能性

世の中には、プレッシャーに強い人もいれば、弱い人もいる。では、どちらのほうが大きな仕事を…

杉原 学
3年前
26

コミュニティとは「生きる文脈が見える世界」のことである

「タモリ式記憶術」というのがある。これはタモリが開発したというのではなく、タモリがテレビ…

杉原 学
3年前
4

時間は不可逆的であるにもかかわらず、過去も未来も変えることができる

文章を書いていて、楽しい時と、楽しくない時がある。 楽しく書ける時は、その文脈の中に没入…

杉原 学
3年前
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幸せの定義

最近はようやく変わりつつあるけれども、「幸せ=お金」という考え方は根強くある。そんなに極端じゃなくても、「幸せとお金はイコールじゃないけれども、最低限のお金がなければ幸せになれない」ということには、多くの人が同意するのではないだろうか。 何かの調査で、年収がだいたい800万円以上になると、収入の多さと幸福感が比例しなくなる、というのがあった気もする。でも、あたりまえのことだけど、「幸せとはなにか」の答えは、人によって違うはずなのである。みんながみんな「最低限のお金」を幸せの

苦しみは他者と共有することによって楽しみに変えることができる

東日本大震災が起ったとき、都心では多くの帰宅難民が発生した。 僕の友人も帰宅難民化してい…

杉原 学
3年前
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人生を華やかにしたければとりあえず1回だけパリに行っておけばいい

「自分の人生を華やかに彩りたい……」 そんな憧れを抱いている人は多い。 そうでありながら…

杉原 学
4年前
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十条の名喫茶「スヰング」閉店に寄せて

55年以上続いた十条の名喫茶「スヰング」が、十条駅西口再開発にともない、2020年2月24日に閉…

杉原 学
4年前
6

人生捨ててもかまわない♪

その日、外は真冬の寒さだったが、電車の中は混み合っていて、とても暑かった。 僕は一刻も早…

杉原 学
4年前
6

そっちの電車に乗ってもいい場所には辿り着けない

池袋駅のホームで、埼京線の電車を待っていた時のこと。 その日は朝から列車の事故があって、…

杉原 学
4年前
7

師を持つことの大切さ

「都会で暮らしながら、どうやって自然との関係を結び直していくのか」 これがいま、人々の大…

杉原 学
4年前
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人生にレフ板を。

雑誌『かがり火』で連載させてもらっている対談「そんな生き方あったんや!」。 取材時の写真の撮影は、都合のつく限り写真家の井口康弘氏にお願いしている。 対談は喫茶店でやることが多いのだが、そこでの撮影の際に彼がよく使うのが、「レフ板」と呼ばれる光を反射させるシートのようなものである。 やはり光の当たり方によって、被写体の印象はずいぶん変わってくるのだろう。 ちなみに「ライティング」と聞いて僕がいつも思い出すのは、「真っ白な美肌」で有名だった鈴木その子さんである(笑)。