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シビックテックを伝えるのは人間じゃなかった話。

Code for Japanの武貞(たけさだ)です。この記事はアドベントカレンダーの17日目です。(個人発信は諸般の事情により、はてブへ移行予定ですが、広告大量表示だったので、一旦noteに掲載しています。 https://mamisada.hatenablog.com/entry/civictech2021)

2020年にSlack参加者が400から4,000名の10倍になった時も驚きましたが、2021年はさらに6,000名を超え15倍以上となり(町村1つ分くらい!)、可能性を感じると同時に、どうやったら実際のシビックテック活動まで皆さんをお繋ぎできるのか考えさせられる2年でした。

今回は、7月から11月の約半年21_21 DESIGN SIGHTの「ルール?展」で展示させていただいていたシビたんの誕生とその過程についてまとめてみます👀👀

 シビックテックコミュニティの拡がり(2020年上期)

シビック(市民)がテクノロジーを活用して社会課題・地域課題に対してボトムアップ型で参加していくアプローチ方法です。Code for Japanは東日本大震災がきっかけとなって発足したコミュニティで、Code for Americaや台湾のg0v(ガブゼロ)などCode for All(海外のシビックテックコミュニティとの緩やかな繋がり)を含めて海外との交流と、日本国内各地のCode for XXやOpen XXと冠したシビックテックコミュニティとの交流を持ちながら、有志のコントリビューター(参加者・協力者・貢献者)が集まっています。

2020年コロナ以前はSlackコミュニティに400名程度が参加していましたが、東京都の新型コロナウイルス感染症対策サイトのオープンソース開発に台湾のデジタル大臣オードリータンが参加したことや、

高専生コントリビューターが書いてくれたこの貢献(コントリビュート)方法の解説記事が火付け役となり、爆発的に全国各地からの参加が増えました。

オンラインハッカソンの増設(2020年下期)

コロナの状況はなかなか良くならないし、その分「何かしたい」と集まってくれる人も増えていくという状況において、開発速度を上げたいしプロジェクトも付随してチャレンジしたいプロジェクト案もあるしということで、2018年から隔月(だいたい偶数月)開催していたソーシャルハックデーという継続開発型ハッカソン(開発デー)の頻度を上げ、毎月+全面オンラインにして開催していました。最初はアドレナリン全開だったものの、終日画面の前で話したり書いたり考えたりをすると結構体力(と目力)を使うので、段々疲労が蓄積してガス欠になっていっていました。

「シビックテックって何?どうやって参加したらいいの?」問題

如何せん、オフラインでの交流ができない問題。となるとハックデーに参加してくれる方とのコミュニケーションももちろんオンラインスタートになるのですが、参加してくれた皆さんが口を揃えていうのが「シビックテックとか、聞くようになったけど結局何なのかわからない。」「地域課題への貢献て、やりたかったし貢献したいけど、どうやったらいいかわからない。」という疑問でした。

これに答えるのもその人がそもそもシビックテックや社会課題、ITやテクノロジーをどう捉えてるかによって前提の説明が変わってしまったり、ちょっと間違えると「プログラミングはできないからお呼びじゃないのですね…」と誤解されてしまったり、説明が難しいものでした。(もちろん開発スキルが必要な段階もありますが、議論や情報収集などコーディングができなくても参加できる段階やプロジェクトもあります👀)

アニメーションをつくって、まちなかにそっと置いてみよう

仲間が何千人レベルになったのだから、改めて「お初お目にかかります」な皆さんに伝えるためのものが必要なのではないかという話と、ルール?展への参加依頼が同じタイミングだったので、デザイナーのコントリビューター(かつ友人)の皆さんと一緒にブレインストーミングするところから始めました。

デザイナーとブレインストーミング

「小難しいことを難解なワードで言われても理解できない」「もっと身近で、誰でも参加できる、楽しいものだというイメージを伝えたい」などとあれこれ話す中で、「掲示だけより動きのあるアニメーションを加えて視線誘導できた方がみてもらえるんじゃないか」「人間じゃない第三者という視点で話す存在があると説明的になりすぎないかも」「ゆるキャラ最高じゃないか」という話から誕生したのがシビたんとテックんです。

