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JAZZを知らなくても大丈夫!〜胸アツな青春映画 『BLUE GIANT』

泣いたで!!『BLUE GIANT』

上映開始から一ヶ月以上経つので、見ないようにしていても前評判はなんとなく入ってくる。
「泣いた!」
「感動した!」
僕は原作コミックは読んだことがないし、ストーリーもなんとなくしか知らない。
「素人の若者がJAZZプレイヤーを目指して。。。」
くらいしか知らない。
なので、泣くシーンってどういうところなんだろう?
と思っていたのだ。

いやぁ、泣いた!

途中から涙が溢れてきて、ラストのSO BLUEでのライブシーンではボロ泣きしていた。
映画の中でも、ライブの観客(映画版ではかなり端折られていたけれど、それぞれがメンバーを支えてきた人達らしいですね)もみんなが涙を浮かべて見守っていたが、同じように一緒になって泣いていた。

そんな泣かせる胸アツ映画を自分なりにポイントごとに感想を書いておきたい。

落涙ポイント=王道の青春映画としての展開

どこがこの映画の落涙ポイントだったのか?
青春映画ではよくある展開だけど、
まだ何者でもない若者がひとつの何か(それはスポーツだったり、演劇だったり、◯◯道だったり、お笑いという小説もありましたね)を信じて、
その何かを極めるためにがむしゃらに進んでいく。
その過程には、挫折や迷い、仲間との衝突など様々な出来事があるが、
最後には主人公(達)が100%以上の力を出し切って、結果はどうであれ自分(達)でも納得のいく結果になる。

その過程を映画を観ている観客も一緒に疑似体験することで、主人公の若者達と同じ感動を追体験する。

『BLUE GIANT』は、まさにそういう青春映画の王道の枠組みに沿ったストーリーで、でもそれは決して悪いことではなく、
王道だからこそ万人の胸に響くストーリー=映画になっていたと思う。

もう一つの主役「音楽=JAZZ」の素晴らしさ

『BLUE GIANT』にはそうした青春物語としてのストーリーとは別にもうひとつの主役がある。
それは「音楽=JAZZ」である。
コミックではもちろん「音楽」は描かれないので、いかにリアリティを持たせるのか?というところが音楽を題材にした映画化では難所の1つになる。

だけど、JAZZについても今作では最高のミュージシャン達が関わっているのだから悪いはずがない。
ピアニストの上原ひろみさんが監修、作曲、そして演奏と全面的に参加されていて、そしてJASSの他の2人のメンバーとして、サックスの馬場智章さん、ドラムスの石若駿さんの3人の若きJAZZジャイアンツ達の白熱の演奏が、この映画に圧倒的なリアリティを持たせている。

そして、上原ひろみさんが作曲した劇中でも演奏されるオリジナル曲達も素晴らしく格好いいナンバーだ。
この映画はおそらくJAZZ好きな比較的年齢が高めの方が多く観に行かれるのかもしれないが、
「JAZZは普段聴かないんだけど」という若い世代の人にこそ観て欲しい。

JAZZは年寄りの古典芸能なんかじゃなくて今もリアルな現代の音楽なんだ、それも最近のクラブ・ミュージックと親和性の高いNu-JAZZなんかではなく、ゴリゴリのモダンジャズマナーのJAZZがこれだけ格好いい音楽なんだ!
ということが体感できる素晴らしい映画なのだから!

素晴らしい声優のキャスティング

声優の皆さんも素晴らしかった。
 主役のJASS3人の声をあてた、宮本大役の山田裕貴さん、沢辺雪折役の間宮祥太朗さん、玉田俊二役の岡山天音さん。
3人ともがプロの声優ではなく、既に名の通った役者達であるにも関わらず、映画を観ている間は3人の顔は全く思い浮かばなかった。
宮本大、沢辺雪折、玉田俊二のJASSのメンバー3人がそこにいただけだった。
アニメ吹き替えをプロの声優ではなく有名な役者がやるケースが、特に映画上映作品では多いように思う。
おそらく集客の問題などから、知名度優先のキャスティングをしているのだとは思うが、そんな映画を観ていると役者の顔の方が浮かんでしまうことがたまにある。
しかし、そのような役者自身が前に出てきてしまうキャスティングは失敗だと考えていて、そういった意味では今作でのこの3人はとても良かったと思う。

演奏シーンのアニメーションについて

「ライブシーンのアニメーションだけはいただけなかった」
そんな感想が多かったようだけど、特に僕には不自然さは感じなかった。
いや、むしろ臨場感があって本物のライブ演奏を観ているな気にもなった(ちょっと褒めすぎ?笑)
演奏シーンについては、モーションキャプチャーを使っていたようだけど、いやいや全然OKだった。良かったと思いますよ!
そして、ライブの迫力を出すための視覚効果として時折挿入されるエフェクト作画もインパクトが効いていてとても良かった。

原作コミックを愛するファンが多くいる映画なので、細かいことを言い出せば色々あると思う。
だけど、リアルJAZZとしても素晴らしい音楽演奏を楽しめて、夢を追いかける若者たちの王道の青春映画としても素晴らしい、万人にオススメできる映画が『BLUE GIANT』だ。
是非、みんな観に行って欲しい。
そして、この後の大の活躍も是非映画化してもらいたいと切に願う。

<了>

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