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命をいただくということ。

(2300文字程度)
※思い出しながら書き起こしていて、自分自身がしんどくなってしまったため一応注意喚起。
※見る人によっては気分が悪くなってしまう表現があるかもしれません。
※画像は載せていませんが、虫が苦手な方注意!








この夏、私は人生初の釣り堀体験をした。
※釣り堀=誰でも釣りが楽しめるよう、人工的に用意された釣り場。

友人と釣り・BBQをしに、電車に揺られ約2時間。
釣り堀(初級)と一般の川(中〜上級)で分かれて釣りができる、BBQ会場へ。

奥多摩フィッシングセンター


一日のスケジュールはざっくりとこうだ。
午前:釣り(釣り堀:食料確保)
お昼:BBQ
午後:釣り(一般の川:体験重視)・片付け


久しぶりに夏っぽい体験ができそうだ…!
初めての体験に胸を躍らせながら、初心者の私はスキップで釣り堀に向かう。



「(たくさん釣って、みんなを驚かせてやろう!)」



釣り堀到着。
餌は2種類。イクラとブドウムシ(初対面)。
虫が苦手な私はブドウムシを直視できず、まずはイクラでチャレンジ。


「(魚の卵で魚を釣るのって変なの…)」


水面に釣り糸を垂らし、10分足らずで初めて「魚を釣り上げる体験」ができた。

※因みに、釣り人曰く、釣り堀は朝のほうが釣れやすいそうです。
理由としては、用意された魚(同じ個体)がずっと泳いでいるので、
▼朝の方がお腹を空かせている(食いつきが良い)
▼時間が経過するごとに魚が学習してしまう
からだそうです。

「(釣れた!)」という喜びから暗転、魚が喉奥まで針を飲み込んでしまい、私はパニック状態に。


針がとれない…だと?
そんなこと想定もしていなかった。
魚は絶えず口をパクパクしていて、ただ息をしているだけで苦しそうだった。


魚に痛覚はあるのか。
魚的にはしんどいのか。
私はどうしたら良いのか。


パニックになりつつ、とりあえず水に浸けて魚を刺激しないようにしておく(暴れたら余計に針が食い込みそうなので)。

手に負えず、針取りなるものをすぐさま購入。
それでも結局、手早く取り除いてあげることができず、恐らく一番苦しい方法で絶命させてしまった…。



最終的にはいただく命ではあったものの、こんなにも苦しい思いはさせずに済んだのではないのか、しばらくガチ凹みした。



「(そうだ、釣り上げた魚は焼いて食べる予定だった。釣り堀に放流されている時点で、釣り上げた時点で死ぬ運命なのに、何を今更…)」


初体験に浮かれて忘れていたが、釣り上げられた魚の末路は食べられること。

一緒に来ていた友人もメンタル的にキツそうだったのだけれど、みんなのお昼ご飯を確保するという役割もある為、暗い気持ちのまま釣りを再開。


「(朝のワクワク感は一体どこへ…)」


ただ、餌にも限りがあり、イクラもあと僅か。
来てしまった。避けていたブドウムシに触れなければならない時が。

「(生きている…)」

ということは、自分でまた命を奪わなければならない。


次から次へと望んでいない初体験のバーゲンセールである。※ヤケクソ



触ることが本当にしんどそうな友人に代わり、私が釣り針にブドウムシを付けることに。
先程の衝撃的な体験のおかげか、触る気持ち悪さを苦もなく乗り越え(!)、あとは自分の手で命を奪うだけ。


生きたまま針に刺すのか。
お前、痛覚はあるのか?
頼む動かないでくれ。



そんなことをごちゃごちゃと考えながら、もたついた手つきで針を通すことができた。


先程の魚の命を代償に、
直視すらできなかった虫に素手で触れた。
意図的に自分の手で殺めることができた。


何故だろう。これが命の大・小なのか。
私は多分、魚に対して同じことはできない気がする。


…ここで問題発生。
ブドウムシがまだ生きていたのである。
頭からお尻にかけて針が貫通しているのにも関わらず。


「(結構な覚悟を持って貫通させたのに…お前まだ生きてるのか…)」


それでも水面に向けて釣り糸を放る。
その為に刺したから。そうしないといけないから。
生きたまま、釣れないであろう小さ過ぎる魚群につつかれている。

酷(むご)い。これではただの拷問だ。
「ちゃんと死んでからの方が苦しまないのでは?」という考えが頭を過ぎる。
※ちゃんと死ぬとは



気持ちの整理ができない。
複雑である。心と脳みそが忙しい。


「(浅はかだった…想像していた爽やかな、キラキラとした夏の初体験と全然違う…)」


「(今の私は魚とブドウムシの最後で頭がいっぱいだ…)」


「(…ん?イクラは?イクラも命では?)」


感情に蓋をしながら人数分釣り上げることに成功した。


凹んでいても、朝食を抜いてきた私や友人のお腹ちゃんは「もう限界よ!!」と悲鳴を上げていたので、一旦お昼休憩をとることに。


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持参した食料は野菜や牛タン・カルビ・豚トロ、マシュマロなど様々でありましたが…

今日の主役は満場一致のお魚である!!!!
ドン!!

川魚を焼いて食べるのも初体験!こんがりホクホクで皮丸ごと食べられるくらい美味!!※この時の情緒はジェットコースター


「(ついさっきまで泳いでいたんだよなぁ…)」

当たり前だけど、骨以外余すことなく美味しくいただきました。


その後、午前中の道徳の授業がメンタル的に辛過ぎて、午後の釣りはナシに。いろんな意味でこんなはずでは…。



「常になんらかの犠牲のもとに私たちは生きている」
「スーパーに陳列されている肉や魚の切り身も、誰かの手で加工されている命


子どもの頃、大人からなんとな〜く教わっていたことを改めて体験した。

「(頭では分かっていたつもりだったんだけどな…)」


子ども時代に釣り堀体験をしていたら、また違った感情を抱いたのかな。


「(私に子どもがいたら、なんて伝えただろうか)」

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