働きたいを支援する!
障がい者にとって「働くこと」と「給料をもらうこと」はどのような意味があるのか?
まさしく利用者自身が働いて得る「工賃」(障がい者支援分野での給料と考えていただければいいです)についてです。
「働く」と書いたが、障害者総合支援法では「就労継続支援」「就労移行支援」というサービスで、あくまで「訓練」です。サービスの細かいところを述べてしまうと、とても教科書的になりそうなので、そこはカット。そして、企業での障がい者雇用についても、書きません。
では、障がい者はサービス利用して訓練して、どのくらい稼いでいるのか?
月給として「平均15000円」なり。
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作業の内容も、地域も様々なのでなんとも言えません。だけど・・・
そんなに低い仕事しかしてないの?
というわけではない。では、どんなことをしてるのか?
①市町村からの業務委託を受けている
印刷や清掃、データ処理など。
ある程度の量があり、安定していることが多い。ただ、市としては、ちゃんと信頼できるところに依頼することが多いかな。
②企業からの業務委託を受けている
部品の組み立て、検品、袋詰めなど。
量がしっかりあるけれども、納期があるので間に合わせることが必要。
そして、障害者の就労に対しての理解がある企業です。
③事業所独自で生産や販売をしている
レストラン、弁当配達、製菓など。しっかりとした指導や技術を身に付けていることがあるところは、有名なデパートで販売していることもありますし、企業や市役所、地域のイベントでの移動販売していたりします。ただ、やはり買う人は一般のお客さんで、美味しいものや質の良いものが欲しいし、舌が肥えているから、売れるかは分からない。ファンがつくこともあります。
この3つに関して言えるのは「甘えてはいけない。気を抜くと信頼関係が損なわれてしまう」ということ。やはり「責任感」と「努力」です。
また、障がい者が働くことでの、周りの人の見方はどうだろう。
「家族の思い」はどうだろう。
金額的には満足なのか、こんなことしかさせてもらえないのか、将来について疑問を持たないのだろうか。作業ができているだけで満足なんだろうか。まだ、両親ともにまだ働けるからいいけど・・・。障害年金がもらえているからいいけど・・・。
「支援員の思い」はどうだろう。
「やらせている」と思っているのか、「この人ならもっとできる」と思っているのか、「これでいい」と思っているのか。別の高度な作業をやらせてもいいはずなのに、他の利用者や作業のバランスを見て、なかなか「次」に行けないもどかしさもあるはず。
「社会の思い」はどうだろう。
「1億総活躍社会」に障がい者を加えているのなら、障がい者本人にも責任のある仕事をする権利や給料をもらう権利はあると思う。そもそも「社会」は、障がい者がどのような仕事をしているかは知っているだろうか。
社会が障がい者にも仕事をしてもらおうという気持ちはどれくらいあるのだろうか。
「本人の思い」はどうだろう。
自分は任せられた「仕事」をちゃんとやる、しかない。作業所ではちゃんとできれば、誉めてもらえる。自分が今、目の前にある仕事の意味を理解しているのだろうか。
そこで一言。
就労支援に関して「何もできない」と思わせているのは、障がい者ではなく、支援員かもしれない。
「なんでもいいから仕事ください!」と企業に売り込み、ちょっとした仕事しか請けることができず、その仕事で満足して、もう少し高度なことをさせていないのは支援員かもしれない。
「そんなことはない!」といえるのなら、支援員と利用者と同じ作業のスピードや正確性を比べてみるのが良いと思います。
もしかしたら、ほぼ同じか、利用者の方が早いと思います。
ただ、支援員の能力が低いということではなく、社会や企業との相性の問題ということもあると思います。
何だか勝手な意見ですみません。
いわゆる「就労支援」のサービスは『一般就労を目指しているもの』と、僕は認識しています。「人によっては(就労に対する意欲が違うよね、この人は無理!)・・・」と言ってしまいそうになりましたが、本人は強みと弱みがあって、それを活かすのは支援員と利用者との共同作業です。
僕が以前、支援員をしていた時はは、働いた経験のない人には「働くこと」のイメージを聞くことから始めていました。これまで働いた経験のある人には、自分の強みを活かせるような支援をするように・・・・
「えっ、働いたことがあるのに福祉サービスを利用するの?」
説明をしようとすると、複雑!
事故や病気で手や足が動かなくなってしまったから、リハビリの一環として訓練する・・・。
これまでの仕事ができなくなったから新しい資格や技能を身につけるために・・・。
退院したはいいものの、自宅にずっといることはできず、作業所に通うことで時間をつぶす・・・。
根底には「これまでバリバリに働いていた自分に対する葛藤やいらだち、焦り、戸惑い」からだと思います。
支援をしていて気になるには、本人が目指す仕事と、現在の事業所(作業所)で訓練している内容がつながっていないときです。
利用者によっては「こんな(誰でもできる)ことをして、就職できるのだろうか」と思う人がいるのも確か。そんな人は、自分でハローワークへ行き、就職活動をしている。うまくいく人もいれば、そうでない人も。
「実習をしましょう」とはなってはいるけど、実習に耐えれるだけの気持ち、集中力を作業所でどこまで訓練できるのかが課題だと思います。
「そんなことまでしてもらえるの?」
・・・できないわけじゃない。だけど、作業所の職員は、だいたいが「福祉の」職員であって、「就労支援の」職員ではない。
けど、やらないといけない。自分の経験や当たり前のことしか言えないけどね。そして、全くまったく知らない業種、職種についてはあやふやに言うか、勉強してから伝えるしかできない。
他の記事でも書いたけれど、作業所=職場(社会)にはしてほしくない。もっと厳しいし、優しいということを障がい者本人にも感じてほしい。
失敗してしまうことはイヤだけど、失敗を恐れるより、成功して「よっしゃぁ!」と喜んでいるのは、支援していても嬉しい。
僕としては「(障がい者でも)ちゃんと仕事ができるんだね」という考えを何とかしたい。はっきり何ができるのかは言えないけど、働いている障がい者に対して、当たり前のように「ありがとう」「お疲れ様」と言える社会が良いなと思います。
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