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隣に座ってた人のフルーツサンド屋さんをプロデュースさせてもらった話

コロナが少し落ち着いていた夏頃、友人が飲食店の応援企画としてご近所さんの徒歩圏内複数飲食店とタッグを組み、密にならないスタイルの街歩きイベントをやっていた。「隣駅のお店に人がいないらしいから行ってきて。」と言われて、行ったことのないご飯屋さんへ向かった。

お世話になっている人の役には立ちたいものの、知らない店に一人で入ったため、人見知りと場見知りを発動し、カウンターの隅っこに恐る恐る座っていが、程なくして近所の友達が来てくれたので事なきを得た。

2組ほど増えて賑わった頃、大きなピザ箱を2つもったダンディーなおじさまが来た。(飲食店にご飯持ってくるって、失礼じゃないか…。)と思いつつ、周りの反応から近所の飲食店の人が応援がてら来たのだということがわかり、そのピザ箱に入っていた釜焼きピザをいただいた。美味しかった。

で、お店の話になって、名刺をいただいて、ロゴを見て

「…ちょっとズレてしませんか?」

ピザは美味しいのにロゴが惜しいぞ。と思いながら聞くと、嫌な顔をせずに興味をもって話をしてきてくれたので、私も調子に乗って

「…ちなみに、フォントを混ぜているのは何故ですか?」

と複数フォントが入り混じる名刺について伺った。なんでなんでモードになって絡んでしまっただけだったが、おじさまは顧客側の感想や「見た目」や「印象」に関心があったらしく、どこをみてそう思ったのか?なぜフォントが混ざってはダメなのか?と聞いてくれたので、ベラベラと好きなことくっちゃべっていたら

「そこまで言うなら、2店舗目のデザインをみてやってよ」


…と言われたのがことの始まりで、今回友人とチームを組んでプロデュースさせていただいたのがBLOOM244です。

Pizzeria244さんは、地元に安くて美味しいお店をつくって地域に還元しようという思いでピザ屋さんをしていて、今回は同じく地域の果物屋さんとタッグを組んで、フルーツを生かしたお店をやってみようというチャレンジをされています。

マーケティングレンズという、非マーケターが実践的なマーケティング・ブランディングを勉強するために企業マーケターの皆さんをゲストに迎え、講義+ワークショップ形式で学ぶスタイルの定期勉強会を2年前にやってときの、運営仲間だったデザイナさんとそのお友達で参加してくれていたデザイナさんの2名が一緒にプロデュースを務めてくれました。

学部生時代から細々とデザインかじっていたとは言え、普段の仕事と全く違うロゴ・店舗デザイン・パッケージ・撮影・PRをサイドワークでできるようにやらせてもらうのは、通常業務と違うインプットを必要とする面白さがありました。また、コロナ期間の自粛でずっと家に引きこもっていた自分にとっては、本業に支障がない範囲でのスケジュールで無理なくできる、新鮮かつ「新しい挑戦」でもあり、めちゃくちゃいい気分転換になりました。

--- やったこと ---

1.中高生世代を分析する

まず若い子たち()が何に触れてどんな感覚にあるのか全然わかっていないかもしれないという不安から、「感覚的に自分達の可愛いだけでつくり込むのは危ないのではないか。」となり、デザイナ氏からいくつかの記事をもらい、雑誌をパラパラと眺め、TikTokを見まくり、Kpop初心者なので、とりあえずYouTubeでBTSを見まくりました。全体像の説明としては、オフとピックさんのこの記事がものすごく分かりやすかったです。

私たちミレ二アル世代は、インスタど真ん中なので、フラットで、シンプル、整っているものを「かわいい」「美しい」と感じる傾向があります。しかしZ世代のセンスはそこではありません。
新大久保に初めて行った時には奇抜な看板や無秩序なデザイン、サインに並ぶ文字も飛び交う言語も様々、あまりにも情報が多くて脳が混線し、市場調査といいつつ街を見て回ってみても、情報過多についていけず、唯一買ったスイーツはフラットかつシンプルなデザインのものでした。

これらの感覚反して、若者は「ダサいけど、居心地がいい」「面白さ、おかしさ」を求めているとのこと。ということは、私たち世代が心地いいと感じるような整ったデザインではなく、むしろ違和感を感じるようなデザインをすることが若者の集まる新大久保に置くものとして求められるのではないかとなり、少し身構えました。