デザイナーから映像制作を勉強中の知り合いやキャラクターに声を吹き込んでもらえる声優さんを紹介してもらい、バンクーバー(カナダ)2名・東京4名のみんなで話し合いをしながら進めていきました。また、バンクーバーメンバーがいたことで、英語版と日本語版の両方のスクリプトをつくって準備することもできました。

クリエイターと動画打ち合わせ

市民になることに憧れる「シビたん」

動画の中で動くシビたんは下のリンクにある通りなのですが、ちゃんとるーがキャラクターデザインをしてくれて、ストーリーをざきしゅーが天才的にわかりやすくまとめてしてくれて、展示場での掲示物とのシンクロ率をあいぼんが整えてくれて…と皆んなのスキルの掛け合わせと周りの人のサポートで生まれたのがこの子たちです。

シビたんは「まちの主人公」である市民(citizen)に憧れているシビックテックオタクなので、シビックテックのことをよく知っていて、わかりやすく私たちに教えてくれます。また宇宙から眺めているので客観的かつ分析的なのか、市民の暮らしの楽しいところも苦労や困難も理解してくれていたりします。説き伏せられるでもなく、うんちくを並べられるでもなく、いい感じに手短に話してくれるシビたんによるシビックテック紹介、そんなに長くはないので3分くらい観てみていただけると幸いです👀👀

誰でもない「シビたん」

シビたんの設定に大きく影響しているのはg0v(ガブゼロ)の「nobody」という考え方です。

Ask not why nobody is doing this. You are the "nobody"!

https://g0v.asia/

「誰もその課題を解決しないと嘆くならば、あなたが最初に始める「誰」になれば良いじゃないか」というニュアンスなのですが、これは同時に特定のリーダーを掲げずにAnonymous(匿名・名無し)な状態で誰もがリーダーシップとフォロワーシップを兼ね備えて推進していくシビックテックのスタンスもあらわしています。

また、マイノリティ・イシューについてメンバーの関心が高かったこともあり、「ジェンダー(男女)」「ジュニア・シニア(老若)」「日本人・外国人(国籍・ルーツ)」など固定イメージがついて無意識的バイアスがかかってしまわないように、「まち」も東京イメージに紐づかないような演出に、などと色々な隠れた拘りや意志もありました。そのため、声優さんの声もどちらの性別か固定化しないような「元気で明るい」中性的な声のイメージで探させてもらいました。

TikTokの効果で若者爆増→6万人来場。

六本木ミッドタウンという「街」のど真ん中にあるオシャレな展示場に「シビックテック」を置いたらどうなるのか、私たちも予想がつかず、会場に足を運んで担当ブースを目にするたびにドキドキソワソワしていました。結果としては、コロナの影響で来場制限などもありながら、79,509名(ほぼ6万人!!)の皆さんにシビたんを介してシビックテックを紹介する機会をいただきました。企画当初は「若い人に来てほしい」「シビックテックと全然接点がなかった人にも出会いたい」と話していましたが、Z世代が沢山来るという状態が現実となり嬉しかったです。

会場内展示スペース

新大久保の新店舗デザインを頼まれた時もZ世代とTikTok調べまくったけど、

https://note.com/mamisada/n/n6e157217d6ad

改めて、TVでもWEB記事でもなくTikTokerの吸引力が凄いことを痛感しました。修一朗さん、その他大勢のTikTokerさんありがとうございました🙏

https://www.tiktok.com/@tuckinshuichiro/video/6991049349253958913

これからの「シビたん」

シビたんにはステッカーにもなってもらったので、これからもシビックテック伝道師として、ともに考えともにつくっていってもらおうと思っております。皆様もお見知り置きをお願いします👀👀

シビたんステッカー


シビックテックのCode for Japanで働きながら、小児発達領域の大学院生をしながら、たまにデザインチームを組んで遊んでいます。いただいたサポートは研究や開発の費用に充てさせていただきます。