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最近読んだマーケティング論文【レビュー論文編②】

先日紹介したレビュー論文のまとめが好評であったため、第2回目として、いくつかの研究を紹介していきます。

第一回の記事もぜひご覧ください。

今回の記事も、マーケティングジャーナルから、2つのレビュー論文を紹介します。

●多様化する支払方法が消費者行動に及ぼす影響
まず初めに紹介するのは、「支払方法」に関するレビュー論文になります。

近年、支払い方法の多様化が進んでおり、現金やクレジットカードに加え、QR決済ができるお店も、急激に増えました。都会を中心に、ビットコインなどの仮想通貨で支払いができるお店もあるようです。

実は、支払い方法は消費者の購買行動に影響を考慮した論文は、いくつも発表されてきました。本論文では、そうした論文をレビューしてくださっています。

本論文の中で、個人的に最も興味を持った点が、「V. おわりに」の章に、今後の課題として「キャッシュレス決済による過剰な支出を抑制する要因の探究」が挙げられていた点です。

クレジットカードやQR決済などを使って支払う際、ついつい無駄遣いをしてしまった経験がある方は、少なくないのでしょうか。

この原因の一つとして、現金を支払う時と比べ、キャッシュレス決済を使うと「支払の痛み」が減少することが挙げられます(論文中でもまとめられています)。

ちょっとした無駄遣いであれば問題ないでしょう。
しかし、論文内でも指摘があるように、過剰な支出をする人の増加は、社会的にも問題になりかねません。そのため、今後の研究でも考慮すべき問題なのではないかと思います。

●マーケティングにおける混雑の影響― 近年の混雑感知覚研究の展開と課題 ―
消費者が意思決定をする際、他者の存在は大きな影響を及ぼします。

例えば、他人に見られる製品(e.g. 洋服)と他者からあまり見られることがない製品(e.g. パジャマ)であれば、モノを買う際の判断基準が異なるでしょう。

また、自分用に買う目的と他人にあげるための目的では、購買行動が異なるといった研究成果なども存在します。

本研究は、そうした「他者の影響」の中でも、「混雑感」という観点に着目している研究です。

本論文によると、混雑感とは「マーケティングにおける混雑感とは、商業施設などの空間において、消費者が混雑している状況に対して知覚する主観的な評価」と定義しています。

かなり面白い研究が多く、こうした研究をレビューしていただいているのは、個人的に非常にありがたく感じます。

おそらく、コロナウイルスの影響によって、人々の混雑感に対する価値観に変化があったかもしれず、こうした観点と絡めた研究も、もしかすると発表されるかもしれないと思いました。

今回紹介した論文は、どちらも私自身が注目しているテーマであり、将来的な研究テーマとなる可能性があるように感じています。

支払方法も混雑感の影響も、現代の市場において重要なテーマとなりえるかと思います。まだまだ研究テーマもありそうなので、アイディア次第では卒論や修論のテーマにもなるかもしれません。



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