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地方の中小零細3代目はつらいよ。その8 調停

こんにちは。なんと第8回です。続いています。

本編の悪役である大叔父から株式の発行を求める裁判を起こされた私たちは、対抗する手段がなかったため、苦し紛れの時間稼ぎの策で、登記上はないはずの「譲渡制限」の記載を株券にコソっと施して株券を発行しました。

案の定、訴状が届いてもう一度裁判を・・・ということになりそうでしたが、その訴えは棄却されることになりました。裁判所の判断によるところ、「登記上は譲渡制限がないので、書いてあっても効果ないよ」「書いてあるのも不自然だから書いていない株券だしたほうがいいんじゃない?」「あとは勝手にそっちでやって」こんな感じでした。裁判所も時間稼ぎに付き合ってる暇ないからねっていう判断でしょう。とにかくこれで時間が稼げました。(大叔父の寿命との勝負なので時間が大事でした。)

もう1回時間稼ぎのために、新しい株券に譲渡制限の文言は書かないものの、定款で定めた文章をそのまま書いて株券を発行しました。ここまでくるとただの嫌がらせですが、この時点で最初の訴状から1年以上経っていました。

そして何度か弁護士同士のやりとりの後、ちゃんとした株券を発行しました。しかし、不特定の宜しくない勢力に株券が渡るのは会社としても良くないので、株券の発行と同時に今度はこちらから「調停」の申し立てをしました。「調停」とは、裁判と違い、勝ち負けではなく、一般市民から選ばれた「調停委員」という第三者を入れた話合いにより、お互いが合意し紛争の解決を図る手続のことで、通常は裁判所で行われるものです。

もちろんこの調停で決着がつくとは全く思っていませんでした。目的は3つ。こちらが問題を解決する意思があるというポーズ、株式を自由にさせない制約、そしてもうお判りでしょう「時間稼ぎ」です。向こうは自分の寿命と株を売った時のお金を天秤に掛けています。早く解決したいがお金も欲しい。時間がなくなればある程度のところで交渉に応じてくると考えていました。

実際に、調停では半年くらいを費やしました。当然話し合いですぐには解決しないので、客観的に株価を算出することになりました。株価の算定は大叔父が指名した会計事務所がすることになりました。実はこの会計事務所、地元ではそこそこの規模の事務所でしたが、ここを指名してくることは容易に想像できていました。(大叔父は基本的には嫌われ者で、基本的には薄いコネしかないので特定できました。)そして運よくこの会計事務所の所長は、私の義父の同級生であり、この調停が始まる頃に根回しをしに既に私が訪問していたのです!!(私も悪い奴ですね。)

株価の算定方法はいくつかあり、大叔父は特に指定をしなかったため、私は株価ができるだけ安くなるような方法で算定して欲しいと会計士の方にお願い(根回し)をしてありました。その株価でやり取りをしても基本は個人間の売買なので、問題はありません。(株の売却によって利益を計算するときには関係ありますが、売るのは向こう側なのでこっちは知ったこっちゃないのです。)

株価の算定には時間もかかりましたが、お金もウン10万円かかってしまいました・・・そして何回目かの調停で裁判所から株価と和解案が提示されました。なんと大叔父が主張していた金額の約1/4!!!してやったりです。当然、納得のいかない大叔父はこの調停で和解案に応じることはありませんでした。調停不成立。裁判所を去る時の大叔父の捨て台詞が「こんな値段では売らない!第三者に売るからな!」ムムム・・・気になるところですが無視です。

そして、さあこの株価算定の結果をどう使ってやろうかと思っていた矢先でした。会社に1台の見知らぬ黒い車が・・・

ドラマみたいな展開ですが、続きます。だんだん1話の文章量が多くなってきましたね。長文読んでいただきありがとうございました。

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