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文芸誌よ永遠に

こんにちは、makotoです

今週、芥川賞・直木賞の候補作が発表され、巷では大騒ぎになっています
え?大騒ぎになっていない?
そうですね、ここ数回はだんだんと話題性が小さくなっているような気もしなくはないですが・・・
テーマの時代性からか、相当に話題となった宇佐美りんさん「推し、燃ゆ」がもう一昨年なんですね

さて、直木賞がエンタメ寄りで既刊の長編から候補作が選出される一方、芥川賞は文芸誌に掲載された短編から選出される純文学の新進作家が対象です
誰が読んでも間違いなく面白い物語が多いのは直木賞候補作ですが(語弊がある言い方ですね・・・)、芥川賞を選出する純文学もなかなかのものです

純文学を掲載する雑誌は数多ありますが「五大文芸誌」と呼ばれるものがあります
例外はありますが、芥川賞候補作の多くはこの五大文芸誌から選出されます

「すばる」を除いた「四大」文芸誌

私は、五大文芸誌から集英社の「すばる」を除いた4誌をかれこれ4年近く購読しています
最初の頃はすばるも購読していたのですが、どこか肌が合わないというか毎月の支出の見直しのタイミングでラインナップから外れてしまいました
ごめんなさい「すばる」

それではひとつずつ紹介していきます

まず、新潮社のその名も「新潮
ご覧の通り、最近はカバーデザインが少しミニマルな感じで洒落てきましたが、地味です、とにかく地味です、いやイメージが
それもそのはず1904年創刊の最古参で文芸誌といえば新潮!という雑誌です
掲載作品は小説だけでなく戯曲など幅広く、最近だとSFも書いてしまう高山羽根子さん「首里の馬」は新潮掲載作品でした

次に文藝春秋社の「文學界
ここは「文学」じゃなく「文學」なんです、渋い
文芸誌の中ではダントツの売上数を誇っています
2018年7月号からは、村上春樹さんが不定期に新作短編を掲載され、その数なんと8作(いずれも「一人称単数」として単行本にまとめられました)
そういったことも売上増に影響しているんでしょうか
村上春樹さんの本はいまでもよく売れていますからね(私も10代からの大ファンです)
あと、芥川賞受賞も文學界掲載作品がぶっちぎりで一番多いそうです

講談社の「群像
分厚いです、毎月 電話帳みたいです
2020年1月に現在のポップなデザインにリニューアルし、内容も純文学に加えて「評論」を軸に据えた企画を打ち出しています
読者層の拡大を狙ったんでしょうが、最近息切れ感があります
なかなか購読数増えなかったのかなぁ
ちなみに、村上春樹さんのデビュー作「風の歌をきけ」から初期3作品は全て群像が初出掲載で、「風の歌をきけ」は群像新人文学賞も受賞しています

最後に、河出書房新社「文藝
こちらは上記(すばるを含む)4誌と異なり季刊誌で年に4回発行されます
文藝も分厚い!笑 群像に負けていません
「文学の『いま』を伝える」というコンセプトで、毎号気合の入った特集を組まれています
(最新の2022年春号の特集は「母の娘」・・・・
 ・・・・ごめんなさい、よく分からないです笑)
若手作家の発掘や新しいものを産み出すぞ!という熱を誌面からも感じます
そういえば「推し、燃ゆ」は文藝ですね
我々世代のバンド「BUCK-TICK」のボーカル櫻井敦司さんをお父上に持つ
遠野遥さんも文藝デビューでした

色んな作風の小説やエッセイ、評論を読んでみたい、という方は
是非、文芸誌を手に取ってみてください
いきなり本屋で買わなくても、図書館に行けば各誌取り揃えています
掲載作品はほとんどが短編ですので、少し読んでみて
「あ、合わない」と思ったらどんどん飛ばしちゃって構わないと思います
で、「これは面白いぞ」という作品に出会ったら、そこからその作家の既刊を探して読んでみてください

芥川賞候補作は多くが入手可能な文芸誌が初出の作品ですから、候補作リストから、初出掲載誌を読んでみる、というのもオススメです
芥川賞候補作は、初出掲載誌も合わせてリストになっていることが多いですし、調べるのはさほど難しくないです

例えば、まもなく発表の第166回芥川賞候補作の初出掲載誌は

  • 石田夏穂「我が友、スミス」すばる11月号

  • 九段理江「Schoolgirl 」文學界12月号

  • 島口大樹「オン・ザ・プラネット」群像12月号

  • 砂川文次「ブラックボックス」群像8月号

  • 乗代雄介「皆のあらばしり」新潮10月号

となっています

一般読者層への浸透が芳しくないと言われる純文学と文芸誌ですが、
(純文学という名前がもはや時代遅れでよくないのかも、確かに
 「何が純?」と思わなくもない)
「ノンジャンルの短編小説」と思って気軽に読んでもらえたらな、と
一人でも文芸誌ファンが増えることを祈って書きなぐってみました

それでは!


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