2.街を行き交う人を観る

しかしながら、実際の街を行き交う人をみてみると①若者 ②韓国カルチャー好き ③アジア系多国籍な皆さん ④ご近所なお住まいの皆さん…意外と若者だけではないことに気がつきます。また、近くには音楽スタジオがあったり、少し歩いたらたどりつく新宿側には企業も多いので、若者の食べ歩き一点に絞ってしまうのではなく、お土産需要や持ち帰りにも対応した方が広く楽しんでもらえるのではないかと考えました。

3.狭さを活かしてつくり込む

店舗は元パン屋さんということで、一定の広さはあるかなのと想像していましたが、実際に行ってみると想像以上に奥に長い鰻の寝床スタイルでした。奥まで見えてしまうということは、キッチンや作業スペースがお客さんのところからコンニチハしてしまう可能性が高く、見えないようにスペースを仕切ろうとすると今度は面がすごく小さくなってしまうということになります。繊細なフルーツサンドを表現するならキッチンコンニチハよりも完成度を伝えられるように仕切った方が良く、故に小さくなってしまうのであれば、よりポップに、より密密に凝縮させ、つくりこむことができるのではないかとなり、(お隣の真っ赤な面のインパクトにも負けないパワーで)1店舗目の青×黄を踏襲しつつ圧倒的ポップな店舗になりました。

デザイナ2名はもっと詳細につくり込む過程でのストーリーがあるかとおもうのですが、ディレクション的なところからみていた私の感覚はこんな感じでした。

マーケティングレンズvol.5 
〜 他者とのうまいコラボレーションを学ぼう 〜
・相手のことをよく知る(好きである)
・自分のことをよく知ってもらう(好きになってもらう)
・日頃から感覚を共有する

デザイナ2人と「友達」から「仕事仲間」になることは、今までの関係性が壊れてしまうのではないかという怖さも少しありましたが、結果として今まで以上に2人のスキルを間近で体感することができてめちゃくちゃ楽しかったです。2年前学んだことも活きているような気がします。

デザインは私たちで盛り上げましたが、ブランドの根幹となるのは商品である、フルーツオープンサンドとスムージー!

フルーツサンドは店員さんが丁寧に型抜きした季節のフルーツがパンの上にきれいに敷き詰められていて、食べるのがもったいないくらい目で楽しませてくれます。

そして個人的におすすめなのが、型抜きした残りのフルーツも生かした果実たっぷりのスムージーです。ベリーと季節限定のイチゴはたっぷりのつぶつぶ食感とフレッシュな甘酸っぱさが楽しめ、ミックスフルーツはミルクや水を使わず、フルーツだけの贅沢なジュースです。果実が多すぎてストローが詰まりそうになるくらいギュッと詰まったスムージーを楽しんで欲しいです。

できたてのBLOOM244は2/14(日)が本オープンです。2/13(土)にはTBSテレビの「王様のブランチ」トレンド部にて特集していただきました!

マーケティング予算が全くない中で、雑誌やテレビ、ユーチューバーさんからの取材依頼が複数あったのは、PRを手伝ってくれた最初のピザを食べた時に一緒にいた友人のおかげでもあります。

また、モデルさんを起用しての撮影に関しても、キャスティングはイベントプランナーをしている友人からの紹介、カメラマンさんはデザイナが普段仲良くしている同年代の独立したてのカメラマンという、人の繋がりに救われるかたちでした。

人との繋がりや出会いが希薄になってしまうこの時期に、人との繋がりを感じられるこの企画は自分自身の「ものづくりしながら人の役に立ちたい」という欲求をみたし、かつ人とのコミュニケーションを回復させてくれるものでした。

季節限定のストロベリーはサンドイッチもスムージーもおすすめですし、2/14-28はバレンタインに合わせてハートバージョンのサンドイッチなので、密を避けつつ、遊びにきてください🙌

こんなご時世ですが、小さくて可愛いこの子たちを見て、食べて、楽しむことで少しでも明るい気持ちになってもらえたら幸いです。

デザインチームは引き続き緩やかにやっています。私たちが好きなのはサウナ、銭湯、日本酒、着物、サーフィン、フレスコボールなどです。何か一緒にやりたいよ!という方がいたらお声掛けください🙌

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至福のスイーツ

シビックテックのCode for Japanで働きながら、小児発達領域の大学院生をしながら、たまにデザインチームを組んで遊んでいます。いただいたサポートは研究や開発の費用に充てさせていただきます。